はじめに|文化構想学部とは?
文化構想学部とは、早稲田大学にしかない学部です。
公式サイトによると、学部の理念は、以下のようなことだとされています。
文化の様相と構造を解明し、表象の分析と文芸の創造に取り組み、人間と社会の本質に迫ることによって、新しい時代にふさわしい文化を構想する。文化学の叡智を現代の課題で照らし、これまでの学問領域を大胆に乗り越えて、広領域的・学融合的アプローチを実践する。
「これまでの学問領域を大胆に乗り越え」るという理念どおり、授業内容などもかなり特殊になっています。
今回はそんな文化構想学部を紹介していきたいと思います!
目次
文化構想学部の授業内容・その特徴
第二外国語の授業が週4回も
文化構想学部生は、文学部生と同じクラスで第二外国語の授業を受けます。
しかもなんと週4回!うち週1回はネイティブの授業です。
中国語やドイツ語などに加えて、ロシア語などユニークな言語も学ぶことができますよ。
2017年からは、なんとアラビア語も選択できるようになりました。
ゼミ(論系)でできることは?
文化構想学部では、二年生になると6つのコース(論系)に分かれて研究をしていきます。
どの論系に入るのかを決めるのは、1年生の間に行います。
どの論系も募集人数があり、人気の論系は成績順に生徒を採っていきます。
今回は、それぞれがどのような論系なのかをゼミ・演習テーマを交えながらご紹介します。
- 多元文化論系
- 複合文化論系
- 表象・メディア論系
- 文芸ジャーナリズム論系
- 社会構築論系
- 現代人間論系
世界各国の文化を地域を超えて研究していく論系です。
思想文化論ゼミ、地中海文化論ゼミ、アメリカ文化論ゼミなどがあります。
<ゼミ・演習テーマ>「アイルランド文化史」「現代中国と道教・民間信仰」「Contemporary Japanese Fiction in English Translation」等(引用 早稲田大学文化構想学部 多元文化論系)
社会や文化について研究していく論系です。
言語文化、異文化接触、感性感化のゼミがあります。
<ゼミ・演習テーマ>「広告に見る異文化コミュニケーション」「ことばの歴史」「アートコミュニケーション」等
(引用:早稲田大学文化構想学部 複合文化論系 )
芸術作品を「メディア」「身体」「イメージ」という3つの視点で考察していく論系です。
余談ですが「表メ」と在校生には略されており、文化構想学部で人気な論系です。
<ゼミ・演習テーマ>「ジェンダーとイメージ」「ゲームデザインの表現学」「バレエ・ダンス論」等(引用 早稲田大学文化構想学部 表象・メディア論系)
文芸及びそれに関係するテクスト批評などを専門的に行う論系です。
「文芸創作」「テクスト・ヴィジュアル批評」「編集・ジャーナリズム」の3つのプログラムから成り立っています。
こちらも余談としてですが、略称は「文ジャ」。
<ゼミ・演習テーマ>「小説表現」「サウンド批評論」「編集実践」等(引用 早稲田大学文化構想学部 文芸・ジャーナリズム論系)
歴史や文化などの知識を基盤にしつつ、従来の学問の枠を越えて将来の社会を切り開いていこうとする論系です。
「社会構造論プログラム」「地域・都市論プログラム」「共生社会論プログラム」の3つのプログラムに主に分かれています。
<ゼミ・演習テーマ>「社会構造と社会意識」「自治体子ども施策・総合計画論」「優生思想とジェンダー」等(引用 早稲田大学文化構想学部 社会構築論系)
「人間」を詳しく分析していき理解することで現代社会を取り巻く問題に取り組む論系です。
「精神文化論」「関係構成論」「人間発達論」「福祉社会論」の4つのプログラムに分かれています。
<ゼミ・演習テーマ>「ジェンダーとセクシュアリティの視座」「サイバー空間の論理と倫理」「いじめ・虐待と社会病理」等(引用 早稲田大学文化構想学部 現代人間論系)
それぞれの論系の内容とゼミ・演習テーマを見るだけでも、文化構想学部が従来の学問とは異なる研究を行っているということがわかりますね。
文化構想学部の特徴的な授業
ここでは、文化構想学部の特徴的な授業を紹介します。
- 大衆小説論
- >少女カルチャー論
- 愛の諸相
- ポスト/モダニズム論
作家の重松清先生による講義です。松本清張・司馬遼太郎などの大衆小説家の人生と作品を研究することを通して、「大衆小説とはどのようなものであるか」を考えていきます。
2017年から3年間限定でおこなわれる講義です。
『花より男子』『俺物語!』『アオハライド』など少女漫画とその実写化された作品を比較します。「山崎賢人が少女漫画の実写化に何回も登場するのはなぜなのか?」「壁ドンに女子はなぜ萌えるのか?」などを考えていきます。
月9のラブストーリーを題材にとり、「胸キュン」はなぜおこるのかを分析していく授業です。
バービー人形やふなっしーなど、様々な人形が歴史的にどのように表象されているかの考察を行っていく授業です。
そのほかにも、文化構想学部では津田大介先生や堀江敏幸先生など、テレビで見かけるような先生方から直接授業を受けることができます。
文学部と文化構想学部の違いとは?
私事ながら筆者は早稲田大学の文学部に所属していて、文化構想学部はいわば「おとなりさん」という関係です。
ここでは、文学部生だからこそ分かる二つの学部の共通点と相違点を紹介します。
文学部と文化構想学部の共通点
まず、第二外国語が一緒なので、一年生の間は「あなた文(文学部の略)だっけ?文構(文化構想学部の略)だっけ?」という会話が日常茶飯事です。
その他にも、1000以上の講義が「ブリッジ科目」となっており、どちらの学部の生徒も自由に受講できるということがあり、学生間には学部が別れているという認識があまりありません。
文学部と文化構想学部の相違点
相違点としては、文化構想学部は広く勉強する一方、文学部は狭く勉強するということが大きな違いです。
例えば文化構想学部の多元文化論系でいろいろな国に渡り例えば宗教・哲学を勉強できることに対して、文学部なら西洋哲学なら哲学コースへ、東洋哲学なら東洋哲学コースへ、などと別れてしまいます。
そのぶん、文学部にはそれぞれのジャンルを深く勉強できるという利点があります。
文化構想学部の主な就職先
文化構想学部を卒業した人たちは、どのような職業についているのでしょうか。
金融……16.8%
メーカー12.2%
専門サービス……11.3%
マスコミ…11.2%
他学部よりもマスコミへの就職率が高いことが特徴ですね。(法学部6.6%、社会科学部6.7%、文学部8.7%)(参考・早稲田大学2018年パンフレット)
最後に
いかがだったでしょうか。
文化構想学部は語学にしっかり取り組むことができ、一方で非常にユニークな授業もあるバラエティ豊かな学部です。
興味のある方はぜひHPなどでより詳しい最新の情報を集めてみてくださいね。