はじめに
慶應義塾大学は総合政策学部と環境情報学部の入試において、日本で初めてAO入試(現在の総合型選抜)を導入したことで知られていますが、法学部にもFIT入試という総合型選抜があります。
しかし、「出願書類には専門の参考書がないため、どのようにFIT入試の対策をしたら良いかわからない……」という受験生も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、2021年度慶應義塾大学法学部法律学科にFIT入試A方式、B方式の両方式で合格を果たした筆者が、FIT入試の出願書類を書く時のコツについて徹底解説します。
目次
【慶應法学部FIT入試】基本情報
FIT入試は「総合型選抜」という種類の入試に位置づけられます。
総合型選抜は提出書類や面接、小論文試験などを通して、受験生の能力や適性を時間をかけて総合的に判断するというものです。
その中でもFIT入試は少し変わっていて、総合型選抜にありがちな「一芸入試」ではなく、多面的かつ総合的に受験生が判断されることが特徴です。
法律学・政治学を学ぶにふさわしい素養がある者を選抜する試験であるため、なかなか一筋縄ではいかない入試だと言われていますね。
FIT入試にはA方式とB方式の2種類の方式があり、募集人数は法律学科・政治学科それぞれA方式とB方式を合わせて最大80人です。
一般選抜同様に2つの学科を併願することは出来ませんが、FIT入試のA方式とB方式は両方に出願することが出来ますよ!
A方式には優れた活動実績が必要
A方式の一次試験は、自己推薦書I・自己推薦書Ⅱ・志願者調書・志望理由書の4つの書類で審査されます。
A方式の出願資格に、「学業を含めたさまざまな活動に積極的に取り組み、優れた実績をあげた者」という記載があるため、高校時代に特に力をいれて取り組んだ活動がある受験生におすすめの入試方式となっています。
倍率が高いA方式では、志願者の半数以上がこの一次試験で落とされているため、書類作りは綿密に行う必要がありますよ。
二次試験は9月の下旬頃に三田キャンパスで行われます。
試験内容は、大学1年生が理解出来る程度の講義を聴いて論文を書くという講義理解能力試験と口頭試問です。
口頭試問は2022年度から導入された新たな試験なので、今後の試験内容に注目ですね。
B方式には高い評定が必要
B方式は日本全国を7つのブロックに分けた「地域ブロック枠」という考え方を採用した制度です。
A方式同様に、B方式の一次試験も書類審査で、提出する書類は志願者調書・志望理由書・評価書の3つです。
A方式と併願する場合、共通の書類である志願者調書と志望理由書は1通のみ用意すれば良いですよ。
B方式の出願資格として、「指定の各教科≪外国語、数学、国語、地理歴史、公民≫及び全体の成績が4.0以上」という評定の制限があります。
B方式での出願を考えている受験生は高い評定を取れるように頑張りましょう!
二次試験は9月の下旬頃に三田キャンパスにて行われ、総合考査と呼ばれる小論文試験と面接試験が実施されます。
小論文試験では、グラフや論評をもとに小論文を書くものと、想像力が試されるものの2題が出題されます。
面接試験では、志願者調書に記載されたことを中心に10分程度質問されると言われていますよ。
【慶應法学部FIT入試】出願書類を書く時のコツ
志望理由書:大学への「ラブレター」ということを意識する
志望理由書は大学への「ラブレター」です。
自分が慶應で学びたいという気持ちを2000字で伝えることができる、この上なく有難い書類だと思ってください。
しかし、ただ慶應で学びたいということを書いても教授の心を動かすことは出来ません。
「自分が実現したいことを実現させるためには、慶應法学部でなければならない」と伝えることが大切です。
大学のHPやシラバスを参照しながら「慶應法学部ではどんなことが学べるのか」も含めて慶應について徹底的に研究しましょう!
志望理由書は「過去」→「現在」→「未来」の形で構成するのが典型的な形であると言われています。
「過去」の部分では問題に関心を抱いたきっかけを書き、「現在」の部分ではその問題の現状分析や問題点を書き、「未来」の部分ではその問題を解決するための方法について書く、という流れです。
必ずしも上記で紹介した型通りに書く必要はありませんが、分かりやすい論理展開と表現で書くことが大切です。
自己推薦書Ⅰ:簡潔に「自分史」を伝える
自己推薦書Ⅰは、中学卒業時から現在に至るまでの期間での特筆すべき活動内容を具体的に記すものです。
高校3年間で行った特筆すべき出来事を年表のようにして書き、添付資料を10枚までつけることが可能です。
この自己推薦書Ⅰでは、大きな賞や資格をとったことを必ず書く必要はありません。
結果にこだわらずに「過程」を丁寧に書くことが大切です。
徹底的な自己分析を行い、簡潔な「自分史」を作り上げましょう!
自己推薦書Ⅱ:自分の魅力を伝える
自己推薦書Ⅱは自己推薦書Ⅰの活動報告にのっとり、自分がいかに魅力的な人間であるのかということを、与えられたスペースの枠内で自由に表現するものです。
形式は自由ですが、教授は1000人以上の受験生の書類を見るので、目を引くデザインにすることがポイントです。
写真や図を使って視覚に訴えましょう!
自己推薦書Ⅰ以上に徹底的な自己分析が必要で、結果をアピールするのと同じくらい「過程」を大切にする必要があります。
志願者調書:幅広い視点を持っていることをアピールする
志願者調書では4つの質問が投げかけられます。
1つ目の質問は、「中学卒業時の自分と現在の自分を比較してその間の『人間的成長』がどのようなものであったか」です。
中学卒業から現在までの気持ちの浮き沈みをグラフにするとわかりやすくなり、エピソードも具体的になりやすいですよ。
2つ目の質問は「自分のものの見方や考え方に大きな影響を及ぼした事柄(書物を含む)について説明する」です。
これまでの自分の人生で起こった全ての出来事を思い返して、その時の感情をそのまま言葉にすることがポイントになっています。
3つ目の質問は「自分が今もっとも関心を抱いている事柄についてこれからどのように取り組んできたか、またその事柄について今後どのように取り組みたいか」です。
志望理由書に沿った内容を書くのが典型的であるとされています。
志望理由書よりも、抽象的かつわかりやすい言葉で簡潔に書くことがポイントです。
4つ目の質問は「自分が慶應義塾大学法学部の法律学科または政治学科に期待することは何か」です。
志望理由書に書いていないことを書くと、幅広い視点をもっていることをアピールできます。
慶應義塾大学の理念や校風に注目してみてもいいですね!
B方式の面接試験は、志願者調書に書かれた内容をもとに質問される可能性が高いので、自分の言いたいことがしっかり伝わるように書きましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?
FIT入試を受験する上で一番大切なことは、慶應法学部に入って将来どんなことをしたいかという自分の軸がブレないようにすることです。
受験生それぞれ評価されることが違うので、自分と向き合い続けることを忘れずに頑張ってください!