はじめに
古文単語って、多義語や紛らわしい単語が多くて覚えづらいですよね。
なかなか覚えられないから勉強する気になれない……という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、古文単語を効率良く覚えられる勉強法を紹介します。
単語は古文学習の基礎。
コツを掴んで単語を味方につければ、古文に強くなること間違いなしです!
目次
古文単語学習の基本
300〜400語を集中して覚える
単語集を使って覚える古文単語の数は、300〜400語が目安です。
(筆者が高校で指定された教材のボリュームが、だいたいこれぐらいでした。)
難関大志望の人も、400語も覚えれば心配ありません!
少ないと感じる人もいるかもしれませんが、大切なのは、
- 一つ一つの意味の由来を理解しながら覚えること
- 例文と合わせて勉強すること
の2点です。
こうして重要単語を確実に頭に入れていく過程で、読解力や単語の意味を推測する力が自然と身につきます。
1冊の単語集を何周もしてマスターする
使う単語集を決めたら、完璧になるまで少なくとも3周は繰り返しましょう。
特に1周目は丁寧に、自分で意味と用法をノートにまとめながら勉強するのがおすすめです。
覚える範囲と期限を決め、集中して取り組むのがポイントですよ。
受験に向けて早く古文の力を伸ばしたい人も、焦って先走るのは禁物です。
まずは200〜300語程度の基礎的な単語集を1冊マスターして、それからもう1冊発展的な単語集に取り組みましょう。
単語学習は読解と並行して行なう
単語力は、単語集の勉強だけでなく長文の読解を通しても高められます。
単語集で目にした単語が作品中に出てくると印象に残りやすいですよね。
「単語に力を入れよう!」と決めたとしても、知識のアウトプットの場として長文にも常に触れ続けることが大切です。
また、百人一首や有名な文章をよく勉強して暗唱し、そこに登場する単語を現代語訳と合わせて覚える方法も効果的ですよ。
古文単語を効率的に覚える3ステップ
単語集を使った効率的な古文学習の3ステップを紹介します。
これを使えば、覚えづらい古文単語もすんなり定着させられますよ!
①まずは漢字に注目!単語のイメージを捉える
古文単語は何しろ多義語が多いですよね。
一つの単語が一見なんの関連性もないような多くの意味を持っていて、「もうお手上げ……」となるのは誰もが通る道。
しかし、それら意味の根っこには共通の語源があるんです。
この語源から単語のイメージを掴むのが第一のポイントです。
イメージと言うと掴みどころがなさそうですが、単語の漢字表記に注目すると有効な手がかりを得られますよ!
たとえば、
むげなり:まったくひどい。最低だ
と、ひらがなではイメージが湧きにくいですが、「無下なり」と漢字に直すと「それより下がない」ことを意味すると理解できますね。
②単語のイメージとそれぞれの意味を結びつける
単語のイメージを掴んだら、単語集に載っている意味をそれぞれ結びつけて覚えましょう。
たとえば、「むげなり」は「それより下がない」が単語全体のイメージでしたね。
このイメージが「最低だ」・「論外だ」・「身分が非常に低い」・「冷酷な」という意味と結びつきます。
さらに、「程度がはなはだしい」という語感から「紛れもなく本当だ」という意味が生まれました。
このように、いろいろな意味を持つ単語も「なぜその意味になるのか」を一つ一つ理解することがポイントです。
③例文を使って覚える
単語の意味を理解したら、それを丸覚え……ではなく、必ず例文を使って勉強しましょう!
古文は英語のように自分で書けるようになる必要はありませんから、文中に出てきた言葉の意味を分かるようにするのが目標です。
例文を解釈して、単語の使われ方を文章の流れと合わせてインプットしましょう。
このとき自分で助動詞などに気をつけて例文の現代語訳をすると、文法の勉強にもなって一石二鳥ですよ!
要注意!押さえておくべき4種の古文単語
これこそが古文単語の暗記を難しくしている原因……だからこそ、単語学習のカギとなる4つの要素を紹介します。
①プラスの意味とマイナスの意味を持つ単語
古文単語には、プラスの意味とマイナスの意味の両方を持つものがよくあります。
現代人としてはあまり馴染みがないので、混乱してしまいますよね。
このような単語は、プラスとマイナスの意味を合わせて覚えるのがポイントです。
たとえば、
ゆゆし:①神聖でおそれ多い。②不吉だ。③(良くも悪くも)並一通りでない。は
なはだしい。④たいへんすばらしい。立派だ。
は、プラスとマイナスで一見反対の意味を持っていますね。
語源を調べてみると、「神聖なもの・触れてはならないもの」を意味する「ゆ(斎)」に由来することが分かります。
つまり、「神聖なものに触れると不吉なことが起こりそうでつつしまれる」というイメージから①・②のような意味になったんですね。
そこからさらに転じて、③・④のように「良くも悪くも程度がはなはだしい」という意味でも使われるようになりました。
プラスとマイナスは表裏一体。
根っこにはやはり共通した意味がありますから、それを掴んで真逆の意味もまとめてインプットしましょう!
②文の主語によって意味が変わる単語
古文には、文の主語が自分(語り手)か他人かで異なる意味を取る単語があります。ややこしいですね。
このような単語を覚えるときも、それぞれの意味に共通したイメージを掴むことがポイントです。
例を見てみましょう。
いとほし:①かわいそうだ。気の毒だ。②かわいい。いじらしい。③ 困る。つら
い。
語源を調べると、「いとほし」は「厭はし(いとはし)」が変化した言葉だと分かります。
つまり、「いとほし」の根っこにあるのは「何かを嫌だと感じて目を背けたくなる」という
イメージです。
目を背けたくつらい気持ちが自分に向くときは「③困る・つらい」、他人に向くときは「①かわいそうだ・気の毒だ、②いじらしい」という意味になるんですね。
(「いじらしい」が転じて、「かわいい」という意味も生まれました。)
このような単語が実際の文章で出てきたら、主語を確認してどの意味で使われているか判断しましょう。
③現代語と音は同じで意味が異なる単語
現代語と音はまったく同じでも意味が異なる古文単語は多いです。
たとえば、古文で「かげ」が現代語とは正反対の「光」や「物の姿・形」を表すことは有名ですね。
「かげ」の元々の意味は「光り輝くもの」だったそうです。
そこから転じて、光によって映し出される「姿」や光が遮られてできる「暗い像」という意味が生まれました。
このように、音だけで判断せず語源や意味の成り立ちをたどることで、知識が定着しやすくなりますよ。
また、このような単語は覚えるときにマークし、「これは現代語と違う!」と自分の中で印象づけるのが効果的です。
④形が似ている単語
古文単語には形の似たものが多いですよね。
語尾だけが微妙に違う単語が並んでいてウンザリ、なんてことも……。
紛らわしいなと感じたら、まずはベースとなる単語、つまり一番シンプルな単語を覚えましょう。
たとえば、
けしうはあらず:①そう悪くはない。②たいしたことはない。③相当なものだ。か
なり優秀だ。
けしからず:①異様だ。怪しい。②感心できない。よくない。③はなはだしい。異
常だ。
の2つは形がよく似て紛らわしいですね。
これらのベースとなっている単語「けし(=異し)」は、「普通と違っている様子を非難する」というイメージの単語です。
そこから派生して「変だ」・「非難すべきだ」・「ひどく・たいそう」という意味が生まれました。
これを覚えれば、「けしうはあらず」の意味も分かりますね。ここでは「は」によって打ち
消しであることが強調されています。
一方、「けしからず」は「『けし』どころではなくひどい」という意味です。
このように、似ている単語は「何が同じで、何が違うか」に注意して覚えるのがポイントです。
古文単語に強くなる!おすすめの参考書
①『マドンナ古文単語230』
古文単語学習の最初の1冊として最適な単語集です。
まずはこれをマスターして、古文単語の基礎を固めましょう!
内容がシンプルで、単語のイメージを一目で捉えられるのが特徴です。
②『読んで見て覚える 重要古文単語315』
語源や意味の由来についての解説が充実している単語集です。
じっくり読んで、単語を一つ一つ理解しながら覚えるのに最適ですよ!
おわりに
重要な単語が頭に入っていれば、古文の読解はグッと楽になります。
すべての意味を丸覚えしようとするのではなく、語源や単語どうしのつながりを意識することが、効率良く古文単語を覚える近道です。
単語力を身につけて、古文を得意分野にしましょう!