【3分で分かる】相加相乗平均の証明と大小関係、使い方まとめ

【3分で分かる】相加相乗平均の証明と大小関係、使い方まとめ
相加平均・相乗平均の大小関係は使い方を見極めて活用するとかなり便利な不等式です。

しかし「相加平均・相乗平均がわからない」、「使い方がイマイチつかめない」という人も多いと思います。

今回はそもそも相加平均・相乗平均とは何なのかといったことから、この不等式の使い方まで解説します!

相加平均・相乗平均とは

2つの数a,bがあるとき、

  • 相加平均: \(\displaystyle \frac{a+b}{2}\)
  • 相乗平均: \(\sqrt{ab}\)

です。

相加平均とは何か?相乗平均とは何か?といった問題が出されることはありません。

重要なのは2つの実数に対して、

相加平均≧相乗平均

の関係が成り立つということです。

数式にして表すと

\(\displaystyle \frac{a+b}{2} ≧ \sqrt{ab}\) (ただし\(a,b\)は正の実数)

です。

そして最も大事なのが\(a=b\)のときに等号が成り立つ(\(\frac{a+b}{2} = \sqrt{ab}\))ということです。

まとめると、

相加平均・相乗平均の大小関係

2つの正の実数a,bについて、
$$\frac{a+b}{2} ≧ \sqrt{ab}$$
(\(a = b\)のとき等号成立)

となります。

記述問題でこの不等式を使うときは、「相加平均・相乗平均の大小関係より、…」や「(相加平均)≧(相乗平均)より、…」のように書いてください。
また両辺を2倍して分母を消した式を使うのもアリです。

「相加平均・相乗平均の大小関係」の証明

この不等式の証明はとても簡単です。

まず2つの正の実数A,Bを考えます。

\((A-B)^2\)を展開すると、\(A^2 – 2AB + B^2\)ですね?

\((A-B)^2 ≧ 0\)なので、\(2AB\)を移項して
$$A^2 + B^2 ≧ 2AB$$
が成り立ちます。

\(A^2 = a\)とおくと、\(A^2 \gt 0\)なので\(a\)は正の実数です。そして\(A = \sqrt{a}\)とできますね。

同じように\(B^2 = b, B = \sqrt{b}\)とします。

すると、\(A^2 + B^2 ≧ 2AB\)は
$$a + b ≧ 2\sqrt{ab}$$

両辺を2で割って
$$\frac{a+b}{2} ≧ \sqrt{ab}$$
というわけです。

等号が成り立つ条件も簡単に示せます。

この証明のもとが\((A-B)^2 ≧ 0\)だったので、ここに\(a = b\)つまり\(A = B\)を代入すると\(0 = 0\)となりますね。等号成立です。

↑の説明でいまいち分からなかったら、\(\displaystyle \frac{a+b}{2} ≧ \sqrt{ab}\)に\(a=b\)を代入してみましょう。
左辺と右辺が一致するはずです。

相加平均・相乗平均の使い方

さて、ここで相加平均・相乗平均の大小関係の使い方を見ていきましょう。

例題: \(a\)は正の実数とする。\(a + \displaystyle\frac{4}{a}\)の最小値を求めよ。

\(a,\frac{4}{a}\)は正の実数なので相加平均・相乗平均の大小関係より、
\begin{eqnarray}
a + \frac{4}{a} &≧& 2 \sqrt{a \cdot \frac{4}{a}}\\
&=& 2 \cdot 2 = 4
\end{eqnarray}
等号成立条件は、\(a = \displaystyle\frac{4}{a}\)より\(a = 2\)。

よって最小値は a = 2 のときの、4

この問題のように、掛け算して文字式を消せるような形の最小値問題などが使い方です。

気をつけてほしいのは、ちゃんと2つの数が正の実数であることを確認すること。赤字で書いてあるところですね。この前提がなければ相加平均・相乗平均の大小関係が成り立つかどうかはわかりません。

他にも様々なところで使う機会があるので後の練習問題も要チェックです!

変数が3つのときの相加平均・相乗平均

正の実数が3つのときにも相加平均 ≧ 相乗平均が成り立ちます。

ただ、相加平均・相乗平均の形が違います。

3つの数a,b,cについて、

  • 相加平均: \(\displaystyle\frac{a+b+c}{3}\)
  • 相乗平均: \(\sqrt[3]{abc}\)

です。

まとめると

相加平均・相乗平均の大小関係(変数が3つのとき)

3つ正の実数\(a,b,c\)について、
$$\frac{a+b+c}{3} ≧ \sqrt[3]{abc}$$
となり、\(a=b=c\)のときに等号が成立する。

です。

一般的に、相加平均・相乗平均を言葉で表すと、

  • 相加平均: 全ての要素の和を、その要素数で割った数
  • 相乗平均: 全ての要素の積を、その要素数分の1乗した数

ちょっとわかりにくいので自然数nで表すと、n個の数があるとき、

  • 相加平均: n個全ての数の和を、nで割った数 (\(\displaystyle\frac{x_1+x_2+ \ldots +x_n}{n}\))
  • 相乗平均: n個全ての数の積のn乗根(n分の1乗) (\(\sqrt[n]{x_1 \cdot x_2 \cdot \ldots \cdot x_n}\))

ということですね。

変数が3つのときの「相加平均・相乗平均の大小関係」の証明

さて、変数が3つのときも先ほどと同じく \(A^3 = a\) のようにして証明しましょう。

3つの正の数 \(A, B, C\)を考えていきます。最終的には

$$
A^3 + B^3 + C^3 ≧ 3ABC
$$

を示せばいいですね。

(左辺)\(-\)(右辺)\(= A^3 + B^3 + C^3 – 3ABC\) を変形して、これが0以上であることを言って証明終了です。

\(A^3 + B^3 + C^3 – 3ABC\) を因数分解するために、まず\((A+B+C)^3\)を見てみましょう。

\begin{eqnarray}
(&A&+B+C)^3\\
&=& A^3 + B^3 + C^3 + \style{color: red;}{3(A^2B + AB^2 + B^2C + BC^2 + C^2A + CA^2) + 6}ABC
\end{eqnarray}

赤い部分が \(A^3 + B^3 + C^3 – 3ABC\) と違うところです。

形を合わせるために次のようにします。

\begin{eqnarray}
&A^3& + B^3 + C^3 – 3ABC\\
&=& (A+B+C)^3 \style{color: red;}{-3(A^2B + AB^2 + B^2C + BC^2 + C^2A + CA^2) – 6}ABC -3ABC
\end{eqnarray}

先ほどの赤い部分をそのまま引きました。これを変形していくと、

\begin{eqnarray}
&A^3& + B^3 + C^3 – 3ABC\\
&=& (A+B+C)^3 – 3\{AB( A+B+C ) + BC( A+B+C ) + CA( A+B+C )\}\\
&=& (A+B+C)\{(A+B+C)^2 – 3(AB + BC +CA)\}\\
&=& (A+B+C)(A^2 + B^2 + C^2 – AB – BC – CA)\\
&=& (A+B+C)\{(\frac{1}{2}A^2 – AB + \frac{1}{2}B^2) + (\frac{1}{2}B^2 – BC + \frac{1}{2}C^2) + (\frac{1}{2}C^2 – CA + \frac{1}{2}A^2)\}\\
&=& \frac{1}{2}(A+B+C)\{(A-B)^2+(B-C)^2+(c-A)^2\}
\end{eqnarray}

\(A,B,C\)は正の数なので \(A+B+C\) も正ですね。

\((A-B)^2, (B-C)^2, (C-A)^2\) はすべて0以上(それぞれ \(A=B, B=C, C=A\) のとき等号)なので、
$$
A^3 + B^3 + C^3 – 3ABC ≧ 0
$$
が成り立ちます。

よって冒頭でも説明した通り、 \(A^3 = a, B^3 = b, C^3 = c\)とおけば変数が3つのときの「相加平均・相乗平均の大小関係」が証明できます。

ちなみに途中で出てきた因数分解:
$$
A^3 + B^3 + C^3 – 3ABC = (A+B+C)(A^2+B^2+C^2-AB-BC-CA)
$$
は覚えておいて損はありません!

「相加平均・相乗平均の大小関係」の練習問題

問題1: \(a \gt 0, b \gt 0\)のとき、\(\displaystyle\frac{a}{b} + \displaystyle\frac{b}{a} ≧ 2\)を証明せよ。

\(a,b\)が正の実数なので、\(\displaystyle\frac{a}{b}, \displaystyle\frac{b}{a}\)も正の実数だから、相加平均・相乗平均の大小関係より、
\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac{\frac{a}{b} + \frac{b}{a}}{2} &≧& \sqrt{\frac{a}{b} \cdot \frac{b}{a}}\\
&=& 1
\end{eqnarray}
(\(\displaystyle \frac{a}{b} = \displaystyle \frac{b}{a}\)のとき等号成立。)

よって両辺を2倍して、\(\displaystyle\frac{a}{b} + \displaystyle\frac{b}{a} ≧ 2\)
(証明終了)

問題2: 正の実数\(a,b,c,d\)について、\(\displaystyle\frac{a+b+c+d}{4} ≧ \sqrt[4]{abcd}\)が成り立つことを証明せよ。

\(a,b,c,d\)は正の実数なので、\(a,b\)と\(c,d\)についてそれぞれ(相加平均)≧(相乗平均)が成り立つ。

よって、
\begin{eqnarray}
\frac{a+b}{2} &≧& \sqrt{ab}\\
\frac{c+d}{2} &≧& \sqrt{cd}
\end{eqnarray}
(等号成立条件はそれぞれ\(a = b, c = d\)。)

2つの式を組み合わせて、
\begin{eqnarray}
\frac{a+b}{2} + \frac{c+d}{2}\\
= \frac{a+b+c+d}{2} ≧ \sqrt{ab} + \sqrt{cd}
\end{eqnarray}

\(a,b,c,d\)が正の実数より、\(\sqrt{ab}, \sqrt{cd}\)は正の実数なので、相加平均・相乗平均の大小関係より、
\begin{eqnarray}
\frac{\sqrt{ab} + \sqrt{cd}}{2} &≧& \sqrt{\sqrt{ab} \cdot \sqrt{cd}}\\
&=& \sqrt[4]{abcd}
\end{eqnarray}
(\(\sqrt{ab} = \sqrt{cd}\)のとき等号成立。)

以上より、
$$\frac{a+b+c+d}{4} ≧ \sqrt[4]{abcd}$$
(\(a=b=c=d\)のとき等号成立。)
(証明終了)

問題3: \(x \gt 0\)のとき、\(y = x^2 – 2x – \displaystyle\frac{2}{x} + \displaystyle\frac{1}{x^2} + 3\)の最小値を求めよ

\begin{eqnarray}
y &=& x^2 – 2x – \frac{2}{x} + \frac{1}{x^2} + 3\\
&=& (x^2 + 2 + \frac{1}{x^2}) -2(x + \frac{1}{x}) + 1\\
&=& (x + \frac{1}{x})^2 – 2(x+\frac{1}{x}) + 1\\
&=& X^2 – 2X + 1
\end{eqnarray}
(ただし \(X = x + \displaystyle\frac{1}{x}\)とおく。)

\(y = (X – 1)^2\)より\(y\)の最小値は0

と、したいところですが…

\(x\)は正の実数なので、相加平均・相乗平均の大小関係から、
\begin{eqnarray}
X &=& x + \frac{1}{x}\\
&≧& 2\sqrt{x \cdot \frac{1}{x}} = 2
\end{eqnarray}
(\(x = \displaystyle\frac{1}{x} \)のとき等号成立。)
なので、\(y = (X-1)^2\)の最小値は\(X = 2\)、すなわち\(x = 1\)のときの\(y = 1\)です。

このように「相加平均・相乗平均の大小関係」がメインでない問題でも大事になってきます。

「相加平均・相乗平均の大小関係」はぜひともおさえておきたいテクニック

練習問題でも見たように、「相加平均・相乗平均の大小関係は問題の主役にもなり得ますし、サブにもなり得ます。

  • 正の実数が出てくる
  • 最小値(または最大値)を求める

といった条件を満たすときにピンとくるようにしておけば、バッチリ使い方を見極められるはずです。




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