今回インタビューした人はこちら!
お名前 | 笹尾克彦(ささお かつひこ) |
経歴 | 東京大学法学部卒業(1983年) |
進学先 | 東京大学文科三類 |
所属サークル | 座禅部 |
はじめに
今回は1983年に東京大学法学部を卒業後、34年間のサラリーマン生活を経て、2016年に再び東京大学文科三類に一般入試で合格された、現在1年生の笹尾克彦さんにインタビューしてきました!
なぜ、再び東大に入ろうと思ったのでしょうか?また、大人になってからの東大入試対策は一体どのようなものだったのでしょうか?
このインタビューを聞けば、大学で勉強したくなること間違いなしですよ!それではいきましょう!
再入学の理由とは?
ー現役の頃は東大法学部に在籍していたとお聞きしましたが、なぜもう一度東大への入学を決めたのですか?
東大法学部を卒業してから、34年間仕事をしていて、もう仕事はいいだろうとなりまして、第二の人生を歩みたいと思ったんです。そんな時に歴史の勉強でもしようかなと思って……。大学に行き直そうと決めました。
その時にはもうはっきりと東大と決めていました。やっぱり何か勉強を始めよう!と大人になって思った時に知の殿堂としての東大の魅力は他の大学とは違うものを感じましたね。
でも、実は歴史の勉強をしようとして入った東大だったんだけど、1年間いろいろな講義を受けているうちに、理学部の地球惑星環境学をやりたいなと心変わりしているところです。今は、すっかりその学問にはまってます。
たったの1年間!大人ならではの驚きの勉強法とは?
ー 一般入試で入学とのことですが、いつ頃から対策を始めたのですか?
これに関しては、はっきり覚えてて、2015年の2月15日に決心して1年間勉強しました。
試験科目は、英語・数学・国語と、社会は、日本史と世界史で、理科は化学基礎と生物基礎で受けました。
ー入学試験の勉強を大変だなとは思わなかったんですか?
受験自体、「子供が受ける試験なんだから受かるだろう」と半分なめてかかって始めたんですが、実際はめちゃくちゃ大変でした。センター試験当日は目を使いすぎて右目が見えなかったくらいです……。
大変と言うよりは、1年間やってきてもう後には引き返せないという思いでしたね。勉強も塾に行くことははばかられたので、すべて独学でやりました。
ー1年間の勉強で東大に受かるなんて信じられないです。
やっぱり、自分なりの正と負のハンディーがあったと思います。
正の方の1つは英語なんです。僕は34年間いわゆる英語の商売をやっていたから、実力があるわけではないけど慣れはめちゃくちゃあるよね。今さら高校の英語を勉強することがなかったから、簡単に言うと、英語の勉強はセンター過去問数回を除けば0時間でした。だいたいの受験生は受験時間の大半を英語と数学に費やすと思うから、英語の勉強に割く時間がなかったのは大きなアドバンテージでしたね。
正のもう一つは、論じる力だと思います。東大の2次試験はほとんどこれじゃないですか。特に文系の東大は国語も英語も歴史もなんか書けっていう問題なので、これは年の差がでるところで自信がありました。
負のハンディーは記憶力と数学です。記憶力なんて、みんなの半分くらいしかないと思います。
ーセンター試験は笹尾さんの負のハンディーの面が強く表れると思うのですが、どのように対策したのですか?
そうですね。センター試験の足切りに引っかからないように必死でした。
まず、センター試験の国語・英語はひたすら過去問を解いてスピード練習をしてました。日本史・世界史・理科基礎2つは電車の移動時間で勉強して、机の上では勉強しないよう心がけていました。問題の数学は過去問だけをひたすら解いてました。
全体としては数学に8割の時間を割きましたね。
国語・英語・数学に関しては特に参考書を使うことはなかったですが、日本史・世界史・理科基礎2つについては、受験生が多分使っているであろう教科書を1冊ずつ買い、圧縮ノートを作って勉強しました。
ー圧縮ノート?
単純に覚えることを減らすために、これさえ覚えてればいいなと思うところを自分なりに書き出したノートのことですね。
日本史・世界史は、教科書350ページくらいを30ページくらいにまとめ、化学基礎も同様に17ページ、生物基礎も13ページにまとめました。
このオリジナルの圧縮ノートをひたすら電車の中で読み回していました。年のせいか記憶力がなくなってきているので、これは助かりました。
ー2次試験の対策について教えてください。
対策として過去問以外にやったのは日本史・世界史・数学ですね。
まず、日本史・世界史はセンター試験で使っていた物とは違う切り口の参考書を2冊買ってやってました。
数学も難関題の数学を集めたような参考書を1冊買ってやりました。数学は考えたってわかるもんではなかったので、問題見て回答を書き写す作業を5回は繰り返しました。それで訳のわからない問題に対するアプローチの感覚を学ぼうとしてました。
ーズバリ!東大合格の決め手になったのは何だったと思いますか?
合格につながったのは完全に歴史ですね。
論じる力には自信があったし、一昨年の入学試験では世界史で超現代史がでたんです。天安門事件とか。受験生が不得意なこれらの分野は、自分にしてみたら歴史ではなくてテレビで見ていた話で歴史ではないんですね。それが相当ラッキーだったなって思います。
あとは、年寄りのハンディーは国語でも感じて、古典にしろ漢文にしろ、大人の一般常識を問うような問題が多く出ていたので、そこの記述でも大きく点が稼げたのではないかなと思ってます。
34年前と今とで東大って変わったの?
ー現役の頃と比べて、自分の中での意識はどのように変わりましたか?
現役の頃はほとんど大学に行かなかったし、大学のリソースを全く使わずに卒業したなーという記憶が強いです。でも今は大学に勉強しに来ているので授業も積極的に参加していますし、大学で使える物は何でも使おうと思ってます。
なにより、大学の授業が面白い。しょっちゅう質問してます。
ー逆に東大は変わったと思いますか?
大きく変わったなと思うには、女の子が増えたなってことかな。それに校舎もきれいになったかな。
授業のシステム自体は全く変わってないですね。昔から東大は教養主義だと思います。
最後に
ー東京大学を目指している受験生に向けて一言お願い致します。
自分の興味が向いて面白いなと思える学部に行くことをおすすめします。
東大の2次試験は意外なほど質が良くて非常に実力を見る試験だから、つまらぬテクニックとか小手先の技は軽視して実力をつけた方がいいんじゃないんでしょうか。頑張ってください。