はじめに:現代文の文章を速読するためのトレーニング法を紹介!
突然ですが、みなさんは現代文の試験で文章を読むのに時間がかかって困った経験ってありませんか?
大学入試では短い時間で長い評論・小説(4000字〜5000字)を読み、設問に答えなければなりませんから、文章を速読する技術は必要不可欠ですよね。
そこでこの記事では、文章を読むスピードが遅い人が速読できるようになるために行うべきトレーニングを紹介します!
現代文が苦手な人も得意な人にも有益な記事になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
現代文の文章を速読するために必要な能力
現代文で文章を速読するためのトレーニングを紹介する前に、速読の前提になる能力について整理しておきましょう。
速読するための能力とは、ずばり「論理的な文章に慣れている」という能力です。
人間、慣れていることには素早く対処できます。初めての場所に行くときよりも、通い慣れた場所に行くときの方が同じ距離でも速く到着できますよね。
文章も同じです。文章に慣れれば慣れる分だけ、どんどん速く読めるようになります。
では文章に慣れるにはどうすればいいのでしょうか。
文章に慣れる実用的な方法として、「読んで慣れる」という方法があります(他に「書いて慣れる」・「聞いて慣れる」・「話して慣れる」という方法もあるのですが、難易度が高いためここでは省略します)。
「読んで慣れる」とは、文章をインプットする訓練を行うということですです。
この記事では、文章をインプットする訓練として「要約」を取り上げて紹介します。
すぐにできる訓練なので、この記事を読み終わったらぜひ実践してみてくださいね。
現代文の文章を速読するためのトレーニング:要約
要約が現代文の文章の速読に必要な理由
要約についての説明の中で、「文章をインプットする(読む)訓練に、なんで要約が必要なの?普通に文章を読むだけじゃダメなの?」と思った人もいるかもしれません。
そんな人はぜひ、「読む」という行為と「見る」という行為の違いについて考えてください。
文章を「見る」のは目的がなくてもできます。ただボーッと本を眺めればいいのですから。
これに対して文章を「読む」行為には明確な目的があります。文章を読むのは、その文章の内容を理解するためですよね。
文章の内容を理解するためには、最低限「文章のテーマ」・「結論」・「根拠」がわかっていなければなりません。
逆に、文章のテーマ・結論・根拠の3つをつかめば、文章の内容を最低限理解したことになります。
この「文章のテーマ・結論・根拠を掴む」という行為こそ、文章の要約に他なりません。
ですから、要約は文章をインプットする(読む)訓練に必要不可欠と言えるわけです。
現代文の文章の要約:評論
要約の意義を理解できたところで、要約の具体的な方法について紹介しましょう。以下で紹介する方法を使って評論や小説を要約してみてくださいね。
まずは評論からです。
文章の要約は、「文章のテーマ」・「結論」・「根拠」の3つの要素から成り立っていましたよね。評論の場合も基本は同じです。
評論の文章の中から、この3つの要素を取り出せばいいのです。
というわけで、1つずつ見つけ出していきましょう!
評論における文章のテーマの見つけ方
評論における文章のテーマの見つけ方は簡単です。タイトルを見ればいいのです。
例えば、「翻訳をめぐる7つの実践的な断章」というタイトルなら、「翻訳」が文章のテーマであると判断できますね。
「タイトルだけでは不安……。」と感じる人は、文章を読んでみて、テーマとなる単語が頻繁に登場することを確認してみるといいでしょう。
評論における文章の結論の見つけ方
文章のテーマを見つけられたら、次は結論を見つけましょう。
結論の見つけ方も、テーマの見つけ方と同じく簡単です。最終段落を見ればいいのです。
大抵の場合、最終段落の最後の文、もしくは最後から二番目の文(最後の文が、あまり意味のない「オチ」になる場合がある)に筆者の主張=結論があります。
ちなみに現代文の評論の場合、結論の部分に傍線部を引いて意味を問う問題がよく出題されます。
ですから現代文で文章を読むときには、最終段落に引いてある傍線部が結論であると判断してもいいでしょう。
評論における根拠の見つけ方
テーマと結論が見つかったら結論の根拠を探すステップに入るのですが、文章の結論部分の根拠を探し慣れていない場合は、現代文の文章を要約の素材にしてみてください。
他の2つと違って、根拠を探すのは容易ではありません。根拠のある場所が文章によって違うので、初めのうちはどこを探せばいいかわからないからです。
しかし現代文の文章には、結論の根拠となる重要な部分に傍線部が引かれてあります。
ですから、傍線部を抜き出すor傍線部をわかりやすく言い換えることができれば、根拠を的確に抜き出せます。
現代文の文章から根拠を抜き出すのに慣れてきたら、今度は普通の文章から根拠を抜き出す練習をしましょう。
その際、現代文の問題の出題者になったつもりで、傍線部を引く場所を探すと根拠を見つけやすくなります。ぜひお試しあれ!
評論における要約のまとめ方
評論のテーマ・結論・結論の根拠がわかったら、それらを結合すれば要約の完成です。
具体的には、「(テーマ)について、筆者は〜と結論づけている。その理由は〜である」というテンプレートに従うと上手く要約できます。
5000字程度の文章を10分で要約できるようになれば充分です。1日1つでもいいので、コツコツ練習してくださいね。
現代文の文章の要約:小説
評論に続いて、小説の要約の仕方を紹介します。評論より少し難易度が高いかもしれませんが、少しずつ慣れていってくださいね!
小説における文章のテーマの見つけ方
小説におけるテーマの見つけ方はいろいろありますが、ここでは一番簡単な見つけ方として「誰の心情についての話なのか考える」という方法を紹介しましょう。
「誰の心情についての話なのか考える」とは、要するに主要な登場人物を整理するということです。
モノローグ(独白形式)なら基本的に一人でしょうし、ダイアローグ(対話形式)なら複数人いるはずです。
特に、心情が文章中で説明されている人に注目して、主要な登場人物を整理してください。心情が説明されているということは、その文章中で中心になる人物であるということですからね。
小説における文章の結論の見つけ方
さて、登場人物を整理できたら、小説の結論を見つけましょう。
小説の結論とは、主要な登場人物の最終的な心情のあり方のことです。
小説では、基本的に登場人物の心境の変化が語られています(もちろん最初から最後まで何も変わらない場合もありますが……)。
ですから、「最終的に登場人物はどのような心境になったか」ということが小説の結論になります。
しかし、いい小説は登場人物の心情をストレートに描くことはしません。多くの場合、心情は風景描写と一緒に描かれます。
当初は風景の描写が暗かった(例:「夜のような緑に囲まれている」)のに、最後に明るくなった(例:「緑がやけに青々とするようになった」)なら、心情が明るくなったと理解できますね。
このように、風景描写の変化から心情の変化を読み取り、最終的な登場人物の心情を理解することができます。お手持ちの小説で、ぜひ試してみてください!
小説における結論の根拠の見つけ方
最終的な登場人物の心情を理解できたら、その心情が生まれた根拠を見つけましょう。
小説において、心情の変化は出来事の変化(時間の変化)に対応しています。
ですから、小説を場面ごとに区切って、それぞれの場面における心情を整理して行けば、自ずと心情の変化を順序立てて追うことができますよね。
最終的な心情=結論に繋がるように心情の変化を整理できれば、その変化のプロセスが「結論(最終的な心情)の根拠」になります。
小説の場面分けは時間の変化を見ればわかるので、ぜひ場面に応じて心情の変化を整理してみてくださいね。
小説における要約のまとめ方
登場人物、最終的な心情、心情の変化を整理できたら、あとはそれらを繋げれば要約を完成させられます。
具体的には、「(登場人物)は、最初〜という状況で〜という気持ちを抱えていたが、〜という経験・出来事を経て〜という心境に至った」というテンプレートで要約するといいでしょう。
5000字程度の文章を10分で要約できるようになれば充分です。評論と同様、1日1つでもいいので、コツコツ練習してくださいね。
おわりに:現代文の文章を速読するためのトレーニングのまとめ
いかがでしたか?
この記事では、現代文の文章を速読するためのトレーニングとして、評論・小説の要約を紹介しました。
最後に、文章を要約するための3つのポイントをまとめておきます。
- 文章のテーマを見つける
- 文章の結論を見つける
- 結論の根拠を見つける
速読の技術は一朝一夕に向上するものではありません。毎日1つの文章で構わないので、この記事で紹介したテクニックを使って要約にチャレンジし、速読力を身につけてください。
1ヶ月くらい続ければ、文章をより的確に、より早く読めるようになっていることを実感できるはずです!
それではっ!