目次
2017年と2016年のセンター試験の平均点一覧
科目 | 平均点 | 前年平均点 | 差 |
---|---|---|---|
英語(筆記) | 124 | 112 | 11 |
英語(リスニング) | 28 | 31 | -3 |
数学Ⅰ・A | 61 | 55 | 6 |
数学Ⅱ・B | 52 | 48 | 4 |
国語 | 107 | 129 | -22 |
物理 | 63 | 62 | 1 |
化学 | 52 | 54 | -3 |
生物 | 69 | 64 | 5 |
地学 | 54 | 39 | 15 |
世界史B | 65 | 67 | -2 |
日本史B | 59 | 66 | -6 |
地理B | 62 | 60 | 2 |
現代社会 | 57 | 55 | 3 |
倫理 | 55 | 52 | 3 |
政治・経済 | 63 | 60 | 3 |
倫理,政治・経済 | 67 | 61 | 6 |
5教科7科目文系型※ | 555 | 548 | 7 |
5教科7科目理系型※ | 559 | 562 | -3 |
センター試験の平均点を受験生はどう見るべきか
受験生にとって、センター試験の平均点がなぜ重要なのかということは、以下の2点に集約されます。
②自分で過去問を解く際に、他の受験生と比較する
①はあくまで予測に過ぎず、いくら考えてもその年度の難易度などわかるわけがないので、気休め程度に考えておくべきです。
重要なのは②の方。これは自分の点数と平均点を比較し、安心するためではありません。
平均点が低かった年度は、平均点がなぜ低いのかを分析し、一般に受験生はこういった分野が弱そうだ、という予測を立てるための参考になります。
そういった分野を洗い出し、自分の受験年度に出題されたら絶対に正答するという意気込みで復習することが重要です。
自分がその分野で正答できるようになれば、周囲の受験生に差をつけることができ、結果的に高得点を取ることができるからです。
とはいえ、そのような分析を受験生が行うことは非常に労力と時間がかかり、現実的ではありません。
以下の章では、各教科の平均点の推移と平均点が低かった年度の分析を徹底的に行っています。是非、過去問を解く際の参考にしてみてくださいね。
センター英語の平均点の推移と分析
平均点の推移

センター英語では文章量への慣れが高得点のカギ
最近では、平成21年度に平均点が大きく下がっています。
これは語数の増加が影響した結果です。
もともと、センター英語の語数は多めでしたが、平成20・21年度は特にその傾向が強まり総語数は4000語を超えました。
平成22・23年度ではいったん語数は減少し、平均点も持ち直しましたが、平成25年、再び総語数が4000を上回り4251となると平均点も下がっています。
つまりセンター英語では、文章の長さが平均点に大きく影響を及ぼしているのです。
もし本番で普段解いている問題よりも多そうだと感じたら、急ぎめで解いてみるという対策を取ることが重要です。
普段から過去問を解く際には、語数に注目し、文章量に対する感覚も養っておく必要がありますね。
語数の多いセンター英語の問題に慣れておきたいという人には、予備校が販売している模試のパックなどがおすすめ。
本番のセンター試験よりも少し難易度を上げるために、文字数が多く設定されている場合が多いので、感覚を養うのに最適です。
センター数学Ⅰ・Aの平均点の推移と分析
平均点の推移

受験生の多くは「図形と計量」と「場合の数と確率」が苦手
数学Ⅰ・Aの平均点は60点台を維持している年が多いです。
その中で50点台や50点を切った年を見ると、第3問の図形計量の分野と、第4問の確率の分野が難化すると平均点が下がる傾向にあります。
つまり、多くの受験生は図形計量と確率の分野を苦手としているのですね。
これらの分野は単純な計算と異なり、数学的な気づきがないと解くことができない場合が多いです。
平均点が低かった年度の問題で、具体的にどのようなポイントが点数を左右するのか見ていきましょう。
図形と計量では、相似など中学数学の知識で差がつく
図形と計量の分野では、相似やメネラウスの定理・チェパの定理など中学数学で解ける問題も多いです。
しかし高校数学をいったん習ってしまうと中学数学のやり方が浮かんでくることはなかなかありません。
柔軟に考えるトレーニングが必要になるので、苦手な人が多いのですね。
まずは平均点が54点の平成19年度。
第3問の図形では立体から平面図形になったものの、計算量が増加。
簡便な計算を行うために、相似形を見つけて解くことがポイントになったようです。
また平成22年度でも、直角三角形とそれに内接する円についての問題が出題されましたが、それも相似を見抜くのが一つのポイント。
平成25年度では、第3問では三角形の内接円同士の位置関係を求める問題で、中学数学の知識で解けるものでした。
場合の数と確率では、丁寧な数え上げが重要
場合の数と確率の基本は「もれなくダブりなく数え上げる」ということ。
しかし条件が複雑になってくると、数え上げの漏れが生じたり、重複してカウントしてしまったりしてしまうのですね。
平成19年度では、数え上げでダブルカウントしやすい設定になっており、マークの桁数に合致せず焦って点を落とした受験生が多かったと考えられます。
平成22年度では、数字と色という二つの要素について考える必要があり、複雑だったことで数え上げの漏れが生じたことが難しさの原因だったようです。
場合の数と確率では、数え上げに時間を使う必要があるので、そのほかの時間で時短をしておく必要がありそうですね。
センター数学Ⅱ・Bの平均点の推移と分析
平均点の推移

膨大な計算量と難問への慣れがカギ
数学Ⅱ・Bの平均点は数学Ⅰ・Aに比べやや低く、50点台を一定してキープしています。
そこから大きく平均点を落としているのが、平成15・19・27年度です。
数学Ⅰ・Aに比べ、特殊な発想の必要ない数学Ⅱ・Bは、とにかく計算力がものを言う分野。
膨大な計算式で、途中式を見失ったり、焦ってケアレスミスをしたりすることが点数の減少に繋がります。
平成15年度の問題では、特に第2・3・4問の計算量が増え、計算が複雑化したことで計算ミスが誘発されました。
平成19年度の問題でも計算量の増加がみられ、第3問では二項間漸化式を誘導なしで解かせるという難易度の高い問題が出題されました。
平成27年度は新課程への移行の年で、ここでもやはり計算量が増えたことが平均点を落としたようです。
また第3問の数列は最も計算量が多い問題で、4項をひとまとまりに見るという発想と添え字(a、bの右下についている数字)の使い方に慣れていないと混乱を招くという難問でした。
センター国語の平均点の推移と分析
平均点の推移

古文は主語の省略の多い平安時代の文学に要注意
唯一平均点が100点をきった平成26年度を見てみましょう。
例年マニアックな文章が出題される古文ですが、この年は『源氏物語』が出題されました。
出題個所もあまり有名なパートではなく、難易度が急上昇したために平均点はぐっと下がりました。
源氏物語は主語の省略が多く、また古典常識やそれまでの流れを背景知識にした書き振りが散見されるため、一部を抜粋で読まされると非常に読みづらい文章になります。
源氏物語に限らず、平安時代の文学にはこのような傾向が見られるため、過去問演習では特に要注意の分野でしょう。
漢文は新傾向でも基礎知識で対処
漢文では、例年、短く話の筋をたどりやすい文章が出題される傾向にありましたが、平成19年度の問題で漢詩を含む文章が、平成21年度の問題で故事を踏まえた文章が出題され平均点を引き下げました。
ただ漢文では表現の特徴、詩の鑑賞、筆者の主張、韻を理解できているかなど、毎年新しい形式の設問が出題されることが多いので、あまり過去問のパターンに執着せず基礎力をかためることが大切になってきそうです。
センター世界史の平均点の推移と分析
平均点の推移

満遍なく教科書の範囲を網羅することが重要
最も平均点の低かった平成15年度の問題構成を見ていきましょう。
第1問 | 民族・宗教上の紛争と共存 |
第2問 | 地図の作成やその時代背景 |
第3問 | 文字をめぐる歴史や文化 |
第4問 | 歴史上の家族や親族 |
この中で最も厄介だったのが、第1問B、Cです。
「パレスティナのアラブ人とユダヤ人」というテーマで出題されたBでは、古代から近現代に至るまでの受験生が敬遠しがちなパレスティナ地方の問題が、「ヨーロッパの多民族国家と連邦制」というテーマで出題されたCでは、近現代史の混同しがちな事項が出題されました。
やはり高校での学習が手薄になりがちな、第1次、第2次世界大戦前後の近現代史を突かれると失点する傾向にあるようです。
平成20年度の問題でも第2問Cの「豚と人間の関係史」から出題された近現代の正誤問題につまづいた受験生が多かったようですし、平成14年度の第1問B「交通手段の発達と世界の一体化」、第1問C「情報技術革命とその影響」、第4問B「近代西欧の政治動向」など、難易度が高かったとみなされている問題は、近現代史に偏っているところがあります。
センター世界史は受験生が苦手と思われる分野を狙ってくる傾向にあるので、満遍なく教科書の範囲を学習することが重要ですね。
センター日本史の平均点の推移と分析
平均点の推移

暗記科目でも知識の応用で差がつく
まずは日本史Bの問題の構成を確認しましょう。
日本史Bでは必ず、第1問テーマ史、第2問原始・古代、第3問中世、第4問近世、第5・6問近代・現代、という時代配分になっています。
では平均点が最も低かった平成18年度の問題はそれぞれどのような問題が出題されたのか見てみましょう。
第1問 | 日本史に見る海外文化の影響 |
第2問 | 古代の土木・建築 |
第3問 | 中世における人や物の交流 |
第4問 | 近世の社会・経済 |
第5問 | 近代の東京 |
第6問 | 近現代の対外関係 |
この中で受験生が点を落としがちだったのが、第1問B「ヨーロッパとの文化交流」と第2問A「古墳・条里制・田地」です。
受験生が苦手意識を持つことが多い文化史の中でも、過去問で出題されなかった分野が出題されたことが点数を引き下げた一つの原因のようです。
それに加えて、正答率が異常に低かった第2問Aの問1は、当時の土地尺度「1町=約108m」という単位を知っていたかどうか、リード文から東西南北を判断できる当時の土地の地理的感覚をもっていたかどうかがキーになったようです。
資料集などで必ず目にしているはずの単位ですが、暗記するときには見落としがちです。
センター試験ではこのように知識問題だけでなく、持っている知識を生かした応用・発展的問題が出題されることもあります。
初めて見た用語や人名に対して、「何もわからない!」と焦るのではなく、落ち着いていかに自分の知っている知識が使えないか考える必要がありそうですね。
センター地理の平均点の推移と分析
平均点の推移

地理を制するのは知識の応用
最低平均点を記録した平成15年度の問題を見てみたいと思います。
第1問 | 山地から平野に至る地域の自然環境と生活 |
第2問 | 南北アメリカにおける一次産品の生産、流通および貿易 |
第3問 | 南アジアの地誌 |
第4問 | 中国をめぐる人や物の流れ |
第5問 | 南西諸島に関する地域調査 |
第1問から第4問までは、オーソドックス範囲なものの、教科書で得た知識を用いて考えさせる問題が多く、非常に難解となっていました。
また第5問は、地域調査の問題であまり馴染みのない、南西諸島(沖縄周辺)が出題され、受験生を混乱させたよう。
特に、最後の問題では、南西諸島から発展し、全国のキクの生産量を問う問題が出題され、正答率を大きく引き下げています。
見たことのない問題のため、焦ってしまいますが、実は教科書レベルである近郊農業の知識があれば解ける問題。
センター地理では、とにかく見たことがないからと焦らないで、自分の学習してきたことと関連させて問題に当たることが重要です。