【苦手な人でも分かる】場合の数の苦手を克服するために

場合の数を苦手とする受験生は多いです。

この分野は、目立った公式が順列の\({}_n \mathrm{ P }_k\)と組み合わせの\({}_n \mathrm{ C }_k\)くらいしかなく、解答方針を自力で立てないといけません。

場合の数に苦手意識を持つ人は、何でもかんでも数式と公式だけで解こうとしがち。パターンにはめこまず、自分の言葉で考えることができるかどうかで、得意苦手の差がつくのです。

本記事は、場合の数の問題集の解説を読んでも「どうしてそう解こうと思ったの?」「意味がわからない」となってしまう受験生に向けて書かれています。数式をなんとなくこねくり回すようなことをせず、できるだけ噛みくだいた言葉で解説しました。

場合の数への苦手意識をすぐに振り払うのは簡単ではありませんが、本記事を読んで粘り強く成長していってください。

場合の数は「数え上げ」が基本

場合の数とはどういう分野かというと、ある条件にかなう「場合」を過不足なく数え上げる分野です。

「\(7\)人の男性と\(3\)人の女性を、女性がいずれも隣合わないという条件で並べる場合は何通りか」「\(9\)個の異なる色のボールを、\(3\)個ずつの\(3\)組に分ける仕方は何通りか」といった感じですね。

当たり前だと思うかもしれませんが、「数え上げ」という基本動作が頭から抜け落ちていることが案外よくあります。

極端な話をすると、ある場合の数の問題の答えが\(100\)通りだとして、その\(100\)通りをすべて書き出すことができれば文句なしで正解です。しかし現実には試験時間という制約があるので、適宜省略をはさみ、効率化しながら数え上げていく必要がある。

その効率化の手段こそが例の\({}_n \mathrm{ P }_k\),\({}_n \mathrm{ C }_k\)です。逆にいうとそれ以上の、式を簡略化する以上の意味はありません

だから、\({}_n \mathrm{ P }_k\)と\({}_n \mathrm{ C }_k\)を使った数式だけで解ける問題というのは本来稀で、まずは自分の言葉で数え上げてみようという姿勢を忘れてしまうと、正しい解法までたどり着かないことが多いです。

例えば……\(4\)個の数字\(0,1,2,3\)を並び替えて\(4\)ケタの数字をつくることを考えましょう。このとき、奇数ができあがる場合は何通りあるでしょうか?

こういう問題は、もし時間の制限がなければ小さい順に並べていって奇数を見つけ出すのがもっとも確実です。しかしそれは現実的に無理なので、省いて効率的に数え上げます。

奇数なので\(1\)の位は\(1\)か\(3\)。だから、\(1\)の位が\(0,2\)のものは省くことができる。また\(1000\)の位に\(0\)がきてはいけないので、この時点で\(1XX3,2XX1,2XX3,3XX1\)に絞れます。

この位は書き上げてしまいましょう。数え上げと書き出しから逃げて数式だけで解答を完結させようとすると、どこかでガタがきますよ。

残りのXXの部分はどんな数字がきても良いので、いわゆる\({}_3 \mathrm{ P }_2\)で良い。例の公式はここで初めて登場します。逆に、ここまでは数式が一切不要で、これこそ場合の数という分野の本質なわけです。

パターン的な解法がなく、数式だけで解ける問題が少ない以上、自分の言葉で丁寧に考え方を記す。これの習慣が身についた受験生が場合の数のニガテを克服していきます。

順列と組み合わせの違い

場合の数の問題は、しばしば「順列」と「組み合わせ」の2パターンに分類されます。さて、この順列と組み合わせの違いを皆さんは説明できますか?

「順列は\(P\)で組み合わせは\(C\)!」ではもちろんダメですよ。

自分の言葉で説明できるようになりましょう。そうすることで、この場面では\(P\)を使い、ここでは\(C\)を使う、といった判断が自信をもっておこなえるようになります。

組み合わせとは

組み合わせとは、例えば\(10\)個の異なるボールから\(3\)個のボールを「取り出す」仕方は何通りあるか? といった問題が典型ですが、組み合わせ問題で考えるのはこの「取り出す」ところまでで、取り出した後のボールには一切関知しない。これが特徴です。

\(10\)個のボールから\(3\)個のボールを取り出すのであれば、これは\({}_10 \mathrm{ C }_3\)でよいでしょう。\(120\)通りです。

組み合わせ=「取り出す」作業のこと、と覚えておきましょう。

順列とは

順列とは、例えば\(10\)個の異なるボールから\(3\)このボールを「取り出し」て、一列に「並べる」仕方は何通りあるか? といった問題を指します。

組み合わせ問題との最大の違いは、もともとの「取り出す」動作に加えて「並べる」動作まで考えるところにあります。

同じ取り出し方でも並べ方によって仕方に違いが出てくるので、一般に順列の問題のほうが多くの場合が出てきます。

\(10\)個のボールから\(3\)個のボールを取り出して並べるのであれば、\({}_10 \mathrm{ C }_3\)に加えてそれぞれの場合で\(3\)つのボールを一列に並べるので、\(3!\)を掛け合わせる、つまるところ\({}_10 \mathrm{ P }_3\)ですね。\(720\)通りです。

順列=「取り出す」のに加え「並べる」作業のこと、と覚えておきましょう。

場合の数の問題は数え上げの作業、というふうに考えると、順列は組み合わせの問題よりもひと手間増えるんだとわかりますね。

組み合わせの問題

場合の数にパターン解法は通用しにくいのですが、大学入試で頻出のいわゆるパターン問題は存在します。解説の便宜上、これらの問題を例にとって場合の数という分野について考えていくのがやりやすい。

しかしだからといって、解法のパターン暗記はやめましょう。少し条件をいじられただけですぐに対応できなくなる分野なので、くどいようですが、自分の言葉で考えることをおすすめします。

組分け基本パターン①組み分けるものが区別できる場合

異なる\(9\)個のボールを、次のように組み分ける方法は何通りあるか。

(\(1\))\(3\)個ずつ\(3\)組に分ける。

(\(2\))\(3\)個ずつ\(3\)人にくばる。

(\(3\))\(5\)個、\(2\)個、\(2\)個の3組に分ける。

さて、以上の3問について、よどみなく解答方針を立てられるでしょうか?

組み合わせ問題を解くさいに意識しなければいけないポイントは\(2\)つあります。

①組み分けるものが区別できるかどうか。

\(3\)つの区別できるボールを\(2\)個、\(1\)個の組に分けるのと、\(3\)つの区別できないボールを\(2\)個、\(1\)個の組に分けるのとでは事情が異なってくることを理解しなければいけません。

②分けてできた組を区別するかどうか。

組み分けた結果、\(3\)個の区別できないボールを含む組が\(3\)つできたとして、その\(3\)組をたとえば\(3\)人に配る(つまり組どうしを区別する)のか、何もしないのかではこれまた訳が違います。

御託はこれくらいにして実際に解いてみましょう。

(\(1\))異なる\(9\)個のボールを、\(3\)個ずつ\(3\)組に分けます。

まず組み分けですが、\({}_9 \mathrm{ C }_3\times{}_6 \mathrm{ C }_3\times{}_3 \mathrm{ C }_3=1680\)で良いですね。

この操作は何度かやったことがあると思いますが、やっていることは\(9\)個のボール群から\(3\)個をとりだすという作業を順に\(3\)回おこなっている。一挙に\(3\)組を生成しているわけではない。よって、そこに「順番」なる並びが生まれているのです。

組み分けの問題では、条件がない限り組み分けた後のこと、たとえば順番、並びといったものは考えない原則がありました。だから、生んでしまった「順番」は排除しないといけません

その排除のためにおこなうのが、\({}_9 \mathrm{ C }_3\times{}_6 \mathrm{ C }_3\times{}_3 \mathrm{ C }_3=1680\)を\(3!\)で割るというもの。なぜ\(3!\)なのかというと、\(3\)個ずつの組\(3\)つに「順番」をほどこす仕方が\(3!=6\)通りあるからです。

答えは\(1680 \div 6=280通り\)。

(\(2\))異なる\(9\)個のボールを、\(3\)個ずつ\(3\)組に分け、それらを\(3\)人に\(1\)組ずつ配ります。

重要なのは(\(1\))との考え方の違いですね。違いは組を人に割り振るところ。これは何を意味するでしょうか。

そう、分けてできた\(3\)組に、それぞれ割り振る人という属性を追加しているわけです。

場合の数の問題では、特に指定がない限り人は区別するという暗黙の了解があります。よって、組を人に配ったとき、そこに「順番」が生じます。

だから、結果的に、(\(1\))で計算した\({}_9 \mathrm{ C }_3\times{}_6 \mathrm{ C }_3\times{}_3 \mathrm{ C }_3=1680\)をそのまま答えとすれば良いわけです。この数字は「順番」なる並びが生まれていますが、(\(2\))ならばそれで構わない。人は「順番」を生むので。

(\(3\))異なる\(9\)個のボールを、\(5\)個、\(2\)個、\(2\)個の3組に分けます。

人が登場しないので、(\(1\))と同様、\({}_9 \mathrm{ C }_5\times{}_4 \mathrm{ C }_2\times{}_2 \mathrm{ C }_2=756\)通りから順番を排する作業をおこないます。

では何で割れば良いでしょうか。

いわゆる「同じものを含む順列」を思い出しましょう。(\(1\))では\((3,3,3)\)を並べることを考えました。\(3\)を区別して並べたら\(3!=6\)通りですが、区別しないで並べたらもちろん\(3,3,3\)の順番しかありえず1通り。

つまり、組み分けの問題では\(1\)度しか数えないものを、\({}_9 \mathrm{ C }_3\times{}_6 \mathrm{ C }_3\times{}_3 \mathrm{ C }_3\)では\(6\)度も数えているんですね。

\({}_9 \mathrm{ C }_3\times{}_6 \mathrm{ C }_3\times{}_3 \mathrm{ C }_3\)では区別して並べていますが、組み分けの問題では区別しないで並べるので、差分を調整するために\(6\)で割ったのです。

さて、(\(3\))では\((5,2,2)\)を並べることを考えます。各数字を区別して並べたら\(3!=6\)通りですが、区別しないで並べたら\((5,2,2),(2,5,2),(2,2,5)\)の\(3\)通り。

よって先ほどと同様、\((6\div 3=)2\)倍余計に数えているのを割ります。
答えは\(756\div 2=378\)通りです。

組分け基本パターン②組み分けるものが区別できない場合

同じ\(9\)個のボールを、次のように組み分ける方法は何通りあるか。

(\(4\))\(3\)個ずつ\(3\)組に分ける。

(\(5\))\(3\)組に分ける。\(0\)個の組があってはならない。

(\(6\))\(3\)人にくばる。分け前が\(0\)個の人がいてはならない。

次の\(3\)問は、\(9\)個のボールを区別しません。これが何を意味するかを、\((1)\)と\((4)\)を比較することで考えてみましょう。

(\(4\))同じ\(9\)個のボールを、\(3\)個ずつ\(3\)組に分けます。

(\(1\))との違いは、ボールが区別できるかどうかにあります。話をわかりやすくするために、(\(1\))では\(9\)個のボールをそれぞれ\(b_1,b_2,b_3,…,b_9\)と名づけて区別してみましょう。

(\(1\))の答えは\(280\)通りありました。これをいくつか書き出してみると\((b_1b_2b_3,b_4b_5b_6,b_7b_8b_9),(b_3b_5b_8,b_1b_2b_9,b_4b_6b_7),(b_3b_4b_9,b_2b_7b_8,b_1b_5b_6)\)などとあってこれが合計\(280\)個あるわけです。

さて、いま、ボールが区別できなくなったとしましょう。つまり、先ほど\(b_1,b_2,…\)と名づけたものが、すべて\(b\)にしか見えなくなってしまうとします。

すると上に書き出したものはどう見えるでしょうか。\((bbb,bbb,bbb),(bbb,bbb,bbb),(bbb,bbb,bbb)\)です。よってどの\(280\)個の組も区別できなくなってしまう。悲しいですね。

したがって、(\(4\))の答えは\(1\)通りしかありません。

以上、(\(1\))と(\(4\))の区別を自力で行えるようにしましょう。

(\(5\))同じ\(9\)個のボールを、\(3\)組に分けます。\(0\)個の組があってはならない。

これはある解き方を知ってしまえば考察する必要もなくなるのですが、今ここで解き方が頭に浮かばなかった人はぜひ以下の説明を読み進めましょう。

(\(4)\)では同じ\(9\)個のボールを、\(3\)個ずつ、すなわち\((3,3,3)\)の\(3\)組に分ける仕方が\(1\)通りしかないことを突き止めました。

しかし(\(5)\)では\(3\)個ずつ組み分ける必要がなく、\((1,3,5)\)や\((2,2,5)\)など様々な場合が考えられる。

これではキリがないじゃないかと思うかもしれません。しかし、よくよく考えてみると、\((1,3,5)\)に組み分ける仕方が何通りあるかというと、(\(4\))と同じようにすれば実は\(1\)通りしかないことがわかる。各ボールが区別できないことを思い出してください。

しかも、組み分けたあとの順番や並びは考えない原則にしたがうと、\((1,3,5)\)も\((3,5,1)\)も\((5,1,3)\)も同じものとして扱う。すべてまとめて\(1\)通りです。

だから、話は以下のように簡略化できます。

\(0<x\leq y\leq z<9\)をみたす\((x,y,z)\)の組はいくつあるか。

ここまできたらもう書き出しましょう。書き出すことを恐れる受験生は場合の数が苦手な傾向にあります。何でもかんでも合理的に\(C\)とか\(P\)だけで解こうとするとガタがくるという話は前にもしました。

答えは\((1,1,7)(1,2,6)(1,3,5)(1,4,4)(2,2,5)(2,3,4)(3,3,3)\)の\(7\)通りです。

(\(6\))同じ\(9\)個のボールを、\(3\)組に分け、それぞれ\(3\)人にくばる。分け前が\(0\)個の人がいてはならない。

人にくばるといった事象が登場したら、組み分けたあとの順番や並びを考えろということです。

(\(5\))で導いた、\((1,1,7)(1,2,6)(1,3,5)(1,4,4)(2,2,5)(2,3,4)(3,3,3)\)のそれぞれについて、順番を考えてあげればよいでしょう。

\((1,1,7)\)であれば\((1,1,7)(1,7,1)(7,1,1)\)の\(3\)通りが考えられる。

他の\(6\)通りについても同じようにやってみてください。\(3+6+6+3+3+6+1=25\)通り見つかるでしょう。これが答えです。

順列の問題

これは組み合わせの問題! これは順列! と記事の構成からわかってしまうと、順列と組み合わせを自力で使い分けるという肝心なところが身につかないので、上に紹介した問題は組み合わせを中心としつつ順列の考え方もあえて織り交ぜてあります。

上の問題に加え、順列問題に特有の考え方があって、以下では代表的なものを\(2\)つ紹介します。一緒に解いていきましょう。

円順列と数珠順列

(\(1\))異なる\(5\)個のボールを円形に並べる方法は何通りあるか。

(\(2\))異なる\(5\)個のボールを円形に並べ、首飾りをつくる方法は何通りあるか。

円順列(円形に並べる問題)と数珠順列(円形に並べて数珠状のものをつくる問題)は有名で、導出の公式を知っている受験生も少なくないと思います。

円順列の場合は、回転させて同じ並びになるものは\(1\)通りと数える。数珠順列の場合は、回転させて同じになるか、裏返して同じ並びになるものは\(1\)通りと数える。このように明記されている問題もあればそうでないものもありますが、ほとんど暗黙の了解となっているので事前におさえておきましょう。

円順列と数珠順列の公式は、結果からいうと、以下のようになります。

異なる\(n\)個のものの円順列の方法は、\((n-1)!\)通り
異なる\(n\)個のものの数珠順列の方法は、\(\frac{(n-1)!}{2}\)通り

ただし、数式だけで覚えてしまって「なぜそうなるか」の理解を放棄してしまうと、少し問題設定を弄られただけで崩れてしまいがちです。自分で説明できるようになりましょう。

まずは円順列。

異なる\(5\)つのボールを順に\(A,B,C,D,E\)と名づけます。もしただの順列であれば、\(5!=120\)通りとなって簡単です。しかしこのままでは円順列の場合、余計に数えてしまっている部分があるので、その差分を調整しなければいけません。

スライド1

上の図のように、ただの順列であれば\(5\)通りあるものが、円順列では同一の場合として数えられるのです。逆にいうと、円順列では\(1\)通りにすぎない円を、\(5!\)では\(5\)倍余計に数えてしまっているわけですね。だから、\(5\)で割ります。

\(5!÷5=(5-1)!\)となり、上で示した円順列の公式そのままの形になりました。

次に数珠順列ですが、円形に並べるまでは円順列と同じなので、ただの順列では\(5\)倍余計に数えてしまっているのは同様です。

加えて、数珠ということは作った円を持ち上げてどこかに飾ることができます。ゆえに、裏からも眺めることができますから、裏返して同一になるものは\(1\)通りと数える決まりがあります。

スライド2

上の図のように、円順列では\(2\)通りあるものが、数珠順列では同一の場合として数えられます。だから、数珠順列では、円順列からさらに\(2\)倍余計に数えてしまっているぶんを除かなければいけません。そのために\(2\)で割ります。

\((5-1)!÷2\)となって、これも先に述べた数珠順列の公式と合致しますね。

以上のようなことを自力で思い出せれば十分です。

ところで、円順列の解説をするさい、ひとつのものを「固定」すると述べる参考書や教科書がしばしばあります。この「固定」の意味、また「固定」するとどんないいことがあるのか、正しく理解していますか?

円順列における「固定」とは、視点を固定するということです。以下の図を見てください。

スライド3

ひとつのもの、上の図では青のボールに視点を固定します。すると、円をいくら回しても青からみた他の\(4\)つのボールの配置は変わりません。だから「回転させて同じものはひとつと数える」円順列では左の\(2\)つの円が同一だとわかるわけですね。

あとは、青からみた他の\(4\)つのボールの配置の違いだけを考えればよいので、\(4!=(5-1)!\)で円順列は求まります。参考書や教科書のいうところの「固定」は、以上のようなことを意味しています。

制約を含む順列

(\(1\))\(s,u,p,p,l,i\)の\(6\)文字の並べ方は何通りあるか。同種の文字は区別しない。

(\(2\))\(s,u,p,p,l,i\)の\(6\)文字の並べ方のうち、\(s\)がどの\(p\)よりも左にくるようなものは何通りあるか。同種の文字は区別しない。

順列・組み合わせの問題では、取り出す→並べる→以上の過程で余計に数えてしまっている差分を除く、という道筋をたどります。

このうち「取り出す」部分に関しては、今回の問題で考慮する必要はありません。与えられている\(6\)文字すべて並び替えるからです。「並べる」はどうか。とりあえず、\(6\)文字あるので\(6!=720\)通りを考えておきましょう。

ここから、余計に数えてしまっている差分を除きます。どこか余計かというと、察しのとおり、\(2\)つある\(p\)についてです。同種の文字は区別しないので、\(2\)つの\(p\)を異なるものとして扱ってはいけないはずですが、\(6!\)では\(2\)つの\(p\)を区別して、\(p1,p2\)といった風にして並べてしまっています。

\(6!\)では\((s,u,p1,p2,l,i),(s,u,p2,p1,l,i)\)と区別しているのを、\(p1,p2\)を同一の\(p\)に置き換えることで、区別できないようにする必要があります。ゆえに、\(6!\)を\(2\)で割れば(\(1\))の答えが求まります。\(320\)通りですね。

(\(2\))ですが、(\(1\))よりも制約が厳しいので、\(320\)通りからさらに絞る必要があることはなんとなくわかるでしょう。ここからは以下のように考えます。

\((s,u,p,p,l,i),(p,u,s,p,l,i),(p,u,p,s,l,i)\)の\(3\)つの場合に注目しましょう。これらは(\(2\))にて制約となっている\(s,p,p\)以外を「固定」したうえでありえる\(3\)通りです(ここでの「固定」とは、円順列・数珠順列のところで解説した視点の固定ではなく、単に動かさないという意味)。

これらのうち「\(s\)がどの\(p\)よりも左にある」という制約を満たすのは\((s,u,p,p,l,i)\)だけです。ゆえに、このように考えましょう。\((□,u,□,□,l,i)\)というパターンのうち、制約を満たすのは\(1\)通りしかない。

\((□,u,□,□,l,i)\)の並べ方と、(\(2\))で求める場合は、数が一対一対応しているのですね。

\((□,u,□,□,l,i)\)の並べ方ですが、これは(\(1\))と同じやり方でできます。まずは□を区別して\(6!\)で並べ、□の区別をなくすには\(3!\)で割れば良いですから、\(6!÷3!=120\)通りが(\(2\))の答えです。

\({}_n \mathrm{ P }_r\)と\({}_n \mathrm{ C }_r\)だけでなく日本語で考える

記事で幾度か強調したように、場合の数の分野では数式だけで考えることをやめましょう。書き出してみたり、言葉で考えることが、適切な解法をそのつど導き出す最短経路です。

順列と組み合わせの違い、「固定」の意味あたりは、ぜひとも他の人に説明できるくらい頭に入れておいてください。




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