はじめに
三角関数のグラフは多くの受験生に軽視されがちな分野ですが、実は間違えやすいポイントが多く対策が必要な分野です。
今回は三角関数のグラフの描き方や平行移動の仕方について、初めての人でもわかりやすいように丁寧に解説します。
また、三角関数のグラフを描けるようになることで、三角関数を視覚的に理解できるようになるのでぜひマスターしましょう。
目次
三角関数のグラフの書き方【基本編】
まずは基本的なsinθ、cosθ、tanθのグラフを描いていきましょう。
三角関数のグラフの書き方:y=sinθのグラフ
まずは、y=sinθのグラフから確認しましょう。
y=sinθ の値は、下の表のようになります。
したがってグラフは下の図のようになります。
まずはグラフの見方を説明します。このグラフはy軸とθ軸のグラフです。
x軸ではないので注意しましょう。
θの値が変動するにつれてどういう動きを取るかがグラフに図示されています。
\(\sin(\frac{π}{2})=1,\sin(\frac{3π}{2})=-1\)などがグラフに描かれていることがわかりますね。
\(\sin(\frac{π}{2})=\sin(\frac{5π}{2})\)となっているようにこのグラフは同じ形の繰り返しになっていますよね。
2πで動径が一回転するので、sinθ=sin(θ+2π)が常に成り立ちます。
つまり、2πごとに同じ値をとります。
このような性質を持つ関数を周期関数といい、2πを周期というので覚えておきましょう。
三角関数のグラフの書き方:y=cosθのグラフ
次に、y=cosθのグラフから確認しましょう。
y=sinθ の値は、下の表のようになります。
したがってグラフは下の図のようになります。
\(\cos(\frac{π}{2})=0,\cosπ=-1\)などがグラフに描かれていることがわかりますね。
このy=cosθのグラフも2πを周期とする周期関数になっていますね。
三角関数のグラフの書き方:y=tanθのグラフ
tanθのグラフは特徴的な形をしているので最初はとっつきにくいかもしれませんが、少しずつ理解していきましょう。
このグラフをtanθの性質から考えて覚えましょう。
tanθは直線の傾きなのでtan0=0はいいですよね。
ここからθが\(\frac{π}{2}\)に近づくにつれてtanθの値は大きくなっていきます。
そして\(θ=\frac{π}{2}\)のときはtanθは定義されません。(正確にはnは整数で\(θ=\frac{π}{2}+nπ\)のとき)
なぜなら\(\tanθ=\frac{\sinθ}{\cosθ}\)であるので、cosθが0のときは定義できないからです。
tanθは、直線\(θ=\frac{π}{2}+nπ\)に限りなく近づいていきます。
この限りになく近づいている線を、漸近線というので覚えておきましょう。
またy=tanθのグラフで注意する点は周期が2πではなく、πである点です。
sinθやcosθのグラフと一緒にしないように注意しましょう。
三角関数のグラフの特徴
\(\sin(-θ)=sinθ,cos(-θ)=cosθ,tan(-θ)=-tanθ\)より、それぞれのグラフについて以下のことが成り立ちます。
三角関数のグラフの特徴①:y=sinθ, y=tanθのグラフは原点対称
三角関数のグラフの特徴②:y=cosθのグラフはy軸対称
三角関数の性質で学習したことがグラフでも確認できましたね。
三角関数の性質を復習したい人は以下の記事を参考にしてくださいね。丁寧に解説しています。
三角関数のグラフの書き方【応用編】
以上のグラフはどれも基本的な形でした。
これから説明するのは試験で問われやすい形のグラフについてです。
それぞれ、周期がどう変化するかについて着目しましょう。
三角関数のグラフの書き方:y=asinθのグラフ
\(y=a\sinθ\)のグラフは比較的簡単です。
元のグラフがy軸方向にa倍されます。
周期はそのまま2πで変わりません。
三角関数のグラフの書き方:y=sin(kθ)のグラフ
次に、\(y=\sin(kθ)\)のグラフを考えます。
このグラフは先ほどの\(y=a\sinθ\)と比べて間違えやすいの注意しましょう。
元のグラフがθ軸方向に\(\frac{1}{k}\)倍されます。
周期は\(\frac{2π}{k}\)に変わります。
θをk倍しているのに\(\frac{1}{k}\)倍されることに違和感を持つ人もいるのではないでしょうか。
具体的にk=2のときで考えてみましょう。
θが0から2πに変化する間に、2θは0から4πまで動きます。
つまり、sinθの1周期分がsin2θの2周期分に相当するのです。
θがk倍されている分、早く1周するためθ軸方向に\(\frac{1}{k}\)倍、周期も\(\frac{1}{k}\)倍されるのです。
よってグラフは以下のようになります。
三角関数のグラフの書き方:y=sin(θ-p)のグラフ
最後に\(y=\sin(θ-p)\)のグラフについて解説します。
このグラフは元のグラフがθ軸方向にpだけ平行移動します。
周期は変わらず2πのままです
注意するポイントとしては、平行移動するのが-pではなくpである点です。
例えば、\(y=\sin(θ+\frac{3}{π})\)のグラフだとθ軸方向に\(\frac{π}{3}\)だけ移動させたくなりますが、正解は\(-\frac{π}{3}\)です。符号が反対になるため間違えやすいです。
紛らわしくならないように\(θ-p=0\)などの具体的な値を代入してグラフがどのように動くのか把握しましょう。
グラフは以下のようになります。
三角関数のグラフの書き方【実践編】
問題
\(y=4\cos(3θ-\frac{2π}{3})\)
の周期を求めよ
解説
今回学習した要素が詰め込まれていますが、周期に関わるのはθの係数の3のみです。
それ以外の要素はy軸方向の拡大や、θ軸へ平行移動するにすぎません。
また、kθのときの周期は
\(\frac{2π}{k}\)
よって答えは以下になります。
\(\frac{2π}{3}・・・(答)\)
おわりに
三角関数のグラフといえばグラフを描くだけではありません。
意外に間違えやすいポイントが多く含まれているため要注意分野なのです。
また、最難関大の問題になると自分でグラフを描いて考えなければわからないような問題も出題されます。
三角関数のグラフを描けるようにして、三角関数をマスターしていきましょう。
三角関数については以下の記事もあわせて確認してくださいね!