はじめに:20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方を徹底解説!
20世紀文学に関する文化史は、地味に覚えることが多くて大変ですね。
そこでこの記事では、覚えるのが大変な20世紀文学に関する文化史を攻略するために、その特徴と覚え方を徹底的に解説します。
20世紀文学に関する文化史が次のテストの範囲に入っている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
- 神余秀樹『タテヨコ総整理 世界史×文化史集中講義12』旺文社、2012年。
目次
20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方
具体的な特徴の説明に入る前に、文化史の覚え方について1つ注意点を挙げておきます。
それは、「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。
暗記項目が多い試験の直前になると、一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、一晩で覚えられる内容なんてたかが知れています。
一気に全部覚えようとするよりは、分野ごとに覚える内容を分けて、少しずつ覚えていく方が効果的です。
この記事で紹介する覚え方のテクニックを使いながら、地道にコツコツ学習を続けてくださいね。
20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方①:〜第一次世界大戦
今から約100年前。ヨーロッパの人々は史上初めての総力戦・第一次世界大戦に巻き込まれようとしていました。
その戦火の中で、文人たちはなお一層創作活動に勤しみました。そこで以下では、第一次世界大戦前後にヨーロッパで活躍した作家を4人紹介します。
バーナード=ショー
1人目はバーナード=ショー。
アイルランドの首都ダブリンで生まれたショーは、文学者でありながら社会活動家でもありました。
ショーの社会活動として世界史的に有名なのは、1884年の「フェビアン協会」の設立でしょう。
「フェビアン協会」はイギリスにおける社会主義の発展のために設立された団体で、後のイギリス労働党の基盤となりました。
ショーにとっての文学創作は、社会活動の一環だったというわけです。
ロマン=ロラン
2人目はロマン=ロランです。
フランスに生まれたロランは、第一次世界大戦中に受賞したノーベル文学賞の賞金を国際赤十字に全額寄付したり、ファシズムの台頭に対抗して国際反ファシスト委員会の名誉総裁を務めたりして、世界平和のための活動に情熱を傾けていました。
そんなロランの代表作は『ジャン=クリストフ』です。この小説は、ベートーヴェンをモデルとする音楽家の生涯を描く歴史小説で、ドイツ人とフランス人との融和が描かれています。
『ジャン=クリストフ』は、ロランの平和への願いがこめられた傑作と言えるでしょう。
トーマス=マン
3人目はトーマス=マンです。
平和主義を主張し続けたロマン=ロランと違って、トーマス=マンは積極的に戦争を賛美していました。
そんなマンの代表作は『魔の山』・『ファウスト博士』です。
ロマン=ロランの『ジャン=クリストフ』と併せて読むと、両者の考え方の違いがよくわかりますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
ヘルマン=ヘッセ
4人目はヘルマン=ヘッセ。
南ドイツに生まれたヘッセは、ロマン=ロランと同様に反戦主義を唱え、穏やかな人間の生き方を示す作品を発表し続けました。
ヘッセの作品の中でも特に有名なのが、『車輪の下』です。『車輪の下』には、学校と家庭に悩みを持つ少年の内面が赤裸々に描かれています。
高校生の皆さんにも共感できる内容がたくさん含まれているので、興味があればぜひ一度読んでみてくださいね。
フランツ=カフカ
最後は、お馴染みのフランツ=カフカです。
ユダヤ系のフランス人だったカフカは、生前こそほとんど無名の存在でしたが、死後は実存主義文学の金字塔として幅広く支持されるようになりました。
そんなカフカの代表作は『変身』です。
突然虫に変身してしまった人間の孤独・不安を克明に記述したこの作品は、発表から約100年が経過した今なお読み継がれる世紀の傑作です。未読の人はぜひ読んでみましょう。
覚え方
第一次世界大戦期の作家について、覚えるべき内容は以下の通りです。
- バーナード=ショーが「フェビアン協会」を創立する
- ロマン=ロラン(反戦派)
- トーマス=マン(好戦的)
- ヘルマン=ヘッセ(反戦派)
- カフカが『変身』を著す
カフカについては、かなり有名なので問題ないでしょう。
バーナード=ショーが「フェビアン協会」を創立したことについては、「バーミアン」という語呂合わせで簡単に覚えられます。「バー」ナード=ショーが、フェビ「アン」協会を作った、というわけですね。
トーマス=マンが戦争に賛成していたことは、「戦争マン」という(不謹慎な)語呂合わせを作って覚えるのがオススメです。
マンが戦争に賛成的だったと理解できれば、ロランとヘッセはその逆の反戦派だ、と自然に頭に入りますね。
覚えることが多い場合は、こんな風に少しずつコマ切れにして覚えるようにしましょう!
20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方②:戦間期
次に、第一次世界大戦から第二次世界大戦期にかけて活躍した作家を3人紹介します。
ヘミングウェイ
人類史上初の総力戦となった第一次世界大戦。当時の才能ある作家たちの中にも、自ら戦火に飛び込んで生き抜いた人たちがいました。
その中の1人がヘミングウェイです。彼は、スペイン内戦における経験をもとに『誰がために鐘は鳴る』という小説を著しました。
戦争の渦中における男女の恋を描いた物語なので、興味のある人はぜひご一読ください。
アルベール=カミュ
次は、実存主義作家として名高いアルベール=カミュを紹介します。
アルジェリア生まれのフランス人であるカミュは、アルジェリアでの生活をモチーフに『異邦人』や『ペスト』などの著作を発表しました。
いずれも文学史に残る大作ですが、特に『ペスト』は昨今の新型コロナウイルスの流行によって再び注目されるようになっています。
未読の方はぜひ目を通してみてください。
ジャン=ポール・サルトル
最後はサルトルです。カミュと同じく(カミュと並び称されることをサルトルは嫌悪していたようですが)、実存主義的な作家として有名な文人です。
哲学者でもあった彼は、「<ある>とは何か?」という深遠な問いを胸に、『嘔吐』や『存在と無』などの作品を発表しました。
いずれも、サルトル独自の存在論が色濃く反映された著作なので、初見の方はまずサルトルの思想に関する入門書を読んでみるのがオススメです。
覚え方
ヘミングウェイに関しては、陽気な男女が「ウェーイ」と肩を組んでいる場面を想像すれば『誰がために鐘は鳴る』というロマンチックなタイトルを覚えやすくなります。
カミュとサルトルは、名前の字数とタイトルの字数が一致していることに注目して、3文字ならカミュ(異邦人)、4文字ならサルトル(存在と無)と覚えましょう。
20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方③:ヨーロッパ以外の文学
最後に、ヨーロッパ以外で活躍した作家を2人紹介します。
マーガレット=ミッチェル
1人目は、アメリカの女性作家マーガレット=ミッチェルです。
人名は馴染みがないかもしれませんが、『風とともに去りぬ』の著者であると言えばわかるでしょうか。
そう、南北戦争時代のアメリカ南部を生きた女性の人生の動乱を描いた、あの『風とともに去りぬ』の著者がマーガレット=ミッチェルです。
アメリカ現代史でも頻出の人物なので、しっかり押さえておきましょう。
魯迅
2人目は、中国の作家魯迅です。
中国への列強進出が決定的になっていた20世紀初頭、魯迅はその時代特有の絶望感を『狂人日記』という作品に表現しました。
『狂人日記』は、当時としては珍しく口語(話し言葉)で書かれており、この作品は後の「白話(口語)文学運動」へと繋がっていきました。
中国現代文学の転換点を作ったという点で、魯迅は非常に重要な人物です。
覚え方
ミッチェルについては、作品名の方が有名なので、作品名→作品の内容→作者の順に覚えるのがオススメです。風とともに去りぬ→女性の物語→女性名→マーガレット、という風に。
魯迅は、「ロジンのキョージン」という語呂合わせを作ると、作品名と作者といっぺんに覚えられます。ぜひお試しあれ。
おわりに:20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方のまとめ
いかがでしたか?
この記事では、20世紀文学に関する文化史の特徴・覚え方について徹底的に解説しました。
文化史を覚えるときに重要なのは、前にも言ったように「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。
急がば回れの気持ちで、ゆっくり少しずつ覚えるようにしてくださいね。
それでは!