基本問題攻略で9割以上をねらうセンター古典の勉強法

センター試験・マーク

センター古典の問題構成

まず、センター古典は古文と漢文の2項目で構成されています。それぞれの大問は内容は以下のような構成になっています。

センター古文の問題構成(配点50点)

問1 単語(5点×3問)
本文中の古文単語の意味を5択の中から選択します。
問2 文法(5点)
本文中に用いられている助動詞・助詞や敬語などの識別が問われます。平成27年度は敬語の識別、28年度は助詞の意味を分類する問題が問われました。
問3〜問5 内容読解(7〜8点×3問)
本文中の傍線部の登場人物の心情や和歌などの解釈として適当なものを選ぶ問題です。
問6 内容一致(8点)
本文と一致している選択肢を1つ選ぶ問題です。

センター漢文の問題構成

(配点50点)
問1 単語−1(4点×2問)
漢文重要語の意味を選ぶ問題です。
問2 単語−2(5点×2問)
漢文重要語(主に副詞)の意味や同じ用法の漢字を選択します。
問3〜問7 読解問題(7〜8点×4問)
傍線部の書き下しや解釈、本文の大意が主に問われます。問3も文法問題になる年(例:平成27年度)もあります。

以上のように、センター古文は20点、センター漢文は18点、年によっては25点もが文法で占められていることが分かりますね。センター古典で9割以上をとるには、それぞれの文法問題で満点をとることは必須でしょう。

センター古典で過去出題された文章って?

それでは、センター古文、漢文は過去どのような文章が出題されていたのでしょうか。2013年度から本試験で出題された作品をご紹介します。

センター古文で過去出題された文章

2013年度 松陰中納言
2014年度 源氏物語
2015年度 夢の通ひ路物語
2016年度 今昔物語集
2017年度 木草物語

センター漢文で過去出題された文章

2013年度 張耒集
2014年度 陸文定公集
2015年度 篁墩文集
2016年度 抱経堂文集
2017年度 白石先生遺聞

いかがでしょうか。古文では『大鏡』『枕草子』、漢文では『莊子』『論語』などのいわゆる有名出典があまり出題されていないことがわかりますね。(2014年の『源氏物語』の時はセンターで有名出典が出た、と驚かれたといいます)センター古典は、二次試験にあるような「出典を知っていたから楽に解けた」ということはほぼありません。逆に言えば、古典をあまり勉強する時間のない理系の受験生にとっては利点といえるでしょう。

センター古典で9割以上・満点をとるための勉強法

それでは、センター古典で9割以上、そして満点をとるためにはどのような対策を行えばよいのでしょうか。今回は2017年度のセンター古典を例にとり対策をご紹介します。

センター古文の勉強法

  

センター古文①単語の勉強法

単語の勉強は問1を解くためにも、また本文を読むためにも欠かせません。おすすめの単語帳の紹介は以下で行います。
問1の問題を解くときには、まず傍線部がひかれている語句のうち、覚えている単語、文法事項を見て解きます。例えば、2017年度センター古文の問1は以下のようになっています。

1「にげなきまでに」
①別人に見えるほど
②目立ちすぎるほど
③不釣り合いなほど
④信じられないほど
⑤並ぶ者がないほど

(引用:2017年度センター国語問3)

ちなみに、この文章は質素な家に「にげなきまでに」かわいらしい女性がいる、というものです。皆さんなら何番が適切だと選びますか? 前後の文脈で選ぶなら③、④、⑤あたりが適切だな、と考えてしまいそうですね。
この設問では、「にげなき」の意味が問われています。「にげなき」の終止形は「にげなし」であり、漢字では「似げなし」と表記されます。意味は、「似つかわしくない」というような意味です。質素な家には「似つかわしくないほど」かわいらしい、という意味だとこれで分かりました。それでは選択肢に戻りましょう。「似つかわしくない、似合わない」という意味の選択肢は③番だけですね。単語の意味を理解していると、④、⑤に惑わされることなく、③番が選べることでしょう。問1を解くためには、普段から古文単語帳を覚えていくという勉強が不可欠です。
センター古文の意味問題では、単語+助動詞の意味を把握して答えを選ぶこともあるので、助動詞の意味もしっかり覚えておきたいですね。

  

センター古文②文法の勉強法

問2で問われる文法事項は上記のように敬語や助詞、助動詞など多岐にわたります。現役生の方は学校の古文の授業をぜひ大切にしてください。読解の問題集を解いているときにも、文章がうまく現代語訳できないところは品詞分解を行ってみて、正しい品詞分解ができるかを確かめてみてください。読解中に「文法があやしいな」と思ったときが復習のチャンスです。

  

センター古文③内容読解の勉強法

内容読解問題は、まず設問文を読んで選択肢を軽く見ましょう。あまり深く読むと選択肢の答えが全て正しく見えてしまうので要注意です。5つの選択肢のうち4つは間違いなのですから。
「、」の箇所にスラッシュを入れ、まずは主語などの最低限の情報だけを仕入れていきましょう。
例えば、2017年度センター古文なら、問3の選択肢にスラッシュをいれて軽く読んでいくと、選択肢の主語が【菊君】【蔵人】【老尼】の三パターンあることが分かりますね。
そこから本文に戻り、まず誰が主語か考えます。こうするだけで、選択肢が2つに絞れました。あとはどのような気持ちかを前後を訳していけば正解できます。

このように、内容読解問題はまず選択肢の主語に着目しましょう。選択肢の主語が全部同じ、という時は逆に「この主語は絶対この人なのだな」と選択肢をヒントにしていきましょう。そしてその後、傍線部、及びその前後を丁寧に読んであげると問題は解けるはずです。そのためには? ……やはり、単語と文法の勉強が不可欠ですね!
問7の内容説明は先に選択肢を読んで、本文に戻り該当箇所を見つけて本当にその選択肢が正解かどうかのすり合わせを行うという方法が効果的でしょう。

センター古文④和歌の勉強法

「和歌を制する者が9割をとる」とここで断言しておきます。和歌の配点は7〜8点。ここを間違えるだけで古文で9割はとれなくなってしまいます。
とはいえ、和歌問題は皆さん苦手にしている問題ではないでしょうか。
まずは、内容問題と同じく選択肢の主語に注目してみましょう。和歌問題での主語=和歌の送り主となります。「誰が」「誰に」送ったものであるのかを理解することが第一です。そして「5・7・5・7・7」の位置でスラッシュを入れ見やすくし、単語や文法知識を使い訳していきましょう。
2013年度、2015年度のように手紙に和歌が書かれており、和歌の後ろにさらに手紙の内容が続いている、というようなケースは手紙の文章のところも読解のヒントになるので、しっかり見ておきましょう。

センター古文⑤文学史・表現の勉強法

文学史はここ何年もセンター古文では問われていないので、対策はいらないでしょう。もし万が一出たときを踏まえて対策をしておきたいという人は、「枕草子の作者は清少納言、ジャンルは随筆」など有名出典の作者、ジャンルだけでも覚えておくとよいでしょう。
表現問題は、選択肢中で「」で引用されている箇所を見つけて選択肢に付された「」の表現についての説明が適切かどうか確認を行っていくとよいですね。

センター漢文の勉強法

センター漢文①単語の勉強法

問1、問2は単語が問われます。便覧や参考書に載っている漢文重要語の意味・読み方をまずは覚えましょう。
2017年度の問2の意味問題のように、文章中から意味を推察して考えていく問題もありますよ。

センター漢文②書き下し・返り点をつける問題の勉強法

まずは重要な句形を覚えていきましょう。再読文字や限定形など最低限の句形は覚えましょう。句形の送り仮名などで排除できる選択肢も多くあります。しかし、それだけでは太刀打ちできない問題もあります。その時は、語順で選択肢を排除していきましょう。例えば、漢文には「主語+動詞」「主語+動詞+目的語」「主語+動詞+補語+目的語」などの文型があることを知っていますか? 例えば、「学言語」となっているのにに、書き下しの選択肢で「言語が学ぶ」になっている場合は間違いになりますね。

2017年度センター漢文の問5の書き下しでは、「訪之於古」という部分があります。動詞は「訪ぬる」ですね。ここで語順が分かっていると、「(主語)+動詞+目的語+置き字+補語」という文型が浮かびます。すると、「之を古に訪ぬる」と読むということがすぐに分かるというわけです。ぜひ語順にも気を配り書き下し・返り点問題を正解していきましょう。最後に訳して前後と意味が繋がるかの確認も忘れずに。

センター漢文③内容問題の勉強法

内容問題も基本的には本文が読めていれば解けるというものが多いです。ではどうすれば本文が読めるのでしょうか? それは古文と同じように、単語が不可欠ですね。そして漢文の場合は句形も重要になってきます。

センター古典で9割以上・満点をとるためにおすすめの参考書・問題集

「9割以上、満点をとるための対策は分かった。それではおすすめの参考書はどのようなものがあるのか?」と悩んでいる方へ、オススメの参考書を紹介します。

センター古文・単語帳

センター古文で必要とされる語数は300語程度です。それに合わせてオススメの単語帳を選んでいきましょう。
『速読古文単語[改訂版]』(Z会編集部)
それぞれの単語にかわいらしいイラストがついており、単語を覚える時にイメージと結びつけて覚えることができます。
『マドンナ古文単語230』(大学受験超基礎シリーズ)
新出の古文単語以外が現代語の例文が掲載されていることが特徴。一つ一つの単語に軽快な語り口の解説がついているので、気軽に勉強できますね。

センター古文・文法

『ステップアップノート30古典文法基礎ドリル 』(河合塾シリーズ)
古典文法をイチから勉強したい、という方にはオススメのドリルです。それぞれの助動詞の活用の仕方、どのような意味があるかなどを勉強できます。
『マドンナ古文』(大学受験超基礎シリーズ)
「一回学校で文法は習ったけれど、覚えられていない」という方向け。「べし」などたくさんの意味を識別するときの方法などが載っており、『ステップアップノート』よりも実用的です。

センター漢文・句形の対策

『漢文早覚え速答法』
「いがよみ」と本書で呼ばれる、句形の送り仮名を覚えることに焦点をあてた参考書です。覚えておくべき漢文重要語もまとまっています。
『漢文ヤマのヤマ パワーアップ版』 (大学受験超基礎シリーズ)
見開きページで句形の紹介がされており、それぞれの句形に対しての解説が丁寧にされています。後ろページにはセンター漢文に特化した問題やその解き方の説明も載っていますよ。

読解の対策

『大学入試センター試験過去問レビュー国語 2018 』(河合塾シリーズ)
センター古典の文章は私大の入試より長く、問題に癖もあるので慣れが必要です。古文・漢文ともに過去問を活用して、問題の癖に慣れていきましょう。
赤本よりも、解説が丁寧な河合塾の過去問(通称・黒本)をオススメします。

センター試験の本番では設問を先に読んで解く

それぞれの勉強法を身に着けて、過去問演習をしてさあ本番。センター国語は時間がない試験です。では、いかに短い時間でセンター古典で高得点を狙うか? それは設問を先に読むということが重要です。
何が問われるか分からず漠然と文章を読むことと、先に設問を読んで「このようなことが問われるのか。選択肢が近づいてきたら気をつけるべきだな」と理解して本文を読むのとでは、効率がまるで違いますよ。ぜひ、設問を先に読みましょう。最初は選択肢を読む必要はありません。「設問を読む→本文を読む→選択肢を見て必要な情報をすくいとる→本文に戻る」という解き方で、時短を狙っていきましょう。

センター古典は、単語・句形・語順などの基礎的事項を覚えていれば正解できる基本問題がほとんどです。基本問題を着実に正解していけば9割も夢ではありません。センター古典で9割を取り、国語で高得点を狙いましょう!




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