はじめに
三平方の定理は図形の定理の中でも重要な定理です。別名ピタゴラスの定理とも呼ばれます。
これを正しく理解してなければ三角比や三角関数の多くを正しく理解できないでしょう。
今回は三平方の定理の公式と証明、さらにその利用と問題例について解説します。特に証明は忘れやすいので、この記事で確認しておきましょう。
目次
三平方の定理の公式
三平方の定理は直角三角形の斜辺(直角の反対側にある辺)の長さをc、他の辺をa、bとすると
\(c^2=a^2+b^2\)
が成り立つというものです。
つまり直角三角形の斜辺の2乗は他の辺の2乗に等しいことを表す定理です。
三平方の定理を理解していなければ、多くの図形の問題を解くことは難しいでしょう。極めて重要な公式です。
三平方の定理の証明
三平方の定理の証明を紹介します。三平方の定理の証明の方法は100種類以上あるとされていますが、ここでは有名な証明方法をご紹介します。
三平方の定理の証明が入試に出題されることはないと思いますが、1つ1つの定理の証明を理解することが数学が得意になるコツです。
三平方の定理の有名な証明方法
一辺の長さがa+bである正方形の中に、1辺の長さがcである正方形が入っています。
大きい方の正方形の面積Sを2通りの方法で表すことで三平方の定理を証明します。
まず一辺の長さがa+bであることから
\(S=(a+b)^2=a^2+2ab+b^2・・・(1)\)
またSは「cを辺とする小さい正方形の面積」+「a,bを辺とする直角三角形」×4と等しいので
\(S=c^2+4・\frac{1}{2}ab=c^2+2ab・・・(2)\)
(1),(2)より
\(a^2+2ab+b^2=c^2+2ab\)
これを整理すると
\(c^2=a^2+b^2・・・(証明終了)\)
三平方の定理の証明のポイント
このように大きい正方形の面積を2通りの方法で表すことで三平方の定理を証明することができます。
英語になりますが、こちらのサイトでは100種類以上の証明方法を紹介しているので興味がある人は見てみると良いでしょう。
三平方の定理の使い方
次に三平方の定理の利用方法について説明します。
三平方の定理は公式はこうでした。
\(c^2=a^2+b^2\)
ここではa=3、b=4、c=xであるので
\(x^2=3^2+4^2\)
よってx=5だとわかります。
補足:1辺しかわからない時はどうする?
三平方の定理と関連して覚えておくことに有名角を持つ直角三角形があります。
三平方の定理は直角三角形の2辺の長さがわかればもう1辺の長さを求めることができました。
有名角を含む直角三角形は1つの辺の長さがわかるだけで他の辺の長さを知ることができるのです。
覚えるべき特殊な直角三角形は、三角定規でおなじみのこの形です。
有名角とは30°、45°、60°です。このうち30°と60°は同じ三角形ですので、実質2つの三角形を覚えることになります。
図にも書いてありますが、それぞれ辺の比が
\(1:\sqrt{3}:2\)
\(1:1:\sqrt{2}\)
となります。これらの値は頻出なので必ず覚えておきましょう。
三平方の定理の問題
最後に実際に問題を解いて三平方の定理をマスターしましょう。
問題
次の三角形ABCの辺AC、BCの値をそれぞれ求めよ。
解説
早速、三平方の定理を利用したいところですが、わかっている辺の長さは1つしかありません。
よって三平方の定理をそのまま利用することはできません。
一方、角ABCが60°であることが分かっています。
これより有名角の辺の比から求められることがわかります。
30°、60°、90°からなる三角形の辺の比は
\(1:\sqrt{3}:2\)
でした。
これより
\(AC=3・\sqrt{3}=3\sqrt{3}\)
\(BC=3・2=6\)
と答えを求めることができますね。
2辺わかってるなら三平方の定理、1辺だけなら有名角を利用
三平方の定理は単純な形ながら図形の問題を解く上で欠かせない定理なのでこの記事で覚えてしまいましょう。
また、三平方の定理が使えるのは直角三角形の2辺がわかっているときです。
1辺しか分かっていないときは、有名角(30°、45°、60°)が含まれていなか調べてみましょう。