一橋大学法学部の授業紹介

はじめに

みなさんは大学の授業内容をご存じですか?

「高校の勉強とは違う」ことはなんとなく知っている方が多いと思いますが、詳しい授業内容まではよく知らないのではないでしょうか。

この記事では、一橋大学法学部2年生の筆者が、一橋大学法学部の概要や授業内容について詳しく解説していきます。

一橋大学志望者はもちろん、法学部の授業は暗記ばかりでつまらないのではないかと思っている人も、ぜひ最後までこの記事を読んでみてください!

一橋大学法学部の紹介

一橋大学法学部の定員と主な進路先

一橋大学は国立(くにたち)にある国立大学で、自然に囲まれたキャンパスが特徴です。

法学部の他に、商学部・経済学部・社会学部があります。

法学部の定員は170名です。

商学部、経済学部の定員が275名、社会学部の定員は235名なので、学内では一番人数の少ない学部ですね。

一橋大学の法学部と聞くと、大多数の学生が司法試験を受けるイメージを持たれるかもしれません。

しかし実際のところは、進学して司法試験を目指す学生は全体の2割~3割ほどで、残りの7~8割ほどが就職するといわれています。

そのため、一橋大学法学部に入ったからといって、司法試験を目指さない人がマイノリティになるということはありません。

一橋大学法学部で学べる分野は2つ

一橋大学法学部で学べる内容は大きく分けて2つあります。

一つは法律分野、もう一つは国際関係分野です。

3年生になるとコース選択があり、法律分野である「法学コース」「法曹コース」と、国際関係分野である「国際関係コース」の3つに分かれます。

法学コースはその名の通り、法律を学ぶコースです。

おそらく高校生の皆さんが一般的に想像するような、いわゆる法学部らしいコースではないかと思います。

法曹コースは2020年度に新設されたコースで、弁護士や検察官、裁判官といった法曹を育成するためのコースです。

ちなみに法曹コースに登録するには、高いGPA(大学の成績)が必要になります。

そのため、法曹コースを目指したい人は、入学時から高い成績を修められるように努力することが不可欠です。

国際関係コースでは、現代社会の情勢や、国際関係の歴史について勉強できます。

外交官や、国際的な活動をする機関・企業などへの就職を進路として考えている人におすすめです。

一橋大学法学部の必修科目

一橋大学法学部の大きな特徴として、必修科目が少ないことが挙げられます。

学部卒業要件は明確に決まっていますが、他学部の科目や一般教養科目など、興味のある科目を取りやすいことは非常に良い点でしょう。

ただ1年生のうちは、必修の外国語の授業が多くて驚くかもしれません。

まず、全学部必修のPACEと呼ばれる英語の授業が週2コマあります。

PACEではネイティヴ講師がクラスごとについていて、英語でプレゼンテーションやディスカッションを行ないます。

クラスは入試での英語の得点によって、基礎強化・標準・発展・発展+の4段階に分けられます。

そして法学部と社会学部の1年生は、週2コマの第二外国語の授業も必修です。

よって週に計4コマもの外国語の授業を受けることになります。

ちなみに、第二外国語はフランス語・スペイン語・中国語・韓国語・ロシア語の5言語の中から選ぶことができますよ。

特に人気な言語は中国語です。

というのも、中国語は話者数が世界トップであり、今後のビジネス面での需要も増大していくと考えられているためです。

一橋大学法学部1年生の時間割

筆者の実際の時間割を紹介します!赤字は必修授業です。

一橋大学法学部1年生の時間割:春学期

一橋大学法学部1年生の時間割:秋学期

一橋大学法学部1年生の授業紹介

1年間授業を受けてきて、特に記憶に残っている授業について簡単に紹介します。

これを見て、法学部の授業のイメージを掴んでください!

一橋大学法学部1年生の授業紹介①:民法総則物権

まず紹介するのは、「民法総則物権」です。読んで字のごとく、民法について勉強します。

「ダイヤの指輪だと思って買ったのに、実はガラス製だったら、契約はどうなるのか」

「Aさんが、BさんとCさんに同じモノを売った場合、所有権はどちらに移るのか」

といった、非常に日常的なシーンと密接する法律が民法です。

そのため、取っかかりづらい印象の強い「法律」に対して、非常に親近感がわきました。

また筆者は大学に入学する前は、分厚い六法全書に書かれている法律を一言一句暗記するのが法学部の勉強内容だと思っていました。

ところが実際は全く違い、暗記よりも「なぜこの結果に導かれるのか」という点を論理的に考えていくのが重要であるということをこの授業を通して気づかされました。

一橋大学法学部1年生の授業紹介②:刑法各論

次に紹介するのは、「刑法各論」です。

こちらも読んで字のごとく、刑法について勉強する授業です。

詐欺や脅迫、暴行、殺人、放火といった、テレビでもよく耳にする、様々な罪についてそれぞれ勉強していきます。

刑法の授業では、裁判所が出した判例と、学者が唱える学説の理論を勉強し、法律的なセンスを磨いていきます。

またこの授業では、定期的にレポート提出が求められ、論述問題の練習もしました。

レポートでは、例えば「食い逃げをしたが、店員にばれていない場合は刑法上どのような罪に問われるか」など「どのような罪責か」を論ずる課題が出されます。

食い逃げは犯罪だと思われている方も多いのではないでしょうか。

しかし実は、店員にばれていない場合は刑法上の犯罪にはなりません。

これは「利益窃盗」と呼ばれ、物品を盗んでいない場合は窃盗罪に問われないのです。

「食い逃げ」という非常に身近なテーマであっても、知らないことが多くあり、興味深い学問です。

一橋大学法学部1年生の授業紹介③:ヨーロッパ国際関係史

最後に紹介したいのが、「ヨーロッパ国際関係史」です。

一見すると社会学部の授業と思われるかもしれませんが、これもれっきとした法学部の授業の一つです。

高校生のときは、法律と歴史はまったく関係のないものだと思っていました。

しかし実際に法学部に入学してみて、歴史を学ぶことに大きな意味があることに気づきました。

特に近代ヨーロッパの歴史は、西洋の国際関係の上で、人々が権利を獲得し、法律を作っていった過程を考えると、法学部生にとって非常に重要だと思います。

この授業では、そんな近代ヨーロッパの国際関係の歴史を学びます。

授業内容の半分程度は高校で既習の事項ですが、高校では習わない考え方や裏事情を学ぶことができるので、個人的にはこの授業が一番面白いと感じました。

例えば戦争が起こる原因1つをとっても、物資を争うためであったり、宗教上の理由であったりとたくさんあります。

しかし、どのようにして戦争へ至るのかといった副次的な理由までは、高校の世界史の範囲ではなかなか教えてもらえません。

一方この授業内では、戦争に至るまでの過程や事情について詳しい解説がありました。

既習事項であっても、より詳しく学ぶことで、なぜ戦争が起きるのか、どうすれば未然に防げたのか、など新しい視点から歴史を考えることができました。

ちなみに、一橋大学の世界史が難問ぞろいなのは有名ですが、その問題を作った先生がこの授業を担当しているといわれています。

世界史好きな方にはぜひ取ってほしい授業です。きっと、世界史をもっと好きになれるでしょう。

おわりに

一橋大学法学部1年生の授業内容について、イメージを掴むことができましたか。

法学部と聞くと、法律ばかり勉強しているつまらなそうな学部だと思う方や、つぶしがきく学部というイメージを持つ方が多いかもしれません。

ですが、実際の授業は非常に面白く、様々な分野が存在するため、きっとあなたに合う分野を見つけられるはずです。

興味がわいた方はぜひ一橋大学法学部の受験を視野にいれてみてください。




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