【東大受験生のスケジュール】1年で東大に合格するための勉強計画の立て方

はじめに

1年間をかけて自身の学力を東大合格レベルまでもっていくとなると、当然ですが、場当たり的な学習はいつかあなたの足を引っ張ることになります。

「今日はなんか数学の気分だから数学をやろう」みたいな思いつきで終わる日が、何日も重なっていくと危険ですよ。
たとえば苦手な英語にいつまでも手が伸びず、手遅れになるといった事態が少なくない頻度で起こります。

今の自分に何の分野の知識だったり実力が足りていないのか把握したうえで、そこを埋めていく作業をつづけていくことが受験勉強の王道です。

こと必要科目数の多い東大入試にあっては、スペシャリスト(1科目特化型)よりもジェネラリスト(全科目万能型)であることが求められますから、不足している部分を埋める勉強からは逃れられません。

ここまでお読みいただいたところで、「それができたら苦労しないよ」と溜め息をつく受験生も多いことでしょう。

事実、筆者もそうでした。

高校3年生の時、自分は英語が苦手であることは誰に言われなくとも自覚していたのに、どうすれば克服すればよいかわからず、そうこうしているうちに社会科のプレゼンスが増していって英語に手がつかなくなる。

いつまでにこの英語の参考書を仕上げて、何月くらいから社会科の知識埋めを本格化させるなどの見通しを早めに立てることができていれば、もっと気持ちを楽にもてていたかもしれません。

この記事では、全ての東大受験生にとって、おおむね共通項であるところの年間スケジュールと注意点を概観していきます。

東大受験生の1年間のスケジュール

まずは計画を立てるにあたって、東大受験生にとってどの時期にどんなイベントが待ち構えているのか、といった簡単なことを記していきましょう。

「夏休みは大事」とか「共通テストは1月中旬」みたいなことは言わずもがなでしょうから、それ以外の要素、具体的には模試に焦点をあてています。

春(4月)~夏休み前(7月中旬):受験生生活の開始について

学年がひとつ上がったからといってすぐに生活意識が受験生モードへと向き変わるわけではありません。

4月の間は、受験勉強を軸に回っていく毎日に慣れることが第一目標です。

そのなかで自分の勉強もこなしていきます。まだ部活をつづけている受験生の場合は、いっそう丹念に勉強時間を見出していかなければならない。

具体的には、参考書や問題集を、自分はどのくらいのペースでこなせるのか把握しましょう。朝に30分、1ページに夜の2時間を加えて5ページ進む、といった具合に。

自分を知らないことには計画の立てようがないですからね。

夏休み前までのひとつの大きな山は、多くの東大受験生にとって、おそらく5月中旬~6月上旬のあいだにあるマーク模試記述模試になると思います。

この時期の模試の位置づけは、

  • 受験生として迎える(ほぼ)初めての模試である
  • 今年度に受験する高卒生も含めた、つまり入試本番までに争わなければいけない母体のなかで行われる初めての模試である
  • 夏休みに控える東大型模試までの指針を立てるにあたって数値上の指標となる模試である

こんなところでしょうか。

ひとまず、この模試で結果を出すことを見据えてペースを作っていきます。

「勉強計画を立てる際の注意点」のところでも詳述しますが、模試をひとつのゴールとして学習を仕上げていくと計画が締まるのでおすすめです。

受けた模試の成績表は、だいたい受験日の1ヶ月後に返ってくるので、5月中旬~6月上旬の模試の結果はおおむね7月頭にわかります。ちょうど学校の期末試験から終業式へとさしかかる時期ですね。

その結果が自分にとって良かろうが悪かろうが、バネにして夏休み期間の学習へとつなげていくのが流れとして自然だと思います。

注意点ですが、先に述べたように、この時期の模試からは受験者のなかに高卒生が混ざってきます。

1年間のアドバンテージをもっている高卒生と比べて結果が振るわないのは当たり前で、返ってくる成績もほとんどの場合は思いのほか低めに出ます

いずれ高卒生を追い抜かせば良いのですから、結果が想定より悪くてもことさら意気消沈することはありません。

夏休み(7月中旬~8月):東大模試に向けた学習方針について

まとまった時間を学習に充てられるという意味では間違いなく「勝負」の時期といえますが、東大受験生にとっての勝負の山場は8月中旬に控える東大模試でしょう。

5~6月の全国模試の受験者にはもちろん東大を視野に入れていない人も含まれる一方、東大模試の受験者母体はほとんど入試本番のそれと同じといって差し支えありません。明らかになる判定も精度がかなり高いです。

東大型の模試に向けてピークを持っていってもらいたいのですが、学習の際に総じて気をつけておいてもらいたいことがあります。

東大形式に特化した学習は避ける

模試で結果を出すことだけを念頭におくならば、その模試の形式にあわせて知識をビルドしていくのが近道です。東大模試の場合はとりもなおさず東大入試の過去問ということになりますね。

しかしながら、一部の例外を除いて、夏休みから東大の過去問をがっつり解き始めるというのは時期尚早であることが多いです。

一部の例外というのは、他でもなく「余裕合格勢」のこと、つまり時間をかけて滋養すべき知識事項はおおむね片づいており、あとは演習だけ、そんな受験生のことを指します。

自分は余裕であるという自負がある人以外は、東大模試を控えているといえども、やはり英単語・古文単語等の復習や、問題集を長時間かけて回す作業に重きを置くべきですね。

というのも、まとまった時間をとって参考書・問題集に取り組むことができるのは夏休みがほとんど最後だからです。

秋以降の学習は徐々に演習の占める割合が増えていき、問題を解くなかで欠けているとわかった知識を埋めていく仕方での暗記作業が主だってきます。

逆に「今日は英単語帳を3時間やろう」といった計画は夏を最後に、思うように実現しなくなると心得ましょう。

n時間勉強でやった気にならない

受験生にとっての夏休みは妙に神格化されているところがあり、先輩方もしばしば武勇伝的に夏休みの思い出を語ることでしょう。

そのなかで「10時間勉強した」「俺は14時間」のような体験談がしばしば登場すると思いますが、まずもって筆者の経験から言うと、時間単位で学習をコントロールしている受験生は骨折り損のくたびれ儲けで終わっていることが多いですね。

極論、教科書を1ページ読むのに10時間を費やすのと、50ページ読むのに10時間を費やすのでは、当然勉強量は大いに異なるわけですが、時間本位で考えると区別がつきません。

さすがにそれは極端にしても、勉強時間だけで競っていて気づかないところで差をつけられている事態は往々にして起こります。

ならばどうすれば良いかというと、後で詳しく述べますが、「参考書・問題集単位で計画を立てる」のがおすすめです。

秋(9月~12月中旬):東大模試の反省と過去問演習について

東大受験生にとって、この時期に待っている最初のイベントは東大模試の成績表返却でしょう。だいたい9月中旬に手元に届きます。

夏が終わって中だるみしがちな初秋にあっては、ここで目にする判定というのは小さくない意味を有します。

判定について今後の計画に活かすことといえば、

    • 判定は1ヶ月前の自分である

受験したのが8月中旬なので、返ってきた判定ももちろんのこと、1ヶ月前のあなたの実力を示します。

東大模試の後にも勉強時間は多くあったはずですから、今の自分は目の前の判定よりも成長している、と捉えることに無理はありません。

    • 何点が合格ラインなのか

まず点数の話をすると、東大二次試験の合格最低点は、文系だと350~360点、理系だと理1、理2が310~320点、理3が380~400点で推移します。

この数値は共通テストの得点を約11%に圧縮したものを含むので、共通テストで9割(810点)得点したとすると、圧縮後はだいたい100点です。

これを最低点から差引くと、二次試験に限ったボーダーラインがわかりますね。

さて、明らかになったボーダーラインと夏の東大模試の成績表を見比べてみると、ほとんどの場合、ボーダーにまったく届いていなくて愕然とすることでしょう。

しかしそれは全受験生に共通で、東大模試の得点は一般にデフレ傾向にあります。それはひとえに模試の問題自体が難しく、採点基準も本番とは異なるからですね。

たとえば東大文科二次試験のボーダーラインは250~260点ですが、夏の東大模試の場合、220点も取ればA判定が来ます。

だから、自身の点数が例年の合格最低点からかけ離れているからといって気にすることはありません。

    • 何判定までが合格ラインなのか

点数よりもこちらのほうが気になる受験生がほとんどでしょう。東大模試の判定の捉え方についても付言しておきます。

東大入試の倍率は平均して3倍、つまり3人に1人が受かる。ゆえに受験者母体の上位3分の1に入ると合格ラインを越えたといえるわけです。

では、その「上位3分の1」を判定で表現するとどうなると思いますか?

答えはC判定です。正確に言うと、C判定の上半分が「上位3分の1」ラインなんです。

だから、A判定やB判定を取らないと合格に届かないといった判断はまったく誤っている。A判定は「合格可能」ではなく「合格安泰」という意味ですからね。

東大模試の結果が返ってきたとき、まずは自身の判定が、制度上用意されている最低の判定でないことを確認してください。

最低がE判定である模試ならばD判定以上、最低がD判定ならC判定以上かどうかを見る。そうであれば合格ラインをじゅうぶん狙える距離にいると考えてOKです。

夏の東大模試の結果をバネにして、今度は11月に待ち構える秋の東大模試をゴールに据えて勉強していきます。

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共通テスト直前期(12月中旬~1月中旬):共通テストの見方について

いつ頃から共通テストに絞った対策を本格化させていくか。また、その間二次試験対策をどのくらいの割合で続けるか。

答えは一概に決まらないものの、自分なりの答えをあらかじめ計画立てておきましょう。

たとえば共通テストで全力で点を取りに行きたいので、本番1ヶ月前、つまり12月中旬頃(ちょうど学校の終業式の時期と重なりますね)から勉強時間をすべて共通テストの演習に充てる。

あるいは、二次試験を継続することを強く見るならば、共通テスト演習は年明けからといった選択肢もありえるでしょう。

本番まで何日残されているかによって演習量もおのずと概算できます。

筆者はどちらかというと前者の立場寄りで、学校の終業式とともに共通テストの過去問を毎日解くようにし、年明けからは二次試験の対策はほとんどいったん放置しました。

ここで「いや、共通テストに全力を注ぐのは当たり前でしょ」と思う受験生の方もいるかもしれません。

共通テストはほとんどの受験生にとって最初に越えなければならないハードルであり、「足切り」といった言葉がちらついてくると緊張感は一層増すものです。

ここで失敗すれば一年間の努力が水の泡と化すので、直前期に共通テスト対策を甘く見ることのできるのはよほどの豪傑しかいないように思えますね。

筆者も基本的には共通テスト対策への一本化を基本線に据えるのが妥当だと考えていますが、しかしながら、東大受験においては事情が少し複雑です。

先にも触れましたが、東大受験においては、二次試験の素点に共通テストの得点を約10%(正確には110/900)に圧縮したものが加算され、その合計点で合否を競うことになります。

この「圧縮」が東大受験生の戦略を多様化させる要因となる。約10%の圧縮とは、ありていに言えば、共通テストにおける20点二次試験における2点がおおむね価値を等しくするということです。

一例を挙げると、

東大受験生A:共通テスト810点+二次試験250点……合計349点
東大受験生B:共通テスト770点+二次試験265点……合計349.1111……点

この場合、僅差も僅差ですが、東大受験生Bのほうが合計点では勝るのですね。もちろん共通テスト770点が足切りを突破していることが前提となりますが。

以上の事情を鑑みると、いくら直前期といえども、二次試験対策を完全に放置して共通テスト演習ばかりやるのが常に最善であるとも限らないことがわかるでしょう。

12月中旬の時点で二次試験対策において大きく遅れをとっているならば、少なくとも何らかの仕方で共通テスト演習と東大過去問演習を並行させていく必要があるかもしれません。

自分の共通テストに関する実力、二次試験の得点力とマッチした勉強計画を12月中旬から共通テスト本番までにバランスよく立てられるかが勝負どころです。

ただし、共通テスト対策の時間を減らすことは、とりわけ現役生にとっては少なくない心的負担となること、これだけは覚えておいてください。

二次試験直前期(1月中旬~2/25,26):併願校対策について

共通テストを越えてしまえば、もはやバランスも何もない……と言いたいところですが、2月にさしかかるこの時期のスケジュールについても気にするべきことがいくつかあって、今回はとりわけ受験生の頭を悩ませるだろう併願校対策についてアドバイスです。

今まで東大に合格することだけを目指して計画を立ててきましたし、実際そういう目的で本記事は書かれているのですが、しかしながら現実問題、東京大学しか受験しないという一途(?)な受験生はごく限られています。

2月中旬頃から私大入試が続々と始まり、4~5校も受けようものなら、東大入試本番2/25までの残り日数のうち、無視できない割合の日数が持っていかれることになりますね。

もちろん東大合格が第一という本線が変わらないことを前提のうえですが、併願校入試は日程的にも精神的にも少なくない負担になることを了解しなければならない。

本命と異なるとはいえ、入試はいつだって人の心を張り詰めさせますから。

そして、「2月中旬以降は問題をじっくり解き回す暇がなくなってくる」ことを今のうちから見越しておくと、勝負の時期を共通テスト終了後から2月上旬までに据えることになるでしょう。

この時期においてはタダでさえ、俗に「共通テストボケ」と称される、共通テスト対策の裏で二次試験の感覚が鈍ってしまう現象を乗り越えなければなりません。

そうでなくとも、共通テストの結果を良くも悪くも引きずってしまいがち。これでは勝負にならないですね。

共通テスト後は高校の通常授業がないことが多く、あっても講習形式だったりして普通のスケジュールを踏めないことが多いです。

徐々に人と会う機会がなくなってくるだけに、いかに共通テストから二次試験の対策にメンタルを移せるかが一層勝負のカギとなる。

……という、言い古されたアドバイスに結局は落ち着いてしまいました。

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勉強計画を立てる際の注意点

ここまで東大受験生の一年間と称して、今後待ち受けているはずのイベントについて諸々述べていきました。

とはいえこれは、「はじめに」でも但し書いたように、ほとんどすべての東大受験生に通じるような最大公約数を記したものであり、ここから即勉強計画の立案へ向かうにはいささか具体性を欠いているのも事実。

そういうわけで、少しでもこれからの勉強の仕方について鮮やかにイメージできるように、計画立てにまつわる注意点を提供していこうと思います。

すでに部分的に触れているものもありますが、ご了承ください。

参考書・問題集単位で計画を立てる

あらゆる参考書・問題集は、一冊丸ごとやり切ることで力がつくように編集されています。

しかしながら、受験生のみなさんも思い当たるところがあると思いますが、テキストを一冊やり切るのはなかなか難しいんですよね。

つい不安になって、中途で投げ出して他の参考書に手を出してしまう。それが趣向に合わなくてまた別の参考書を……という悪循環に陥ると、一冊やり切って抜かりない知識を身につける成功体験をいつまで経っても得られません。

だからここはいっそのこと、「夏休みにこの単語帳を一冊やり切る」のような参考書・問題集単位の目標をいくつか用意しておくのが良いでしょう。

ただし、そのような目標が成り立つのは、まとまった時間をとれる夏休みまでであることが多いです。

秋以降はやはり演習の補充という形での用途が増えてきますからね。それだけに、目標設定には慎重になってください。

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ミクロとマクロの目標をもつ

1年後、東京大学に合格するというゴールは何があろうと変わらない。

そうだとしても、そのゴールに至るまでの小さな目標、チェックポイントは受験生によって異なります。

誰もがどの科目をいつまでに仕上げたほうがいい、と決まったわけではないのは当然ですが、個人レベルで見てみても、勉強のすすみや模試等の成績によって小さなゴールを適宜修正していく必要があります。

英語が苦手だと思って高3進級とともに英単語の勉強に本腰を入れてみたけれど、5月の模試で実のところ古文の出来のほうが深刻だった、とか、英語のできなさが想定を超えていた、みたいな場面は少なくないでしょう。

バッチリ固定していて年間変える必要のない計画がつねに最良であるとも限らない、このことを念頭においてスケジュールを作ってください。

おすすめなのは、まず1年間のどの時期にどの参考書・問題集をやるかの大局を決めておき(マクロの目標)、それを可視化するべくいずれかにスポットライトをあてるように、1ヶ月ないし1週間単位で何を進めるかを決める(ミクロの目標)やり方です。

言葉だけではイメージをつかみづらいと思いますので、下の項目に「計画立ての一例」を用意しました。ぜひ参考にしてください。

何よりも、1年後に東大合格レベルまで自分を導いていくための計画立てです。

東大合格のためのミクロ計画立ての一例

スライド2

おわりに

計画立ても受験勉強の一部であり、適切なスケジュールのもと動けるかどうかは結果を大きく左右します。

とはいえ実際に参考書・問題集を進めないとらちがあきませんので、早いうちに一歩目を踏み出しましょう。

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