はじめに
東大世界史は、他の大学とは違ったユニークな問題がたくさん出ます。
単純な一問一答から600字の大論述まで、まさに世界史の知識を総動員かのような試験です。
そんな東大の世界史ですが勉強したての頃であれば、600字など書けるはずがないなどと思いがちです。その時点の知識だけでは到底600字も書ける内容がないからです。
しかし、しっかりと教科書の知識を抑え大論述の書き方のコツを覚えれば、世界史を安定して得点できる科目へと変えることは実は簡単にできてしまうのです。
今回はそんな東大世界史について、基礎からちょっとしたコツまで全てをお伝えしていきます。世界史選択で東大受験を考えている人は必見です!
目次
東大世界史の概要(大問別配点、目安となるおすすめの時間配分)
ここでは、東大世界史という試験が一体どんな試験なのかということを様々な角度で説明していきたいと思います。
【東大世界史】出題形式、試験時間
まず、東大世界史ではどんな問題が出題されるのかについて解説していきます。
東大世界史は、大問数は3つです。これまで3つで変化していませんが、今後も常に3つであるとは限らないので、注意してください。
出題範囲ですが、世界史Bの教科書プラスαくらいと考えておいてください。
よく教科書だけで十分だと主張する人がいるのですが、普通に教科書に載ってない用語が出てくることがあるので、プラスαとしておきました。
試験時間は社会全体で150分なため、とりあえず単純計算で約75分と考えていただいて大丈夫です。
とりあえず約75分といったのは、別に丁寧に75分ずつに分ける必要がなくて、例えば世界史65分・地理80分・見直し5分といったアレンジが可能だからです。
これについてはあとで詳しく説明したいと思います!
現在大問数が4つの日本史ですが、かなり昔は大問数が3つだったことをご存知でしょうか。
そうです。悲惨だったのは、その大問数が切り替わる年に受験生だった人たちです。
まさか大問数が4つになっているなんて思わずに、最初の3つだけ解いた人が続出したそうです。
時間があまりに余ることに違和感を覚えたもののそのままにしてしまった人は、試験が終わって大問数が4つになっていたことを知り、その場で泣き出した人もいたそうです。
そのような惨劇がいつ世界史でも起こるかわかりません。大問数が3つ以上ないかについては、試験が始まった段階でチェックしておいてもいいかもしれませんね。
ちなみに世界史65分・地理80分・見直し5分は私なりの東大社会の解き方です。
これについてものちのち触れたいと思います!
【東大世界史】出題の傾向、特徴、配点
次にそれぞれの大問の出題の傾向について、また各大問の配点について確認していきましょう。
なお、今回紹介する各大問の配点について東大からの正式発表はされたものではなく、各予備校のデータを用いた推測値であることに注意してください。
東大の社会の試験は、試験時間150分、配点120点の試験です。
つまり、世界史1科目については、試験時間75分、配点60点ということになります。
大問数が3つで配点が60点ということなので、1つあたり20点だと思われるかもしれませんが、これについては大手予備校でも意見が分かれています。
大手の予備校の間でも、第1問から第3問まで26・24・10という説(論述重視説)と、20・20・20(全部均等説)という説に分かれており、実際に真相は謎です。
ですが得点開示と比較する限り、後者の20・20・20で採点したほうがより現実的なため、この記事では20・20・20の説を採用しています。
さて東大世界史の特徴ですが、解答用紙や問題の問い方に注意してください。
東大の社会の解答用紙は、1行30字の原稿用紙のようになっており、問題では「〜について2行以内で説明せよ」といった聞き方をしてきます。
- 東大社会の解答用紙
この際は60字(30字×2行)で解答する問題だ、と自分で言い換えるようにしてください。
また、◯行「以内」だからといって、極端に少ない字数で解答してはいけません。解答は指定された字数の80%以上書くようにしてください。
最後に解答用紙の使い方については、意外に行数に余裕がないので実際に自学で解く過去問や模試の際に慣れておくようにしてください。例えば問題ごとに1行開けて解答すると、最後の方の問題が入らなくなり消して書き直す、ということになっては時間の大幅なロスになってしまいます。
- 出題形式・傾向
問題番号 | 問題の種類 | 出題形式・傾向 |
第1問 | 大論述 | あるテーマ(ex.女性の地位、冷戦期の政治状況、帝国の成り立ち)について指定語句を8つほど与え、20行(600字)で論述させる問題。時代設定も古代から現代と幅広く、予測は難しい。指定語句から自分の知識を総動員して、いかに1つの物語を紡ぎ出すかが高得点の鍵。(配点:20点) |
第2問 | 中論述 | あるテーマ(ex.宗教、国家の政策、少数集団の発展)に関連するトピックを、小問ごとに一問一答もしくは1〜4行の中程度の論述で答えさせる問題。問題数は年によってまちまちだが、合計で12行ほどで論述させる。(配点:20点) |
第3問 | 一問一答 | あるテーマ(ex.文化、宗教、民衆、戦争)に関連する用語を一問一答の短答式で答えさせる問題。時に1行で答える問題もあるが、一問一答が原則で、10問出題される。(配点:20点) |
【東大世界史】合格するための目標点、合格者平均点とは?
大論述という非常に重たい問題もある世界史ですが、実際何点取る必要があるのでしょうか?
まずは合格者の平均点の推移によると、合格者平均はおおよそ30点台後半から40点台前半の間で毎年推移しています。
合格者平均なので、どうしても高い点数になってしまいますが、世界史で点数を稼ごうと思っていない人であれば、これほど高い点数を取る必要はありません。
下に目標点数をまとめてみましたので、参考にしてください。
世界史の得意不得意 | 目標点数 |
得意 | 45点〜 |
普通 | 40点〜 |
苦手 | 30点〜 |
少し説明をしておきます。
まず世界史が得意だという人は、満点は難しいですが45点以上、はたまた50点以上を狙ってもいいのではないでしょうか。現に世界史で50点以上とって合格した東大生は意外とたくさんいます。
次に得意でも不得意でもないという人は、合格者平均の40点あたりを目指して勉強しましょう。40点も取れれば合格がうんと近づきます。
最後に苦手だという人は、まずは半分を目指しましょう。半分取ることができれば及第点です。その点数の取り方についてはこれから詳しく説明します!
筆者は本番の点数が36点でしたし、私の周りにも半分程度の点数で合格した人はたくさんいます。むしろ、合格者の多くがそうなのではないかと思うくらいです。
目標が低すぎるのはいいことではありませんが、自分の経験上「まずは半分から」というのはあながち間違っていないと思います。
また、模試で点数が全く取れないという人は安心してください。私もそうでした。
私自身、模試で半分を超えたことは数回あるかないかです。
模試では、先ほどお話しした各大問の配点の違いや、採点の厳しさ・クセなど色々な要素で点数が低く出てしまいがちです。
ここだけの話、東大の採点は結構甘めな感じがするので、模試で壊滅的な点数が出たとしても本番ではまずそんなことは起こりにくいと信じて、模試については復習だけ徹底してやれば大丈夫ですよ!
【東大世界史】おすすめの解く順番
ここでは東大世界史を効率よく解くための順番について紹介します!
それはズバリ、第1問(大論述)→第3問(一問一答)→第2問(中論述)→第1問(大論述)です。
この順番で解くポイントをまとめてみます。
ポイント①:まず大論述をチラ見しておく
解く順番として1番はじめが大論述となってはいますが、実はここでは解答はしません。
ここでは大論述でどんなトピックが問われているか、どんなことを書くかなどのことを他の問題を解いているときにでも考えられるように、まず問題をチラ見しておくのです。
頭の中で、どんな構成で論述するのかやどんな人物や出来事を論述に登場させるかなどをなんとなくイメージしておくのです。
なぜこれをしておくといいのかというと、大論述の構成や中身についてはそのことだけしか考えていなかったとしても、どうしても考えるのに時間がかかってしまうからです。
ですので、他の問題を解いているときに「ついでに」考えておくことで、いざ最後に大論述を書くとなったときに、時間をかけずに案外サッと書き始めることができます。
もちろん体感的にであって、実際にはそれほど違いはないのかもしれません。
しかし、最初にボス的存在である大論述の内容を確認しておくのは、その難易度によってその後の時間の調節なども考えることもできるため、決してやっておいて損ではないと思います。
ポイント②:なるべく負担の少ない大問から解く
東大の社会の試験は1科目だけではありません。
世界史の他に、地理や日本史も150分という枠の中で解き切る必要があります。
つまり、世界史だけで完全燃焼していては合格には程遠くて、世界史で点数を取るために全力を注ぐ一方で、しっかりとエネルギーを節約することも意識しておかないといけません。
誰しもいきなり大論述から解答を始めれば、疲れ果ててしまうのは当然です。600字を頭を使いながら、しかも手で書くわけですから。
そこでなるべく疲労を抑えるために、まずは一問一答や中論述という大論述に比べれば取り組みやすい問題たちを先に解くことで、大論述に腰を据えて取り組むためのウォーミングアップをしておきましょう。
ポイント③:大論述は最後に決着をつける
これはポイント①、②に若干かぶるかもしれませんが、大論述は最後に解答しましょう。
これには2つ大きなメリットがあると考えています。
- 大論述を書き終わった後の開放感
- 得点の稼げるところから最初に解いておく
大論述を書き終わった後に、まだ中論述や一問一答の解答が残っている状態は、やはり精神的に辛いものがあります。大論述を書き終わった達成感は1番大きいですからね。
せっかく大論述を頑張って書いたのに、まだ終わりではないなんて……と絶望することだってあるかもしれません。
そこで大論述は最後に書くことによって、600字書ききった達成感と世界史の解答を終えた開放感を同時に味わうことができます。
実際、大論述は努力の割には点数がそれほど取れません。
こればっかりは仕方ありません。誰にとっても難しいですからね。
一方で、一問一答は正解と不正解が明確であり、しかもそこまで難しいことが問われることはありません。教科書レベルがほとんどで十分満点を狙えます。かつ、配点が大論述と同じなのです。
つまり、第3問の一問一答がほぼ確実に点数の稼げる問題、第1問の大論述は点数がそれほど稼げるかどうかわからない問題ということになります。
ということは、仮にこの第3問を最初に解いて20点(満点)を確保できたと確信することができれば、例えば目標点を40点にしているとすると、残りの大論述と中論述であと20点取ればいいということになります。
これは気持ち的にすごく楽なのではないでしょうか?
「もう自分はすでに20点は取っているのだから、別に論述はそこまで完璧にこだわる必要もない」と思いながら論述を書くことができるのです。
一方で、例えば1番最初に大論述から書き始めると、「目標の40点のうち、この大論述でどれくらい点数を取れるだろう……」と不安が常に頭にある状態で解答することになります。
本番において、精神的に落ち着いていられるというのは大きなアドバンテージです。
この意味でも、大論述は最後に持ってきた方がいいのです。
【東大世界史】おすすめの時間配分は?
解く順番がわかったところで、それをどのくらいの時間で解いていけばいいのでしょうか?
ここではそんなおすすめの時間配分をご紹介します!
なお、先ほどおすすめの解く順番の部分で紹介した1番最初の第1問はチラ見なので、時間は0とみなします。実際には問題文を読むので、3分はかかるとは思いますが……
こちらも単刀直入に言ってしまうと、一問一答(5〜10分)→中論述(20〜25分)→大論述(30分)(→見直し)で、全体として60〜65分がおすすめです。
こちらについてもポイントをまとめてみました!
ポイント①:一問一答は時間をかけずにサクッと片付ける
先ほども触れましたが、第3問の一問一答は論述問題が出ない限り、正解か不正解かのどちらかです。
つまり知識として知っているか知らないかのいずれかなのであり、ここで悩んでいては単に時間の無駄です。他にもっと時間をかけるべき問題たちが待ち構えているのですからね。
一問一答は、たとえわからない問題があったとしても、勇気を持って飛ばしましょう。全て解き終わって、改めて取り組むこともできます。
一問一答に関してはとにかく時間をかけないこと、これに尽きます。
ポイント②:世界史はトータルで65分ほどに抑える
世界史は、実を言うと地理や日本史よりも分量としては少ない方です。
筆者は地理選択なので、日本史については詳しくわかりませんが、少なくとも地理は分量がかなり多く75分で解き終わったことがありませんでした。
そのため、地理に80〜85分ほど時間を使いたかったため、世界史の解答時間を60〜65分に調節していました。
もちろん科目による得意不得意によってここの時間配分は変わってきますが、世界史は訓練すればそれなりに時短することが可能です。
一方地理に限っての話かもしれませんが、地理は物理的に75分では終わらない感覚でした。
世界史に比べて問題が小分けにされているので、問題文をより多くを読んで考えたり地理特有のグラフを見たりする必要があり、必然的に時間を取られていたんだと思います。
そのため世界史はなるべく早く、そして最初に解くようにしていました。
時間配分は参考でしかないので、2つある科目のうちどちらを先に解くべきか、どちらをどれくらいの時間で解くかなどということについては、自分なりに考えるようにしてください。
ただ、筆者のおすすめとしては「世界史は最初に解いて、60〜65分くらいで片付ける」なので、模試などで社会が試験時間内に終わらないという人は試してみて欲しいです!
ポイント③:見直しの時間は必ず確保しておく
見直しについては絶対にして欲しいのですが、注意点がいくつかあります。
- 2科目とも終わってからまとめてやる
- 内容の大幅な直しはしない
- 見直しの時間は5分ほどで十分
1科目ずつ終わるごとに見直しするのは効率が悪いので、2科目とも解答が終わった時点で見直しをするようにしてください。
したがって、もし最初に世界史を解答したのであれば、もう一方の科目が終わったら見直しということです(見直しの部分に(カッコ)がついていたのはそのためです)。
2科目合計で約3000字もある自分の答案を短い時間で直すのは不可能です。
ここでの見直しとは、採点者が答案をきちんと読めるかどうかの確認です。
つまり、接続詞はおかしくないか、誤字脱字はないか、字が潰れて読みにくいところはないかなどです。
ここで行う見直しでは、内容面というよりは形式面をサッとチェックする感じだと考えておいてください。
②でお伝えしたようにここでの見直しとは形式面でのチェックという意味なので、見直しにかける時間は5分もあれば十分です。
残りの145分はできるだけ多くの点数を稼げるように、論述の構成や内容を考えてしっかりと書く時間に使ってください。
【東大世界史】現役東大生おすすめの勉強法~参考書一覧~
ここまでは入試の対策について述べてきたわけですが、実際に何を使って勉強すればいいのかについてはまだ説明していません。
ここでは、筆者が高校生の時に使っていた参考書の中でもおすすめできるものを演習編、参考資料編に分けてご紹介します!
使い方も併せて参照してみてくださいね。
東大世界史勉強法:論述演習編
論述演習編基礎:段階式世界史論述のトレーニング
この参考書は、筆者が初めて論述問題に取り組んだ際に使用した参考書です。論述問題にチャレンジするための最初の参考書としてはかなり優秀な1冊です。
この参考書では、100字未満の論述から、600字近い論述まで幅広く収録されています。もちろん問題は全て入試問題そのままか改題です。
使用していた時期は、高2の冬から高3の春にかけてです。
また使い方については結構特殊で、筆者は教科書を使いながら論述を書いていました。
なぜこのような使い方をするのかというと、論述問題に取り組んだことがないと、論述に必要な知識量が圧倒的に少ないのはもちろんのこと、その知識をどのようにうまく使って論述を組み立てるのかがわかっていないのです。
そんな状態で、真っ向から論述を始めてもさっぱりわからないことなんて当たり前であり、この場合教科書をフル活用してまずは解答要素の組み立て方から学ぶことが必要です。
世界史の論述は組み立て方さえわかってしまえば、あとはひたすら知識を増やしていくだけなので、まずはこの参考書で組み立て方を習得するよう意識しましょう。
教科書を使って論述をとりあえず書いてみて、自分が論述に使った要素が模範解答に入っているか、それが正しく使われているかどうかを解答解説のページでチェックしましょう。
論述演習応用編:東大の世界史25カ年
東大世界史の演習において最良の問題は、やはり過去問でしょう。
筆者は、高3の夏からこの参考書を使いました。
過去問からどんな問題が出題されやすいかなどを分析することは、とても大切です。
過去問の使い方については、この後の過去問の取り扱いについてのところで詳しく紹介するので、そちらも合わせて参照してください!
教科書を読んでも、なかなか知識が頭に入って来ないという人も多いのではないでしょうか?
そんな方におすすめしたいのが、過去問で実際に出題された問題からひたすら知識を吸収していく逆算式暗記法です。
私は教科書だとどうしても文章なので、どこに重要な情報があるかがわかりづらく、結果としてなんとなく覚えたという状態で止まってしまっていました。
一方で、過去問で出題された問題を覚えていけば、そこで覚えていく知識に決して無駄がありませんし、入試のレベルも同時に把握することができます。
私は、教科書で知識を習得することがどうしてもできなかったので、過去問で実際に出た問題をいきなり解いて、その出題テーマが書かれてある部分だけを逐一教科書で確認するといった方法を取っていました。
この過去問から逆算して覚える方法は、暗記が苦手な人にかなりおすすめです!
東大世界史勉強法:単語暗記編
世界史用語集
まず言っておくと、過去問に取り組み始めると同時に、この用語集は絶対に持っておいて欲しいです。
例えば一問一答では、教科書に載っていない用語がときどき問われますし、大論述でも指定語句に教科書にはないワードがあることがあります。
このようなときには、この用語集はとても役立ちます。なぜなら高校世界史で出てくる用語は100%載っているからです。
筆者は入試まで世界史の勉強におけるあらゆるシーンで使っていましたが、調べたい用語がなくて困ったことは一度もありませんでした。
しかも、全ての用語に解説がついているので、それがそのまま論述に使えることもありました。
過去問演習をする際は、『25カ年』と教科書とこの用語集の3セットがあれば穴のない完璧な演習をすることができます。
世界史B一問一答完全版
この参考書も東大受験者には絶対に持ってて欲しい1冊です。
筆者はセンターで出る用語の確認として、高3の12月に購入したのですがもっと早く買っていればと後悔しました。
なぜかというと、そもそも量が多すぎて1ヶ月で終わらせることに無理があったということも挙げられますが(そのため1日120題くらいこなしていました)、二次試験にもこの一問一答が大変有効だったからです。
使い方はひたすら問題に答えていくだけですが、大切なのは覚えるまでやるということです。答えられなかった問題については付箋をつけて、いつでも確認できるようにしましょう。
そして、問題に答えるだけではなく、その問題文を覚えることも意識していました。
意外と設問文がそのまま記述に使えるということが多く、使えそうな問題文にも付箋をつけて覚えていました。これが二次試験にもこの一問一答が大変有効だった所以です。
また、問題文で「記述問題であればこれも要素として追加したい」ということがあれば、それについては書き込んでいました。
このようにしてこの一問一答を世界で1つだけの最強の参考書にして、入試が終わるまで使いました。
筆者のおすすめは、早い段階で(遅くても論述演習を開始する時期までに)この参考書を購入し、論述演習をする中で習得した知識をこの一問一答の該当するところにどんどん書き込んで、この参考書を自分のための最強の参考書に仕立てることです。
最後に注意点ですが、この参考書には私立向けのマニアックな用語も結構出てきますが、これについては独断で排除してください。
排除の目安ですが、この参考書では頻出度を星の数で表しており、その星が3つのものは大抵排除対象です。
過去問演習で見かけたことのない用語は、豪快に排除して大丈夫です。
【東大世界史】過去問の取り扱いについて
次は、過去問の取り扱いについてお話しします。
使う教材は、『東大の世界史25カ年』です。
筆者の場合、高3の夏でも知識量がそれほどなかったので、まずは一問一答25年分を1ヶ月ほどで終わらせました。
知らない用語は解説だけでなく教科書や用語集を確認し、徹底的に出題済みの用語については潰していきました。
これが終わったら、次は中論述をひたすら潰していきます。
ここでも教科書・用語集を使っても構いません。ごくわずかな知識でもって大したことのない論述を書いて、せっかくの過去問を無駄にするよりも、教科書・用語集を使いながら論述に取り組むことで、自分の知らなかったことを調べるきっかけにして欲しいのです。
「教科書の丸コピで、全く自分でやっている感じがしない」と私も感じつつ取り組んでいましたが、それが最終的に入試で自分の力で書くための準備になっていたので、是非とも積極的に教科書などを使いながら論述を書いて欲しいです。
また、論述に関しては積極的に添削に出しましょう。
『25カ年』の解答解説はもちろん参考にするべきですが、やはり無数にある及第点が取れる解答の1つでしかありません。
つまり、模範解答とはいえども満点解答であるかと言われると疑問が残り、少なくとも言えることは合格点に届く解答でしかないということです。そのようなものに絶対的に依存するのはいいことではありません。
そのため先生に添削に出したり友達と一緒に解いたりして、いろいろな人の解答を参考にするといいでしょう。
同じ1つの問題でもたくさん解答に盛り込みたい(けど多すぎて全部は盛り込めない)要素があり、その中でどれを実際に解答に含めるかということについては、十人十色です。
どんな要素を入れるとより良い解答になるかということについて、日々身近な同じ志を持った人々を議論しておくと、自分の解答もより洗練されてくると思います。
大論述は中論述があらかた終わったら少しずつ始めるくらいで大丈夫です。
一問一答→中論述→大論述という感じに、徐々に字数を増やしていきましょう。
このようにして、入試本番まで論述演習を行いましょう。
模試の過去問にも積極的に取り組んで、とにかく知識量を増やすことを意識してください。
世界史をはじめとする社会科目は、国数英に比べどうしても対策が後回しになってしまいがちです。
別にそれ自体悪いことではありませんが、できるだけ国数英を早めに完成させておき、少なくとも高3の夏からは本格的に社会の対策ができるようにしておくべきです。
なぜなら、東大文系で落ちてしまう人の原因の1つとして「社会の未完成」ということが挙げられるからです。
国数英を完成させるのに時間がかかりすぎて、社会まで手が回らないというパターンを避けるためのデットラインとして、高3の夏が1つの目安だと考えています。
私も、高3の夏まで世界史に関しては全く記述はおろか短答式の問題にも解答できないほどの知識不足でしたが、夏休みが明けてひたすらに過去問を使って知識を習得し、演習を繰り返した結果、入試本番にギリギリ間に合ったという感じです。
社会科目の勉強の開始時期については、事前によく考えておくようにしておきましょう。
東大世界史の勉強法・対策法まとめ
さて、最後に東大世界史を解く上で注意することをまとめました。
繰り返しがほとんどですが、今一度まとめたので参考にしてくださいね。
大論述は初めと結びを強くインパクトを
大論述は、東大世界史でとても大きな問題ですので、巷にはこれについての色々な憶測が飛び交っています。
「採点官は文章の流れをざっと見ているだけだから、文章的におかしくなければ問題ない」と主張する人もいれば、「指定語句をいかに正確に理解し文章中で使えているかだけを見ている」と主張する人もいます。
どちらの説が正しいかという話をここでするつもりはありません。
ですが、少なくとも600字というそこそこ長い文章を書くわけなので、歴史的事実を並べただけのような読みにくい文章を書くことは推奨できません。
採点官は人間なので、初めから終わりまで筋の通った文章を読みたいはずです。
つまり、読んでで心地の良い、負担の少ない文章を我々は書く必要があるのです。
そして普通、人は起承転結の起と結はしっかりと読む傾向にあります。
したがって、この起と結に力を入れないわけにはいきません。
この意味で、初めと結びにインパクトを持たせて、採点官にアピールするような文章を書くことが、高得点の秘訣の1つだと考えています。
インパクトを持たせる方法はたくさんありますが、筆者が実践していたのは初めであれば問題の対象となっている時代になるまでの背景を手短に述べ、結びでは、問題対象となっている時代よりも先について軽くまとめるという方法でした。
例えば、初めの部分は「(対象となっている)世紀までは、〇〇という事情から〇〇という勢力が優勢であった」のようにして導入部分を書きます。
終わりであれば、「しかし、(対象となっている)世紀の終わりには、〇〇のため〇〇という勢力が力を持ち始め、もとあった〇〇は次第に衰退していった」といったような締めで文章を自然に終えます。
これは、もちろん問題の対象外の時代に起きたことについて書いてあるので配点はないと思いますが、読み手の採点官が自分の書いた論述という物語にスムーズに入り、そして抜け出すことができるように思います。
しかもこの方法を使えば、ほぼイントロやアウトロでどんな風に書くかということについていちいち悩む必要がなくなります。
まとめると、大論述はある意味1つの物語を叙述するような問題であって、歴史的事実をただ並べて自分の知識の多さを自慢する問題ではないので、しっかりと「文章」、さらには「物語」として成り立っている必要があります。
そのための1つの方法として、初めと結びにインパクトを持たせるという方法があるということです。
どうしても事実だけが先行して、文章としてうまくかけないという人は実践してみるといいのではないでしょうか?
歴史誤認は必ず避ける
ここでいう歴史誤認というのは、例えば「宗教改革が17世紀の出来事であった(正しくは16世紀)」のようなうる覚えによる年号のミス、統治国のミス、人物のミスなどのことです。
主に大論述について言えることですが、無理して間違ったことを書かないようにしてください。
特に大論述では、文章の構成や流れ、どんなことを書くのかなどなど、全て受験者のあなたに委ねられています。
何を書くのも自由なのに、曖昧な知識で間違っているかもしれないことを書くのはあまりにもリスクが大きいです。
「あれこうだったっけ?」というような曖昧な知識は書かずに、自分が間違っていないと確信できることについてだけ書くようにしてください。
なぜこれを書くなと強く主張したいかというと、歴史の誤認は減点される可能性があるからです。
それが採点要素でない限り、それを書かなければ周りの受験生よりも不利な状況にはなりません。つまり加点も減点もされません。
しかし、間違ったことを書いてしまうと全体から-1点の減点になる可能性が否定できません。
±0と-1点は大きな違いです。とにかく減点を避けるためにも無理をしないことが大切です。
指定語句への下線は絶対に忘れないこと!
これはいうまでもないと思いますが、下線を忘れるとせっかく得点になる部分に点数がつかない可能性があります。
これにもたくさんの説があって、下線部忘れは単に1点減点で済むという主張もあれば、その問題全部が0点になるという主張もあります。
筆者としては、下線忘れによる0点の可能性を考慮して絶対に忘れないように常に意識することを強くおすすめします。
見直しの際は、指定語句に下線をきちんと引いているかを確認すると間違いないと思います。
最後に
いかがだったでしょうか?
今回は東大世界史の全容とその対策についてお話ししました。
冒頭でも言いましたが、東大の世界史は大論述というインパクトがありすぎる問題が存在するため、はじめは「こんなのできっこない!」と思いがちです。
しかし、過去問演習を繰り返し書き方を習得していくと、みんな600字を書くことを当たり前だと思うようになり、中には中論述の方が難しいと言い始める人がいるほどです。
つまり、対策をすれば大論述も難しくはないのです。もちろん書くのが大変ではありますが……。
私事ながら東大の世界史の過去問演習を通じて、世界史が少し好きになった気がしています(暗記は当時も今も嫌いですが)。
ぜひ600字の前で怖気付くことなく真っ向から取り組み、その恐怖を克服し世界史を少しでも楽しく学習してもらえればと思います!
東大の他の社会科目についても詳しく解説しているので、あわせてご覧くださいね。
この記事では、「世界史嫌い、暗記も嫌い」という人がどんな風に世界史で点数を取るようになっていったか、について主にお話できればなと思っています。
よって巷によくある勉強法とは少し違うかもしれませんが、参考になれば嬉しいです!