はじめに
国公立大学の法学部を目指すと決めたとき、どの大学の法学部が良いのか悩んでしまいがちですよね。
この記事では、現在東京大学の法学部に通う筆者が、法学部の選び方について説明します。
偏差値だけではなく、卒業後の進路や大学入試の相性で選ぶ方法を解説するので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
目次
法学部で学べること
最初に法学部で学べることを確認しましょう。
法学部と聞いて、分厚くて難しい法律の本を全文暗記している、というようなイメージを思い浮かべる人はいませんか?
法学部はたしかに法学や政治学が学べる場所ですが、単に法律を丸暗記するということはありません。
法学部では、社会に生きる上でのルールや、そのルールと人との関わりについて多角的に学ぶ、実生活に結びついた学問を扱います。
例えば最近、絵師の絵柄を学習して絵を生成するAIが登場し話題になりましたよね。
その際インターネット上では、日本の著作権や法整備にまつわる議論が巻き起こりました。
AIが学習材料に使う元の絵への著作権侵害や、人の関与度の判断など様々な問題が発生したからです。
法学部で学ぶと、こうした時に対応する法律や対応方法を考えるための思考力を身に着けることができます。
【法学部の選び方】入試科目の相性を重視する
法学部を志望すると決めた後は、自分と入試問題との相性を考えるのが重要です。
もし行きたい大学が現時点で明確でないならば、まずは入試形式で志望校を検討してみるのはどうでしょうか。
ここでは、いくつかの国公立大学の特徴的な入試問題を分類して紹介します。
数学が得意な人向け!二次試験に数学が含まれる入試
文系の法学部の入試で数学を課す大学は少ないですが、前期試験で数学を要求する国公立法学部は存在します。
この出題形式では、文系で数学が得意な人が有利になりますよね。
大学が数学を課す意図としては、受験者の論理的思考力を見る他に、問題文から課題を読み解いてそれを解決する力が測られていると考えられます。
数学の問題を解く時に必要なロジカルシンキングは、法曹として活躍する際にも必要だというわけです。
以下は法学部で数学を課す国公立大学一覧です。(国: 国語、数: 数学、外: 外国語、地歴: 地理・歴史)
- 国・数・外の3科目を課す大学:大阪大学・九州大学・神戸大学・東北大学・北海道大学
- 国・数・地歴・外の4科目を課す大学:京都大学・東京大学・一橋大学
- 数・外・小論文の3科目を課す大学:名古屋大学
是非詳しい情報を調べてみてくださいね。
国語が得意な人向け!二次試験が1科目の入試
主に後期試験で総合問題や小論文、面接などの1科目だけで受けられる大学があります。
このような入試形式で一番必要になるのは、論理を組み立てて必要な内容を適切に表現する国語力であるため、他の科目に比べて国語が極めて得意という人には、おすすめの入試形式です。
大学が小論文等を要求する意図としては、法学部では入学後すぐに難解な法律やその背景を理解しなければならないので、実践的な学びに耐えうる国語力の有無が測られていると考えられます。
個人的におすすめな後期試験の志望先は、北海道大学です。
北大の後期試験では、法学関連の長い文章が出題され、それに関する小論文を書くことが求められます。
この試験は3時間で行われるので一見大変なようですが、1問しかない上に、本文を読んで自分の意見を論理的に書くだけで良いため、事前知識が一切必要ないところが魅力的です。
以下は法学部を1科目で受験できる国公立大学一覧です。
- 前期試験で小論文1科目を課す大学:北九州市立大学
- 後期試験で小論文1科目を課す大学:京都大学・神戸大学・東京都立大学
- 後期試験で総合問題のみを課す大学:広島大学
- 後期試験で面接のみを課す大学:北九州市立大学
【法学部の選び方】卒業後の進路を考える
ここでは、法学部生の大学卒業後の主な進路について説明していきます。
自分の進みたい道と照らし合わせながら大学を選んでみてください。
【卒業後の進路】①司法試験合格を目指して法科大学院に進む
法学部生の中で、法曹界に進みたい人はほとんどが卒業後に法科大学院に進学します。
法科大学院とは裁判官、検察官、弁護士など法曹養成を目的とした専門職大学院で、普通の大学院と同様に2年間です。
法科大学院を修了すると、司法試験を受ける資格が付与されます。
法科大学院はその学校ごとに司法試験の合格率に大きな差があることに注意が必要です。
司法試験合格率の高い法科大学院の院試では、やはりその大学出身者の合格率が高いので、司法試験合格を目指す人は、その合格率を調べてから受験するとよいですね。
ちなみに全国で一番合格率が高い法科大学院は、一橋大学の法科大学院です。
【卒業後の進路】②予備試験に合格して司法試験受験資格を得る
予備試験に合格すると、法科大学院に通ったと同様の知識があると認定され、司法試験の受験資格を得ることができます。
法学部生の中で、法科大学院を経由せず早く司法試験を受験・合格して早く法曹になりたいと考える人は、在学中や卒業後に予備試験を受けて司法試験受験資格を得ます。
ただし予備試験は、法科大学院で法学部卒生が2年間かけて学ぶ内容を問うので、合格率は約4%とかなり難易度が高くなっています。
これは予備試験合格者の司法試験合格率が9割以上と高い事の裏返しとも言えます。法科大学院修了者の司法試験合格率は約3割なので、かなり高いですよね。
司法試験に早期かつ確実に受かりたい等のビジョンがある人は、予備試験の合格率が高い国公立大学を調べてみると良いでしょう。
予備試験の合格率が高い大学の中でも、最初から予備試験合格を目指して集中的に頑張る人はかなり少数派で、入学後も努力が必要です。頑張ってくださいね。
【卒業後の進路】③法知識を活かして公務員や民間企業に就職する
法学部卒業時点で何か特別な資格を得るわけではないので、他学部生と同様、就活をして法知識を活かした仕事に就く人もいます。
民間企業で言えば、法務部などは法律と関連する仕事を扱います。
ただし、こうした仕事も弁護士資格を持っていると、より採用されやすいことがあるそうなので、資格を取って就職する人もいるようですね。
就職率や就職先といった情報は、大学パンフレットに載っている場合が多いので、自分の目指す就職先に行くことができるのか、調べてみると良いでしょう。
他にも、公務員として国や自治体で働く人もいるようです。
公の仕事では、例えば政策を考慮する場合にも利益調整を行うなど、法知識がほぼ必須です。
また、公務員試験の通過にも、法学部で学んだことが直接活かせる場合が多いようですよ。
なお、大学によって、地方公務員や国家公務員、一般職と総合職など、同じ公務員でも傾向に差があることに注意が必要です。
例えば東大は官僚を育成することが創立の目的の一つだったので、国家公務員総合職(=キャリア官僚)になる人が多いですよ。
自分の就きたい分野の職に就くことが出来るのか、こちらも大学のパンフレットでしっかりと確認しておきましょう。
おわりに
大学を偏差値だけで大学を選ぶと、実は自分の進路にもっと合った大学があったのに……と後悔することになりかねません。
そうならないように、入学前に卒業後の進路も踏まえながら、自分に合った入試を考えて志望校を決定し、理想の大学生活を手に入れましょう!