はじめに
学校の授業内容はきちんと理解できるのに、なぜかテストでは点数が取れない……
そんな経験はありませんか?
もしかすると、知識量ではなく「地理的思考力」に皆さんの伸びしろがあるのかもしれません。
習得した知識を実戦でどのように生かせばよいのかを学んで、地理を極めましょう!
*この記事は、地理総合と地理探究の両方を取り扱っています。共通テストで何かしら地理を使う方は、ぜひ参考にしてみてください!
目次
統計資料問題の基本の解き方
共テ地理でのおすすめの解き方
共通テスト地理総合・地理探究では、知識の活用力・応用力が求められます。
数学のように、「この問題ではどの知識を使うのか」を瞬時に見極める力が必要不可欠です。
そのために、特に統計問題を解く際におすすめしたいのが、以下の3ステップです!
外れ値に注目!
まずは、「外れ値」に注目です。
統計資料にある数値の最大値・最小値を丸で囲みましょう。
他にも、周囲の規則に合わない数値や急激な変化も要チェックです。
そして、なぜそこだけこの数値になったのか、時期や地域など地理の知識を使って、背景や要因を多角的に分析します。
テーマから類推!
外れ値でいまいちピンとこなければ、次はテーマに注目です。
問題の説明文やグラフの上部に書かれている主題から、今回の出題テーマ(気候、産業など)を把握します。
そして、縦軸と横軸の単位も確認しましょう。
年代であれば特定地域の時代変化、地域であれば地誌や地域の比較に関する知識が問われていることが多いです。
またこの時点で、単位の種類に注目します。
実質量か割合かで、答えが大きく変わる問題も頻繁に出題されます。
(2025年共通テスト本試験 地理探究第4問問1)
単純な増減量(実質量)であれば、世界でトップクラスに人口の多い中国の数値は桁違いに大きくなったはずです。
更に、「増減率」のため、数値がマイナスであっても、発電量自体はプラスである可能性が高いです。
数値を正しく解釈するため、細かい情報も見逃さないようにしましょう。
選択肢から類推!
最後は選択肢から推理していきます。
(2025年共通テスト本試験 地理探究第4問問3)
まずカでは、地方に集まる傾向が強いです。
物価の高い大都市に少なく、物価の安い地方に多い産業、つまり付加価値がやや低く人件費や地価を抑えたい製造業となります。
キは、大都市の東京・大阪・愛知の日本3大都市に集中しています。
従って、企業が集まる都市の近くを好む、B to B (Business to Business:企業間取引)の卸売業が答えです。
最後にクは、大都市に多いとはいえ、偏在度が比較的小さいため、どこにでもある小売業が入ります。
選択肢1つ1つの特徴や、選択肢ごとの比較対比でヒントを見つけましょう!
過去問に挑戦!
以上の3ステップを駆使して、ここからは実際の過去問に挑戦してみましょう。
2025年度本試験地理総合第1問問1
まず、外れ値(=高位と低位)を丸で囲みましょう。
経済発展度が高い国ほど、低位になる傾向が読み取れます。
この統計資料の特徴がつかめたところで、この資料の主題を考えます。
ア:栄養不足人口の割合であれば、サブサハラ全域が高位になるはずです。
イ:穀物の輸入依存度は日本が高位、北米やヨーロッパが低位になります。
ウ:北米などの先進国は、1人1日当たりカロリー摂取量が高いはずです。
エ:平均寿命も、先進国は高位になるはずです。
よって、ここではイ(2)が正答となります。
外れ値がポイントとなる問題でした。
2025年度地理総合第1問問3
今回のようなグラフでは、数値そのものよりも、選択肢ごとの相対的な大小に注目することが大切です。
国が明記されている日本を基準にある程度の大小関係を把握できたら、次はテーマを確認します。
「コーヒーと茶」というテーマと、選択肢の国々の顔ぶれから、「植民地」「プランテーション農業」というキーワードが思い浮かぶはずです。
ア:イギリスは、アヘン戦争の歴史やアフタヌーンティーで知られています。
帝国主義時代には植民地で茶のプランテーションを経営していた、世界有数の紅茶大国です。よって、解答は1になります。
因みに近年は、合衆国の喫茶店の進出などで、コーヒー文化も発展しています。
イ:イタリアは、コーヒーの抽出方法の1つ・エスプレッソの発祥の地です。
ウ:インドネシアでは、植民地時代から商品作物としてコーヒー豆のプランテーションが広がっていました。現在は、経済成長に伴い、現地で飲用される機会も増えています。
エ:中国では、冷たい飲み物を飲む風習がない代わりに、茶や湯冷ましを日常的に飲む文化が浸透しています。
茶葉の栽培は安定した温暖な気候と降水量が気候条件となるため、中国南部で盛んです。
中国の東海岸にある浙江省では緑茶、南東部沿岸の福建省では烏龍茶が有名です。
2021年度地理B第3問問2
まずは、選択肢の3か国に注目しましょう。
選択肢そのものであるグラフはもちろん、国の方にも注目する点がポイントです。
先進国のオーストラリアの首都はキャンベラですが、シドニーやメルボルンなどの都市も発展しています。
韓国では首都のソウルに人口が集中しています。
2021年には、UNCTADから先進国として認められました。
発展途上国のケニアの首都ナイロビは、国内観光地の1つです。
現在ケニアは東アフリカの経済を支えるほどに成長しています。
次に、選択肢のグラフに注目すると、国内の平均年齢はキが最も低いです。
よって、選択肢で唯一途上国のケニアだと考えられます。
ここまできたら、abを見分けましょう。
ケニアの都市部の年齢構成を考えると、都市部には出稼ぎの生産年齢世代が集中しているはずです。
つまり、現役世代が多いbが都市部の人口になります。
では再び、グラフ全体に注目しましょう。
クはabの差がほとんどなく、高齢化率が最も高いです。
国民のほとんどが首都ソウルに集中しており、少子化が深刻な韓国が該当します。
以上から、オーストラリアの人口第1位の都市はカ-b、つまり2が正答となります。
おわりに
いかがでしたか?
外れ値・テーマ・選択肢に注目することで、問題作成者が私たちに何を求めているかがおのずと見えてきたと思います。
あとは持っている知識を組み合わせるだけです!
出題者の意図を汲む能力も、地理的思考力の1つ。ぜひ身につけて高得点を狙いましょう!