目次
- 1 【SFCスピリッツの創造】の授業とは
- 2 【SFCスピリッツの創造】の授業内容
- 2.1 ①今村久美さん(認定NPO法人カタリバ代表理事)
- 2.2 ②渡邉康太郎さん (株式会社Takramコンテクストデザイナー)
- 2.3 ③閑歳孝子さん(株式会社Zaim代表取締役)
- 2.4 ④千葉功太郎さん(投資家/Drone Fund代表パートナー)
- 2.5 ⑤柳澤大輔さん (面白法人カヤック代表取締役CEO)
- 2.6 ⑥門松貴さん(内閣官房長官秘書官)
- 2.7 ⑦松尾卓哉さん(株式会社17クリエイティブディレクター)
- 2.8 ⑧江渡浩一郎さん(国立研究開発法人産業技術総合研究所 主任研究員)
- 2.9 ⑨平尾丈さん(株式会社じげん代表取締役CEO)
- 2.10 ⑩小林正忠さん(楽天株式会社創業メンバー CPO)
- 2.11 ⑪駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス代表理事)
- 3 【SFCスピリッツの創造】のサブゼミについて
- 4 おわりに
【SFCスピリッツの創造】の授業とは
慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部、通称SFCでは様々な授業が開講されています。
【SFCスピリッツの創造】という授業は、SFCの卒業生約3万人の中から11名をゲストスピーカーとしてお呼びする講演形式のものです。毎授業1人ずつご自身の経験を踏まえた内容の講義をしていただき、その後学生との質疑応答を行います。
とても大人気な授業で、私が履修した期間はなんと700人近い学生が履修していました。
この記事では、2020年春学期にオンライン上で開講された内容を紹介します。
SFCの卒業生はどのような大学生活を過ごし、今の職業へとつなげていったのでしょうか? 合格サプリで唯一のSFC生ライターである私が、全国の中学生・高校生のみなさんにお伝えしていきます!
【SFCスピリッツの創造】の授業内容
①今村久美さん(認定NPO法人カタリバ代表理事)
テーマ:「教育」「オンライン教育」
両親ともに大学に通ったことのない家庭で育った今村さん。SFC入学後、大学に行けることが当たり前の環境にいる人たちとそうではない人たちとのギャップに疑問を抱きます。
そして教育の価値を世の中のために使いたいという思いから、大学卒業後は就職せずにNPO法人『カタリバ』を立ち上げました。
学校や親以外から学べる場を作りたい。親と学校に教育を丸投げしない「社会教育」を目指したい。みんなが教育に関わっていく場を当たり前にしたい。
そんな思いから、場所・年齢・性別を問わず子どもたちに社会的に役に立つ勉学を教えるキャリア教育プログラムを作っています。
オンライン教育の実施などコロナの中でもできることを教えていただきました。
②渡邉康太郎さん (株式会社Takramコンテクストデザイナー)
テーマ:「デザイン」
『Takram』はさまざまなプロジェクトに取り組むデザイン・イノベーション・ファームです。
渡邉さんが名乗るコンテクストデザイナーとは、文脈を作るという意味ではありません。「企業側の文脈を」「正しく伝える」とは真逆で、「con-ともに」「texture-編む」という意味で、作り手による「強い文脈」と使い手による「弱い文脈」の両立を「デザイン」します。
ご自身の弱い意志と偶然が合わさって今という未来があるとおっしゃる渡邉さん。
「みんながいいと思っている」ものが全ての人にとって本当にいいものなのか? 世の中の当たり前と反対のことをして新たな価値を生み出しているそうです。
制約の中で誰もが新たな価値を生み出せる環境にいることに気づかされました。
③閑歳孝子さん(株式会社Zaim代表取締役)
テーマ:「貨幣」「起業」
学生時代の閑歳さんは、お小遣いなしで学費など全て自腹だったそう。
お金の使い方で人生の選択肢が大きく変わる。その選択肢をサービスで広げたい。主体的な選択が自己肯定感・幸福を生む。そんな思いから記者、Webディレクター、エンジニアを経て起業しました。
人生において夢中になれるものは必ず見つかるとは限りません。だから、ストレスなく生きること、人よりもできることを大事にした方がいい。
体験や他者のためにお金を使うと幸福度は上昇するからこそ、得た能力・環境・お金を社会の身近な人に還元しようと教えてくださいました。
④千葉功太郎さん(投資家/Drone Fund代表パートナー)
テーマ:「ドローン」「起業」
千葉さんが主宰する千葉道場という投資家コミュニティでは、まだ見ぬ幸せな未来を想像しテクノロジーで世界の議題を解決することをミッションにしています。
ドローンもそのひとつで、社会的な議題の解決に貢献できるテクノロジーと考え『Drone Fund』を創業しました。
10年後のNew Normalな世界に向けたビジネスを考えること。そのためにテクノロジーの勉強は文系でも理系でも欠かせません。
逆算思考で目標を明確にし行動に移そう。今だからこそできること、経験できることに時間を投資しようとアドバイスしてくださいました。
⑤柳澤大輔さん (面白法人カヤック代表取締役CEO)
テーマ:「地域活性化」「起業」
SFCで出会った仲間と起業を約束し、大学卒業後はそれぞれ大学院進学・サラリーマン・海外放浪と別の道を歩んだ柳澤さんと他2人。合流して起業したのは、世界で唯一サイコロで給料が決まるなんともユニークな会社『面白法人カヤック』でした。
仕事とは評価そのものであり、評価が文化を決める。受け身では面白くない。主体的に関わっているという実感が持てれば、どんどん好きになるし楽しめるようになる。
そんな考え方が、大人気となったうんこミュージアムや新しい組織作りのアイデアにつながっているのかもしれませんね。
⑥門松貴さん(内閣官房長官秘書官)
テーマ:「政策」
菅官房長官はお酒が苦手でパンケーキが大好き。そんなお茶目な裏話を教えてくださった門松さんは、理転と文転を繰り返してきました。
ここ30年、日本は低経済成長時代を迎え、IT技術の発展と問題化の複雑化という変化がありました。働き方を変えるには、文系と理系の壁を壊さないと上手くいきません。
内閣官房でも各省庁がそれぞれ担当していた仕事を協力して行うようになり、創造のために改革を、組織・規制の壁を壊しています。
問題意識を持って自主的に論理的に学ぶ大切さを教えてくださいました。
⑦松尾卓哉さん(株式会社17クリエイティブディレクター)
テーマ:「映像」
CMをはじめとした広告を手掛けている松尾さんは、学生時代に多種多様なアルバイトをしていました。次々とアルバイトを変えることで、学生時代にしか学べない新たな知見を得ていったそうです。
自分を信じることはとても難しいことです。周囲が成功していればプレッシャーもかかります。しかし花咲くタイミングは人によってそれぞれ。
自信がない人の言葉は誰も聞いてくれません。だからこそ、焦らずコツコツと努力を積み重ねて、自分を信じていこうとアドバイスしてくださいました。
⑧江渡浩一郎さん(国立研究開発法人産業技術総合研究所 主任研究員)
テーマ:「未来」「研究」
メディアアーティストとしても活躍する江渡さんは、創造的な場を支える仕組みの研究をしています。
元々パソコン通信に興味があり、大学ではWebサイトを立ち上げたりゲームを作ったりしていました。当時は今ほどネットワークが普及していません。
そして、ユーザー参加型の研究の場であるニコニコ学会βを通して、「共創型イノベーション」を作っていきます。
「未来」は時間が経てば「現在」になる。多くの人が同意しない未来をつくるには、今は非常識でもそれが当たり前になるような重要な真実が大事なのですね。
⑨平尾丈さん(株式会社じげん代表取締役CEO)
テーマ:「起業」「ビジネス」
生活機会(よりよく生きるための選択肢)の最大化を目指して、『じげん』はサービスを提供しています。
平尾さんは学生時代から起業家として活動していました。起業するまでに行ったことは、社会問題を主体的に解決するライフビジョンを描くこと、足りない力を磨くこと、圧倒的なインプットとアウトプットの3つだそうです。
過去に基づいて先を考えるパターン認識力と、自分を客観的に捉えるメタ認知能力があれば前に進むことができます。
災禍のタイミングで数々のスタートアップが生まれ成長している世の中において、一歩踏み出す勇気を与えてくださいました。
⑩小林正忠さん(楽天株式会社創業メンバー CPO)
テーマ:「自我作古」
『楽天』の創業メンバーであり、現在はCo Founder and Chief People Officerである小林さん。
創業当初は、ネットビジネスは成功しないと言われていたそう。しかし、挑戦することで不可能はないことを学び、自分で道を拓き歴史をつくっていきました(=自我作古)。
できるかできないかではなく、やるかやらないか。批判の大半は挑戦していない人間の声。
パイオニア精神を持って自分の信じるWell-beingへ、挑戦していく姿勢のカッコよさに惹き込まれました。
⑪駒崎弘樹さん(認定NPO法人フローレンス代表理事)
テーマ:「社会起業」
子どもの発熱・病気のせいで仕事を辞めざるを得ない親がいる。そんな社会課題から、NPO法人を立ち上げた駒崎さん。月会費のシステムを変えたり、定員数20人未満の保育所を作ったりすることで、病児保育や待機児童の問題を解決してきました。
社会課題に対して、小さな解決策を提示し証明する。そしてそれを制度化してもらえれば、社会を大きく動かせるようになる。
テクノロジーの進歩とともにインフラの整備を行ったり、異なる法律の異なる制度を両立して社会のアップデートしたりすることで、事業で社会課題を解決できるのです。
【SFCスピリッツの創造】のサブゼミについて
授業以外にサブゼミといって自由参加型の授業が行わました。私が参加した2つのサブゼミの内容を紹介します。
①閑歳孝子さんと一緒に「リモートランチ会」
第3回の授業で講義してくださった閑歳さんと、後日「リモートランチ会」という名の直接お話ができる機会に恵まれ参加しました。
閑歳さんが提供しているオンライン家計簿Zaimは、サービス内容によって儲かろうと思えば儲かってしまいます。しかし、基準を定めることでお金と個人の幸せを保っているそうです。
企業背景の裏側、社長としての意識などとても貴重なお話を伺えました。
参加者は閑歳さんと私を含めて4人。相談にも快く答えてくださり蜜の詰まった時間を過ごしました。授業外でも直接お話しできる機会があるのは、SFCの授業ならではですね。
②喜多恒介さんと考える「本当にやりたいことの見つけ方とその実践」
東京大学卒業、慶應義塾大学大学院所属という経歴を持つ喜多さんは、「意志」と「コミュニティ」の関係性をテーマに日々活動しています。
スタンフォード大学発のアート思考やセルフコンパッションなど最先端の理論をふんだんに用いた喜多さんのサブゼミは、「本当にやりたいことの見つけ方とその実践」を目的にワークを行いました。
私が参加した日のテーマは「心のブレーキを緩めて行動ができるようになるためのワーク」で、じっくり時間を掛けながら全11問の質問を自分自身に問いていきます。
喜多さんから答えは教えてもらえません。なぜなら答えは自分の心の中にあるからです。
3時間のワークの最後に質問の意図が明かされたときは、これまで気づけなかった自分の本当の気持ちと出会うことができ、興奮しすぎて夜眠れませんでした(笑)
おわりに
私は「書く」ことが好きなので、合格サプリで書いて伝えるという活動を行っています。今回「書く」を通して、高校生のみなさんにSFCの授業の面白さを伝えていきたいと思い記事を執筆しました。
SFCの卒業生は、大学での授業を生かして、企業家から官僚まで多種多様な進路を歩んでいます。みなさんもぜひ面白そうな大学の授業を探して、学びたいこと・やりたいことを見つけてくださいね。