はじめに
文系の皆さん、受験ではどの社会科目で勝負するか決まっていますか?
実は、科目によっては志望する大学が受験できなかったり、負担が他の科目よりも大きくなることもあるんです。
そこでこの記事では、後悔しないための社会科目選択に役立つ情報を紹介します!
目次
文系の主な大学で求められる社会科目
共通テストの社会には、以下の10科目があります。
地理歴史 | 日本史A、日本史B、世界史A、世界史B、地理A、地理B |
公民 | 現代社会、倫理、政治経済、倫理・政治経済 |
文系の場合はこの中から2科目を選択して受験することが多いですね。
ただし、大学ごとにどの科目を受験しなければならないか定められているので注意が必要です。
例えば東京大学の文系を受験する場合、共通テストでは日本史B、世界史B、地理B、倫理・政治経済のうち2科目を選択しなければなりません。
共通テストだけでなく、大学ごとの個別試験でも社会科目の受験が必要になる場合があります。
以下に主な大学の個別試験で求められる社会科目をあげています。
- 東京大学:日本史B、世界史B、地理Bのうち2科目
- 京都大学:日本史B、世界史B、地理Bのうち1科目
- 一橋大学:日本史B、世界史B、地理Bのうち1科目
- 筑波大学(人文学類):日本史B、世界史B、地理B、倫理のうち1科目
他にも、北海道大学や早稲田大学のように、社会科目と数学のどちらかを選択するという大学もあります。
社会選択での各科目の特徴
それでは、各科目について簡単に特徴を紹介します。
※文系の場合、倫理、政治経済、現代社会は受験できる大学が限られるのでここでは割愛します。
【社会選択①】日本史
一言でいうと、重箱の隅をつつかれます。
教科書の枠外の注釈、資料集に載っている絵など、細かい知識が問われます。
また、年代整序問題では3〜4年しか変わらないようなものが出題されることもあります。
他にも、写真や地図、グラフといった資料を用いた問題が頻出です。
そのため、有名な美術作品などは見ただけで作品名・作者が言えるようになる必要があります。
学習時は常に手元に資料集で確認する癖をつけておくとよいでしょうね。
暗記量は多いですが、思考力が必要な問題はあまり出題されないので、頭に一度全て入れてしまえば安定して得点できる科目です。
【社会選択②】世界史
日本史と比較すると、世界史ではあまり細かい知識まで問われることはありません。
例えば年代整序問題では、50年〜100年といった比較的大きな年代幅で出題されます。
では何が難しいのかというと、とにかく扱う地域が広いこと。世界中でばらばらに起こっている出来事を満遍なく理解する必要があります。
入試では、「アフリカ史」や「東南アジア史」のように特定の地域の歴史を扱った問題や、「8世紀の世界」のようにある時代の世界情勢を問うような問題が出題されることが多いです。
また、各国の位置など地理的な認識が必要な地図問題も頻出で、差がつきやすいポイントとなっています。
センター試験の平均点を見てみると、世界史は日本史、地理と比べて高く、また基本的にどの大学の入試でも使えるので、どれでもいいと思ったらとりあえず世界史を選択しておけば間違いありません。
【社会選択③】地理
身近な地域・日本の諸地域も含んだ世界各地について、各分野からバランス良く問われます。
知識(用語や地名)そのものを問うことは少なく、地図や写真、統計など各種資料の読み取りと関連付けた問題が多くなっています。
そのため、社会科目の中では最も思考力が必要な教科と言えます。
一般常識的なことも問われるので、勉強量が少なくともある程度は得点できますが安定して高得点を取るのは難しいです。
受験できない私大が多いこと、日本史、世界史に比べ参考書が少ないことは難点と言えます。
【社会選択④】倫理・政治経済
「倫理・政治経済」では「倫理」と「政治・経済」の2科目を学ぶ必要があるので大変に思えますが、実際は両方合わせても世界史や日本史の教科書1冊程度ですので、格別に負担が重いということはありません。
倫理分野は、源流思想、西洋近現代思想、日本の思想、現代社会の倫理、青年期の課題と自己形成の5つの領域からバランスよく問われています。
政治・経済分野についても、政治と経済がほぼ同比率で問われているので、未学習の範囲を作らないようにする必要があります。
他の科目に比べて事項の理解が簡単(特に政経分野)なので、短期間で完成できます。
ただし、倫理・政治経済では受験できない大学も多いので、自分の志望大学がまだ決まっていないのであれば避けるのが無難です。
各科目の負担の実際のトコロ
山川出版社の用語集に掲載されている用語数を比較すると以下の通りです。
科目名 | 掲載用語数 |
---|---|
世界史 | 5400 |
日本史 | 10700 |
地理 | 3700 |
政経 | 3100 |
倫理 | 3000 |
驚いた方も多いのではないでしょうか?
日本史の用語数は圧倒的です。
政治(3100)+倫理(3000)の用語数も比になりません。
もちろん、共通テスト対策で全て覚えなければならない、ということはありませんが早稲田や慶應の個別試験では全て覚える必要があります。
また東大・京大・一橋レベルの論述による二次試験では、単に用語を暗記するだけでなく、事項の「因果関係」や「時系列的な前後関係」も頭に入れなければなりません。
倫理政経を二次試験で課す大学は少なく、因果関係などが複雑でないことも考慮すると、科目別の負担は日本史>世界史>地理>倫理・政治経済といえます。
センター試験受験者数・平均点推移
受験者数・平均点の推移(本試験)平成29年度センター試験以降
出典:独立行政法人 大学入試センターまず受験者数から見ていきましょう。
小学校から触れる機会が多いことから親しみがあるのか、日本史Bの受験者が多いですね。
地理Bの受験者も多いですが、これは理系の受験生が用語の暗記に時間をかけたくないからと日本史や世界史を避ける傾向があるからでしょう。
公民については現代社会が一番多いですね。
常識的な問題も出題されるため、必要な勉強量が少ないと思われているからでしょうか。
次は、平均点を見てみましょう。
年度によってばらつきはあるものの、科目ごとに大きな違いは見られません。
もし、科目ごとの問題の難易度の差があまりに開いてしまった場合は大学入試センターによって「得点調整」が行なわれます。
おわりに
科目選択の時点ではしっかり志望校が決まっている人は少ないですよね。
であればできるだけ受験できる大学の幅を狭めないようにすることが一番重要で、それに各科目の負担を考慮すると、おすすめは世界史≧日本史>地理>倫理・政治経済です。
2科目選択するならば、世界史と倫理・政治経済の組み合わせが良いでしょう。
ほとんどの大学を受験できるうえ、負担もそこまで大きくありません。
ただし、もし二次試験で地歴から2科目が必要な東大の受験を考えているのであれば、世界史+地理がもっとも無難と言えます。
というのも、東大の二次試験の日本史は特殊で、私大も受験を考えていると勉強すべきポイントが少し違ってくるからです。
世界史と地理は地名や植民地に関する部分などが共通しているので相性がいいですよ。
東大の世界史・地理受験を考えている方は以下の記事もチェックしてみてください。