はじめに
法律は私たちの生活と密接に関わっているもの。
法学は生活に身近な学問であり、弁護士などの専門職を目指す人だけが対象ではありません。
そんな法学を学ぶ法学部とはどんな学部なのでしょうか?
今回は法学部の、学問の内容やカリキュラム、雰囲気、そして就職についてもまとめてみました。
法学部を目指している方や興味のある方、また、学部選びで迷っている方もぜひ読んでみてください!
目次
法学部ってどんなことを学ぶ?その勉強内容とは
法学部で学ぶことは、法律学の他に政治学や社会学、国際関係学などにも範囲が及んでいます。
社会は法律によって成り立っています。
それだけに、法学で学ぶ範囲は極めて広いのです。
法学の研究は、単に法律の条文や判例を暗記することではありません。
法律の学習を通して「リーガルマインド」、つまり、「物事を法的に筋道を立てて考え、柔軟・的確に判断する能力」を身に付けることが重要であるとされます。
はじめは、「そもそも法や法律とは何か」「法律によって何を定めるべきか」のような法律の考え方、法の基本について学びます。
そして、憲法、民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法のいわゆる『六法』をはじめとするさまざまな法律の内容を学びます。
六法の他にも数多くの法律があり、それらは大きく「公法」と「私法」に分けられます。
公法とは国家と市民との関係を規律する法(憲法、行政法など)のことをいい、私法とは私人間の関係を規律する法(民法、商法など)のことをいいます。
そのため、大学によっては、コースや専攻を「公法コース」と「私法コース」に分けたり、「法律コース」と「政治コース」などに分けているところもあります。
「経営法学科」「国際政治学科」「ビジネス法学科」などの学科を設けているところもあります。
いずれにしても、まずは基本的な法律を広く学んだ上で、自分の専門分野を絞って研究することになります。
法学部の4年間のカリキュラム
法学部生の基本的な4年間の流れをざっくりとまとめてみました。
- 1〜2年次
- 2〜4年次
- 3〜4年次
教養科目や基本科目が中心です。
教養科目では法律にとらわれず、経済学・歴史学・哲学などの他の専門科目を含めた幅広い分野について学びます。
そして、法学部の基本となる憲法・民法・刑法を中心に、それぞれの法律の考え方を学んでいきます。
憲法・民法・刑法などの専門科目をさらに分野ごとに詳しく学んでいきます。
民法・・・物権、債権、親族、相続
刑法・・・詐欺とは何か、強盗とは何かなど
また、商法・行政法・経済法・国際法などについても知識を深めていきます。
それまでに学んだ分野から、特に深く学びたいものを選んで勉強するために、ゼミを設けている大学もあります。
個別のテーマについて議論を深め、より高度な法知識と法的思考力を養います。
法学部の雰囲気・特徴
そもそも法学部を志望する学生は、最初から将来は法曹界へ進みたい!という意志を明確にもっている場合が多いです。
将来就きたい仕事をはっきり決めず、なんとなく学部を選んだ学生とは違い、その夢に向かって勉強を頑張る真面目な学生が比較的多いと言えるでしょう。
また、そういった同じ目標をもった仲間がたくさん周りにいるため、勉強の励みにもなります。
よく言われるのは、法学部は他の学部に比べて出席必須の授業が少ないということです。
成績はすべてテスト一発勝負で評価する授業が多く、また卒論を課さないところが多いというのも大きな特徴です。
法学部の就職先・進路について
法曹職の場合の進路
まず、大前提として司法試験に合格する必要があります。
司法試験に合格した後は、約1年間の司法修習を受けなければなりません。
そして、司法修習生考試という最終試験に合格すると、「2級検事、判事補、弁護士」になる資格を得ることができます。
検察官になる場合は、修習修了に加え、法務省が行う各採用試験を受け採用される必要があります。
まず、2級検事として働き、8年以上の経験を積んで1級検事になる資格を得ます。
裁判官になる場合は、修習修了に加え、最高裁判所に採用される必要があります。
判事補として各裁判所で働き、およそ10年後に判事として任命されます。
弁護士になる場合は、修習修了後、通常は法律事務所に就職します。
しかし、最近は司法修習生の数が増えたため、受け入れを十分に確保できず、企業弁護士になったり、自分で事務所を開業する人も増えています。
一般企業や公務員の場合の進路
一般企業は、サービスや流通、金融、製造業と多岐にわたります。
法曹の道へ進まずとも、大学で学んだ法律や政治の知識は存分に活かすことができます。
国際化や情報化が進む中で、どのような企業でも法律知識は必要とされているからです。
また、自ら問題を発見し、それを解決する力を身に付けることができるので、仕事をする際にも役立ちます。
公務員は、教員(主に社会・公民)のほか、官公庁への就職も人気が高いです。
法律の知識はもちろんですが、行政関連分野での研究は公務員としての仕事に活かせますし、職業としての安定性も魅力なのでしょう。
法学部にまつわるよくある質問とその答え
弁護士や検察官になりたい人が法学部にいくの?
実際は、弁護士や検察官など法曹界に入りたくて法学部にきている人ばかりではありません。
私のまわりには警察官になりたいという人、公務員になりたいという人、なかにはなんとなく法学部なんて人もいたりします。
法学部のゼミって何をするの?
大学に入ると、ゼミという、普通の授業よりも厳しい少人数制のクラスに入ります。
私のゼミでは、判例(判例:過去の裁判の結果のこと)に基づいて2人1組でレジュメを作り、発表をします。
発表の前には「研究室指導」というものがあり、自分が作ったレジュメを使って教授に本番と同じように発表をします。
そこでいただいた指摘をもとに、本番に向けて修正していきます。
本番では、自分の発表後に他のゼミ生から質疑応答が行われます。
ここでの質問に答えることがとっても難しいんです!
自分たちが調べていていないことなんか聞かれると困りますよね(汗)
質問に答えられなかったり、発表者の説明が不十分なときは教授が説明してくれるのですが、それがまたとても分かりやすいです。
法学部って法律を覚えなくちゃいけないの?
法学部と言うと、六法など分厚い本を持ち歩き法律を覚えなければならないと思われがちですが(実際私も高校生の時はそう思っていました)、実際はそんなことはありません。
六法全書は、主に検索に使います。
法律は過去の実際の事件ではこういう判例があるんだよ、というように学んでいきます。
判例に出てくる法律を六法で検索し、理解を深めていくのです。
なので頭の中で覚えている法律は、本当によく出てくるいくつかだけだったりします。
頭に完璧に入ってるなんて人はなかなかいないと思います(教授本人も全部は覚えていないという話を最初にされました)。
とはいえ、もちろんやっているうちに自然に頭に入ってきますから、結果的には少しずつ法律を覚えていくことになるのですが。
法曹界に行きたい人はダブルスクールしている?
ここまで法学部についてはなしてきましたが、もうすでに法曹界に入りたくて法学部を目指しているなんて人もいますよね。
そんな人たちは、その大学の司法試験合格率や学校でどういった制度があるのかをよく調べて志望校決定を進めてください。
例えば司法試験合格率が低い大学の法学部にいっても、実際に法曹界に入れるかどうかは分からないですからね。
また、実は法曹界を目指す多くの学生は、大学に入ったあとから自分で塾に通うなどして(「ダブルスクール」といいます。)、法科大学院に入るための勉強をしています。
しかし、必ずしもダブルスクールが必要とは限りません。
例えば私の通う駒澤大学では、法学研究所というロースクールのように放課後に授業を行ってくれる制度があります。
年間1万円程度で授業が受け放題になるのですが、これはダブルスクールなどするよりも圧倒的に安い金額です。
大学の教授だけでなく他大学の教授や弁護士の方が先生になってくれます。
というように大学によって異なった制度で生徒をサポートしてくれるのでよく調べてみてください。
学部についてどんなことを勉強するのか、大学によっての違いなどよく調べて文理選択、学部選択、志望校決定をしてくださいね!
おわりに
いかがでしたか?
同じ法学部でも大学によってカリキュラムに差があります。
自分が将来したい仕事のことを考えてみて、それにあったカリキュラムのある大学を選んでくださいね!