はじめに
高校生の皆さんの中で、経済学部・経営学部・商学部の違いがいまいちよく分からないという人は多いのではないでしょうか。
確かに、3つの学部はどれも経済的観点から社会の仕組みを学ぶという点で共通しています。
しかし、その中でも3学部にはいくつかの違いがあるので、これらの学問の違いと学部との相性について、慶應経済学部生が紹介します!
「大学に入ったら思っていた勉強内容と違った……。」と後悔することのないように、ぜひこの記事を志望校・志望学部選びの参考にしてくださいね。
経済学・経営学・商学の学問の違い
【経済学・経営学・商学の学問の違い】①経済学では広い視野で社会の仕組みを学ぶ
まず経済学は端的に言うと、広い視野で社会の仕組みを学ぶ学問です。
具体的には、経済学では理論的メカニズムや歴史的視点、統計を用いて複雑な社会事象を分析します。
分かりやすいイメージとしては、国内外の社会の仕組みを上から俯瞰する、つまり広い視野で物事を見る、という感じですね。
また、経済学の中には、教育経済学や医療経済学、開発経済学といったように、様々な細かい分野に分かれています。
国内外の諸問題と経済を組み合わせて問題の解決法を模索したり、幅広い分野を融合させて物事を考えることができます。
日本経済史やアメリカ経済史など、各国の経済史を専門的に学ぶこともできますよ。
【経済学・経営学・商学の学問の違い】②経営学では企業経営を成功させる戦略を学ぶ
経営学は端的に言うと、企業経営を成功させる戦略について学ぶ学問です。
具体的には、企業や非営利団体など組織の視点から、どのようにして組織の利益を最大化し、経営を存続させることができるのか、という企業経営の仕方について詳しく学びます。
専門的な用語では経営戦略や組織戦略などといった言葉がよく使われますね。
このように、経済学に比べて経営学は社会の中の企業という、より小規模で実践的な内容を扱うのです。
そのため、起業を経営するうえで必要不可欠なお金や時間のマネジメント力をつけることもできますよ。
【経済学・経営学・商学の学問の違い】③商学では商品やサービスの流通過程を学ぶ
商学は端的に言うと、商品やサービスの流通過程について学ぶ学問です。
商学は社会の中の市場に着目するため、経営学部と同じく経済学部よりも実学的です。
このため、専門知識だけでなく、課題発見や課題解決力などの汎用的なスキルも身につきますよ。
商学では、具体的には商品・サービスの視点から、商品やサービスがどのような過程を経て消費者の手に届くのか、というような市場の動きを分析します。
また、市場調査や商品企画、広告宣伝などのマーケティングも学べます。
ちなみに、大学によっては経営学部と商学部のどちらかしか設置していないことがあるのですが、その場合は、一つの学部で経営学と商学のどちらとも扱うこともあります。
【経済学・経営学・商学どれを選ぶ?】筆者が考える学部との相性
【経済学・経営学・商学どれを選ぶ?】①経済学部:国の経済開発や金融業に携わりたい人
経済学部に向いている人には次のような特徴が挙げられます。
まず、発展途上国の支援や開発に携わりたい人です。
経済学の専門分野に開発経済学があるように、経済と国の開発は密接に関係しており、簡単には切り離せません。
経済的な観点から諸問題を解決できることも多いため、このようなことに興味がある人は経済学部に向いていると言えます。
次に、金融政策に興味がある人です。
経済学部には金融を学べる科目が設置されていることが多いです。
例えば、景気を良くして物価を安定させるための金融政策などを学べますよ。
最後に、数学や歴史が好きな人です。
これは、数学は経済を理論的に分析する時に必要であり、歴史は経済史を扱うときに自分が持っている知識が役に立つからです。
【経済学・経営学・商学どれを選ぶ?】②経営学部:企業の経営に携わりたい人
経営学部に向いている人には次のような特徴が挙げられます。
まず、将来起業したい人や企業のリーダーになりたい人、経営コンサルタントやFPの仕事に興味がある人です。
専門的な知識を用いてどうすれば経営が成功するかを考える仕事なので、経営学を学んでいるととても有利になります。
次に、公認会計士を目指したい人です。
経営学部では、試験の選択科目にある経営学の概論的知識を大学の講義で学ぶことができます。
【経済学・経営学・商学どれを選ぶ?】③商学部:商品の開発・流通に興味がある人
商学部に向いている人には次のような特徴が挙げられます。
まず、商品・サービスの流通や開発に興味がある人です。
商学部では、消費者の購買心理や行動を研究できるほか、消費者への商品やサービスの効果的なアピール方法をマーケティングで学べます。
次に、税理士や公認会計士を目指したい人です。
商学部では、これらの試験科目にある会計学が必修科目としてあるため、試験に有利だと言えるでしょう。
最後に、数学があまり得意ではないが商学に興味がある人です。
微分積分や線形代数など本格的な数学を頻繁に使う経済学部に比べ、商学部では難しい数学は必須ではありません。
ただ、不得意を理由に自分のやりたいことをあきらめるのは積極的な理由にはならないので、あくまで最終手段として考えてみてくださいね。
おわりに
いかがだったでしょうか。
このように、経済学・経営学・商学は、それぞれ物事を見る視点が異なるのです。
また、学部の名前が同じでも大学によって特色が異なるため、もっと詳しく知りたい高校生は、それぞれの大学のホームページを見るとよいですよ。
高校生のうちに、本当に自分のやりたいことができる学部を見つけましょう!