19世紀ヨーロッパ文学に関する文化史の特徴と覚え方を徹底解説!【世界史文化史】

はじめに:19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方を徹底解説!

19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史は、興味がない人にとっては非常に覚えにくい分野ですよね。

そこでこの記事では、非常に覚えにくい19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史を攻略するために、その特徴と覚え方を徹底的に解説します。

19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史が次のテストの範囲に入っている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

この記事の内容を詳しく知りたい方は、以下の参考書を読んでみてください。

  • 神余秀樹『タテヨコ総整理 世界史×文化史集中講義12』旺文社、2012年。

19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方

具体的な特徴の説明に入る前に、文化史の覚え方について1つ注意点を挙げておきます。

それは、「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

暗記項目が多い試験の直前になると、一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、一晩で覚えられる内容なんてたかが知れています。

一気に全部覚えようとするよりは、分野ごとに覚える内容を分けて、少しずつ覚えていく方が効果的です。

この記事で紹介する覚え方のテクニックを使いながら、地道にコツコツ学習を続けてくださいね。

19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方①:古典主義

18世紀から19世紀にかけて、ドイツではキリスト教以前の古典時代をモチーフとした古典主義文学が盛り上がりを見せていました。

そのドイツ古典主義文学の代表格が、ゲーテとシラーです。順に見ていきましょう。

ゲーテ

まずは有名なゲーテから。ゲーテの有名な著作と言えば、やはり『若きウェルテルの悩み』と『ファウスト』でしょう。

『若きウェルテルの悩み』は、主人公ウェルテルが、自分の友人を想う気持ちとその友人の妻を想う気持ちに板挟みにされて、最終的に自殺してしまう小説です。

『若きウェルテルの悩み』が発行された当時、ウェルテルの真似をして自殺する人が急増したと伝えられています。まさに時代を代表する伝説的作品と言えるでしょう。

古代ドイツの伝承をモチーフとした『ファウスト』は、メフィストという悪魔と契約して若さを取り戻すファウスト博士の冒険譚を描いた物語です。

読んだことがない人は、ぜひあらすじだけでも押さえておいてくださいね。

シラー

お次はシラーです。

シラーは、ゲーテとともに「疾風怒濤」運動を打ち立て、「理性の命ずるところ、恐るるなく邁進せよ!」というテーゼを主張しました。

要するに、理性が求める理想をとことん突き詰めなさい、ということですね。

そんなシラーの代表作は『群盗』です。名前からして崇高な理想からはかけ離れているようですが、頻出単語なのでぜひ覚えておいてくださいね。

覚え方

ゲーテに関しては、有名なので問題ないでしょう。問題はシラーです。

シラーについては、「シラっと(しれっと)盗む」という語呂合わせを作ると、「シラー」と『群盗』をいっぺんに覚えられます。ぜひやってみてください。

19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方②:ロマン主義

古典主義がキリスト教成立以前の古代世界をモチーフにしたのに対して、キリスト教全盛期の中世をモチーフにしたのがロマン主義文学です。

ロマン主義の文学者たちは、自分たちのキリスト教伝統を重視し、その生活様式を高く評価しました。

ここでは、ロマン主義を代表する文人を3人紹介していきます。1人ずつ覚えていきましょう。

ハイネ

まずはハインリヒ=ハイネです。

ユダヤ人だったハイネは、社会活動家マルクスと親交が深く、「革命詩人」と呼ばれていました。

そんなハイネの代表作は『歌の本』革命とは無縁そうなメルヘンチックなタイトルですが、ギャップを気にせず覚えましょう。

ユーゴー

次はヴィクトル=ユーゴーです。

フランス・ロマン主義の文学者であると同時に政治家でもあったユーゴーは、1852年にフランスで独裁権を得たルイ=ナポレオンがナポレオン3世として皇帝に即位したことに反発したために、亡命を余儀なくされてしまいます。

この亡命生活中に発表したのが、代表作の『レ=ミゼラブル』です。

『レ=ミゼラブル』で一躍有名になったユーゴーは、その後も作品を発表し続け、時代を代表する作家になりました。

バイロン

最後はバイロンです。

イギリスのロマン主義作家であるバイロンは、古代ギリシア文化に深く傾倒しており、ギリシア文化に根付いた作品を多数発表しました。

また、当時勃発していたギリシア独立戦争にも、自身が愛するギリシアを守るために参加するのですが、不幸にもそのギリシアで客死することになってしまいます。

覚え方

ハインリヒ=ハイネは、『歌の本』の著者として覚えましょう。ハイネ=「ハイ=高い+ネ=音」と考えれば、ハイトーンの音で歌うハイネ、と連想できます。

ハイネが歌う様子をイメージできたら、『歌の本』の作者であることも自然と頭に入りますよね。

ユーゴーについては、「ミゼラブル」が「無情」という意味であることを踏まえて、「友情(ユージョー)が無情(ミゼラブル)」という語呂合わせを作って覚えましょう。

ハイネとユーゴーまで頭に入ったら、あとはバイロンだけです。

バイロンについては、ギリシアとの関連さえ押さえられていれば良いので、この記事の内容を一読すれば問題ありません。安心して、次の内容に進みましょう。

19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方③:写実主義

ロマン主義は、ヨーロッパの伝統であるキリスト教文化の素晴らしさを唄いあげましたが、この運動は人間の内面の弱さ・醜さを蔑ろにしていると批判を受けました。

この批判を受けて登場したのが写実主義です。写実主義とはその名の通り、人間の内面をありのまま描こうとする文学運動を指します。

ここでは、その写実主義の文学者を4人紹介していきます。

スタンダール

まずはスタンダールです。

スタンダールは『赤と黒』という代表作の中で、フランス七月革命が勃発する直前の社会で出世をもくろむ青年ジュリアンの姿を描き切りました。

ちなみに、「赤」は軍服を、「黒」は僧侶の服装のことです。「赤と黒」とは、軍人か僧侶になれば出世しやすいという当時の暗黙の了解を暗に意味しているのです。

フローベール

お次はフローベールです。

フローベールは、『ボヴァリー夫人』という作品の中で、平凡な日常から逃れるために色恋に溺れ破滅していく女性の姿を写実的に描きました。

『ボヴァリー夫人』は、主人公である女性の破滅のありさまがあまりにも鮮烈で、公序良俗に反すると指摘され発禁処分になるほど、当時の社会に強い影響を与えました。

日本では、元東京大学総長の蓮實重彦氏が『「ボヴァリー夫人」論』という有名な研究書を発表しています。一読して訳がわからなくなった人は、蓮實氏の著作にも目を通してみましょう。

ドストエフスキー

3人目は、お馴染みのドストエフスキーです。

ロシア革命期を生きたドストエフスキーは、絶対王政の遺産である専制政治と農奴制を廃止したいという使命感と現実の厳しさに悩んでいました。

この苦悩を巧みに表現したのが彼の著作『罪と罰』・『カラマーゾフの兄弟』です。

彼の暗く屈折した苦悩は、当時の多くの活動家に支持されました。そして言うまでもなく、ドストエフスキーの名声は現代まで轟いています。

トルストイ

ドストエフスキーと同じロシアの写実主義文学者として有名なのがトルストイです。

世界史的知識に明るかったトルストイは、ナポレオンのロシア遠征をモチーフとして、戦争期におけるロシア貴族の人間関係を『戦争と平和』に表現しました。

『戦争と平和』の中にはトルストイ自身の歴史観が明確に打ち出されています。革命期のロシアを知る上では格好の教材となるでしょう。

覚え方

ドストエフスキーとトルストイは、世界史以外(現代文や倫理・現代社会)でも出てくる有名人なので問題ないでしょう。問題はスタンダールとフローベールです。

スタンダールが『赤と黒』の作者であることは、赤と黒が「スタンダード」な色だと考えれば自然に覚えられます。

フローベールに関しては、「ベール」という単語から「ヴェールに身を包んだ女性」をイメージし、その女性についての小説が『ボヴァリー夫人』であると考えれば覚えやすいですね。

おわりに:19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方のまとめ

いかがでしたか?

この記事では、19世紀ヨーロッパの文学に関する文化史の特徴・覚え方について徹底的に解説しました。

文化史を覚えるときに重要なのは、前にも言ったように「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

急がば回れの気持ちで、ゆっくり少しずつ覚えるようにしてくださいね。

それでは!

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