はじめに
一橋大学の世界史では、例年特殊で難解な問題が数多く出題されています。
この記事では、現役の一橋生が実際の過去問も交えながら、難問が頻出な一橋世界史の対策方法を解説します。
一橋大学を世界史で受験しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください!
目次
一橋大学世界史の特徴
まずは一橋大学の世界史についての基本的な情報を説明します。
一橋大学世界史の難易度はトップクラス
一橋大学の世界史は、東京大学や京都大学などの世界史のレベルに相当する難易度です。
他の難関国公立大学の世界史と違う点は、教科書範囲外からの出題がしばしば見られる点にあります。
基本的に国公立大学では、教科書範囲からのみ出題されることが多いのですが、一橋大学では教科書範囲外から出題されることもあり、注意が必要です。
また指定語句が与えられないことが多いという点も、他の大学と比較して特徴的な点でしょう。
例えば東京大学では、一つの問題に何個かの指定語句が与えられており、この指定語句から解答の方針を見出すことが可能です。
一方一橋大学では、近年指定語句を与えられない問題がほとんどを占めているため、基礎が抜けていると一切解答が書けず、大問まるごと白紙になってしまう可能性も。
難問揃いの一橋大学の世界史に立ち向かうためには、まず基礎固めが大事です。
一橋大学世界史の大問構成と頻出テーマ
一橋大学の世界史は大問3つ構成で出題されます。試験時間は120分です。
大問一の大論述は基本的に中世史から出題される傾向があります。
大問一は難問であることが多いので、ここで時間を使いすぎないように注意が必要です。
大問二の大論述・中論述では、近代史の出題が多く見られます。
受験生の学習が十分でない現代史の出題も多く見られるため、差がつきやすいポイントです。
大問三の中論述・小論述では、大問二と同様、近代史や現代史からの出題がほとんどです。
中でも中国史が出題される確率は極めて高く、十分な対策が必要でしょう。
ちなみに一橋大学では、古代史が出題されることはほとんどありません。
本当に時間に余裕がない人は、まず中世から現代にかけての歴史を勉強することをおすすめします。
一橋大学世界史の得点率目標は5割から6割
学部ごとに配点が異なることや、一橋大学が教科ごとの点数を開示していないことから、正しい合格点を導くことはできません。
目安としては、5割から6割の得点率を目指すと良いでしょう。
満点近くとれる難易度の問題ではないので、得点できるところで確実に点をとっていくことが大切です。
ただ得点率が3割を切ってしまうと、周りと差が付き、世界史で足を引っ張ってしまいます。
加えて一橋大入試では、難しい問題が当たった年でも、世界史と日本史の間で点数調整が行われないと言われています。
そのため、どんな問題が出題されてもしっかりと得点できるように実力をつけていきましょう。
一橋大学世界史ではどんな問題が出題される?
一橋大学世界史では特殊な問題が多いと説明しましたが、実際にどのような問題が出されるのでしょうか?
過去問の中からいくつか頻出テーマの例を示したので、難易度の参考にしてください。
標準レベルの頻出テーマ:叙任権闘争
中世ヨーロッパ史の中で、最重要イベントである「叙任権闘争」は、一橋大学で頻出のテーマです。
過去、1987年、2001年、2002年、2010年などに出題されています。
特に叙任権闘争の終結である「ヴォルムス条約」に関しては、独立した一問として出題されるほど細かい知識が要求される年もあります。
また皇帝と教皇のパワーバランスの変化については、叙任権闘争だけでなく、オットー一世やカール大帝などから論述させる問題も頻出です。
単語暗記でとどめることなく、経緯や年号までしっかりと暗記しましょう。
発展レベルの出題テーマ:身分制議会
過去問研究を行ってわかるのが、一橋大学では身分制議会についての問題が時々出題されるということ。
実際2005年、2019年に出題されています。
有名どころでは、「イギリス議会」や、「フランスの三部会」といったキーワードが思い出されるかもしれません。
しかし年度によっては、「スペインのコルテス」や、「ロシアのゼムスキー・ソボル」、「ポーランドのセイム」などの単語も解答要素に含まれることがあります。
これらの単語は、『詳説世界史研究』という難易度の高い教科書では一部触れられていますが、一般的な教科書には出てこない単語です。
過去問研究を行いながら、教科書には出てこない知識も少しずつ吸収していきましょう。
(番外編)伝説の奇問:オスマントルコの進出
標準・発展レベルのテーマでも、十分難しく感じられたと思いますが、一橋大学では、稀に「奇問」とも言える超難問が出題されることがあります。
これらの問題は、教科書レベルを余裕で越えてしまっているので、わからなかったとしてもなんら問題はありません。
ここでは直近30年近くの一橋大過去問を研究した筆者が、絶対に解けないと感じた「奇問」のうちの一問、「オスマントルコの進出」をテーマにした問題をご紹介します。
「オスマントルコの進出に伴う、東西キリスト教世界の交流と、それが15世紀イタリア社会に与えた影響について論じなさい」(400文字)
残念ながら、この出来事についての記載は教科書にありません。
15世紀イタリアという記載から、「イタリアルネサンス」に触れる程度のことしかできないでしょう。
詳しく知りたいという人は、赤本や青本などの解答を参照してください。
一橋大学世界史の対策方法
では、このような難問たちにどうやって立ち向かえばいいのでしょうか。
教科書内容を完璧にしよう
覚えていてほしいのは、難問はみんな解けないということ。
受験期になると、飛びぬけて世界史ができる人と自分を比べて、「この問題が解けないのは自分だけなんだ」と思い込んでしまいがちです。
しかし、一橋の世界史で出題される「難問」には、教科書範囲を逸脱したものもよく出題されます。それらの問題が解ける受験生はほとんどいません。
だからこそ、簡単な問題を落とすことは命取り。教科書内容は絶対にもれなく覚えましょう。
発展的内容は、webや過去問から学ぶ
前述したように、一橋大学の世界史では、教科書に書かれていないことが問われることもたくさんあります。
教科書だけの知識では不十分であると感じた時は、インターネットをフルに活用することをおすすめします。
私のおすすめは、「世界史の窓」というサイトです。
教科書内容をより詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
加えて赤本や青本を使って、過去問の研究にしっかりと取り組みましょう。
一橋大では、何年か置きに再度同じテーマの問題が出題されることもしばしば。
そのため、過去問を研究することで難問にも対応する力を養うことができます。
過去10年分程度さかのぼって勉強すると大学の傾向をなんとなく掴めてくるはずです。
また、赤本や青本の解答では難解な用語や出来事を詳しく解説してくれているので、文の量に圧倒されて読み飛ばすことは非常にもったいないです。
細部まで読みこむことで、「ポーランドの身分制議会」など、教科書ではなじみのない用語も記憶に定着させることができるでしょう。
解けない問題に固執しない
先ほど「奇問」として紹介した問題のように、過去問研究を行っていく際にいくら勉強しても解答できない問題と遭遇することもあります。
そういった問題に貴重な勉強時間を捧げるのは非効率的なので、解けないものは解けないと割り切ることも大切です。
もし受験本番で超難問に遭遇した時は、周辺情報をできるだけ多く書き出して、字数は必ず埋め切れるようにしましょう。
問題文や図にヒントが隠されていることも多いので、最後まであきらめてはいけません。
おわりに
一橋大学の世界史は非常に難解である一方、同じテーマの過去問を焼き直ししているだけ、という問題も散見されます。
視点をずらして様々な問われ方をされますが、本質は同じなので、過去問研究を行って対策を行いましょう。
そうした標準的なレベルの問題を落とさなければ、合格は目の前まで近づいてくることでしょう。
だからこそ、教科書レベルの内容を確実に頭に入れて、過去問研究を十分に行ってください!