はじめに
受験生のみなさん、併願校について考えていますか?
私立大学(以下私大)は東京大学(以下東大)と入試科目や問題形式が違うため、勉強のバランスや日程調整なども気にしなくてはいけないので大変ですよね。
本記事では、東大生へのインタビューをもとに、併願校選びのポイントを解説します。
文系・理系問わず全科類の東大生にインタビューしたので、東大を志望する方にも他の国立大学を志望する方にも有用な情報があると思います。是非参考にしてください!
東大生が教える併願校の決め方
【併願校の決め方】①浪人と併願校への進学可能性を考える
まず併願校を決める前に、東大に不合格だった場合にどうするのかを考えておく必要があります。
浪人して東大を再受験するのか、併願校に進学する意思があるのかによって、併願校選びで重視するポイントが変わるためです。
浪人する場合、受験会場慣れが併願の目的になるため、東大入試と併願校の試験日程の間隔や試験科目や形式が似ているかどうかを重視することになります。
併願校に進学する可能性がある場合、進学したいと思える学部を選ぶことが最優先になります。
【併願校の決め方】②試験日程の間隔を考慮する
東大の二次試験は例年2月25日から26日の2日間(理科三類のみ27日までの3日間)で行われます。
東大に不合格となった時に進学する可能性が高い併願校でなければ、5日前くらいからは受験しに行くのを避けた方が良いでしょう。
直前期は東大の試験のことだけを考えて、そこに向けた最後の調整ができた方が良いですよね。
【併願校の決め方】③複数の受験方式を組み合わせて併願する
併願校は共通テストを使う大学と使わない大学の両方に出願しておくなど、複数の受験方式を組み合わせることがおすすめです。
入試では不測の事態がつきものです。共通テストや私大受験で本来の実力を発揮できなかった時に、他の方式で合格を得られるように組み立てておきましょう。
共通テストで失敗してしまった場合でも、早慶の共通テストを利用しない受験方式などが東大生に多く併願されているようですよ。
現役東大生に聞いた併願校を科類毎に大公開!
文科一類合格者の併願校と受験生におすすめの併願校
Aさんの併願校:早稲田大学法学部(共通テスト利用で合格)、法政大学法学部(共通テスト利用と統一日程の両方で合格)
文科一類を志望する受験生は、法学部を併願する人が多いですね。
東大受験に向けた勉強をしていれば共通テストで9割を得点できるため、早稲田大学の共通テスト利用だけで十分という意見もありました。
私大の一般受験をしないことで、共通テスト後に東大対策に集中できるというメリットがありますね。
Bさんの併願校:慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、明治大学(すべて一般受験法学部・合格)
私大の一般受験をする人も多くいます。
しかしBさんは、偏差値を特に重視して併願校を選んだ結果、長い受験期の後半でやる気をなくしてしまったそうです。
併願校は偏差値だけではなく、進学後の生活をイメージして選ぶことも重要ですね。
文科二類合格者の併願校と受験生におすすめの併願校
Cさんの併願校:慶應義塾大学経済学部・商学部、早稲田大学政治経済学部(すべて合格)
Cさんは慶應義塾大学商学部を、経済学部の手応えがなかったため一応受験したそうです。
しかし、東大文科二類合格に向けて勉強をしていれば自ずと慶應義塾大学経済学部と早稲田大学政治経済学部に合格できる実力がつくと感じたため、この2校のみを受験すればよかったと思っているそうですよ。
ただし、慶應義塾大学経済学部は東大の入試問題と形式が異なり、より速く解くことが求められるので、対策を1週間以上余裕を持って取り組むべきだそうです。
また、慶慶應義塾大学の方が早稲田大学より日程が早く、東大受験前に移動時間などの日程的な余裕ができることなどを考えて併願校を決めると良いですね。
文科三類合格者の併願校と受験生におすすめの併願校
Dさんの併願校:早稲田大学政治経済学部・法学部(合格)、慶應義塾大学経済学部(合格)、上智大学経済学部(不合格)
上智大学経済学部は共通テストと数学の独自試験で合格が決まりますが、Dさんは共通テストで実力が発揮できず、数学も苦手教科だったため、不合格となりました。
早めの合格が欲しくて上智大学を受験したそうですが、共通テストから入試の日程が近くて体調を十分に整えることができなかったことも要因でしょう。
併願校であっても、入試の形式を確認しておくことが重要ですね。逆に上智大学の独自試験では数学の点数の比重が大きいので、数学が得意な人にはおすすめですよ。
ちなみに、文科三類は文学部に興味がある人が比較的多いですが、早慶の経済系の学部を併願した人も多くいます。
経済系の学部は数学受験ができ、とても細かい用語が問われる歴史よりも対策がしやすいためです。
また、早稲田大学法学部や慶應義塾大学の一般入試では共通テストの点数を利用しないため、共通テストで失敗しても挽回できますよ。
理科一類合格者の併願校と受験生におすすめの併願校
Eさんの併願校:早稲田大学基幹理工学部、慶應義塾大学理工学部(合格)
Eさんは入試の緊張感を早慶の一般受験で体験しておいたことが、東大の二次試験で緊張しないことに繋がり良かったと感じているそうです。
特に、本番経験の少ない現役生はできるだけ第一志望校の受験前に併願校で受験会場に慣れておくと良いでしょう。
早慶の理工学部は、東大理一合格に向けて勉強していれば解答形式を確認する程度の対策で大丈夫です。
具体的には、慶應義塾大学理工学部の数学は穴埋め式ですが難易度は東大と同レベル、早稲田大学は東大と同じく記述式で難易度は比較的低めとなっています。過去問演習は2年分程度で十分でしょう。
東大の入試の前に私大対策で時間を取られてしまうことを懸念している人も、実際の入試を経験して、東大入試本番で緊張しないようにしておくことをおすすめします。
また、併願校に複数合格した場合、東大の合格発表前に入学金を納める大学を決める必要があります。
入学金納入締切直前に悩むよりも、先に併願校の情報を調べて優先順位を決めておくと、東大受験直前に余計な時間を取られなくて良いですよ。
理科二類合格者の併願校と受験生におすすめの併願校
Fさんの併願校:早稲田大学政治経済学部(共通テスト利用)・基幹理工学部、慶應義塾大学理工学部(すべて合格)
早稲田大学政治経済学部の共通テスト利用入試は、配点が英数国の200点×3=600点、社会100点理科100点を加えて800点なので理系でも出願できます。
共通テスト利用入試に出願して結果を見ることで、自己採点が間違っていないか確認することもできますよ。
Fさんは、政治経済学部と理工学部のみに出願したため、もし今から併願校を決めるとしたら、それぞれの学部の専門性を調べてから学部を見るようにすると言います。
東大理二入学後に生物系に興味が湧いたため、受験当時から色々な興味の幅を持って調べた方が良かったと思っているそうです。
理科三類合格者の併願校と受験生におすすめの併願校
Gさんの併願校:慶應義塾大学医学部(合格)、東京医科歯科大学医学部医学科(後期出願のみで受験せず)
理科三類を志望する受験生には慶應義塾大学医学部を併願するのがおすすめです。
理科三類と受験者層が一番近いと言われているため、首都圏在住の人は特に受験しておくと良いでしょう。
併願校が慶應義塾大学1校だけでは心配な人は、もうひとつどこかの医学部を受けると安心です。
しかし、他大学の入試が行われる時期は、共通テストが終わって東大対策を思う存分できる時期でもあります。
そのため、併願校の対策に時間がかかってしまう人は、理科三類・慶應義塾大学医学部以外で2校以上受けることは避けた方が良いでしょう。
東京大学や慶應義塾大学と比べると、他大学では入試の難易度が異なるため、第一志望校の対策に専念した方が良いですね。
おわりに
浪人してでも東大にだけ行きたい人は、場慣れを目的として併願校を選ぶことになると思います。そのため、日程や科目、難易度を考慮するのがポイントです。
東大に不合格だったとしても浪人せずに他の大学に進学する人は、自分の行きたい分野を考慮して併願の大学・学部を決めるのが大切です。
ご紹介した東大生の実体験を参考に、併願校を考えてみてくださいね。