はじめに
「歴史がどうしても覚えられなくて苦手」と、テストや模試が返却されるごとに、点数を見てため息をついてしまう方もいるのではないでしょうか。
なぜ覚えられないのでしょうか。それには、原因が必ずあります。
今回は、歴史が苦手な人に向けて、原因別の歴史の苦手克服法4選を、歴史専攻の筆者がご紹介します!
目次
歴史嫌いの原因①歴史が面白くない
歴史が苦手・嫌いになってしまう原因の一つに、ただ覚えるだけで退屈である、ということがあるでしょう。
そのようなときには、まず「歴史に興味を持つ」ことが重要です。
ここでは、歴史に興味が持てるおすすめの方法を2つご紹介します。
歴史嫌い克服法①漫画やドラマで理解する
教科書を見るだけで鳥肌が立つ、というほど歴史が苦手な方は、まずはマンガやドラマなど親しみやすいジャンルから歴史に触れて、興味をもつことが必要です。
ここでは、歴史嫌いでも思わず読んでしまうようなマンガや、見たくなるドラマを8つ紹介します。
流れを理解したいなら『まんが版世界の歴史』(集英社)
歴史漫画は、おおよそすべての時代を網羅しているので、流れをおおまかに掴むことに適しています。
『まんが版世界の歴史』(集英社)は、全10巻と他のまんがと比べて少ない巻数ですが、ペルシア戦争から東西冷戦までを扱っているのでおすすめです。
これを読んだ後に教科書に移れば、今までよりも格段に頭に入ってきやすくなるでしょう。
ドラマチックなストーリーでフランス革命を学べる『ベルサイユのばら』(池田理代子)
『ベルサイユのばら』の名前は誰しもが聞いたことがあるのではないでしょうか。
男装の麗人、オスカルが主人公のこの物語は、フランス革命と、マリー・アントワネットや革命の指導者ロベスピエールなど歴史上の人物が描かれています。
ストーリーがとてもドラマチックに描かれているので、「勉強している」感じがなく世界史にふれる事ができますよ。
笑いながら古代ローマ史に触れられる『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキマリ)
映画版では阿部寛さんが主役を務めたことで話題にもなったマンガです。
古代ローマの時代といえば、「○○スス」という似たような名前の人が多すぎて覚えにくい!と感じる方もいるのではないでしょうか。
「テルマエ・ロマエ」は、皆が苦手としがちな古代ローマ、五賢帝の時代の風呂技師が日本にタイムスリップして温泉技術に触れる物語です。
ギャグシーンも多いので、笑いながら気楽に読めますね。
古代中国が身近になる『キングダム』(原泰久)
『キングダム』は、2019年に、山崎賢人さんなど豪華キャストで映画化したマンガです。
古代中国の戦国時代を舞台にしており、始皇帝が誕生するまでの物語を描いています。
戦国時代の様々な国について描かれているので、世界史選択で漢字名に苦手意識を持っている方におすすめです。戦闘シーンや知略をめぐらすシーンなど、手に汗握る展開がつづくのが魅力です。
日本史の流れがわかる『学習まんが日本の歴史』(集英社)
全20巻で、古代から現代までの歴史をマンガで読むことができます。
集英社版の『学習まんが日本の歴史』は、他の出版社のものと比べて、出版年度が新しいので、最新の知見が取り入れられています。また、戦後が3冊に分けて詳しく書かれています。
戦後の出題率は年々高まっている一方、理解が難しい範囲なので、マンガで概要をつかめる本書はとても魅力的ですね。
戦国時代の情勢がよく分かる『信長協奏曲』(石井あゆみ)
『信長協奏曲』は、現代からタイムスリップした高校生の主人公のサブローが、顔が似ているという理由で織田信長の代わりに天下を統一を目指していく物語です。
そこで登場する家臣は、明智光秀や徳川家康など、誰もが知る歴史上の有名人物ばかり。
主人公が現代の高校生なので、共感する場面も多いのではないでしょうか。
小栗旬さんが主役でドラマ化・映画化もしているので、漫画を読む時間がない方は、ドラマや映画を観ることもおすすめですよ。
男女が逆転!?史実もしっかり描いている『大奥』(よしながふみ)
「江戸時代は、戦いなどが起こらないからつまらなくて覚えられない」という方はいるのではないでしょうか。
そのような方に、よしながふみ『大奥』は、とてもおすすめです。
史実の大奥とは、江戸城で多くの女性が将軍のために過ごしている場所ですが、『大奥』は逆で、男性が女性である将軍のために多く集められている、という物語になっています。
しかしそこで描かれている生類憐れみの令や赤穂浪士の事件は、実際の史実に沿うように描写されています。
2010年には二宮和也さんが主演で映画になっています。
覚えるべき事柄がたくさんある、8代将軍、徳川吉宗の時代をビジュアルで理解することができますよ。
激動の幕末を医師の目線で描く『JIN-仁−』(村上もとか)
『JIN-仁-』は、現代の医師の南方仁が、1862年の幕末にタイムスリップして、幕末の江戸で近代的な医療技術を確立していく物語です。
この作品には、適塾をつくった緒方洪庵や、勝海舟や坂本龍馬、沖田総司など幕末の有名人が多数登場します。
池田屋事件、禁門の変など事件が多い幕末は、人物が多くて覚えることに苦労するもの。
それぞれの人物の立場や、どのような考えを持っているかをマンガで知ることで、覚えやすくなりますね。
歴史嫌い克服法②美術館や博物館に行ってみる
歴史嫌いを克服するには、実際の文化に触れてみることもひとつの手段です。
美術館や博物館には、資料集で見たことのあるような絵画や彫刻・陶磁器などが展示されています。
例えば、東京国立博物館では、有名な葛飾北斎の「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」を常設展で見ることができます。
中には、神奈川県立博物館や国立西洋美術館のように、建物自体が文化財になっている博物館もありますよ。
期間限定で行われている特別展では、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」や、モネの「睡蓮」など、普段は海外の美術館にある作品が展示されていることがあります。
ぜひ地元の美術館や博物館の情報をチェックしてみてくださいね。
歴史嫌いの原因②覚えることができない
歴史が嫌いになってしまうもう一つの原因としては、覚えることができないということです。
ですが、それは歴史の正しい勉強法を知らないだけ。ここでは、歴史が覚えやすくなる勉強法を2つご紹介します。
歴史嫌い克服法③関連付けて覚える
テスト前に、「1600年、関ヶ原の戦い、石田三成と徳川家康」のように歴史用語を暗記していませんか。
もしくは、「794(なくよ)うぐいす平安京」のように、年号をゴロ合わせで覚えていることはないでしょうか。
入試で点を取るためには、覚えることが不可欠です。ですが、上記のような覚え方では、すぐに忘れてしまうことでしょう。
なぜなら、石田三成と徳川家康が対立することになった背景を理解せずに、呪文のように覚えてしまっているからです。
事件が起こった時、必ず背景事情があるのです。起こった理由や、結果と関連づけて覚えることが必要です。
ここでは、関ヶ原の戦いを例に考えてみましょう。
ですが、遺言を無視した徳川家康が、政治の中心に立とうとしました。当然、他の有力な豊臣の家臣たちから反発が起こります。
そこで、石田三成を中心として反徳川派が連合を組み、徳川家康らと戦ったのが、関ヶ原の戦いの始まりです。
結果としては、小早川秀秋が寝返ったことにより、徳川氏が勝利をおさめ、1603年には征夷大将軍に任命されました。
このように歴史を流れで理解することにより、歴史が覚えやすくなります。また、二次試験の記述対策にも繋がりますよ。
歴史嫌い克服法④マインドマップを書いてみる
歴史を覚える上で厄介なことは、一人の人が複数の事柄に関与しているということです。
例えば、政治史で出てきた人物を文化史でも覚えなくてはいけない、ということはよくあることです。
そのようなときには、連想ゲームのように歴史事項をつなげていく「マインドマップ」を作成してみると、理解しやすくなるでしょう。
例えば、大隈重信は、「早稲田大学」の設立者である一方で明治14年の政変で下野した政治家であり、第一次世界大戦当時には首相となっています。
また、第一次世界大戦の起こったきっかけはサラエボ事件です。これを図示するようになると、以下のようになります。
覚えることが多いときには、マインドマップを書いてみてくださいね。
おわりに
いかがでしたか?歴史は過去の出来事でありながら、現代や未来にも繋がっており、学習する意味が十分にある科目です。
歴史嫌いの方は、ぜひここで紹介した克服法を取り入れながら、歴史を勉強してみてくださいね。