『三角関数に関する知識をフル活用!』2018年大阪大学の数学入試問題に学ぶ「三角関数」

はじめに

こんにちは。今回は大阪大学の三角関数の問題を扱います。

この問題は三角関数の典型的な問題であって、 三角関数に関する様々な知識が盛り込まれているため、 三角関数に関する全般的な知識と解法の定石を確認できます。

定石の解法で解けるからこそ、少しのミスが命取りになります。文字がこんがらがると上手く解答できません。丁寧な議論を心がけましょう。

2018年大阪大学の「三角関数」の問題を解いてみよう!

2018年大阪大学文系第1問

関数 \(f(t)=(\sin{t}-\cos{t})\sin{2t}\) を考える。

(1) \(x=\sin{t}-\cos{t}\)とおくとき、 \(f(t)\)を\(x\)を用いて表せ。
(2) \(t\)が\(0≦t≦\pi\)の範囲を動くとき、 \(f(t)\)の最大値と最小値を求めよ。

2018年大阪大学文系第1問 (1) 解答・解説

加法定理(\(2\)倍角の公式)や\(\sin^2{\theta}+\cos^2{\theta}=1\)という基本的な公式が頭に入っていればすんなりと解けるはずです。

基本的な部分でつまづきがある人は基礎知識をきちんと確認しておきましょう。

\(\sin^2{\theta}+\cos^2{\theta}=1、 \sin{2\theta}=2\sin{\theta}\cos{\theta}\)なので、

\(\begin{align}
x^2&=\sin^2{t}+\cos^2{t}-2\sin{t}\cos{t}\\
&=1-2\sin{t}\cos{t}\\
&=1-\sin{2t}\\
\end{align}\)

\(∴\sin2{t}=1-x^2\)

\(\begin{align}
f(t)&=(\sin{t}-\cos{t})\sin{2t}\\
&=x(1-x^2)\\
&=-x^3+x\\
\end{align}\)

\(\style{color:red;}{∴f(t)=-x^3+x}\)

この問題がわからなかった人はこちらの記事をチェックしましょう!

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2018年大阪大学文系第1問 (2) 解答・解説

\(t\)が与えられた範囲を動くとき、 \(x\)の取りうる範囲を考えるという定石の作業で答えを出すことができますよね。

その際に、 自分が今どの変数を扱っているか混乱しないようにしましょう。

\(
x=\sin{t}-\cos{t}\\
=\sqrt{1^2+1^2}\left\{\sin{t}×\biggr( \frac{1}{\sqrt{1^2+1^2}}\biggr )-\cos{t}×\biggr( \frac{1}{\sqrt{1^2+1^2}}\biggr)\right \}\\
=\sqrt{2}\left\{\sin{t}×\biggr(\frac{1}{\sqrt{2}}\biggr)-\cos{t}×\biggr(\frac{1}{\sqrt{2}}\biggr)\right \}\\
=\sqrt{2}\sin{\left(t-\frac{\pi}{4}\right)}\\
\)

※三角関数の合成の参考図

\(∴-1≦x≦\sqrt{2}\)

(1)より、 \(f(t)=-x^3+x\)であり、 これを\(g(x)\)とおく。

\(g'(x)=-3x^2+1\)なので、\(g'(x)=0\)となる\(x\)は、\(x=±\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}}\)

増減表を書くと、

\[\begin{array}{c|ccccc} x & -1 & \cdots & -\displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}} & \cdots & \displaystyle \frac{1}{\sqrt{3}} & \cdots & \sqrt{2} & \\ \hline g’(x) && – & 0 & + & 0 & -& \\ \hline g(x) & g(-1) & \searrow & 極小 & \nearrow & 極大 & \searrow & g(\sqrt{2})\end{array}\]

 
よって、 \(f(t)=-x^3+x\)は下のようなグラフになる。

上の図より、 \(g(x)\)は\(x=\sqrt{2}\)で最小値、 \(x=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)で最大値をとることがわかる。

最小値:
\(\begin{align}
g(\sqrt{2})&=-(\sqrt{2})^3+(\sqrt{2})\\
&=-2\sqrt{2}+\sqrt{2}\\
&=-\sqrt{2}\\
\end{align}\)

最大値:
\(\begin{align}
g\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)&=-\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)^3+\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)\\
&=-\frac{1}{3\sqrt{3}}+\frac{1}{\sqrt{3}}\\
&=\frac{2}{3\sqrt{3}}\\
\end{align}\)

\(
\style{color:red;}{
∴最小値:-\sqrt{2}、 最大値:\displaystyle\frac{2}{3\sqrt{3}}
}
\)

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おわりに

いかがだったでしょうか?

今回の問題は、大阪大学にしてはえらく基本的な問題だったと思います。ただやはり要求されてくるのが、「正確な計算力」でしょう。

(2)は焦っていると、ついつい文字がぐちゃぐちゃになってまうように作られていると思われます。

このような問題で失点をせずに確実に得点できるように常日頃から計算力をつけていきましょう。

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