はじめに
一橋大学の商・経済・法・社会の4学部を受験するには、必ず二次試験で社会を受ける必要があります。
世界史・日本史・地理の中から一つ選べますが、地理の受験者はかなり少ないです。
大学側からは情報が出されていませんが、河合塾の「一橋入試オープン」では、地理を受けた人は全体の約1割程度……。
そのため、情報が少なく集めるのが難しくなってしまっています。
そこでこの記事では、実際に地理を使い一橋に合格した体験談を元に、一橋地理の概観や対策を解説していきます!
目次
一橋地理について
【一橋地理について】①出題傾向は?
まず、一橋の地理は大問3つで構成されていて、制限時間は120分です。
ほぼすべての小問が論述問題ですが、たまに選択式や短答式の問題が出ることもあります。
解答用紙は25×40マスの紙が3枚、つまり1つの大問ごとに400字詰めの原稿用紙が配られます。
初めから解答欄が作成されていないため、指示に従って解答を書くことが必要です。
一橋の地理では、各大問ごとに大まかなテーマが設定されています。
テーマは難しいものが多く、一見すると地理の問題には見えないのが特徴です。
たとえば、2020年に出題されたアフリカにおける携帯電話の普及に関する問題などは、経済や情報分野の問題のように思えてしまいます。
また、100〜200字程度の論述問題が大問ごとに2、3題設定されていることが多いです。
【一橋地理について】②特徴は?
一橋は社会が難しいことで有名ですが、その中でも地理はレベルが高いです。
判別が難しいデータが使われ、正確に読み取る必要があったり、なじみのない用語が出てきたりと、高度な思考力と知識力が要求されるのが主な理由です。
また、経済地理など、高校地理の範囲外が扱われることがあるのも要因の一つです。
もう一つの特徴としては、他の大学と内容が一味違うところが挙げられます。
ここで、過去の出題例を見てみましょう。
2024年:(1)コロンビアの農業(2)国際的生産分業における日本の立ち位置(3)パーソントリップ調査
2023年:(1)都市農業(2)世界の地域開発と日本への影響(3)子どものあそび場
テーマから見ても独特さが伝わってきますよね。
このような問題には単純な地理の知識だけでは太刀打ちできず、政治や経済などの他分野と地理を関連付けて考えたり、自分の意見を述べたりする力が必要です。
また、膨大な資料が与えられるため、必要な情報を素早く取捨選択する必要もあります。
【一橋地理について】③どんな人に向いてる?
第一に挙げられるのは地理が好きな人です。
高度な思考力が求められるため、地理的な考え方が楽しめるかどうかがカギになります。
好きでないと勉強のモチベーションもなかなか続きません。
また、稀なケースですが、文転して歴史科目を暗記する時間がない人にも向いています。
共通テストに向けて地理を勉強していることが多いからです。
歴史とは違い、地理はしっかりと考えれば答えが出てくる問題が少なくないので、点をより多くもらえる可能性が大きいです。
一橋地理の対策法とは?
【一橋地理の対策法】①基本的な論述の対策をする
まずは論述用の参考書や資料集を使いましょう。
参考書で、論述を書く際の考え方や論理の組み立て方を身に着けてください。
また、データブック オブ・ザ・ワールド(二宮書店)のような資料集を使い、細かいデータや各国の詳細などに目を通してください。
教科書の内容だけでは対策不足となってしまいます。
また、先生に添削してもらうのもよいでしょう。
どのような地理の問題を解くにせよ、自己採点だけでは気づかない視点があります。
確認のために知識のある他人の目を介するのはかなり有益です。
また、採点者が求める解答に近づけることもできます。
【一橋地理の対策法】②過去問や模試を活用する
基本を一通り学んだら、過去問を使いましょう。
似た傾向の問題を出している大学がないため、一橋の過去問を軸に演習しましょう。
また、教科別の難関校過去問シリーズ(教学社)では、一橋の地理のみが出版されていません。
2020~2024年の過去問が載っている2025年版と、2014~2019年の過去問が載っている2020年版を買うなど、通常の赤本を2冊程度購入するのがおすすめです。
冠模試の受験も有効な対策です。
執筆現在では、一橋の冠模試があるのは、東進(年2回)と河合(年1回)のみです。
東進は返却が素早く、河合は受験者数が多いという特色がそれぞれあります。
少なくともどれか1回、特に秋〜冬ごろに開催されるものを受けましょう。
本番との難易度の差は教科によってさまざまですが、地理は本番より簡単な場合がほとんどです。基礎力を測るのに使いましょう。
また、模試を受けた直後や答案が返ってきた後には必ず復習してください。
【一橋地理の対策法】③問題文の要求を正確に読み取れるようにする
一橋地理では、よく聞いたことのない概念が導入されて答え方に困るときがあります。
正しい答案を書くには、「何を聞かれているか」を常に考える力が必要です。
演習を進めるとともに、普段から世界や日本の情勢に関心を向けることがよい対策になります。
大問ごとのテーマとして、目立った出題パターンが3つあります。
1つ目は、発展途上国に関連した問題です。
2024年のコロンビア、2023年のアフリカなどが該当します。農業や工業化について問われることが多いです。
2つ目は、政治・経済に関連した問題です。貿易に絡めた問題が多くあります。
3つ目は、高校地理では扱われない指標や視点を用いた問題です。
これが一橋地理の最大の特徴となり、大問3で出題されることが多くあります。
2024年の「パーソントリップ調査」や2023年の「子どもの遊び場」などが該当します。
さまざまな視点になれておくためにも、ニュースや新聞を見る習慣をつけるのがおすすめです。
おわりに
一橋地理は対策が難しいですが、基礎的な知識を基にして論理的思考力を身に着けることが重要になります。
何よりも、地理を楽しめることが重要です。
この記事を活用して、本番までに万全な対策を行ってください!