はじめに
医学部の面接は大学によって様々な形式があります。
医学部の面接を攻略するためには、自分の受験する大学の形式や出題傾向を把握した上で、対策をしていくことが重要です。
この記事では、医学部入試で行われる主要な面接形式と、その対策方法を伝授します。
目次
【サクッとわかる!】面接の目的と種類
【これを知らないと始まらない!】面接の目的
まず大前提として、なぜ医学部に面接があるのかを把握することが重要です。
医学部は他学部と違い、入学をした時点で、将来医師免許をとることが決まっています。
医師は人命を預かる社会的責任が大きな職業なので、その責任を担う覚悟があるかということと、患者に寄り添うことができる豊かな人間性と倫理観を備えているかということの確認として、面接試験があります。
また、面接は入学してから後悔することがないように医学部を選ぶことが本当に適切であるのかを自問する機会でもあります。
私自身面接の練習を通して、自分を見つめ直したり、さまざまな医療情報を集めることで、医学を学ぶ自覚が高まり、学習のモチベーションをアップさせることができました。
【知っておいて損なし!医学部面接の種類】➀個人面接
個人面接は、一番多くの大学で採用されている面接方式であり、受験生1人に対して1人以上の面接官がつき、試験を行います。
面接の時間は5分(名古屋大学)〜1時間(国際医療福祉大学)と、大学によって様々です。
また、聞かれる内容は、志望理由・自身の長所短所・調査書に書いてある個人的なことから、最近気になったニュース、現在の医療の課題など社会的なことまで多岐にわたります。
【知っておいて損なし!医学部面接の種類】➁集団面接
集団面接には、大きく分けて、グループで意見を話し合うグループ討論と、グループ単位で質問を行うグループ面接の二種類の面接形式があります。
まず、グループ討論について説明します。
グループ討論では、15〜30分で与えられたテーマについてグループで話し合います。
討論のテーマは、「医療過誤」や、「マイナンバー制度」などについてなど、医療に関係のある場合も、ない場合もあります。
面接官は、議論の結論より、どのように議論しているかの過程を評価しています。
対して、グループ面接では、面接官が複数の受験生に対して順番に質問を行ったり、集団で自己紹介をしたりします。
回答時間が極端に長いまたは短かい場合、他の受験生のことを考えられない自己中心的な性格であると評価されてしまうので注意しましょう。
個人面接と異なり、集団面接では他の受験生と答えが重なって、あせってしまうこともあるため、解答は複数個考えておくと良いでしょう。
私の受験した高知大学のように、5分間以上受験生同士で自己紹介をした後に他己紹介を行うような特殊な形式のグループ面接もあります。
【知っておいて損なし!医学部面接の種類】➂MMI
MMIとは、「マルチプル ミニ インタビュー 」の略で、面接官を変えながら短い質問に回答していく形式です。
MMIでは、まず状況が書かれた文章を渡されます。
文章を読んで考える時間が数分与えられ、その後数分間、書かれた文章に対して自分の考えを述べます。
すぐに回答し終わってしまい追加の質問がなされなかった場合や、追加の質問がなされなかった場合は、沈黙が続き気まずい時間が流れることになります。
私が藤田医科大学を受験した際、回答がすぐに終わってしまい、面接官と1分近く無言で向き合っていました。
無言の時間が長いと、やはり評価が低くなるので、下で詳しく解説しますが自分で条件設定をして、時間を稼ぐ方法が有効です。
パターン別面接の対策
【パターン別面接のポイント】①個人面接
面接に臨む際は、自身の受ける大学で頻出のテーマを把握し、事前に回答を考えておきましょう。
地域枠で出願した場合や、地域医療を推している大学では、地域医療関連のことがよく聞かれます。
一方、旧帝などの医学研究に力を入れている大学では医学研究に関することがよく聞かれます。
回答の内容によっては「うちの大学でなくても学べる内容だ」とか、「医学部に入らなくても達成できる」などと厳しい言葉を向けられることがあります。
岡山大学を受験した友人が、面接で大学の志望理由を「研究医になりたいので、研究に強い貴校を受験した。」という旨を述べたところ、「自宅により近い位置にある名古屋大学でも、充実した教育が受けられるのに、なぜわざわざ岡山大を志望したのか」と深掘りされたそうです。
それに対しては、岡山大独自の学部生のうちから大学院の授業を先取りできるプログラムや、集中的に医学研究を行うことができるプログラムを具体的に挙げて、面接官を納得させることができたようです。
この例からも分かるように、受験する大学のアドミッションポリシーや特徴をしっかりつかみ、なぜこの大学を受験したのかをはっきりと答えられるように事前に準備しておくことが重要です。
特に国公立大学の受験生は、共通テストが終わった後に受験大学を決定することが多いです。
入試までの時間は限られていると思いますが、自分の受ける大学の情報や、大学のある地域の医療体制や課題を調べておくと良いでしょう。
短所を述べる際は、そのあとに言い換えてなるべく面接官に悪い印象を与えないようにしましょう。
例えば、短所について心配症と述べたら、課題や問題点に気づきやすいという側面もあるという言い換えができますよ。
最後におすすめの面接の練習方法を二つ紹介します。
一つ目は、主要な質問に対する回答を紙に書き出すことです。
紙に書き起こす際は、文章ではなく箇条書きで書くのがおすすめです。
文章を書き起こして丸暗記しようとすると、本番で忘れてしまったとき途中で復元することが困難で、頭が真っ白になってしまうことが多いようです。
一方、箇条書きで覚えておくと、意見を整理しやすい上に、少し飛ばしてしまっても容易に修正することができます。
時には嘘を含んだ回答を作ることもあると思いますが、その場合であっても質問を深く掘り下げられた時にボロが出ないように、意見をしっかりと固めておきましょう。
二つ目は、面接の様子を動画を撮ってみることです。
自分の面接を動画に収めることで、喋るペース、所作などを客観視し、改善することができます。
【パターン別面接のポイント】②集団面接
集団討論は、練習をしておかないと対応することは極めて困難です。
司会を務める場合、そうでない場合の両方の練習経験を積んでおきたいものです。
お願いをすれば学校や予備校で集団討論の対策を行ってくれることが多いです。そのような機会を積極的に活用してみましょう。
司会をする際は、皆が均等に発言できているか、中立的な立場であるか、タイムキーパーとしてうまく時間管理をできているのかの3点を意識しましょう。
司会でもそうでなくても集団討論では、他人との協調性や、意見をまとめる力が評価されるので、自分の主張を押し通すのではなく、柔軟に他人の意見を取り入れることが大切です。
長い間意見を述べたり、自己紹介をするときは、事前に要点を挙げておくなど、他の受験生のことを思い遣った姿勢を見せると印象が良いでしょう。
【パターン別面接のポイント】③MMI
MMIは、特殊な形式ゆえに、練習経験が面接の際に大いに役立ちます。
学校や塾の先生と過去問やMMIカードを用いて何回も演習をしましょう。
MMIのコツは、「条件設定」と「場合分け」です。
カードに書かれている内容だけを回答材料にするとすぐに回答し終わってしまうので、自分で条件設定や場合分けをすることが必須となってきます。
また、条件を設定し、さまざまな場合を検討することで、多角的に物事を考察できる人であるという印象を与えることができます。
ここで、実際の試験問題をもとに、条件設定と場合分けの重要性を実感してみましょう。
「いつもお世話になっている先輩からバイトを変わってほしいと頼まれた。しかしあなたはテストを3日後に控えており、できれば集中して勉強をしたいと考えている。あなたならどう対応するか?」
場合分けしない場合は、
「学生の本分は学業に励むことであるので、バイトより学校のテスト勉強を優先すべきだ。だからバイトを変わることができない。」
このように短く、一方的な回答になったのではないでしょうか。
例えば先輩が変わってほしい理由で場合分けできます。
親族の不幸や会社の採用試験などの大事な用事なのか、それとも彼女とのデートなどのさほど重要でない用事なのかの大きく2つの場合が考えられます。
また、回答の中で述べる解決策として、親しいバイト仲間がいるという設定を追加して、その子にバイトを変わってもらえないか打診してみるのも一つの手です。
加えて、テストの重要度や難易度を設定し、バイトを交代するかどうかをこれらの条件や場合分けを踏まえた上で、多角的に発言しましょう。
書かれている内容だけで回答すると、すぐに回答し終わってしまう上に、相手の気持ちや状況をよく考えず、多角的な判断ができない、柔軟性にかける人であると捉えられかねません。
医師として患者さんを診療する際、患者さんの話を聞いて、様々な病気を思い浮かべ、推論する力が必要です。
MMIはそのための素質があるのか試されているのだと考えると良いでしょう。
また、当たり前ですが、常識に反する回答や医療者としての倫理を欠いた回答は避けましょう。
例えば「災害が起き、地域住民が避難所での生活を余儀なくされている。寝泊まりするために毛布を支給したいのだが、十分な数の毛布がない。どのような基準で毛布を配分するべきか。」という問題が与えられたとします。
「お金を持っている人から順に配る」、「抽選形式で配る」など、個々人の健康状態などへの配慮を欠いた回答は避けるべきです。
また、毛布を配られなかった人に関して何も述べないのは、配慮がかけていると見なされかねないので、対応を述べておくと良いでしょう。
この記事を見ているみなさんだったらどう答えるか、条件を付けて練習してみましょう。
おわりに
医学部における面接の目的、形式、対策方法を理解することはできましたか?
この記事を参考にした上で、実際に自分の受験する大学の過去問を使って練習してみましょう。