現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識20選

はじめに:現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識を紹介!

みなさん、現代文の小説を読むときに、単語の意味がわからなくて困った経験はありませんか?

意味のわからない単語があると、読むのは遅くなるし内容を理解しにくくなるし、語彙問題で出題されたら答えられないし、悪いことだらけですよね。

そこでこの記事では、一見して意味がわかりにくく、しかし知っていると小説を読むときに役に立つ語彙とその背景知識を20個まとめて紹介します!

小説の読解に自信がある人もそうでない人も、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識20選

現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識①:あ〜か行

一家言

「一家言(いっかげん)」とは、その人独自の主張や意見を指す言葉です。

「あの人は環境問題について一家言を持っている」という風に使われています。

「一家」というのは「1つの立場」を意味していますので、「家のようにどっしりとした基盤の上に成り立つ主張」とイメージすると覚えやすいですね。

いやしくも

「いやしくも」には、大きく分けて「仮にも」と「万一にも」という2つの意味があります。

多くの場合譲歩に用いられる表現で、「いやしくも学生ならば勉学に励まねばならない」などのように使われます。

漢文にも出てくる表現なので、覚えておくと非常に便利です!

慇懃

「慇懃(いんぎん)」とは、人に対する態度が丁寧で優しいことを指します。

単独で使われる場合はポジティブな意味になるのですが、「慇懃無礼」という四字熟語で使われる場合は「他人行儀でむしろ失礼な様」というネガティブな意味になるので要注意です。

「慇」も「懃」も「心」がついている漢字なので、「慇懃」とは心豊かな状態を指すと考えると覚えやすいですね。

面映い

「面映い(おもはゆい)」とは、「決まりが悪い・照れくさい」という意味の表現です。

自分の顔(面)にスポットライトが当てられて注目を浴びたら、なんとなく照れくさい気持ちになりますよね。

その恥ずかしい気持ちをイメージすると覚えやすくなる表現です!

扱き下ろす

「扱(こ)き下ろす」とは、人の欠点などを取り上げて悪く言うことです。

人の評価を「下ろす」というイメージを持つと覚えやすいですね。

好事家

「好事家(こうずか)」とは、物好きな人を表す表現です。

中国語で「物好き」を「好事」と言うことに由来する表現だと言われています。

よく時代劇で、物好きな客に対して店主が「アンタも好きねぇ」と言うシーンがありますよね。

あの「好き」のニュアンスをイメージすると「好事家」の意味を思い出しやすくなりますよ!

毫も

「毫も(ごうも)」とは、「わずかも、少しも」という意味です。

「毫」という漢字が「細い毛」という意味を持っていることに由来する表現です。

「毫」という漢字の中に「毛」が入っているので、「毛ほどの小ささ」をイメージすると覚えやすいですね。

現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識②:さ〜た行

忸怩

「忸怩(じくじ)」は、「自分の行為に対して深く恥じる」という意味を持つ表現です。

企業の謝罪会見の場などでは「忸怩たる思いで胸がいっぱいです」というように使われています。

「忸怩」の「怩」は「泥」に似ていますよね。泥にまみれて恥ずかしくなっている様子を思い浮かべれば、「忸怩」の意味を思い出せるはずです。

ぜひ泥にまみれた気持ちをイメージしてみてくださいね。

桎梏

「桎梏(しっこく)」とは、「自由が束縛されている状態」を指す表現です。

「〇〇が桎梏となる」や「〇〇の桎梏から逃れる」などのようにして用いられています。

「桎梏」の「桎」は「足かせ」、「梏」は「手かせ」の意味で、両方合わせて身体の自由を縛る拘束具を意味しているわけです。

手かせと足かせで自分が縛られているのを想像しながら覚えてくださいね。

上気する

「上気(じょうき)する」とは、頭に血が上って興奮することを指します。

「上気」は「気」が「上がる」と書くので、気持ちがグングン高まるイメージで覚えるといいですね。

善後策

「善後策(ぜんごさく)」とは、「後始末をうまくつけるための方策」という意味です。よく「前後策」と書き間違えられるので、気をつけましょう。

善後策の「善後」とは「お後が善(よ)ろしい」という意味です。落とし前をきっちりつける、ということですね。

「善後」という漢字の意味が分かれば、自ずと「善後策」の意味も思い出せるはずです。きちんと漢字の意味を理解しましょう。

憑物が落ちたよう

「憑物(つきもの)が落ちたよう」とは、その人に取り憑いていた悪いものが祓われること、転じてその人らしさを取り戻すことを指します。

「憑物」=「悪霊」に取り憑かれてうなされていた人が、霊が去って急に明るくなった様子をイメージすると覚えやすいですね。

訥弁

「訥弁(とつべん)」とは、「言葉がどもったりつっかえたりしてうまく喋れていない状態」を指す表現です。

訥弁の「訥」は「能」(「できる」の意味)の対義語で、「何かができないこと」を指します。この場合、「弁=喋りができない」という意味になりますね。

「善後策」と同様、漢字が分かれば自ずと覚えられる表現なので、わからない場合はしっかり漢字の意味を理解するようにしましょう。

頓死

「頓死(とんし)」とは「急に死ぬこと」を意味する表現です。

「頓」に「急」という意味があることを知っていれば、漢字から意味を類推できる表現ですね。

ちなみに、将棋用語としての「頓死」は「最善手を指せば自玉が詰まない優勢な状況で、ミスをして逆に自玉を詰められること」という独特な意味を持っています。

将棋を題材にした小説なら、将棋用語として「頓死」が出てくることもあるので、ぜひ注意して読んでみてくださいね。

現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識③:な行〜

就中

「就中(なかんずく)」は、「とりわけ・中でも特に」という意味の熟語です。

漢文の表現である「就中」を訓読みした形になっているので、少し奇妙な読み方になっていますね。

しかし意味を覚えるのは簡単で、「中」という漢字から「中でも」という意味をイメージすれば自然と「就中」の意味を連想できます。

読み方の難しさに惑わされないようにしましょう。

鼻白む

「鼻白む(はなじろむ)」の意味は、「気後れする」と「興醒めする」の2つがあります。

状況が急に悪くなったときに、鼻の頭がサーっと白くなることに由来する表現です。絶望的な場面になったときの表情をイメージしながら覚えましょう。

鼻持ちならない

「鼻持ちならない」とは、人の言動・態度が嫌味で我慢できない様子を指す表現です。

「鼻を持てない」=「思わず鼻を塞いでしまうほどイヤな感じ」と考えると、我慢できないほどの嫌味をイメージしやすくなります。

ぜひ鼻をつまみながら覚えてみてくださいね。

畢竟

「畢竟(ひっきょう)」とは「結局、最後」を指す表現です。

「畢」も「竟」も、もともとはサンスクリット語(仏教の教えを記したインドの古代言語)に由来する単語で、どちらも「最後」という意味を持っています。

「竟」は、「境」を連想すると「最後」という意味をイメージしやすくなると思うので、「畢竟」を見たら「竟」から意味を思い出してくださいね。

無聊

「無聊(ぶりょう)」とは、退屈で時間を持て余している様子を意味する表現です。「むりょう」とも読みます。

無聊の「聊」は「少しも」という意味なので、「少しも無い」という意味であることがわかりますね。

しばしば「無聊を託つ(ぶりょうをかこつ)」(何もすることがなくて退屈である)という慣用句の中で使われるので、こちらも合わせて覚えておきましょう。

吝嗇

「吝嗇(りんしょく)」とは、ケチで物惜しみする様子のことを指す表現です。

似た意味の熟語として「倹約」がありますが、倹約は「無駄を省く」というポジティブな意味なのに対して、吝嗇はもっぱらネガティブな意味で用いられます。

吝嗇の意味は、漢字の字面から覚えるのがオススメです。「吝」も「嗇」も、なんとなく眉間にシワが寄っている人の顔に似ていませんか?

眉間にシワを寄せて月々の家計の計算をしている人を想像すると、「吝嗇」の意味を自然に覚えられます。ぜひお試しあれ。

おわりに:現代文(小説)を読む上で役立つ語彙・背景知識のまとめ

いかがでしたか?

この記事では、現代文の小説を読む際に役に立つ語彙とその背景知識を20個選んで紹介しました。

現代文の最も基本的な力は語彙力ですので、語彙力を増強すれば現代文を読む力を効率的に伸ばせます。

少しずつ、確実に知っている語彙を増やしていってくださいね。

それでは!!

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