はじめに
皆さんは「総合問題」って知っていますか?
「総合問題」は2020年度から、様々な大学で導入された新しい入試形式です。
そんな総合問題は、問題自体が分からないのは勿論のこと、対策の仕方や採点の仕方でも不明点が多いのが事実です。
新しい入試制度に不安を感じる受験生も多いのではないでしょうか?
「総合問題があるから、あの大学を受験するのはやめようかな……」と考えている受験生もいることでしょう。
しかし、総合問題は十分に力を付ければ解くことができます。
諦めるにはまだまだ早いです。
この記事を読んで、忌避されがちな総合問題について知り、少しでも受験校の幅を広げていきましょう!
目次
総合問題って何?
新しい入試形式の総合問題
近年の大学では、これからの社会を生き抜く力を持つ人材を得るため、「経験のない状況下での判断」や「全く新しい発想」などの力を受験生に求める傾向が強くなっています。
総合問題は従来の入試に比べ、要約力や文章表現力、理解力、知識量などが試される新しい入試形式です。
そのため大学側が求める力を持つ学生を選抜しやすい試験として、早稲田大学の政治経済学部や上智大学、青山学院大学などで導入されはじめています。
総合問題では様々な視点からの問題が何題も出題される上、各大学ごとに出題形式が異なっているため、従来の小論文の試験よりも対策が難しいとされています。
また文章を読んで、きちんと理解した上でないと解けないような問題も多いです。
例えば設問を解きながら結論まで誘導していくタイプの問題や、前の設問で書いた自分の意見に対して別の見方を要求してくるような問題もあります。
こういった今までにない問題形式となっていて、受験生は避けがちです。
総合問題と国語の類似点と違い
総合問題で求められるのは、数学の公式や英語の文法・単語などの知識というよりも、国語の問題を解く時に使う力、つまり読解力・思考力・表現力です。
そのため国語が得意な人は、少し解きやすく感じるかもしれませんね。
形式の面でも、文章を読んでから問題を解いていくという点で、国語の記述式試験に少し似ています。
国語と違うのは、表やグラフからの読み取りや時事問題の理解が求められることや、文章や表などの理解をふまえた上で自分の考えを書くという点です。
また国語の試験と異なり、少し専門的な知識が問われることがあるので、知識面の対策が必要な場合もあります。
総合問題を解くのに必要な力
先ほど述べたように、総合問題では読解力・思考力・表現力などが大切になってきます。
また先述した通り、各大学ごとの対策に加えて、学部学科によっては専門的な知識を身につける必要があります。
そして総合問題は独特な形式のため、解く順番やコツ、出題傾向などにテンプレートがありません。
そのため、試験中に臨機応変な対応ができる力も大切になります。
事前に提示されたサンプルと全く違う問題でも、焦らずに解くようにしましょう。
ちなみに総合問題対策として、サンプル問題や過去問以外では、慶応義塾大学の小論文がおすすめですね。
というのも慶応義塾大学の小論文は、ほとんどの学部において難しい課題文が課され、試験における課題文の読解の比重が高くなっているためです。
総合問題も同様に、課題文を正確に理解する必要があるため、慶応義塾大学の小論文対策が活かされることがありますよ。
総合問題の攻略の仕方
総合問題の攻略の仕方①:理解力を養う
総合問題でまず大切になるのが理解力です。
問題として、要約や表、グラフからの読み取り、文章を踏まえた上で自分の意見を書くものなど、選択問題よりは記述の問題が多く出題されます。
つまり、文章の内容をしっかり理解しないと解答を書けないものが多いです。
そのため、課題文を読みながらでも要点をしっかり理解する力をつけていく必要があります。
特に筆者の意図を汲み取れるようにするのが大切です。
例えば普段から人の話を聞きながら、相手が何を伝えようとしているのか考えてみると、理解力を養うための練習になるかもしれません。
また小説を読んで自分の考えをまとめ、日が経った時に改めて見返して、自分が何を書きたかったのか確認してみると、理解力が身につきますよ。
総合問題の攻略の仕方②:記述力を身につける
総合問題を解くにあたっては、記述力も必要不可欠になります。
記述力と聞くと、国語の問題で必要とされるような文章の抜き出しや、作者の心情表現を記述するための力だと思うかもしれません。
ですが総合問題に必要なのは、文章を踏まえて自分の意見を記述する力です。
そのため文章を読んで記述の問題を解くよりも、一から自分の考えを書く方が良い練習になります。
丁寧でなくても、長文でなくてもいいので、毎日必ず自分で文章を作るようにしましょう。
例えば日記をつけたり、短編小説を書いたりするなどの方法があります。
総合問題の攻略の仕方③:短時間での文章のまとめ方を学ぶ
過去問や類題で演習をする際は、問題形式に慣れると同時に、短時間での文章のまとめ方を学んでいきましょう。
総合問題では、限られた時間の中で文章を作成することになるため、しっかり下書きを書く暇はありません。
大事なのは文章から読み取った情報や自分の考えを素早くまとめ、一発で納得のいく文章を書けるかどうかです。
まずは文章を読みながら、作者や自分の考え、結論、そして細かい情報を箇条書きで書き出していきましょう。
文章を一通り読み終わってからだと時間が足りなくなってしまうので、文章を読みながら書き出していくことがポイントです。
文章を読み終わったら、書き出した情報や考えをもとに、解答用紙に文章を書いていきます。
完成した解答を読み直す時間が無いこともあるので、出来るだけ丁寧に、誤字脱字が無いように気をつけましょう。
総合問題の攻略の仕方④:時事問題を中心に幅広い知識を身につける
総合問題は、学校の授業で学ばないような知識を必要とすることがあります。
例えば上智大学文学部哲学科では、哲学者の名前と、その人物の唱えた考え方を選択する問題が出題されました。
世界史選択者にはやや有利となりましたが、初見では分からない人物も出題され、普段から哲学に精通していなければ得点できない問題でした。
また青山学院大学コミュニティ人間科学部では、地域と社会問題の関連性について学ぶことから、地域社会に関する文章が出ることが予想されていました。
しかし実際には教育に関する文章が出されたため、幅広い知識が無いと困ってしまうような問題でした。
つまり総合問題は、自分の興味がある分野の知識だけでは太刀打ちできない可能性が高いのです。
予想外の問題に対処するためには、普段から多くのことに触れ、幅広い知識を身につけておく必要があります。
ですが使える時間の限られている受験生には、知識を身につけるために新しく本を読んだりする暇はなかなか無いですよね?
そんな受験生は、息抜きに新聞やニュースに目を通して時事問題に触れ、少しでも知識を増やす努力をしておきましょう。
特に自分が受験する学部学科に関することは注視しつつ、幅広く学んでいけると良いですね。
おわりに
確かに総合問題は決まった傾向が無く、対策がしづらいかもしれません。
しかし必要な力さえ把握し、適切な対策をすれば十分立ち向かうことができます。
特に国語が得意な人にとってはチャンスではないでしょうか。
総合問題を恐れすぎることなく、積極的に挑戦してみてくださいね!