2016年度から始まった東大推薦入試制度。しかし、推薦入試については情報が少なく、「なんとなく難しそう」「どうすれば受けられるのか分からない」など敬遠する人が多いのも事実です。
そこで、今回は2017年度経済学部に合格した東さんに、推薦受験の流れから合格に必要なものまで、詳しくインタビューしました。「東大推薦入試に興味があるが何をすればいいかわからない」「難しそうで受ける勇気がない」という方、必見です!
お名前 | 東加奈子さん |
出身高校 | 私立小林聖心女子学院 |
学部 | 経済学部(2017年度入学) |
高校の部活 |
高校時代のボアンティア経験が志望理由に
東京大学経済学部を目指したきっかけを教えてください。
高校でボランティア活動をする体験学習という授業があり、私はそこで日雇い労働の方に炊き出しをしたり学校で編んだ帽子を渡すなどの活動をしました。しかし、実際その帽子をつけている人が少ないことに気づき、これらの活動が役立っているのか疑問を抱きました。
また、彼らが生活保護自体に対してマイナスイメージを持っている、ということも知りました。就職の際に妨げになってしまうケースもあるようで。
そこで私が注目したのは「中間就労」という仕組みです。実際に現場で簡単な仕事をしてもらうことで、就労経験となり履歴書に書ける、それによって次の段階に進める、というものです。しかし、NPO法人がやっているので未だに発達はしておらず、民間でしかこの仕組みができていないません。
そこで、資本主義の社会で抜け落ちてしまった人が再度活躍できるようなシステムを探したいと思い、経済学部を志望しました。
なぜ推薦で受験しようと思ったのですか。
私の学校は進学校ではありませんでした。もともと東大と京大で迷っていたのですが、京大の推薦合格者は進学校出身が多い上に、準備が忙しそうだったので一般受験に支障をきたす気がしました。そこで志望理由だけで良い東大にしました。
推薦は9月に受けようと決めました。チャンスが2回に増えるし、志望理由も固まっていたので。
塾には行かず、学校や家族のサポートで受験
推薦受験の為に必要な情報はどこから手に入れましたか。
推薦対策用の塾には行っていませんでした。志望理由などが型にはまった感じがして自分には合わない気がしたんですよね。
東大は毎年傾向を変えているようだったので、塾に行くよりは1つの志望理由を学校の先生や家族に見せることで様々な角度から修正し固めて行くのを繰り返していました。
面接対策はどうしましたか。
面接対策は親にやってもらってました。志望理由書を見てもらっていた人に頼むといいと思います。内容が薄いところを突いてもらえたり、志望理由に書いたことを短時間でまとめられているか見てもらうことができるので。
推薦受験に必要なものを教えてください。
何かで1位をとることが前提条件です。私は英作文コンテストで最優秀賞を獲ったのでその条件を満たせました。他に資格や評定書く欄があり、論文を提出することもできます。
私は論文は出さず、志望理由の中で資格などのアピールをしました。不用意に論文を出すよりも、志望理由に力を注ぐ方が賢明だと思ったからです。資格の重要性はそこまで高くないと思います。量より質なので志望理由が第一ですね。
推薦受験にはたくさんのメリットが
東さんが思う推薦受験のメリットとデメリットを教えてください。
メリットは高校時代の頑張りをかなり評価してもらえるということ、大学に入ってからも自分が頑張りたい分野を明確にできることです。また、一人一人に専門のTA(ティーチングアシスタント)がつくのでサポートは手厚いですね。
さらに、推薦のコミュニティがあるので意識を高く保てるということもあります。あとは、純粋にチャンスが2倍になるということです。
デメリットは一般対策をしないといけないので焦るということですね。12月はセンター対策と面接の準備の両立に追われました。面接の待ち時間も理科基礎の勉強をしていましたね。直前期の12月がかなり大変ですね。それ以外のデメリットは特にないと思います。
推薦受験の流れ
推薦受験の流れを教えてください。
高3の9月末に英検をとったのと先生から勧められたこともあり、10月から志望理由を書き始めました。
本格的に書き始めたのは10月の中旬です。その時、自分の考えだけでは志望理由が弱い、と判断したので、BIGISSUE(雑誌の販売を通じてホームレスの社会復帰に貢献することを目指す会社)の本部に行くなどの活動も行いました。
11月の提出前日までずっと志望理由に力を注いでいましたね。12月に一次の合否がきて、それから面接対策を始めました。12月中旬に面接を受け、受験後は推薦のことは忘れて一般入試の対策をしていましたね。
推薦対策は短期的に行い、一般対策と両立
一般用の受験勉強とどのように両立していましたか?
推薦対策はかなり短期的に行いました。2週間ぐらい志望理由を固めたり情報収集に努めました。その時も、1日3時間は推薦の対策、他は一般の受験勉強をする、というように両立しました。
長期的というよりは短期的にガッと進めた感じですね。
高校の先生のサポートが大きかった
受験時代に苦しかったことはなんですか。
推薦を受けるか受けないかは非常に悩みました。上が1期しかいないので情報もなく、ハードルが高いイメージもあったので。そこで悩んでいる時間は勿体無いと思い受けることにしましたが、それでも推薦の対策をしながら、頭では「数学やばい」「国語やらなきゃ」など一般対策のことも考えないといけないのも辛かったです。
受験時代に支えになったものはなんですか。
高校の先生ですね。推薦受験についてかなり調べてくれただけでなく、自分の志望理由などを客観的に評価してもらえました。色々な分野の先生に様々な観点からチェックしてもらえたので助かりました。
推薦文の執筆など、高校の先生のサポートはかなり大きかったですね。
大学に入って様々な道に出会う
将来の夢はなんですか。
大学の授業を受けたことでやりたいことが増えたのでまだ迷っていますね。 ホームレスの方と関わる仕事はゆくゆくやりたいとは思っていますが、院に行くという道もあるし普通に就職するという道もある。そこはまだ迷いどころですね。
東大の推薦受験を考えている受験生にひとことお願いします。
まずは志望理由です。志望理由がきちんとあり、やりたいことを叶える環境として東大が最適だ、と考えるなら、推薦を受けることをオススメします。きちんとした理由を持って東大に入る人は少ないので、明確な志望理由を固めた上で推薦受験に望むといいと思います。
また、推薦を信用しすぎないのも大切です。推薦は、落ちるものだと考えて、一般受験との両立を心がけましょう。