ローマ文化の特徴・覚え方を徹底解説!【世界史文化史】

はじめに:ローマ文化の特徴・覚え方を徹底解説!

紀元前後に地中海世界を席巻したローマ帝国の歴史は、とても複雑で覚えにくいですよね。

通史を覚えるのも大変ですが、流れのない文化史を覚えるのはもっと大変です。

そこでこの記事では、非常に覚えにくいローマ文化史を攻略するために、ローマ文化史の特徴と覚え方を徹底的に解説します。

ローマ文化史が次のテストの範囲に入っている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

この記事の内容を詳しく知りたい方は、以下の参考書を読んでみてください。

  • 神余秀樹『タテヨコ総整理 世界史×文化史集中講義12』旺文社、2012年。

ローマ文化の特徴・覚え方

具体的な特徴の説明に入る前に、文化史の覚え方について1つ注意点を挙げておきます。

それは、「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

暗記項目が多い試験の直前になると、一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、一晩で覚えられる内容なんてたかが知れています。

一気に全部覚えようとするよりは、分野ごとに覚える内容を分けて、少しずつ覚えていく方が効果的です。

この記事で紹介する覚え方のテクニックを使いながら、地道にコツコツ学習を続けてくださいね。

ローマ文化の特徴・覚え方まとめ①:文学

ローマの文学で抑えておいて欲しいのが、以下の2人です。

  • ヴェルギリウス:『アエネイス』
  • キケロ:『国家論』

ヴェルギリウス

ヴェルギリウスは、叙事詩『アエネイス』を編纂した詩人です。

「アエネイス」とはとある落武者の名前で、彼が地中海を漂流する様子が『アエネイス』には収められています。

キケロ

一方キケロが著した『国家論』は散文で、プラトンの『国家』を継承した政治論が綴られています。

覚え方

ヴェルギリウスの『アエネイス』とキケロの『国家論』を覚えるのは簡単です。

著者と作品名が、名前の長さに対応していると考えればいいのです。

名前の短いキケロが、同じく名前の短い『国家論』を著していると考えれば、この2人の組み合わせで間違えることはないでしょう。

ローマ文化の特徴・覚え方まとめ②:人文科学(歴史)

ローマにおける人文科学の中の歴史分野で覚えておいて欲しいのは以下の4人です。

  • カエサル:『ガリア戦記』
  • リヴィウス:『ローマ建国史』
  • プルタルコス:『対比列伝』
  • タキトゥス:『ゲルマニア』

少し多いですが、1人ずつ見ていきましょう。

カエサル

カエサルは、自身のイタリア半島北部(ガリア)への遠征の記録として、『ガリア戦記』を著しました。

この著作は古代のケルト人の貴重な資料であり、ゲルマン民族の起源を探る上でも価値の高い作品なので、今日でも幅広く親しまれています。

リヴィウス

ローマの外側について著したカエサルとは対照的に、ローマ帝国内部の歴史を『ローマ建国史』にまとめたのがリヴィウスです。

リヴィウスは時の皇帝アウグストゥスの友人で、ローマの伝統的な歴史が軽んじられていることを憂いた皇帝の命令で、ローマの通史を編纂したと言われています。

プルタルコス

ローマ文化はギリシア文化から多大なる影響を受けているのですが、この2つの文化を大胆に比較したのがプルタルコス『対比列伝』です。

『対比列伝』は『英雄伝』とも呼ばれ、ギリシアの英雄伝とローマの英雄伝を比較し、歴史学的な考証を行った作品として知られています。

タキトゥス

カエサルと同様にローマ外部に目を向けて、ゲルマン人についての著作『ゲルマニア』を著したのがタキトゥスです。

タキトゥスは、「パックス・ロマーナ」(ローマの平和)時代の皇帝ネルヴァに仕えたエリートでしたが、彼の書いた『ゲルマニア』の記述はそれほど正確ではなく、『ゲルマニア』は歴史書というより歴史小説として評価されています。

覚え方

ローマの歴史家として、ここではカエサル・リヴィウス・プルタルコス・タキトゥスの4人を紹介しましたが、覚えるときは「カエサル・タキトゥス」、「プルタルコス」・「リヴィウス」に分けましょう。

カエサルとタキトゥスは、共にローマ外部に目を向けた歴史家です。カエサルはガリアについて、タキトゥスはゲルマニアについての著作を遺しました。

「カ」から始まるカエサルが、同じく「カ」から始まるガリア戦記を著したと覚えれば、『ゲルマニア』の作者はタキトゥスだと覚えられますね。

リヴィウスは、カエサルやタキトゥスとは対照的な歴史家だと覚えましょう。

カエサルやタキトゥスがローマの外部について歴史書を書いたのに対して、リヴィウスはローマ内部についての歴史書を書いています。

「リヴィウスはローマ内部についての歴史家」と覚えれば、リヴィウスの著作が『ローマ建国史』であることはすぐ理解できますね。

プルタルコスは、他の3人とは違って別時代の文化とローマの文化を「対比」させた人物だと覚えれば、『対比列伝』の作者として記憶できるはずです。

こんな感じで、覚えることが多いときは項目を細分化するようにしましょう。小さくなった項目ごとの繋がりが見えれば、より覚えやすくなるはずです。

ローマ文化の特徴・覚え方まとめ③:人文科学(哲学)

ローマにおける哲学者として必ず知っておいて欲しいのがこの2人です。

  • セネカ:『幸福論』
  • マルクス=アウレニウス=アントニヌス:『自省録』

セネカ

セネカは、ローマ帝国の暴君ネロに仕えたストア派哲学者で、人間にとって最低限必要な欲求のみに従って生きることの重要性を説く『幸福論』を執筆しました。

セネカは非常に優秀な哲学者でしたが、仕えていたネロ帝の命令で自殺してしまった悲運の人物でもあります。

マルクス=アウレニウス=アントニヌス

マルクス=アウレニウス=アントニヌスは、「パックス=ロマーナ」時代の皇帝で、「哲人皇帝」と呼ばれた知識人でもあります。

セネカと同じくストア派の哲学者だったアントニヌスは、ゲルマン人との戦いの中で自身の反省の日々を『自省録』という著作にまとめました。

覚え方

2つだけなので、片方をしっかり覚えればもう片方も記憶できます。

セネカの『幸福論』は、「幸福にせねば!」という語呂合わせで覚えましょう。

アントニヌスの『自省録』は、戦争の最中に日記をつけている皇帝の様子を思い浮かべながら覚えてください。「自省」しているイメージを自然と覚えられると思います。

ローマ文化の特徴・覚え方まとめ④:自然科学

ローマにおける自然科学の研究者で知っておいて欲しいのは以下の3人です。

  • ストラボン:『地理誌』
  • プリニウス:『博物誌』
  • プトレマイオス:天動説

ストラボン

ローマの属州に生まれ、地理学と哲学に精通していたストラボンは、当時の地理的知識を『地理誌』に網羅的にまとめました。

ストラボンは旅が好きだったようで、地中海だけでなく、現在のアジア・アフリカまで広く見聞していたようです。

プリニウス

プリニウスは、当時の自然科学の知識の集大成とも言うべき『博物誌』を編纂した学者です。

現在の科学から見れば怪しげな情報(怪物の記述など)も含まれていたようですが、彼の自然科学の知識は非常に長い間重宝されました。

プトレマイオス

プトレマイオスは、天体の運動の中心に地球があり、太陽が地球の周りを周回していると考える天動説を主張した天文学者です。

現在では地動説が正しいとされていますが、天動説と地動説のどちらが正しいかという問題は、歴史上かなり長い間討論され続けました。

その論争の片翼を担う天動説を確立したのがプトレマイオスというわけです。

覚え方

プトレマイオスは有名なので覚えられるでしょう。問題はストラボンとプリニウスです。

ストラボンの「ボン」から「ボンボン」(お金持ちの俗称)を連想し、「ボンボンの坊ちゃんが世界を周遊した記録が『地理誌』」とイメージすれば覚えやすいですね。

ストラボンが『地理誌』の作者であることを覚えれば、残ったプリニウスが『博物誌』の作者であることがわかります。これで自然科学の分野の知識は万全です。

おわりに:ローマ文化の特徴・覚え方のまとめ

いかがでしたか?

この記事では、ローマ文化の特徴・覚え方について徹底的に解説しました。

文化史を覚えるときに重要なのは、前にも言ったように「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

急がば回れの気持ちで、ゆっくり少しずつ覚えるようにしてくださいね。

それでは!

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