【一橋大 日本史】論述問題、諦めないで!現役合格者が徹底解説

はじめに

こんにちは。私は一橋大学商学部の1年生です。1年前、私はみなさんと同じように「一橋大の日本史論述って、何をやっておけばいいんだろう」「400字も書ける気がしない……」と思っていました。しかし、1年間の受験勉強の末、私は現役で合格することができました。この記事では、私が自分の受験を通して確立した、一橋大学向けの日本史の勉強法を紹介します!

【一橋大 日本史】どんなテスト? 形式と傾向

大問数 3問
字数 各大問につき400字
解答時間 120分
試験前の配布物
  • 問題用紙
  • 日本史・世界史・地理・ビジネス基礎・倫理政経が1冊になっている。

  • 解答用紙
  • 名前と選択科目を書くのを忘れないように。

  • 草稿用紙
  • 問題用紙に挟み込まれている。

問題構成

例年、第1問は前近代、第2問・第3問は近代~近現代から出題されます。つまり、3分の2が近代以降の問題なので、近代から重点的に学習することをおすすめします。

3つの大問にはそれぞれ小問が設けられており、小問に関する文字制限はありません。過去問演習を重ねていくうちに字数配分がわかるようになります。

前近代

前近代は、古代~江戸時代を指します。文化史も頻出なので、教科書を活用して幅広く学習しましょう。範囲はとても広いですが、近代ほど深く掘り下げた問題は少ないので、近代以降に比べると答えやすいです。

近代・近現代

近代・近現代は、幕末~現代までを指します。ここでは1つのテーマについて、いろいろな角度から出題される傾向があります。通史を把握しただけでは太刀打ちできないので、テーマごとに深い理解をすることを心がけましょう。出題されるテーマに偏りがあるので、過去問を解いて教科書を復習すると効率が良いですね。

問いのパターン

基本的には、下記の4種類の問題を組み合わせて作られています。

説明型

説明型とは、問われている歴史的事象について説明する問題です。問題文を丁寧に読んで、何を求められているのか把握しましょう。例として、変化・対比・因果を明らかにするときの書き方を説明します。

  • 変化→『Aであった。だが、Bになった。』
  • 変化の前後を記述しましょう。

  • 対比→『Aは~である。一方、Bは~である。』
  • 対比の対象を明確にすることがポイントです。

  • 因果→『Aだから、Bである。』

原因と結果がきちんとつながっているか確認しましょう。

史料型

史料を読んだ上で問題に答える形式です。史料の一部に下線がひかれており、小問で下線部について問われます。歴史上の人物の随筆や、天皇の詔勅など、受験生が見たことのないような史料が出題されます。しかし、学習してきた史実と結び付けられるように出来ているので、落ち着いて読めば問題ありません。

図表型

グラフを見て、数値が変化した背景や理由などを説明する問題です。たとえば近年では、綿と生糸の貿易額や普通銀行数の推移のグラフが出題されました。年代・グラフ・史実を結び付けて解答するために、通史の理解だけにとどまらず、実際に問題に触れて解き方を学ぶ必要があります。したがって、過去問での練習が必須です。

一問一答型

一問一答型の問題は、一つの試験につき小問2問程度と少なく、難易度もかなりばらつきがあります。教科書レベルの用語はおさえておく必要がありますが、問題数が少ないので、一問一答の問題集を完璧にするというような対策は必要ありません。

一橋志望なら押さえておきたい! 3つの重要テーマ(2021年入試版)

一橋大の過去問を調査して分かった頻出テーマと、私が受験勉強をする中で理解が大変だったテーマを紹介します。ぜひ重点的に勉強してみてください。
(出題範囲や傾向は、新型コロナウイルスの影響で変わる可能性も考えられます。日本史の学習をする際に参考にしてください。)

産業革命期の日本経済

私が受験期に勉強した中で、最も理解に時間をかけた分野です。繊維産業・日清日露戦争・松方財政など様々な要素が絡み合っているため、相互の関連をきちんと理解する必要があります。

明治憲法体制・議会体制

2020年入試では特に天皇に焦点を当てた問題が出題されました。明治憲法の内容や政治体制の構造、衆議院と貴族院の違いなどが頻出です。教科書をじっくり読んで理解しましょう。

江戸時代の百姓・村

江戸時代は長く、内容も深いので理解にとても時間がかかります。政治史を重要視する受験生が多いと思いますが、一橋では民衆に焦点を当てた問題も頻出です。2020年入試でも、第1問は民衆の文化に関する問題でした。江戸時代について授業で習い始めたら、すぐに復習しておきましょう。

論述対策につながる毎日の勉強

実は、論述問題を解く力をつけるためには日々の学習が重要です。論述のテクニックばかりを磨いても、日本史を深く理解していなければ、何を聞かれているのかすらわかりません。コツコツ学習して、論述対策にスムーズに入れるようにしましょう。

授業の復習

塾でも学校でも、授業の復習は必須です。おすすめの復習方法は、授業を受けた当日にノートやプリントを見て授業を思い出し、教科書の該当範囲を読むことです。授業で聞いた説明に加えて教科書の説明を読むことで、同じ情報を2つの視点から理解でき、知識が定着しやすくなります。

インプットとアウトプットで日本史マスターに

一橋の日本史論述は、ただの暗記では太刀打ちできません。歴史のつながりを理解することが重要です。インプットとアウトプットの反復で理解を深めましょう。

インプットとしては、教科書を読むことがおすすめです。なぜなら、一橋の日本史論述のほとんどは教科書の内容が頭に入っていれば回答できるからです。教科書には、論述で使えるフレーズが詰まっています。

アウトプットとしては、自分自身に日本史の授業をするつもりで、声に出して説明することがおすすめです。うまく説明できなかった部分を重点的に復習し、声に出して説明できるようになれば、答案にも書くことができるようになります。

演習で基礎知識の定着

自分の理解度を確認するために、定期的に時間をとって、既習範囲の問題を解いてみましょう。演習するときは、間違えた場合はもちろん、正解した場合も解説を丁寧に読むことが大切です。正解した問題でも実は理解が間違っている場合があります。

【一橋大 日本史】過去問対策(開始時期と量)

過去問対策はいつから?

私は、高校3年生の夏休みに初めて論述問題に取り組みました。自分の目標を明確にするために、夏休みに1~2題ほど解いてみてください。

本格的に対策を始めるのは11~12月頃がおすすめです。それまでは、授業で習ったことの復習と、定期試験対策やセンター試験対策を徹底的に行うことで基礎固めをしましょう。

過去問は何年分解くべき?

最低でも直近6年は確実に解きましょう。一番良くないことは、10年前の問題から始めたものの、時間が足りずに直近の問題に手が回らなかった、というパターンです。実は、10年も遡ると、近年と傾向の違う問題になってしまいます。傾向を掴むためにも、近年の問題に時間をかけるほうが良いのです。

順序としては、最新年度のものから始めて遡り、2月以降に最新年度の問題を解き直すのがおすすめです。

【一橋大 日本史】過去問の使い方

3ステップでわかる過去問の解き方

  1. 書き始める前に

  2. まずは、問題文を読み解きます。聞かれていることに下線、説明する際の条件に波線を引くと分かりやすいですよ。

    次に、下書き用紙で構成を作ります。最初から400字に収まる完璧な回答を書くのはとても難しいです。下書き用紙に、小問ごとの字数配分や書くべき内容をメモしましょう。

    最後に、教科書を使って下書きから文章にします。過去問演習を始めたばかりのころは、何を書けばいいか全く分からない問題が出てきます。まずは教科書を使って調べながら文章を組み立ててみましょう。

  3. 書く時のコツ

  4. 日本史の論述では、「私はきちんと理解しています」と採点者に示す必要があります。答案を作るときのコツは2つです。

    • 合っているか不安な知識は書かない
    • →もし間違っていたら、減点対象になります。

    • 抽象的な文章にせず、歴史用語を使う
    • →採点者が加点しやすくなるように具体的に書きましょう。

  5. 解き終えたら自己採点

  6. 解答・解説を読んで、自分の文章を修正します。解説には、書くべきポイントや問題文の読み解き方が記されているので、じっくりと読んでみましょう。

過去問を解いたら必ず復習

  1. 添削を依頼

  2. 日本史の先生の客観的な意見を取り入れることはとても重要です。自分では気づかなかったことに気づくことができます。

    先生に依頼するときは、どの大学の何年の第何問を解いたのかを伝えて問題のコピーを渡し、丁寧にお願いしましょう。添削後の答案を受け取りにいく日もあらかじめ決めておくと良いですね。

  3. 内容整理

  4. 論述問題を解いたあと効率的に復習できるように、まとめノートを作りましょう。これは私が実際に作っていたノートです。

    出題されたテーマの中で特に重要なものや理解が不十分だったものをピックアップし、ノートにまとめましょう。この時のポイントは、出題されたことだけでなく関連事項もまとめることです。入試に過去問と全く同じ問題が出ることはありませんが、聞き方を変えたり、関連事項が問われたりすることはよくあります。そのため、関連事項を含めて、多角的に理解することが重要です。

    過去問演習の中で気になったことはすぐに教科書などで確認し、一気に理解しましょう。とても時間がかかる作業ですが、必ず力が付きます。

  5. 見直し・解き直し

  6. 添削と内容整理を終えたら、もう一度文章を書いてみてください。自分の成長が実感できますし、あとで見直すときにも役立ちます。

    また、過去問演習で作ったまとめノートは、定期的に見直しましょう。試験当日も、まとめノートを持って行けば安心です。

【時期別】実際に使用していた参考書とその使い方と効果

一橋大学の日本史15か年(教学社)

15年分の問題が、時代ごとに分類されている過去問題集です。過去問を解くことで本番の形式に慣れることができます。また、解説が充実しているので、読み込むと力が付きます。

詳説日本史(山川出版社)

本書は、時代を追って網羅的に日本史を学ぶことができる教科書です。

授業の復習として本文を読んだり、論述問題の演習の時に参照したりします。重要な部分や論述で聞かれた部分にはマーカーを引くようにしましょう。本文をじっくりと読むことで歴史の流れを理解でき、論述試験で使えるフレーズをインプットできます。

センター試験への道

本書は、センター試験の過去問が時代ごとに分類されている問題集です。

授業の進度に合わせて解き、答え合わせをする際は解説を読み込みます。間違っていた部分、正解したけど曖昧な部分を重点的に復習しましょう。理解度チェックと復習のサイクルで知識が定着し、共通テスト対策にもつながります。

最後に|一橋大(日本史)で高得点をとるためのアドバイス

敬遠されがちな日本史論述ですが、コツコツと勉強を続けていれば道は開けます。夏までは基本の理解と定着を心がけ、秋からの演習で論述に慣れていきましょう。教科書や問題集の解説を熟読したり、自分でノートを作ったりするのは時間がかかりますが、一つずつ消化していくことで着実に力がついていきます。
みなさんと一橋大学でお会いできるのを楽しみにしています!




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