はじめに:現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙を徹底解説!
評論文 日本語なのに 意味不明
現代文の評論を読んでいるときに言葉の意味がわからなすぎて、ついこんな一句を詠んでしまったことはありませんか?
どれだけ高い読解力を持っていたとしても、文章中の単語の意味がわからなかったらどうしようもないですよね。
そこでこの記事では、現代文の評論を読む上で必要な語彙の意味や背景知識と、意味がわからない単語に出会ったときの対処法を紹介します!
わからない単語が減れば、自ずと読むスピードも速くなるので、ぜひこの記事で紹介する語彙・背景知識をマスターしてくださいね。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ①:演繹と帰納
演繹と帰納は、物事の推論の2つのやり方です。少し難しいので、具体例とともに解説しますね。
まずは演繹(えんえき)からです。
例えば、「人間は死ぬ」は普遍的な法則です。この法則に、「太郎は人間である」という事実が加わると、「太郎は人間であり、人間は死ぬ。ゆえに太郎は死ぬ。」という推論ができますよね。
このように、普遍的な法則から具体的な事実を推論するやり方を「演繹」といいます。
帰納(きのう)はその逆で、具体的な事実から普遍的な法則を推論するやり方のことです。
具体例を挙げましょう。ある村人が、1月1日に「1月1日、太陽が東から昇って西に沈んだ」という事実を確認したとします。
村人は、その日以降も同様に「太陽が東から昇って西に沈んだ」という事実を確認し続けました。
その結果、1月1日から12月31日まで、「◯月×日、太陽が東から昇って西に沈んだ」という事実を延べ365個集めることができました。
365回も同じ事実が確認されたのだから、「太陽が東から昇って西に沈む」という事実は普遍的な法則として十分認められる。
このように、具体的な事実を集めてきて普遍的な法則を導くのが「帰納」です。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ②:直観と分析
「直観」と「分析」は対になる概念なので、まとめて覚えましょう。こちらも具体例を使いながら説明していきます。
リンゴが目の前にあるとします。このリンゴを見たあなたは、リンゴの本質を「なんとなく」理解できたとしましょう。
この「なんとなく」の理解、つまり推論を一切せずに認識対象の本質を知ることを「直観」といいます。対象の本質を「直」接「観」るというわけですね。
一方、「分析」はもっと理性的な認識を指します。
リンゴを目の前にしたとき、リンゴの色合いや形からそのリンゴの本質を見極めるのが「分析」です。
この説明が難しく感じる人は、私たちが意識的に行っている認識の多くは「分析」で、無意識下での認識が「直観」と考えてもいいでしょう。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ③:逆説・皮肉・矛盾
「逆説」と「皮肉」と「矛盾」は、それぞれなんとなく意味はわかるけれど、違いを説明するのが難しい単語なのではないでしょうか。
実はそれぞれ微妙に違う意味を持っているので、順番に説明していきます。
まず「逆説」とは、一見間違っているように見えて実は正しいことを指します。
例えば「自分の利益を最大にしようとしたら、他人の利益を考えねばならない」という主張は、文章中に主張の正しさが説明されていれば逆説になりますね。
「矛盾」とは、相容れない2つの主張が同時に存在していることを指します。
例えば「カラスは白く、かつ黒い」という主張は明確に矛盾ですね。白と黒は共存不可能な性質だからです。
また「皮肉」とは、ある言葉を本来の意味とは別の意味で使うことを意味します。
高校の先生が、授業中に騒いでいる生徒に向かって「随分元気ですね。何かいいことでもあったんですか?」と笑顔で尋ねるとき、この先生の言葉には皮肉が込められています。
先生は「元気」という言葉の中に「うるさい」という意味を織り交ぜているはずだからです(恐怖)。
以上のように、逆説・矛盾・皮肉という言葉にはそれぞれ異なった意味があります。注意して覚えるようにしましょう。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ④:主観と客観
主観と客観はかなり出題頻度が高い単語なので、知らなければ今すぐに覚えてください。
主観とは、「主体」=自分が認識するもの、あるいは自分の認識の仕方を意味します。
今、私の頭の中には今夜作りたい料理が浮かんでいますが、この「作りたい料理の姿」は主観的なものです。
これに対して客観は、主体=自分とは関係なく存在するものや、自分の認識に依存しない普遍的な認識のことを指します。
例えば、「1 + 1 = 2」という真理は、私自身の認識(主観)とは関係なく存在しますよね。このような真理は客観的であると言えます。
簡単にまとめると、主観とは自分の頭の中のもので、客観とは自分には関係なく存在しているもののことを指します。
イメージだけでもいいので、しっかり覚えるようにしましょう。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ⑤:絶対と相対
「相対性理論」という言葉は聞き慣れていても、「相対的」という言葉の意味は知らない人も多いのではないでしょうか。
「相対」は「絶対」の対義語ですが、どちらも物事の価値判断に関わる単語です。
例えば、幅1メートルの木と2メートルの木が並んでいるとしますよね。
幅1メートルの木に対して「この木の幅は1メートルだ」と考えるのが絶対的判断です。「絶対」とは、比較基準を持たない判断のことをいいます。
これに対して、幅1メートルの木を「この木の幅は隣の木の幅に比べて狭い」と考えるのが相対的判断です。「絶対」とは違って、「相対」は比較基準を持つ判断のことを言うのです。
わかりにくい人は、なんらかの単位(メートルとか、グラムとか)で表される判断が絶対的判断で、単位を使わない判断が相対的判断であると考えても問題ありません。覚えやすい方法で覚えてくださいね。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ⑥:超自然
「自然」は知っていても「超自然」は知らない人が多いのではないでしょうか。
「超自然」とは、「自然にはあり得ない事象」のことで、霊的な現象・オカルト的な伝説のことを「超自然的」といいます。
間違っても「チョー自然」(めちゃくちゃ自然)と覚えないでください。意味が正反対になってしまいます……。
現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙まとめ⑦:具体と抽象
作文を書くときに、先生から「内容が抽象的すぎるからもっと具体的に」と言われたことのある人は多いと思いますが、そもそも「抽象」・「具体」とは何でしょうか?
「具体」と「抽象」は、それぞれの漢字の意味を考えれば自ずと理解できます。まずは「具体」から見ていきましょう。
「具体」の「具」は「つぶさ」と訓読みできます。「つぶさ」とは「より詳しく、丁寧に」という意味の言葉ですので、「具体」とは「体(ここでは広い意味で物事一般)を詳しく丁寧に見る」という意味になりますね。
続いて「抽象」に行きます。「抽象」の「抽」とは「引き抜く」という意味で、「象」は動物のゾウ以外に「形」という意味を持っています。
したがって、「抽象」とは「形を引き抜く」という意味になりますね。もっとわかりやすく言うと、「具体性をなくして曖昧なものにする」という意味になります。
「具体」も「抽象」も、漢字の意味から覚えると自然に理解できるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
補足:現代文・評論で意味がわからない語彙に出会ったときの対処法
以上、現代文の評論を読む上で知っておいて欲しい背景知識・語彙を紹介してきましたが、どれだけ知識を増やしてもやっぱり知らない単語・知識は出てくるものです。
評論を読んでいて、どうしてもわからない単語に出会って困ったときは、接続詞を見ながら対義語か類義語を探すようにしましょう。
例えば、平成31年度センター試験本試験の評論文の中に、以下のような一節があります。
「翻訳と言えども、日本語である以上は、日本語として自然なものでなくてはならない。いかにも翻訳調の『生硬』な日本語は、最近では評価されない。むしろ、いかに『こなれた』訳文にするかが、翻訳家の腕の見せ所になる」
(出典はこちら)
「生硬」という日本語は馴染みがないかもしれませんが、「むしろ」という接続詞があるので「こなれた」の対義語であることはわかるでしょう。
さらに、冒頭の一文に注目すれば、「こなれた」は「自然な」の類義語であることがわかります。
したがって、「生硬」は「自然」の反対、つまり「不自然」という意味になるのだろうな、という推測がつきます。
このように、わからない単語に出会ったときは、接続詞を利用して前後の文脈を捉え、意味を推測するようにしましょう。
おわりに:現代文・評論の背景知識・語彙のまとめ
いかがでしたか?
この記事では、現代文・評論を読む上で必要な背景知識・語彙を紹介しました。
知識を持っているかどうかで、文章の読み方はガラッと変わってくるので、ぜひ覚えてくださいね。
それでは!!