はじめに
「現代文のセンスがない」と悩んでいる受験生は多いのではないでしょうか。
正しい読み方さえ知れば、現代文は理屈で解くことができるようになります。
現代文が特に難しいとされる早稲田大学法学部に現役で合格した筆者が、現代文読解の基礎知識を解説します。
目次
多くの人が誤解している「現代文」について
「現代文にはセンスが必要」という嘘
現代文が苦手な人ほど「勉強法がない」、しまいには「人の心が分からない(笑)」と言いがちですよね。
現代文に必要なのは「センス」ではなく「論理」です。
感覚で解くのではなく、ひたすら論理で詰めていく読解が必要だといえます。
現代文は、特に理系の受験生が苦手としがちですが、論理が重要だという点でむしろ理系こそ向いている科目かもしれないですね。
つまり、最初に言いたいことは、現代文に論理的な勉強法が存在するということです!
そもそも、勉強法がない科目が受験科目になるわけがありません。
正しい読解法で演習量を積めれば、確実に成績は伸びます。しかし正しい読解法を知って実践している人が少ないため、「現代文にはセンスが必要」という嘘がまかり通っているのかもしれませんね。
この記事を最後まで読んで、その正しい読解法をぜひ理解してください。
評論文と小説文は違う科目
まず前提として、評論文と小説文を同じように読んではいけません。何となく好きなように読んでいるだけではダメです。
その理由を共通テストの他の科目で考えてみましょう。
例えば共通テスト日本史Bの試験は、大問ごとに古代・中世・近世・近現代の範囲を出題します。
つまり、それぞれの大問は、それぞれ違った意図で出題されていることがわかりますね。
国語の試験でも同じことがいえます。
大問1が論理的な文章(評論文)で大問2が文学的な文章(小説文)です。
つまり評論文と小説文は、そもそもの出題意図が違うといえます。
古典のなかに古文と漢文があるように、同じ現代文でも、評論文と小説文はそもそも違った問題であることを、まずは認識しましょう。
次に、現代文を読んでいるときの「視点」を考えてみましょう。
評論文を客観で、小説文を主観で読んでいる受験生が圧倒的に多いと感じますが、この読み方では点数が乱高下しやすいです。
その理由と、ではどうすれば点数が安定するのかについて、以下より解説します。
「評論文は主観で、小説文は客観で読む」
評論文を主観で読むためのイメージの変え方
評論文は、自分が筆者に代わってプレゼンをするつもりで読むようにしましょう。
評論文とは筆者の主張を理解するための文章です。
だからこそ、筆者の立場で読むことが最も大切なのです。
普段物語を読んでいるとき、物語の主人公になったつもりで読むという人は多いと思います。
あのイメージです。評論文の筆者になったつもりで読んでみましょう。「脳内で講義を聞くイメージ」になってはいけません。
では、どうすれば筆者を憑依させることができるのでしょうか。
自分自身が講堂のステージにでも立って、聴衆に語りかけているようなイメージで、読んでみてください。
自分自身が講師として、講話をしているようなイメージです。
一言一句咀嚼し、語りかけるように読みましょう。
少なくとも、「筆者の主張をとりあえず読む(聞く)」という前提認識から脱却するだけでかなり違うはずです。
受動的に講話を聞いているイメージから、能動的に講話をしているイメージへの転向は大きく、自然にこのイメージで読めるようになれば、大きく偏差値も上がることでしょう。
小説文を客観で読むためのイメージの変え方
小説文で意識してほしいのは一つだけです。
それは、自分が物語の主人公になってはいけないということです。
小説文とは、いわば他者の気持ちを理解するための文章ですよね。
だからこそ、あえて「冷めた気持ち」で読まなくてはいけないのです。なぜでしょうか。
他者の気持ちに寄り添うことは、他者と自分自身を同化させることではありません。
自分が物語の主人公になったつもりで読んでしまうと、誰しも、自身の経験や背景知識の範囲内で、物語をとらえてしまう傾向があります。
例えば、主人公が「泣いている」状況を、自分の経験の範囲内で「うれし泣き」だとか「悲し泣き」だとか解釈してしまうことが間違いの原因です。
もちろん問題文の状況をすべて自分の経験で理解できる人はいませんから、問題によって成績が不安定になりやすいのです。
小説文は原則、書いてあること以外、無理な推測をしてはいけません。特に三人称視点の小説なら、尚更そういえます。
では、具体的にどうすれば、小説文を客観的に読むことができるでしょうか。
よく三人称視点を「神の視点」と形容することがある通り、まさしく天から見下ろしているような読み方がふさわしいでしょう。
小説を普段通りに読んでいると、主人公の目・主人公の視点と自分自身が重なってしまうことがありますね。
それはつまり、主人公になりかわっている読みということです。それが本来の読書の面白みでもあるわけですが、試験中にやるべきではないでしょう。
状況を俯瞰しているイメージ、例えるならば「テレビドラマでも見ているようなイメージ」で読んでみてください。
イメージを体得するための参考演習量
初めてこれらの読解法を聞いた方は、今すぐ実践しようとしてもうまくできないですよね。やはり試験で活かすためには、演習が必要です。
その時に、一度読んだ文章を何度も読んだり問題を復習したりする人が多いですが、新しい文章に対して上記の正しい読解法を実践し、経験を積むことのほうが重要です。
何度も新しい文章に対して演習を積むことで、少しずつ前述のイメージも体得できるでしょう。
私の場合、学校から配布されている現代文の課題等を、評論文と小説文の違いを意識しながら、ほぼ毎日交互に解くようにしていました。
この読み方で結果が出たな、と感じるまでには半年以上かかりましたが、高1の頃最も苦手な科目だった現代文が、最終的に受験期には最も得意で安定する教科になりました。
みなさんも是非この読み方を継続してみてください。
おわりに
現代文を苦手とする受験生は多いですが、基本となる読み方をしっかりと理解できれば、点数は確実にあがります。
現代文の読解力は、共通テスト時代の今こそ重要なスキルです。
現代文の点数が安定すると、他の科目の問題文も正しく理解できるようになります。
すると共通テストの合計点が乱高下しなくなるため、志望校が決めやすくなるなど、様々なメリットがもたらされるはずです。
この記事が、現代文の偏差値に伸び悩むすべての受験生の手助けとなりますように。