はじめに
場合の数を理解する上で重要な法則が2つあります。それは和の法則と積の法則です。
それぞれ場合の数の分野の中でも基礎的な内容になるため、理解を疎かにしてはいけません。
そこでこの記事では、場合の数を正しく数え上げる上で重要な2つの法則を解説します。
場合の数の和の法則
最初に和の法則について解説します。
和の法則とは、「事象Aと事象Bが同時に起こらない時、Aがa通り、Bがb通りの起こり方をするとき、AまたはBが起こる場合の数はa+b通りであること」です。
場合の数の和の法則の具体例①:サイコロ
例えば、1つのサイコロを振った目が「2以下である」(事象A)と「5以上である」(事象B)は同時に起こることはありません。
事象Aと事象Bはそれぞれ{1,2},{5,6}と2通りずつあるので、
AまたはBが起こる場合の数は2+2=4通りだと言うことができるのです。
逆に和の法則を使えない場合を考えてみます。和の法則を使えないのはAとBが同時に起きることがあるときです。
例えば、同じサイコロの例で、事象Aを「偶数である」、事象Bを「3以下である」とした場合、
事象Aは{2,4,6}の3通り、事象Bは{1,2,3}の3通りありますが「サイコロの目が2」であるとき事象AとBが、同時に起きてしまうため、和の法則は使えず、足すことが出来ないのです。
よって、AまたはBが起こる場合の数は3+3=6とはなりません。
場合の数の和の法則の具体例②:トランプ
他の例で和の法則が使える場合を考えてみましょう。
例えば、トランプのカードを1枚引いたときに「マークがハートである」(事象A)と「マークがスペードである」(事象B)は同時に起こることがありません。よって、和の法則を使うことができ、AまたはBが起こる場合の数は13+13=26だといえます。
それでは簡単な問題を解いてみましょう。
問題1
52枚のトランプから1枚取り出したときに、その1枚のマークがハートであるか、または7以下の数字である場合の数を求めよ。
問題1の解答・解説
先程確認したように、「ハートである」と「7以下の数字」というのは同時に起こることがあるため、和の法則を利用することができません。
そこで、「ハートである」(事象A)と「マークがハート以外で、かつ7以下の数字であるもの」(事象B)という2つの事象を考えましょう。
こうして考えることで、事象A、事象Bが同時に起こることはありませんので、和の法則を用いて考えることができます。
事象Aは13通り。事象Bは「ハート以外のマーク」(3通り)で数字が「7以下」(7通り)なので、21通りあります。
事象Aと事象Bに和の法則を用いて、答えは13+21=34通りとなります。
場合の数の積の法則
積の法則とは、「事象Aがa通り起こるとき、いずれの場合においても事象Bがb通り起こるとき、AとBが同時に起こる場合の数はa×bとなること」です。
実は既に、和の法則の例題の中で出てきた、トランプを一枚引いた時に「ハート以外のマークで数字が7以下である」という事象を数える際に利用しました。
「ハート以外のマークである」(事象A)は♤、♧、♢の3通りですが、それぞれの場合において「数字が7以下である」(事象B)は7通りの起こり方があります。
よって、AとBが同時に起こる場合の数は3×7=21となるのです。
より直感的に理解するためには樹形図を書いてみれば分かりやすいです。
上の樹形図を見ると分かるように、事象Aのそれぞれの場合に対して事象Bが同じ起こり方をするとき積(掛け算)で計算することができるのです。
実際に樹形図を書く際は1つずつ丁寧に書く必要はなく、1…7と省略して書いても良いでしょう。
樹形図は場合の数のいろいろな問題に対応することができるので、「困ったら樹形図を書いてみて積の法則を利用して計算を簡略かできないか検討する」という姿勢で問題を解くと良いでしょう。
おわりに
和の法則や積の法則は、場合の数の問題を解く時に何気なく利用していた法則ではないでしょうか。
この2つの法則で重要なことはどういう時に利用することができて、どういう時に利用できないのかをしっかりと理解しておくことです。
また、その理解を助けるために具体的な場合を書き出しみたり、樹形図を書いて全体像を掴んでみたりすることがおすすめです。