はじめに
世界史の中で、東南アジア史が苦手という方は多いのではないのでしょうか。
ですが東南アジア史は一度できるようになると、安定して得点を得ることができるようになります。
そこでこの記事では東南アジア史が苦手になってしまう原因と、筆者がおすすめする勉強法を紹介します。
世界史受験を考えている人や、模試の得点を伸ばしたい人は必見です!
目次
東南アジア史が苦手な理由
東南アジア史が苦手な理由①:「縦の流れ」がわかりにくい
東南アジア史に苦手意識を持つ理由として一番に挙げられるのは、おそらく歴史の「縦の流れ」が分かりにくいということでしょう。
歴史の勉強において、同時代の国・地域同士のつながりを見ていく「横の流れ」に対して、「縦の流れ」は1つの国や地域の時間的な変化に着目することを指します。
現在の教科書は西洋中心に書かれているため、西洋史に比べると、東南アジア史の「縦の流れ」はどうしても分かりにくい傾向にあります。
教科書を見てみると、西洋諸国は古代から戦後史まで、教科書ほぼ全編で取り扱われています。
一方東南アジア史は、古代~近世、近代~戦後史と飛び飛びに記載されてありますよね。
さらに近代に近づくと、東南アジアの国々は、宗教や経済の面で列強国の影響を色濃く受けます。
世界史では、東南アジア各国がどの国からどのような影響を受けたかまで暗記する必要があり、西洋史と比較するとやはり覚えにくく感じるかもしれません。
そのため東南アジア史は西洋史と比べて分かりにくく感じられ、苦手意識を生んでしまうのでしょう。
東南アジア史が苦手な理由②:地理が複雑でわかりにくい
東南アジアの地理が他地域に比べて複雑でわかりにくいことも、東南アジア史に苦手意識を持ちやすい理由の1つです。
地理がわかりにくい原因として、現在の東南アジアの国境線ができあがったのが、ごく最近の出来事だということがまず挙げられます。
例えばシンガポールは、元々「マラヤ領」というイギリス領の一部でした。
そこからマレーシア連邦の一部として独立しますが、1965年にシンガポールとして再独立を果たします。
このように国境線が戦後も変わるというケースは、東南アジアにおいては稀ではありません。
さらに東南アジアは日本とは違い、複数の半島や諸島、島しょ部にかけて細かく国々が共存しています。
そのため、それぞれの国がどこにあるのかがわかりにくく、苦手意識を持たれやすいのかもしれません。
しかし、国や国境線の位置を把握せずに歴史を学習してしまうと、脳内で情報が整理されず、理解があやふやなままになり、苦手意識が芽生えてしまいます。
東南アジア史が苦手な理由③:宗教と文化史が多様である
3つめの理由は、宗教と文化史が多様であるという点です。
東南アジアは他の地域に比べて、非常に多様な宗教が入り混じっています。
一地域区分において、上座部仏教、大乗仏教、イスラーム教、キリスト教、ヒンドゥー教などが共存する場所は他を探してもありません。
一国内でも常に同じ宗教を信仰していたわけではなく、時代を追うごとに他国からの影響や列強の支配下により宗教が移り変わることもあります。
例えば東ティモールは、元々イスラーム教国家でしたが、西部はオランダの支配、東部はポルトガルの支配下に置かれたことで、国民はカトリックに改宗しました。
このように一国内でも宗教が大きく変わっていくと、余計にややこしく感じてしまいますよね。
さらに東南アジア史では、文化史として覚える内容も多岐にわたります。
特に建造物は、アンコール=ワットとアンコール=トムなど、似たものが多く存在するため、より苦手意識を持ちやすいのかもしれませんね。
おすすめの東南アジア史勉強法
東南アジア史に苦手意識を持ちやすい理由がわかったところで、ここからは筆者おすすめの勉強法を解説していきます。
定期テストや模試の勉強の際に、ぜひこれらのポイントを抑えて活用してみてくださいね!
おすすめの勉強法①:最初は縦の流れを暗記する
東南アジア史は、一国の王朝名(「縦の流れ」)を暗記できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
縦の流れを暗記するには、単語カードの表に王朝名、裏に国名を書いて、時系列に並び替える、といった勉強法がおすすめです。
最初に目指すべきポイントは、国を言われたら何も見ずに、その国の歴代王朝名と順番を間違えることなくスラスラ言えるようになることでしょう。
例えばベトナムであれば、
ドンソン文化→李朝→陳朝→黎朝→西山朝→阮朝
となりますね。
ここで注意してほしいのは、勉強を始めたばかりのうちは、中国史との関わりといった歴史の横の流れや、王朝の創始者や年号などの細かい知識を意識しすぎないということです。
苦手意識を持っている人や初学者が、最初から細かい知識や横の流れを気にしてしまうと、情報量が多く、複雑すぎて挫折しそうになります。
ですから、まず最初は何も見ずに縦の流れを言えるようになってから、横のつながりを見るようにしてください。
難関校を目指す人や世界史で点数を稼ごうと思う人は、そのあとで細かい年号や人名などを覚えていきましょう。
おすすめの勉強法②:東南アジア史は地図を片手に
最近の入試問題は、共通入試・私立入試共に地図問題が増えている傾向にあります。
王朝名や用語だけを暗記しても、地図問題が出てしまったら手も足も出ませんよね。
ですが「正確な地理を覚えるのが難しい!」「地図はどうしても苦手!」と思う人もいるかもしれません。
そのような人は、最初は正確な形にこだわらず、国の配置を大まかな略地図にしてみることをおすすめします。
慣れてきたらさらに細かい地図にして、様々な情報を書き足していくといいでしょう。
ここで意識するポイントは、メコン川やチャオプラヤ川、イラワディ川などの有名な川や、オケオや唐の安南都護府など、教科書によく出てくる都市部です。
というのも、有名な川や都市の周辺には有名な建造物があることが多く、地図問題でも頻出なためです。
地図問題は何度も見て覚えるしかないので、東南アジア史を勉強するときには隣に地図を置きながら、常に地理情報を意識してください。
おすすめの勉強法③:宗教と文化史は対応づけて暗記する!
先ほど挙げたように、アンコール=ワットとアンコール=トム遺跡など、東南アジアには似たような文化遺跡や多様な宗教が混在しています。
似た名前のものは、ノートに並べて表にしておくことで情報が整理されますよ。
例えば
「アンコール=ワットはヒンドゥー教の建造物」
「アンコール=トムは大乗仏教の建造物」
と表に並べて書けば、一目で宗教の違いが分かりますね。
他にも、「ボロブドゥール遺跡は大乗仏教の建造物」「プランバナン寺院はヒンドゥー教の寺院」など、自分が紛らわしいと思う特徴を並べて書くことで混乱しにくくなります。
遺跡は特に、「どの宗教のものか」が正誤問題で問われやすいので、暗記の際は建造物と宗教名が一致するようにしましょう。
資料集だけでは頭に入りにくいという場合は、YouTubeの観光動画やその国の観光ホームページなどをネットで調べると、案外記憶に残りやすいですよ。
まとめ
いかがでしたか?東南アジア史は、西洋史などと比べて縦の流れが分かりにくいからこそ、まずは縦の流れを覚えるようにしましょう。
受験生の中でも苦手意識を持っている人の割合が多いからこそ、一度できるようになるとかなり有利になりますよ。
この記事を参考にして、定期試験や模試対策に役立てて下さいね。
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