元の文化史の覚え方と特徴を徹底解説! 【世界史文化史】

はじめに:元の文化史の特徴・覚え方を徹底解説!

2世紀以上に渡る宋(北宋・南宋)の治世が終わった後、突如として中国の覇権を握り、歴史上稀に見る広大な領土を支配したのがです。

元の治世は初めから終わりまで混乱づくめなので、なかなか覚えづらいですよね。

通史を覚えるのも大変ですが、流れのない文化史を覚えるのはもっと大変です。

そこでこの記事では、非常に覚えにくい元の文化史を攻略するために、元の文化史の特徴と覚え方を徹底的に解説します。

元の文化史が次のテストの範囲に入っている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

元の文化史の特徴・覚え方

具体的な特徴の説明に入る前に、文化史の覚え方について1つ注意点を挙げておきます。

それは、「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

暗記項目が多い試験の直前になると、一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、一晩で覚えられる内容なんてたかが知れています。

一気に全部覚えようとするよりは、分野ごとに覚える内容を分けて、少しずつ覚えていく方が効果的です。

この記事で紹介する覚え方のテクニックを使いながら、地道にコツコツ学習を続けてくださいね。

元の文化史の特徴・覚え方①:小説

三国志演義・水滸伝・西遊記の原型

中国の明代に成立した長編小説のうち、特に優れた4つの作品を「四大奇書」と呼びます。「四大奇書」と呼ばれている作品は次の4つです。

  • 三国志演義:後漢時代から三国時代を経て、晋が中華統一を達成するまでの歴史を描いた小説。
  • 水滸伝:北宋時代の末期に、複雑な事情のために冷遇を受けていた108人の英雄が「梁山泊」と呼ばれる場所に集結し、世の中に蔓延る悪徳を打倒しようとする様子を描いた小説。
  • 西遊記:唐代の僧・三蔵法師が、孫悟空・猪八戒・沙悟浄という3人の仲間を連れて天竺(インド)を目指す姿を描いた小説。
  • 金蔽梅:水滸伝に登場する「武松」という人物のエピソードを拡張したスピンオフ小説。

このうち、三国志演義・水滸伝・西遊記の3つは、元の時代にすでに原型が成立していました。

ですから、例えば「三国志演義は元代に完成した」という選択肢は不正解ですが、「三国志演義は元代において原型が完成していた」という選択肢は正解になります。

高い難易度の試験であればこの程度のひっかけは頻出になるので、必ずチェックしておいてくださいね。

覚え方

「四大奇書」はよく出題されますが、その中の金蔽梅はほとんど出題されません。

ですから、三国志演義・水滸伝・西遊記の成立時期を押さえておけば良いでしょう。

「『元』で『元々』を作って、その後の明で完成した」と考えれば、自然に覚えられますね。

元の文化史の特徴・覚え方②:絵画

元代の絵画として覚えていてほしいのが、山水画とミニアチュールです。順に解説していきましょう。

山水画

山水画とは文字通り山河を描く絵画のことですが、世界史で「山水画」と言えば、特に「文人(アマチュア)によって制作された、心象表現としての山水画」を指します。

元代末期の画家である黄公望たちによって、心象表現としての山水画は確立され、その後の明代・清代へ継承されていくことになりました。

山水画の技法の転換点が元代にあったことを、よく覚えておきましょう。

ミニアチュール(細密画)

ミニアチュールとは、イスラーム系の国々で用いられていた細密で装飾的な絵画のことです。

元々は中東のアッバース朝で創始され、イランを中心に発達しましたが、13世紀にイル=ハン国が中東を支配するようになると、同時期に確立された山水画の技法の影響を受けて独自の発展をするようになりました。

「山水画→ミニアチュール」という流れをしっかり押さえておいましょう。

覚え方

「山水画→ミニアチュール」という流れは、同じ「さ」から始まっていることを考えれば簡単に覚えられます。

あとは山水画が元代に大きく変化したことさえ覚えてしまえば完璧です。「山水画、元代」と何度も声に出して覚えましょう。

元の文化史の特徴・覚え方③:戯曲

元代の戯曲は「元曲」とも呼ばれ、元代の一般大衆の中心的な娯楽として高く評価されていました。

その元曲の中でも有名なのが西廂記・漢宮秋・琵琶記です。順に見ていきましょう。

西廂記

西廂記(せいしょうき・せいそうき)は、王実甫(おうじっぽ)という人物が著した小説です。

寺の「西」の「廂」で宰相の娘である崔鶯鶯と、科挙の受験生である張君瑞が出会い、惹かれあっていく心理描写が高く評価されており、当時の社会を知る歴史的資料としても使われています。

西廂記は元代のラブロマンスというわけですね。

漢宮秋

漢宮秋(かんきゅうしゅう)は馬致遠(ばちえん)という作家の著作です。

時は中国・前漢の時代。当時中国の北方には匈奴という騎馬民族がいて、前漢にとって大きな脅威となっていました。

そこで前漢の元帝は、後宮で暮らしていた王昭君という女性を外交政策のために匈奴へ引き渡すことにします。

匈奴へ引き渡された王昭君は、敵国の妃となる屈辱を味わいながら懸命に生きていくことになります。この悲劇を描いたのが漢宮秋という作品なのです。

琵琶記

「琵琶記」は、高則誠という人物が著した長編小説です。

後漢の時代、秀才だった蔡邕(さいよう)は、結婚したばかりの妻と両親を故郷に残して上京し、科挙に合格して出世していきます。

一方残された蔡邕の妻と両親は、故郷の田舎で極貧生活を強いられていました。

蔡邕の両親は貧しさゆえに倒れて亡くなってしまい、蔡邕の妻だけが残されました。

残された蔡邕の妻は、唯一の身内である夫を訪ねるため、琵琶を弾いて物乞いをしながら都へ向かいます。

「琵琶記」の中では、蔡邕の妻の旅と夫との再会が描かれています。現代的に言えば、悲哀のラブロマンスといったところですね。

覚え方

元代の戯曲は、基本的にタイトルだけ覚えておけば大丈夫です。タイトルは、内容と結びつけると覚えやすくなります。

例えば、「西」の「廂」で2人の男女が出会うというストーリーを想像すれば、自ずと「西廂記」というタイトルを覚えられますよね。

同様に、前「漢」の後「宮」にいた女性の悲劇を描いた物語だと考えれば「漢宮秋」を覚えられますし、琵琶を弾く女性をイメージすれば「琵琶記」を覚えられます。

無理やりに覚えるのではなく、内容と関連づけて覚えるのも重要なテクニックです。文学作品を覚えるときにぜひ使ってみてくださいね。

元の文化史の特徴・覚え方④:文字や暦

最後に、元の時代に作られた文字や暦を紹介しておきます。

パスパ文字

元の版図が最大だったときの皇帝・フビライ=ハンは、公文書を作成するために元に属する様々な部族の言語を表記する文字が必要であると考えていました。

そこでフビライは、チベット仏教の僧だったパスパに命じて、公文書作成のための文字を作成させました。この文字が「パスパ文字」です。

パスパ文字は宮廷の事務作業にのみ用いられた文字で、民間には普及しませんでした。

授時暦

授時暦は、元朝第6代皇帝・フビライ=ハンに仕えていた郭守敬(かく・しゅけい)という人物がイスラームにおける天体観測技術を基にして作成した暦法です。

授時暦は、中国で伝統的に使われていた太陰暦よりも正確な暦で、授時暦の考案から300年後に誕生したグレゴリウス暦と同程度の精密さを有していました。

精度の高い授時暦は日本にも輸入され、江戸時代に誕生する「貞享暦」にも大きな影響を与えました。

覚え方

元の時代の文字と暦で最低限覚えるべきことは

  1. パスパがパスパ文字を作った
  2. 郭守敬が授時暦を作った

という2点だけです。

パスパがパスパ文字を作ったのは覚えやすいですよね。字の通り、見た通りです。

郭守敬に関しては、「郭」が囲われた区画を意味しているところから、天文台のようなドーム型の基地で天体を観測し、暦を作ったというイメージを持てば覚えやすくなります。

天文台に行ったことのある人は、ぜひそのときのイメージを基にして覚えてくださいね。

おわりに:元の文化史の特徴・覚え方のまとめ

いかがでしたか?

この記事では、元の文化史の特徴・覚え方について徹底的に解説しました。

文化史を覚えるときに重要なのは、前にも言ったように「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

急がば回れの気持ちで、ゆっくり少しずつ覚えるようにしてくださいね。

それでは!

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