はじめに:反比例について
比例とセットになって、小学高学年から登場するのが反比例という単元です。
主に中学生が習い、高校受験でも度々お目にかかる定番の問題です。
今回は反比例とは何なのか、そしてどんな形で問題として問われるのかを練習問題を解いて習得しましょう!
反比例とは何か?
まずは、反比例とは何かについて解説していこうと思います。
ある一家がお出かけにいくことを考えてください。
お母さんが「仲良く均等に分けなさい」と言いながら、自分の息子たちに10000円のお小遣いを渡したとします。
ここで、長男のAくんにとっては兄弟の人数によって一人当たりにもらえる額が変化することが問題になってきます。
当然のことながらAくんは10000円を全部欲しいわけですが、そうはいきません。
そこで、下の図を見てください。
兄弟の数が増えるほど、一人当たりにもらえるお小遣いの額が減っていっていますよね?
上のグラフを例に具体的に言うと、Aくんにもし兄弟がおらず一人っ子の場合は10000円全部がAくんのものになり、もし次男のBくんがいたとすれば、Aくんは半分の5000円しかもらえないことになります。
このように二つの変数の一方が二倍、三倍、…になれば、他方が二分の一、三分の一、…になる時、二つの変数の間には反比例の関係があると言います。
反比例の式・グラフ
反比例のことが大雑把につかめたところで、次に数学や算数の世界で反比例がどのように表されるのかを説明していきます。
まずは反比例の式です。
先ほども述べた通り、2つの変数のうち一方(多くは\(x\)です。)が2倍、3倍になると、他方(多くが\(y\)にあたります。)が\(\frac{ 1 }{ 2 }\)倍、\(\frac{ 1 }{ 3 }\)倍になるような時、2つの変数の間には反比例の関係にあるのでしたね。
よって、反比例の式は(y=\displaystyle\frac{ a }{ x }\)というように表されます。
\(a\)は定数であり、ここにいろいろな数が入ります。
例えば\(a=4\)として、\(y=\displaystyle\frac{ 4 }{ x }\)について考えてみましょう。
\(x=1\)の時は\(y=4\)となり、\(x=2\)の時は\(y=2\)となります。
表で確認してみましょう。
これが具体的な反比例における\(x,y\)の関係です。
次に反比例のグラフに移ります。
先ほども確認した通り、\(x,y\)が反比例の関係にある時、\(x\)の値が増えれば増えるほど、\(y\)の値は限りなく小さくなります。
これを押さえた上で、あとは\(xy\)平面上にわかりやすい(\(x,y\)が共に整数であるような)点をプロットして、その点を滑らかな曲線を描きながらつなげれば良いだけなのですが、注意点があります。
(ただし、\(x=0\)の場合は分母が\(0\)の分数は定義ができないので考えなくて良いです。)
この点に注意しながらグラフを書いていきます。
まずは\(a>0\)の時です。\(y=\displaystyle\frac{ 4 }{ x }\)のグラフを考えます。
最初に\(xy\)平面を書きます。
次に、\(xy\)平面に\(y=\displaystyle\frac{ 4 }{ x }\)が通り、かつわかりやすい点をプロットしていきます。
わかりやすい点とは基本的には\(x,y\)共に整数であるような点のことをいいます。
このような点を格子点といったりもします。
今回の場合、
(\(x,y\))=(\(-4,-1\))、(\(-2,-2\))、(\(-1,-4\))、
(\( 1, 4\))、(\( 2, 2\))、(\( 4, 1\))が考えられます。
これらの点を\(xy\)平面にプロットしていきます。
そしてこれらの点を滑らかな直線になるように結んでいけば完成です。
まとめると下の図のようになります。
今度は、\(a<0\)の時です。\(y=\displaystyle\frac{ -4 }{ x }\)を考えます。
\(y=\displaystyle\frac{ 4 }{ x }\)とグラフの書き方は同じです。
- \(xy\)平面を書く。
- 格子点を求める。
- \(xy\)平面に格子点をプロットする。
- それらの点を滑らかな曲線で結ぶ。
しかし、当たり前ですが格子点が\(y=\displaystyle\frac{ 4 }{ x }\)のものと異なり、したがってグラフの書く位置が変わることに注意が必要です。
今回の場合、格子点は
(\(x,y\))=(\(-4,1\))、(\(-2,2\))、(\(-1,4\))、
(\(1,-4\))、(\(2,-2\))、(\(4,-1\))となります。
よって、これらの点を\(xy\)平面にプロットすると、
求めるグラフは次のようになります。
原点に対して対象になっているため、必ず2つの曲線ができることに注意です。
一方だけしか書くことのないように気をつけてください。
両端は\(x\)軸、\(y\)軸に限りなく近づきますが、接することはありません。(これを漸近すると言います。)
グラフを書く時には、グラフが軸に触れてしまわないように書くことが大切です。
反比例のグラフを書く練習
では、グラフを書く練習を2題やってみましょう!
練習問題1
次の反比例の式のグラフをかけ。
\(y=\displaystyle\frac{ 8 }{ x }\)
練習問題1の解答・解説
グラフを書くにあたって、まずは格子点を書き出しましょう。
今回の場合では、下の表のように書き出すことができます。
あとは、\(xy\)平面にこれらの点をプロットして、なめらかな曲線になるようにつなげれば完成です。
繰り返しになりますが、上のグラフでいうと第三象限(左下)の曲線の書き忘れに注意してください。
練習問題2
次の反比例の式のグラフをかけ。
\(y=\displaystyle\frac{ -8 }{ x }\)
練習問題2の解答・解説
やり方は練習問題1と変わりませんが、グラフを書く位置が前問とは異なることに注意です。
とりあえず、いつものように格子点を書き出します。
あとは、\(xy\)平面にこれらの点をプロットして、なめらかな曲線になるようにつなぎます。
今回は最終的なグラフだけを示しておきます。
反比例のグラフを書く時は、慣れるまではとりあえず地道に格子点を書き出してからグラフを書く方が安全です。
反比例の文章問題
最後に反比例の文章問題にトライしてみましょう!
文章問題
今年の体育祭の準備をするのに、2人でしようとすると56日もかかってしまうことがわかりました。
これではとても間に合いません。文化祭は7日後です。
体育祭の準備を7日で終わらせるには何人で準備をすればよいか求めなさい。
文章問題の解答・解説
この手の問題ですることは限られています。
- 自分で\(x,y\)を設定する。
- \(x,y\)の関係式を導く。
- 問題で要求されている最終的な答えを求める。
\(x,y\)をどのように設定したら良いかというと、基本的には問題文中でわかっていないものや、自分が知りたいもの(答えなど)を未知数として\(x,y\)とおきます。
今回の問題の場合は、体育祭準備にかかる日数を\(y\)、それに必要な人数を\(x\)とおけば良さそうです。
まず始めに2人で準備しようとすると56日もかかることから、1人では\(2×56=112\)日かかることを押さえます。
体育祭準備にかかる日数は、それに参加する人が増えれば増えるほど短くなっていくことから\(x\)と\(y\)には反比例関係があることがわかります。
\(y\)を\(x\)の式で表すと\(y=\displaystyle\frac{ 112 }{ x }\)になります。
そして今回知りたいのは、準備に必要な人数です。
体育祭まであと7日なのはわかっているので、\(y\)に7を代入すると求めたい人数がでてきます。
\(7=\displaystyle\frac{ 112 }{ x }\)
これを整理して、\(x=16\)
よって答えは、\(\style{ color:red; }{ 16人 }\)となります。
まとめ:反比例の問題では、\(x\)と\(y\)の関係をいち早くつかめ!
いかがでしたか?
基本的な問題では始めから反比例の式が与えられていますが、実践的な問題(入試問題など)では\(x,y\)が問題文で設定されている、または\(x,y\)さえも自分で設定して問題を解かねばならないケースがほとんどです。
そんな時でも大切なのは、
- まず自分が求めたいものは何なのか。
- 自分で設定した\(x,y\)の間にはどのような関係があるのかを最初につかむ
ことです。
そうすることで、混乱せずに確実に問題が解けるようになるので、しっかりと練習を重ねて習得するようにしてくださいね。