【3分で分かる!】円の方程式の公式とその証明をわかりやすく(練習問題付き)

はじめに

図形の問題でも、関数や不等式の問題でも、円の方程式を求めて答えが出る問題はよく出題されます。

そこで今回は円の方程式の求め方と、求めるときに使える便利な公式を紹介します!

最初のページでは基本の公式を確認します。
次のページでは、公式の証明と円の方程式のパターンを例題とともに解説します。
最後に理解を深めるための練習問題も用意しました。

円の方程式の求め方をマスターしましょう!

円の方程式の公式

まず、円の方程式を求めるにあたり、必ず覚えてほしい公式をまずはご紹介しましょう!

円の中心の座標を\((a,b)\)、半径を\(r\)としたとき、円の方程式は\[\style{ color:red; }{ (x-a)^2+(y-b)^2=r^2 }\]となります。

「円の方程式を求めなさい」と言われたら、この形で答えると正解です。

ただし、特殊な形として\[x^2+ax+y^2+by+c=0\]を用いることもありますので、こちらも覚えておきましょう。

これは、先ほどの\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)を展開して整理した
\[x^2+(-2a)x+y^2+(-2b)y+(a^2+b^2-r^2)=0\] の\(-2a,-2b,a^2+b^2-r^2\)を、それぞれ\(a,b,c\)で置き換えたものです。

こちらの方がスッキリしてみやすい場合もあるので、参考程度までに知っておきましょう。

以上が円の方程式を求めるために必要な公式です。
形が結構複雑なので、公式をみただけでは理解しにくいのではないでしょうか?

そこで次に、この公式がなぜ成り立つのかを説明していきます。

円の方程式の公式を証明

まず押さえて欲しいのは「円は中心からの距離が等しい点の集まりである」ということです。
つまり円周とは中心から半径分だけ離れた点の集合であるのですね。

下図で確認してみてください。
円の方程式

ということは、円周上のある一点と中心との間の距離は半径に一致するということです。
今回の証明はこれを使えば、もうできたも当然です。

先ほどと同じように、中心が\((a,b)\)、半径が\(r\)の円上の点\((x,y)\)を考えます。

まず円周上の点と中心からの距離を表してみましょう。
(中心との距離)\(=\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}\)・・・①

そして半径は\(r\)・・・②です。
これは先ほど確認した通りです。

円周上のある一点と中心との間の距離は半径に一致するので、(中心との距離)=(半径)です。
これを使うと、①=②です。

ということで、
\[\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}=r\]

ルートが邪魔なので両辺を2乗します。
以上で、\[(x-a)^2+(y-b)^2=r^2\]という先ほどの公式が出てきました。

(中心との距離)=(半径)がわかっていれば100%できる証明です。
距離が同じということから方程式をつくるテクニックは結構使えるので覚えていても良いのかもしれません。

円の方程式の求め方をパターン別に解説

どんな問題であっても、問題文にある条件を公式に代入することで求められます。
では、そのパターンを例題とともに3つ確認してみましょう!

まず、確認しておきたいのは円に関する情報の種類についてです。
円の情報は中心半径円上の点の3つがあります。

これをもとに円の方程式を求める条件の組み合わせを作ることができます。

  • 中心と半径が分かっている
  • 中心と円上の1点が分かっている
  • 円上の3点が分かっている

のどれかのパターンに分類できます。

それぞれの場合について、円の方程式の求め方を、例題を用いて解説します!

円の方程式|①中心と半径

例題

半径が\(3\)、中心が\((1,2)\)の円の方程式を求めよ。

例題の解答・解説

①の場合は簡単で、先ほどの円の方程式の公式\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)に問題にある値を正しく代入するだけです。

ということで、\(a=1,b=2,r=3\)を代入して、
\((x-1)^2+(y-2)^2=3^2\)

よって、\[\style{ color:red; }{ (x-1)^2+(y-2)^2=9 }\]が答えです。

①の場合は、このように代入するだけで答えが出てしまい簡単なため、ほとんど問題になることはありません。
しかし基礎中の基礎ですので、しっかりと確認しておきましょう!

円の方程式|②中心と円上の1点

例題

中心が\((1,2)\)で点\((5,5)\)を通る円の方程式を求めよ。

例題の解答・解説

これはパターン①を少し応用したものです。

円の方程式の公式\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)のうち、\(a=1,b=2\)はわかっていますが、\(r\)がわかっていませんよね。

この場合、着目するのは中心と円周上のある点との距離が円の半径と等しくなるということです。
つまり、公式の証明の部分で確認した(中心との距離)\(=r\)を使います。

(中心との距離)\(^2=(1-5)^2+(2-5)^2=(-4)^2+(-3)^2=16+9=25(=r^2)\)
です。

2点\(A(x_1,y_1)\)、\(B(x_2,y_2\)の距離\(d\)は\[d=\sqrt{(x_1-x_2)^2+(y_1-y_2)^2}\]が成り立ちます。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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ということで、\(r^2=25\)であることがわかりました。

あとはパターン①と同様に、\(a=1,b=2,r^2=25\)を代入して\[\style{ color:red; }{ (x-1)^2+(y-2)^2=25 }\]が答えとなります。

パターン②は1回計算を挟んで答えを出す問題でした。
ここでは、2点間の距離を出す公式を知っている必要があります。

円の方程式|③円上の3点

例題

3点\((1,2)\)、\((4,-1)\)、\((-2,-1)\)を通る円の方程式を求めよ。

例題の解答・解説

円の方程式を求める問題で最も出題されやすいパターンです。
この場合は特殊な形の公式\(x^2+ax+y^2+by+c=0\)に値を代入して求めたほうが早いです。

もちろん\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)に代入して求めてもOKです。

どのようにしてやるかというと、3元一次方程式で解きます。
なぜこのやり方になるかというと、\(a,b,c\)というわからない文字3つに対して、円が3点\((1,2)\)、\((4,-1)\)、\((-2,-1)\)を通ると条件を3つ提示してくれています。

この3つの条件を使って方程式を3つ作ることができるので、綺麗に解けるということなのです。
少し説明がややこしいので、よくわからなかったという人はこちらを見てください。

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では具体的に計算に入っていきましょう!

まず、この円は点\((1,2)\)を通るので、\(x=1,y=2\)を\(x^2+ax+y^2+by+c=0\)に代入して、\[1^2+a×1+2^2+b×2+c=0\] 整理すると\[a+2b+c=-5・・・(1)\]となります。

また、この円は点\((4,-1)\)も通るので、\(x=4,y=-1\)を代入して、
\[4^2+a×4+(-1)^2+b×(-1)+c=0\] 整理すると\[4a-b+c=-17・・・(2)\]となります。

さらにこの円は点\((-2,-1)\)も通るので、\(x=-2,y=-1\)を代入して、
\[(-2)^2+a×(-2)+(-1)^2+b×(-1)+c=0\] 整理すると\[-2a-b+c=-5・・・(1)\]となります。

あとは\((1)〜(3)\)を3つの連立方程式として解くだけです。
3つの連立方程式を解くのは面倒ですが、簡単に2つの連立方程式に変えることができます。

その方法とは、(1)、(2)のそれぞれの式から(3)の式を引くことです

\((1)-(3)\)を計算すると、
円の方程式
より、\(3a+3b=0・・・(4)\)

(2)-(3)を計算すると、
円の方程式
より、\(6a=-12・・・(5)\)

(4)と(5)の連立方程式になりました。
\[\left\{
\begin{array}{l}
3a + 3b = 0・・・(4) \\
6a = -12・・・(5)
\end{array}
\right.\]

あとはこれを解くだけ。

連立方程式の解き方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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\((5)\)より\(a=-2\)
これを\((4)\)に代入して\(-6+3b=0\)、よって\(b=2\)
さらにこれらを\((1)\)に代入して\(c=-7\)

もとの方程式\(x^2+ax+y^2+by+c=0\)にこれを入れて、\[\style{ color:red; }{ x^2-2x+y^2+2y-7=0 }\]が答えとなります。
なお、いつもの形に直した場合は、\((x-1)^2+(y+1)^2=9\)です。

いかがだったでしょうか?
円の方程式を求める3パターンをご紹介しました。

円の方程式の練習問題

それでは練習問題を解いて確認してみましょう。

問題

2点\((-2,-2),(2,-2)\)と原点を通る円の方程式を求めなさい。

問題の解答・解説

前ページのパターン③に該当する問題です。
したがって、特殊な形の公式(\(x^2+ax+y^2+by+c=0\))に値を代入していきます。

まず、この円は点\((-2,2)\)を通るので、\(x=-2,y=-2\)を代入して、
\[(-2)^2+a×(-2)+(-2)^2+b×(-2)+c=0\] 整理すると\[-2a-2b+c=-8・・・(1)\]となります。

また、この円は点\((2,-2)\)も通るので、\(x=2,y=-2\)を代入して、
\[2^2+a×2+(-2)^2+b×(-2)+c=0\] 整理すると\[2a-2b+c=-8・・・(2)\]となります。

さらにこの円は原点\((0,0)\)も通るので、\(x=0,y=0\)を代入して、
\[0^2+a×0+0^2+b×0+c=0\] 整理すると\[c=0・・・(3)\]となります。

\((3)\)の\(c=0\)を\((1),(2)\)に代入すると、連立方程式が出ます。
\[\left\{
\begin{array}{l}
-2a – 2b = 0 \\
2a-2b = -8
\end{array}
\right.\]

この連立方程式を解けば\[a=2,b=2\]が出てきます。

\(x^2+ax+y^2+by+c=0\)に求めた\(a=2,b=2,c=0\)の値を入れれば、求める円の方程式は
\[\style{ color:red; }{ x^2+2x+y^2+2y=0 }\] と分かりました。

円の方程式の求め方・公式|まとめ

いかがでしたか?

今回は円の方程式を扱いましたが、数Ⅲで出てくる「楕円」や「双曲線」の方程式を求める際にもこの解き方が使えます。
ぜひパターンを覚えた上で、たくさんの問題で実践してみてくださいね!

それではー




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