はじめに
京大志望のみなさん、特色入試のことを知っていますか?
京大の特色入試は一般入試に比べて新しい制度であり、詳しく知らない人も多いかと思います。
そこでこの記事では、前半で京大の特色入試についてまとめ、後半では特色入試合格者のリアルな声を届けます。
まだまだ情報が少ない京大の特色入試、この記事を読んでぜひチャレンジしてみてくださいね!
目次
- 1 はじめに
- 2 京大の特色入試の制度・特徴
- 3 京大経済学部特色合格者にインタビュー!実録特色入試
- 3.1 Q. 京大の特色入試を受験しようと思ったきっかけはなんですか?
- 3.2 Q. 学びの設計書では、どのようなことを聞かれましたか?
- 3.3 Q. 学びの設計書を書くときに注意したことはありますか?
- 3.4 Q. 論文試験の問題や試験当日の様子はどのような感じでしたか?
- 3.5 Q. 論文試験の直前はどのように過ごしましたか?
- 3.6 Q. どんな人が京大の特色入試に向いていると思いますか?
- 3.7 Q. 京大の特色入試に合格できた要因は何だと思いますか?
- 3.8 Q. 京大の特色入試に出願してから本番に至るまで、どのように過ごしていましたか?
- 3.9 Q. 高校や予備校ではどのようなサポートをしてもらいましたか?
- 3.10 Q. 最後に今後京大の特色入試を受験する人へアドバイスをお願いします!
- 4 おわりに
京大の特色入試の制度・特徴
京大の特色入試は、優れた人材の確保を目指して高大接続改革に伴い導入された、比較的新しい試験方式です。
ここでは制度について詳しく説明していきます。
以下に記す情報は2023年度版ですので、最新版は各自確認するようにしてくださいね!
※出典: 令和5年度京都大学特色入試学生募集要項
【京大特色入試】選抜方式
まずは選抜方式についてです。
京大の特色入試には、総合型選抜・学校推薦型選抜・後期日程試験の3種類の選抜方式があります。
総合型選抜を実施しているのは、総合人間学部・文学部・教育学部・理学部・医学部人間健康科学科・薬学部・農学部です。
また、学校推薦型選抜を実施しているのは経済学部・医学部医学科・工学部で、後期日程試験を実施しているのは法学部です。
なお、総合型選抜が出願要件を満たすだけで良いのに対し、学校推薦型選抜はそれに加えて学校長の推薦をもらわなければなりません。
京大の特色入試は各学部ごとに異なる選考方法を用いており、最終合格を含めて最大で3回選考があるので、詳しい選考基準は各自で確認してみてください。
【京大特色入試】出願資格
次に出願資格についてです。
基本的に全学部で
高等学校又は中等教育学校を該当年度に卒業又は卒業見込みの者
もしくは
文部科学大臣が高等学校の課程と同等の課程又は相当する課程を有する者として認定又は指定した在外教育施設の当該課程を該当年度に修了又は修了見込みの者
が資格を有するとされています。
その他にも各学部ごとに有資格者を定めていますが、最も特殊なのは医学部医学科で
国内の国際バカロレア認定校(DP)を該当年度に卒業又は卒業見込みの者
を含むだけでなく、
国際科学オリンピック(数学、物理、化学、生物)日本代表として世界大会に出場した者で、該当年度の次の年度に卒業見込みの者
も資格を有するとされています。
つまり医学部医学科だけは、高校2年生であっても出願が可能ということになりますね!
【京大特色入試】出願(推薦)要件
続いて出願(推薦)要件についてです。
まず、全学部で、該当年度実施の共通テストにおいて指定科目を受験する必要があります。
また、成績(評定平均)に関する規定があるのは総合人間学部・教育学部・経済学部・医学部医学科で、最低でも4.3以上が必要です。
さらに、英語力に関する規定があるのは経済学部・医学部・薬学部・農学部の一部で、TOEFL iBT・IELTS・英検・TOEIC L&Rの中で対象となっているいずれかの試験を受け、それぞれの要件を満たす必要があります。
なおその他にも、工学部では高い基礎学力や統率力及び課題研究での大きな成果が、経済学部ではそれらに加えて、大学院進学への興味や数学Ⅲの履修が求められていますよ。
【京大特色入試】選抜日程
ここでは選抜日程について簡単に説明していきます。
過去数年分の日程を分析した結果、以下の4点が言えそうです。
- 出願期間は基本的には11月初旬の約1週間
- 第1次選考の結果発表は出願開始日から約1ヵ月後
- 第2次選考がある場合には土曜日のみもしくは土日の2日間で実施
- 最終合格発表は法学部と医学部医学科を除き、2月中旬頃
【京大特色入試】提出書類
ここでは提出書類について説明していきます。
まず、全学部で調査書が必須となります。
次に、後期日程試験である法学部を除く全ての学部で学びの設計書が必要です。
そして、推薦書は学校型選抜のみ、学業活動報告書は教育学部以外の総合型選抜のみで必要になります。
なお、経済学部・医学部医学科・薬学部・農学部の一部学科・工学部の一部学科では別途提出物があるので、詳しくは各自で該当年度の募集要項を確認してみてください。
【京大特色入試】定員と倍率
さらにここでは、学部・学科ごとの募集人員と倍率を紹介していきます。
倍率に関しては、2022年度の第1次選考前の純粋な志願者数と定員により単純計算(志願者数÷定員)で表しています。
学部 | 募集人員(定員) | 倍率 |
総合人間学部 | 5人 | 7.0倍 |
文学部 | 10人 | 6.0倍 |
教育学部 | 6人 | 3.8倍 |
法学部 | 20人 | 18.0倍 |
経済学部 | 25人 | 2.7倍 |
理学部(数理科学入試) | 5人 | 13.8倍 |
理学部(生物科学入試) | 5人 | 3.8倍 |
医学部医学科 | 5人 | 1.6倍 |
医学部人間健康科学科 | 30人 | 2.5倍 |
薬学部薬科学科 | 3人 | 1.0倍 |
薬学部薬学科 | 3人 | 1.0倍 |
工学部地球工学科 | 3人 | 3.7倍 |
工学部建築学科 | 2人 | 1.5倍 |
工学部物理工学科 | 5人 | 3.8倍 |
工学部電気電子工学科 | 7人 | 1.3倍 |
工学部情報学科 | 3人 | 3.3倍 |
工学部工業化学科 | 7人 | 0.7倍 |
農学部資源生物科学科 | 3人 | 6.6倍 |
農学部応用生命科学科 | 4人 | 1.5倍 |
農学部地域環境工学科 | 3人 | 3.0倍 |
農学部食料・環境経済学科 | 3人 | 4.6倍 |
農学部森林科学科 | 5人 | 4.6倍 |
農学部食品生物科学科 | 3人 | 1.0倍 |
※出典: 令和4年度特色入試の結果
学部や年度によっても変わってきますが、一般選抜での倍率が2.1倍から5.9倍までということを考えると、どちらの方が入りやすいとは一概には言えないことがわかりますね。
【京大特色入試】注意事項
最後に、京大の特色入試を受ける際の注意事項を説明していきます。
後期日程試験である法学部以外では、学部・学科・コースの併願が不可能となっています。
また、法学部は他の国公立大学の後期試験とは併願不可能です。
※出典: よくある質問
京大経済学部特色合格者にインタビュー!実録特色入試
それでは京大の特色入試合格者の声を聞いていきましょう!
今回は2021年度特色入試で経済学部に合格した吉村京華さんにインタビューを行いました。
※吉村さんが合格した当時経済学部は総合型選抜を実施しており、選抜は書類・論文・共通テストの成績を用いて行われました。
Q. 京大の特色入試を受験しようと思ったきっかけはなんですか?
A. きっかけは、高校のクラスメイトが特色入試を利用して京大に現役合格したことです。
私は高1の頃から京大を志望していたのですが、一般入試しか視野に入れていませんでした。
というのも、特色入試を自分には無縁で難しいものだと考えていたからです。
しかし、クラスメイトが特色入試を使って現役合格したことを聞き、特色入試に関する情報戦で負けたような気がして悔しくなりました。
そこで、浪人が決まった3月頃には使えるチャンスを全て使おうと、京大の特色入試の受験を心に決めました!
Q. 学びの設計書では、どのようなことを聞かれましたか?
A. 高校在学中の活動と志望理由、そして大学入学後及び卒業後のビジョンを問われました。
私は、高1の時に子供の教育格差に興味を持ち京大で研究されている開発経済学を学びたくなったことに加え、海外留学や、民間企業への就職により格差解消に携わるという今後の展望を書きました。
Q. 学びの設計書を書くときに注意したことはありますか?
A. 注意したことは2つあります。
1つ目は、闇雲に書類にとりかからないということです。
学びの設計書を書き始める前に、1年前の経済学部の特色入試合格者が提出した志望理由書を全体的に見せてもらい、詳細に分析をしました。
合格者の書類の書き方を学ぶことは大切だと思います。
2つ目は、肯定的な方向で文章を進めることです。
自分をアピールするための書類であることを意識し、前向きな面を強調して書くようにしました。
しっかり注意して取り組めた点があった一方で、学びの設計書を初めて添削してもらったのが8月末頃だったので、少し動き出しが遅かったことは反省しています……。
少なくとも夏休みの前半、7月くらいまでには一度添削してもらって、全体像を具体的に掴めていた方がいいと思いますね。
Q. 論文試験の問題や試験当日の様子はどのような感じでしたか?
A. 英語の論文1題で3問、日本語の論文1題で2問出題され、合計5問に回答しました。
英語の論文は、意味を把握するのが難しく、日本語の論文を先に読んでから、内容を予測しつつ読みました。
本番では、近くに座っていた京都の有名進学校の生徒が答案をほぼ白紙で提出しており、問題の難易度に納得すると共に、日本語から先に読む対策が功を奏したことに安心しました。
Q. 論文試験の直前はどのように過ごしましたか?
A. 普段の勉強中によく食べていたグミとチョコレートを試験場に持っていき、それを食べてリラックスしながら過ごしました。
また、試験の2ヵ月くらい前からノートに書き貯めた、自分が不安になった時に元気が出る言葉・励ましの言葉を見返して、自信を付けられるようにもしていましたね。
試験会場に向かう2時間前くらいには、学校の近くのコンビニで最後の追い込みとして30分程度勉強をしました。
Q. どんな人が京大の特色入試に向いていると思いますか?
A. 京大冠模試でB判定以上など、ある程度京大の一般入試に対応できる学力があり、特色入試を諦めない人です。
逆に学力不足な人や、現代文を解く方法論を確立できていない人は向いていないと思います……。
というのも、特色入試の論文は京大現代文の難易度の高いバージョンだと言えるので、一般入試に対応できなければそもそも課題の論文を読むことすら大変だからです。
Q. 京大の特色入試に合格できた要因は何だと思いますか?
現役で受けた時点で、一般入試で京大に十分に合格できる力があったことです。
仮に落ちてしまっても一般入試で合格できるという安心感に起因する、良い意味での心の余裕がありました。
また、総合型選抜専門塾で過去問にたくさん触れることができたのも、大きかったですね。
十分に経験を積み、適切な対策を講じることができました。
Q. 京大の特色入試に出願してから本番に至るまで、どのように過ごしていましたか?
A. 出願後、論文試験までの間は、一次試験に受かっていることを信じて過去問や他の大学の小論文の問題など、論文の対策に集中しました。
ただし、論文試験後に共通テストを受ける必要があるので、行きと帰りの電車で社会の暗記をすることだけは続けていました。
Q. 高校や予備校ではどのようなサポートをしてもらいましたか?
A. 予備校では、個別指導で小論文の対策をしてもらいました。当時の塾長が、自分に合う先生を探してくれたのがとても印象的です。
総合型選抜専門塾にも通っており、特色入試に関する豊富な情報や全年度分の過去問に触れることができました。
また、浪人後も高校の進路部長の先生とは連絡を取り、9月になってから11月の出願が終わるまで合計4回ほど、志望理由書を添削していただきました。
Q. 最後に今後京大の特色入試を受験する人へアドバイスをお願いします!
A. 大切なことは「本物に触れる」ということです。
本物の特色入試の過去問や本物の合格者が書いた志望理由書に触れ、大切なことを学び取りましょう。
実践的なところでは、過去問が京大の公式HPには2年分しか上がらないので、学年を問わず興味を持った瞬間に過去問を保存しておくことが大事だと思います。
少しでも早く、できることをやっておきましょう!
また、志望理由書を書くことを鑑みると、京大で学べる内容を理解した上で、その学問につながる身近なことに積極的に関わっておくと良いと思います。
特色入試を諦めずに受験することを決めた時点で、もう皆さんは合格する可能性を持っています。
自分を信じてたくさん努力して頑張ってください。応援しています!
おわりに
大学入試改革の実施に伴って様々な入試形式が登場している現在、その複雑さに混乱することも多くあると思います。
今回はその代表例ともいえる特色入試について、合格者の体験談も添えてまとめてみました。
学生の多様性を求める京大の特色入試、皆さんも挑戦してみませんか?