はじめに
11月といえば、受験生は大学別模試が立て続けに行われ、その受験や復習などで非常に忙しくなる時期ですよね。
それはもちろん東大の模試であっても然りです。
東大レベルの模試は、3大予備校(駿台・河合・代ゼミ)であれば8月に第一回目が、そして11月に第二回が行われます。
もちろん大学別の模試ですから、本番でもライバルになるであろう人たちがみんな受けるため、当然その成績というのは非常にその後の学習方針に大きな影響を与えます。
もちろん私も受験生の時は模試の成績はかなり気にしていました。
今回は、そんなみなさんがいつも気にされているであろう模試の成績についての話です。
では、みなさんは自分の返却された模試の結果をどのように活用していますか?
自分の次の学習に生かせていますか?
この記事では、現役東大生である筆者が受験生の時に受けた東大模試全6回の成績を公開します。
その上で、そのような結果になった原因を分析してみたいと思います。
ぜひ、模試の判定の捉え方・分析の仕方について一緒に考えていきましょう。
これから返却される模試の見方がわからない人、勉強しているのに模試の判定が上がらずに悩んでいる人、現状の判定で不安に陥っている人、みんなに参考にして欲しい内容です。
目次
科目別:模試の成績とその分析からみえる入試対策
早速始めていきましょう。
繰り返しになりますが、今回使用するのは筆者の東大模試の結果です。
具体的な中身に入る前に注意点があります。
まず、模試の名称は長いので略してあります。
河合塾は、東大オープンという名前なので東大OP、駿台は東大実践模試なので東大実践、代ゼミは東大プレテストなので東大プレにしてあります。
また模試の成績がベースですが、目標点数や本番で取れた点数も合わせて紹介しています。
最後に、満点に注意してください。科目ごとにグラフの縦軸の値が違います。
それではいきましょう!国語→数学→英語→世界史→地理→合計点の順番になっています。
筆者が文系なこともあり、理科についての情報はありません。
しかし、その他の科目や成績の見方など参考になる部分があると思いますので、その部分だけでも参考にしていただけると幸いです。
東大模試の成績の推移と分析:国語
東大文系の国語は120点満点です。
一般的に合格者と不合格者との得点にそれほど差がないとされており、したがって半分とれれば十分とされています。
そこで私は70点取れるように勉強していました。平均点+10点を意識していました。
で、模試の結果というと……
模試のおいては、だんだん点数が減少していますね。
これは、模試の問題が8月から11月にかけて難しくなっている一方で、自分のレベルが少しも上がっていないからでしょう。
その証拠として、私は8月から11月まで国語の勉強はこれといってしていませんでした。
苦手意識はあったのですが、高3になって社会の対策を始めたため、社会に大幅に勉強時間を奪われ、もともと8月の時点である程度点数の取れていた国語にまで時間が取れなかったからです。
点数が下がっているのが問題だと認識したのが11月の模試であり、特に駿台の11月の東大実践で42点を取った時。これはさすがに焦りました。
そこからある程度は勉強時間を確保して先生に対して過去問の解答を添削に出すなどの対策したので、本番では一応及第点である60点以上を取ることができています。
もちろん毎回たくさん赤を入れて頂くわけですが、それで自分の弱点などがわかりましたし、「ここはどうなのでしょう?」などの質問にも丁寧に回答をしていただけたので、この添削の力はかなり強力だったと思いますね。
単純に過去問についてある解答解説を見ただけでは見えてこない改善点というのが、添削によってたくさん見えてきますので、添削が出せる方がいれば積極的に添削に出してみると良いでしょう。
反省して国語の勉強を本格化した結果、11月の模試から入試本番までの3ヶ月で点数が上がっています。
私は国語が苦手だったこともあり、最後の最後までやった分だけ点数が伸びました。
この最後の最後までやった分だけ伸びるのは、これは現役生の特権だと感じます。
東大模試の成績の推移と分析:文系数学
東大文系の数学は80点満点です。
筆者の場合、数学は取れる科目(正しくは取らないと落ちてしまう)と思っていたので、目標点は50点を想定。
今では40点くらいが合格者平均点だとされていますので、これから受験するのであればもう少し目標点をあげていたのかもしれません。
そして、模試の結果はというと……
点数が40〜50点の間で安定していますよね。
私は数学については、そんなに心配していませんでした。
もちろん模試で点数がそこそこ取れていたというのもありますが、何よりも数学が好きだったからです。
「好きこそ物の上手なれ」ということでしょうか。数学については本当に楽しく勉強していました。
一定のペースで淡々と学習を続けていたので、それに呼応するかのように点数も一定をキープしています(難易度の上下で若干の変動はありますが)。
ここからは一般論になりますが、数学は早めに基礎固めをすることが大切です。
一朝一夕に数学はできるようになりませんし、いわばいかに問題との”対戦履歴”を持っているかがそのまま点数に直結します。
その意味でも、ありきたりな表現ですが早めに基礎を固めて練習問題や過去問をたくさん解くこと、これに尽きるように思います。
ついでにいうと、文系の人は数学が嫌いで文系にしたという人もきっといると思うので、できればこの際数学を好きになって楽しく学習してほしいと思いますね。
数学は公式もあやふやな間は全く解けるようになってくれませんが、ある程度公式もしっかり理解して定石の問題に慣れることができれば、少しずつですがスルスルと解けるようになっていきます。
解けるようになると数学はとても楽しいので、できる前に嫌いになってしまわないように我慢強く学習を続けることが肝要です。
東大文系の入試においては、最もといっていいほど差がつく科目です。ここでがっつり得点できるように準備を入念にしておきましょう。
東大模試の成績の推移と分析:英語
東大英語は120点満点です。
私は、英語が比較的得意だと思っていたので、目標は90点にしていました。
イメージとしては、筆記で60/90でリスニングで満点を取って、合計90点というつもりで試験に望んでいました。
しかし、2018年度から選択肢が増えて難化したので、これからのこの傾向が変わらないのであれば現実的に1〜2個ミスに抑えるくらいを目標にするのがいいのかもしれませんね。
そんな東大英語の模試の結果は……
得点がかなり上下していることがお分かりになると思います。
英語は勉強したらすぐに点数が伸びるということはない科目ですので、ここでは難易度に引っ張られている印象を受けます。
加えて、私は8月から11月の間、国語と同様にそこまで英語の対策をしているわけでもありませんでした。
あまり英語に触れるということをしなかったので、自分でもわかるくらいに少しずつ英語が読めなくなっていきました。
そして、国語とは違って入試本番まで本調子が回復することはありませんでした。
私が英語が一番できると感じていたのはまさに8月の頃であり、これ以降伸びることはありませんでした。
英語に関しても、早め早めの基礎固めが大切ですが、一方で英語力が鈍ってしまわないように日々チェックし続ける必要があると思います。例えば、1日1題は長文問題を解くなど英語に毎日触れるようにしましょう。
一度鈍ってしまうと、修復が非常に困難です。早い段階から英語が完成していたとしてもメンテナンスは必ず行ってくださいね。
東大模試の成績の推移と分析:世界史
東大は社会科目は1つ60点満点です(つまり社会2科目合わせて120点)。
世界史は、模試の段階では全くといっていいほど点数が取れませんでしたが、最後の最後まで頑張って知識の穴を埋めていくほど高得点が取れると信じていたので、目標点は35点に設定していました。
8月の模試がなかなかに悲惨ですが、世界史の模試の結果を見ていくことにしましょう。
世界史は8月時点で特に入試に向けて勉強しているわけでもなかったので、基礎知識も何もありませんでした(やっていたこととしては、学校の試験対策くらい)。
そして8月の模試を受けた感触から「これではやばい!」と感じたため、夏休み明けの9月から少しずつ過去問を解きつつ基礎から勉強していきました。
その結果、問題によって自分の得意分野だったり苦手分野だったりしたので得点の変動が激しいですが、全体として点数が上がっていっているのがお分かりだと思います。
そして本番では、とりあえず目標点である35点を超えることはできました。
みなさんの中で(特に高2生)、「社会を早めに対策する必要がある」と感じている人もいるかもしれませんが、私は高3の夏休みからでも十分に間に合うと考えています。
社会科目は高3からでも本格的に始めれば、模試の点数はぐらつきますが最終的に上昇傾向で安定します。
知識量が増えるわけですから当たり前なのですが、要はそこまで慌てて対策をしなくてもいいということです。それよりも国数英がまだまだだという人は、そっちを一刻も早く対策する必要があると思います。
「国数英がもう大丈夫!」という人は、その3教科を定期的にメンテナンスをしつつ、社会の勉強を本格化していくのがいいでしょう。
東大模試の成績の推移と分析:地理
地理も社会科目なので、60点満点。
地理は個人的に点数が伸びにくいと思っていたので、少し控えめに30点を目標に。
模試の結果はというと……
地理は、真ん中あたりで点数が水平になって安定していますよね。
そこが地理特有の「停滞期」にあたる部分だと考えています。
私は地理は特に夏休み明けからかなり本格的に勉強していました。ですが、なかなか点数が伸びてはくれませんでした。
これが地理と世界史(日本史)の大きな違いです。
これはセンターでも同様なのですが、世界史・日本史は知識を蓄えれば蓄えていくほど点数は単調に伸びていきますが、地理はある程度のところで止まってしまいます。
というのも、地理は基礎知識を抑えるまでは他の科目に比べ楽であり点数もその程度において取れるのですが、それ以上に点数を取ろうとすると単なる暗記だけでは太刀打ちできず、より深い事象の理解や分析力、想像力が必要になってくるからです。
それを養うためにはたくさんの問題を解く必要がありますから、一定のところで点数の伸びが止まってしまうというわけです。このいわゆる「スランプ」を抜け出すためには、辛抱強く勉強を続けるしかないのです。
私の場合、点数が伸び悩んでも単調に地理を勉強した結果、最後の本番で異様な伸びを見せています。
地理という科目の性質を押さえた上で、辛抱強く勉強していくことが大切です。
東大模試の成績の推移と分析:合計点
まとめに入る前に、合計点の推移も見ておきましょう。
東大二次試験は合計で440点満点です。
目標は、センター9割取れたとして、260点を想定していました。
模試は合計点がかなり興味深いことになっていますが、推移を見てみましょう。
実は、筆者は模試では220点台しか取ったことが無いのです!!
別に狙ったわけではないのですが……。
上下に変動することもなく、ずっと220点台。
私自身、「このまま本番も220点台なのかなぁ。そうすると不合格になってしまうなぁ」と謎のジンクスに悩まされていたのですが、本番ではなんとか目標の260点台に乗せることができました。
2017年本試における合格最低点との差は12点。220点など取っていたら100%落ちていました。
最後に|模試の判定を交えた結論
いかがだったでしょうか。
ここからは今回の分析を踏まえた総括的な筆者なりの結論を提示しておしまいとしたいと思います。
- 入試の結果は模試だけでは予測できない
- 国数英は早め早めの基礎固めが重要
- 東大をはじめ大学別模試は難しい
まずは、当たり前ですが最終的な結果は模試だけで確定させることなど不可能です。
最後の最後まで模試では220点台しか取れなかった筆者ですが、本番だけ260点台に乗せることができたのですからね。
これも科目ごとの分析の際になんども言及しました。
高3では、理科・社会と苦手科目(私の場合は国語)を伸ばすための時期です。
高3になって国数英の点数が安定せずに足を引っ張ってしまうと、最終的に理社の準備が間に合いません。
そうならないためにも、高2のうちに(遅くても高3の夏までには)国数英は完成段階まで持っていきましょう。
最後にはっきり言います。
模試は難しいです。
ですから、模試でいい点取れなかったからといって落ち込む必要はありません。
次の模試でいい点を、もしくは最後の本番でいい点をとってやるぞと思えばそれでいいのです。
それは私の模試の判定を並べてみればよくわかります。B→A→A→C→B→Aです。
模試では常に220点台と点数の変動がないのに、そして合計点が本番の合格最低点よりも低いのに判定は合格圏内に入っています。
本番の合格最低点は355点です。
模試では220点しか取れていないのに、その模試でA判定が出るということは模試が難しいということであり、他の受験生も同じように準備がまだまだであるからに他なりません。
私は以上のように自分の模試と本番の分析をしてみましたが、皆さんはどうお考えになったでしょうか?
今回は私なりの分析結果のみを載せていますが、みなさんも自分なりに自分の模試の結果を眺めて考えてみてください。確かに模試は本番において成功を保証してくれるものではありませんが、自分の立ち位置を把握したり弱点を把握するにはもってこいの資料であることには間違いないのですから。