はじめに:最小公倍数について!
最小公倍数はとても重要な単元です。
なぜなら、最小公倍数は単に求めるだけでなく、分数の通分などで頻繁に使うからです。
そんな最小公倍数を今回は徹底的に解説していきます。
最小公倍数の求め方は、小学生・中学生・高校生レベルそれぞれ用意しています。
ぜひ最後まで読んで、自分にあった求め方を見つけてみてください!
同じタイミングで習う最大公約数の説明はこちらですので、必要に応じて参照してくださいね。
目次
最小公倍数とは?
まずは最小公倍数の言葉のもととなっている「倍数」、「公倍数」から説明します。
倍数とは「ある1つの整数を何倍かした数」のことです。
例えば、4の倍数は\(4,8,12,16,20…\)ですよね。これは大丈夫だと思います。(「…」の先は無限にあるので省略しています。)
次に公倍数とは「2つ以上の整数に共通な倍数」のことをいいます。
倍数と公倍数の大きな違いは、倍数は1つの整数について考えているのに対し、公倍数は2つ以上の整数について考えていることです。
こちらも例を出して考えてみます。
\(2\)と\(3\)の公倍数を求めてみましょう。
それぞれの倍数を小さい方から並べていきます。
\(2\)の倍数は\(2,4,6,8,10,12…\)、\(3\)の倍数は\(3,6,9,12,15,18…\)になります。
公倍数は共通な倍数のことなので、ここでは\(6\)と\(12\)が該当しますね。
よって、\(2\)と\(3\)の公倍数は\(6\)の倍数だとわかるので、答えは\[\style{ color:red; }{ 6,12,18,24… }\]となります。
そして最小公倍数ですが、これは「公倍数の中で一番小さいもの」のことをいいます。
先ほどの\(2\)と\(3\)を例に最小公倍数を考えていきましょう。
公倍数は\(6,12,18…\)でしたので、最小公倍数は\(\style{ color:red; }{ 6 }\)になりますね。
最小公倍数についてはよくわかりましたか?
次に最小公倍数の求め方を学習していきましょう。
最小公倍数の求め方
求め方を今回は4種類紹介していきます。
1種類目は先ほど\(2\)と\(3\)の最小公倍数を求めるときに使用した「それぞれの倍数を地道に出す」やり方です。
これは誰にでもでき、少々面倒なやり方なので、詳しくは説明しません。
残りの3種類は、1つ目が小学生向け、2つ目が中学生向け、3つ目が高校生向けのやり方になっています。
自分の学年にあわせて学習してくださいね。
最小公倍数の求め方その1:足りないものを考える
足りないものを考えるとはどういうことなのでしょうか?
試しに例を出して考えてみます。
\(6\)と\(9\)の最小公倍数を求めてみましょう。
今回の場合、まず最初にすることは「それぞれの数を、これ以上割ることのできない小さい約数のかけ算で表す」ということです。
くわしくいうと、
ということです。
次に「共通部分をさがす」という作業をします。
上の赤い字の\(3\)は共通していますね。
しかし、黒い字で書いている\(6\)の方の\(2\)、\(9\)の方の\(3\)、の部分は共通していません。
この部分の違いが\(6\)と\(9\)の数字の違いになっています。
では、\(6\)と\(9\)はそれぞれ何倍すれば、なるべく小さい同じ数(最小公倍数)にできるでしょうか?
そこで考えるのが先ほどの共通していない部分です。
上のようにお互いの数に不足している部分、\(6\)で言えば\(3\)、\(9\)で言えば\(2\)をかけてあげるとなるべく小さく同じ数にできますね。
こうすることで、\(6\)と\(9\)では\(18\)が最小公倍数になるとわかるのです。
まとめると「お互いの数を作っているパーツの中で、お互いになかったものをそれぞれ追加する」ことで最小公倍数が求められます。
このやり方で問題を解くときは、
のように、共通部分がわかりやすいようにずらして書くのがポイントです。
最小公倍数の求め方その2:筆算を使う
次は筆算を使うやり方です。
例として\(48\)と\(60\)の最小公倍数を筆算で求めてみましょう。
何をしているのかというと、2つの数字をそれらの公約数で割れる限り割っていって、その割った数と最後に余った数を全てかけたものが最小公倍数だといっているわけです。
やり方をまとめておきます。
- 最小公倍数を求めたい2つの数を並べて書く。
- その2つの数がお互い割り切れる数でできる限り割っていく。
- 割れなくなったらそこで割り算をやめ、割った数と余った数を全てかけ算する
- そのかけ算した結果の値が最小公倍数となる。
最小公倍数の求め方その3:素因数分解
高校生であれば素因数分解を使うのも1つの手です。
まずは素因数分解について知りたい!という人はこちらを参照してください。
例題を使って説明していきます。実は、「最小公倍数のやり方その1」と素因数分解はやることがとても似ています。
\(21\)と\(32\)の最小公倍数を素因数分解を使って求めてみましょう。
\(21\)を素因数分解すると\(21=3×7\)になりますね。
一方、\(32\)を素因数分解すると\(32=2^5\)になります。
そして最小公倍数ですが、「各素因数の指数の最大値を全てかけた数」になります。
つまり今回の例題でやってみると、下のようになります。
このように指数の大きい方を、全部選んでかけることで最小公倍数が出てきます。
以上が、最小公倍数の3つの求め方になります。
自分にあったものを見つけ、練習していくようにしましょう!
数が3つのときの最小公倍数の求め方
3つ以上の数の最小公倍数を求める問題には実は落とし穴があります。
それを例を使って確認していきましょう!
例題
\(14\)と\(16\)と\(21\)の最小公倍数を求めよ。
例題の解答・解説
まず足りないものを考えるやり方、次に素因数分解、最後に筆算で問題を解いてみようと思います。
解説は先ほどしたので、解答のみ示していきます。
最初は足りないものを考えるやり方の解答例です。
次に素因数分解を使って解くやり方の解答例です。
最後に筆算を使って解くやり方です。
筆算のやり方は、公約数で割っていくというものでしたね。
しかし、今回は\(14\)と\(16\)と\(21\)に公約数はないので割り算ができず、3つの数をそのままかけてしかありません。
しかし、求める最小公倍数は\[14×16×21=4704(?)\]になってしまいます。
これは、他の2つのやり方で出した答えと全く違いますね?
実は3つ以上の数の最小公倍数を求める際に筆算を使う場合には特別ルールがあるのです!
それは「全ての数の公約数でなくとも、どれか2つ以上の公約数であれば割って良い」というものです。
つまり、\(14\)と\(16\)と\(21\)について考えるのではなく、「\(14\)と\(16\)」や「\(14\)と\(21\)」のようにどれか2つについて公約数を考えていく、ということなのです。
したがって、解答例としては
よって最小公倍数は\[2×7×1×8×3=\style{ color:red; }{ 366 }\]となり、答えが合いました。
もう一度まとめておきます。
- 全ての数の公約数でなくても、どれか2つ以上の公約数であれば割ってよい。
- どの2つでも割り算ができなくなった時点で割り算をやめ、割った数と余った数を全てかける。
- 全てかけた値が最小公倍数となる。
最小公倍数の求め方に関する練習問題
最後に練習問題を解きましょう。
問題
\(15\)、\(18\)、\(20\)、\(24\)の最小公倍数を求めよ。
問題の解答・解説
扱う数が4つになりましたが、やることは3つのときと変わりません。
ここでは筆算と素因数分解で問題を解きます。
筆算バージョンの最小公倍数の求め方
よって、最小公倍数は\[2×2×3×5×1×3×1×2=\style{ color:red; }{ 360 }\]になります。
素因数分解バージョンの最小公倍数の求め方
よって、最小公倍数は\[2^4×3^2×5=\style{ color:red; }{ 360 }\]となり、筆算のときと答えが同じになりました。
おわりに:最小公倍数のまとめ
いかがでしたか?
繰り返しになりますが、最小公倍数は分母を通分するときなどに頻繁に使うとても重要な単元です。
なんども練習することで、最小公倍数を求めるスピードはどんどん上がっていきます。
ぜひ最小公倍数を求める4種類の中の自分なりのやり方で練習を重ねてみてください!