はじめに
皆さんはまず他の社会科目と比べて、地理に対してどんなイメージをお持ちですか?
私は「ある程度は常識でできるが、詰めるのが難しく高得点は狙いづらい」というイメージを持っていました。
これは、共通テストでは通用する話なのですが、東大地理は他の入試問題に比べ一味違います。
それは、「常識では全く太刀打ちできず、地理の基礎知識を前提に思考力を問う問題ばかり」といったようなイメージです。
かくいう私は、秋までこれっぽっちも東大地理の点数が伸びませんでした。
タイトルからもお分かりの通り、秋に行われた東大模試で、地理は10点でした。
しかし、ある方法で勉強した結果、2ヶ月後の本番で40点を取ることができたのです。
今回は、皆さんにその勉強法をお伝えしていきたいと思っています!
思うように点数の伸びにくい地理を、短期間で攻略する術を身に付けましょう!
目次
絶対に知っておくべき東大地理の話
その1:東大を受ける上で地理はオススメできない
いきなり教科そのものをレコメンドできないという話から入ります。
これを読んでくれている方には受験生が多いと思われますが、「もう遅いわ……」と言われてしまうかもしれませんね。
しかし私は現役の時、常にこればっかり思っては文句を言っていました。
「高1に戻れるなら、世界史・日本史選択にするのになあ」と何度思ったことでしょうか。
もちろん世界史・日本史が簡単だ、と言いたいわけではありません。
しかし、私のイメージからして世界史と日本史って共通点が多いなぁと思っていたから、こんな風に思っていました。
地理って、社会科目の中でかなり不利な教科だなと個人的に思っています。
共通テストでも、世界史は慣れれば超簡単になるのですが、地理は時間はかかるわいつまでたっても正答率は上がらんわで苦労した記憶があります。
世界史や日本史のように知識が必要なものは、ある程度真面目に覚えればきちんと点数が目に見えて上昇していきます。
つまり、しっかりと覚えさえすれば確実に点数が取れる可能性が上がっていくわけです。
しかも、試験に出ることがすでに限定されている、という点にも注目です。
すでに起きたこと、歴史を習うわけですから、新しく知識が追加されていくということはほとんどありませんね。
(もちろん、学説がひっくり返ることがありますが、その件数はたかが知れています。)
しかし、同じ地歴の部類にありながら地理だけは性質が違います。
まず、地理は、ある程度常識でも点数が取れてしまう教科なんですね。
よくニュースで、ある農作物の収穫量減少についてなどは報道していますし、自然と知識として入ってくることが多いってわけです。
だから、無根拠に「自分って、地理得意なんじゃね?」みたいな錯覚に陥るわけです。
(その被害者がまさしく私なんですが……)
最初はとても快適です。
学校のテストでも点数が安定するし、現在に根ざしている科目だからわかりやすい。
でも、後悔は高3くらいから出てきます。理由として、2つあります。
教科書では不十分な共通テストと二次試験
これが原因で本当に地理が嫌になりました。
教科書に載っていることをある程度理解していても、問題演習をしていて「そんなこと習ってないのですが。」みたな問題が共通テストであれ、二次であれ数多くありました。
教科書では東大地理は立ち向かえない、という話を次でするのでここでは導入にとどめますが、他の社会科目以上に教科書が使い物にならないのが地理と言っても良いでしょう。
日々、情報の更新がある
よく農作物の生産量のデータをみていたら、古いデータだったりすることがありますね?
それほど大きな変動はないにせよ、教科書に出ている古いデータかデータブックにある最新のデータ、どっちを参考にすれば良いかわかりませんよね。
地理は、日々移り変わっていく情報に敏感になっておかないといけないというところが大きな特徴があります。
この特徴は世界史や日本史にはないため、この特徴があるから地理が好きだなんて人もいると思います。
ただ入試の科目という観点から地理を見ると、この特徴は煩わしいものでしかありませんよね。
また、地理は情報が更新されるということから「同じ問題というものが少ない」ということも特徴だと思います。
地理は、対象範囲が教科書を逸脱して無限に広がるので、高得点が本当に狙いづらいです。
学習年数と得点の表を作ると以下のようになるのではないでしょうか?
あくまで私のイメージなので、参考程度でとどめて欲しいですが、おわかりいただけましたでしょうか?
こんな訳で、私は地理選択をすすめません。
最初は大変だけど、最終的に結果が出てくれる科目を選びたいですからね。
受験をすでに終えているからこそ、見えてくる視点だと思います。
その2:東大地理は教科書だけでは100%無理
これは、先ほどもちらっと触れました。
地理に絶対これ!みたいな参考書ってないと思いませんか?
結局、中身自体が入れ替わるし、それによって入試の傾向も変わるので編集が難しいんだと思います。
それに、出題形式が多様なので、絶対何かに偏ってしまうからだとも思われます。
参考書もそうですし、教科書もそうです。
よく東大を受けるにしても
「教科書を侮るなよ、共通テストにせよ二次にせよ教科書をマスターしていればある程度いける」
みたな話を聞きませんか?
しかし、これは世界史や日本史というガチガチの暗記科目においてのみの話だと思って良いです。
地理の教科書は私の中では、
「地理に関する超基礎が書いてある読み物」
みたいな認識です。
本当に地理の教科書は「地理」という単元のさわりのさわりしか扱っていません。
これを読んだだけでは、東大二次のみならず共通テストにも太刀打ちできません。
自分にあった参考書を複数探して、それで勉強。あるいは過去問演習をひたすらやって、ある程度パターンを掴むか。
地理で高得点を狙うためには、戦略がかなり限定されてしまいます。
そんなわけで、東大地理に教科書は通用しないというのが私の見解です。
その3:東大入試では意外な「ちょこちょこした問題」が面倒すぎる
東大地理の具体的な話に移ろうと思います。
これまでは、科目として地理はメリットが少ないという話をしてきましたが、東大地理で私はさらに地理を勉強する気がなくなりました。
東大の世界史・日本史であっても、問題を読めばある程度瞬間的に
「あ、あれについて答えればいいわけね」
という解答の見通しがつきます。
しかし、東大地理は違います。
問題ごとにまず問題文を理解して、考えなければいけません。
東大の地理は、教科書の知識をそのまま問う、といったことはほとんどしません。
だって、みんなそんな問題は答えられるので、差がつかないからです。
1問1問考える必要がありますので、それだけ1問あたりにかかる時間は増えます。
しかし、東大地理は問題数が多いのです。
考えて考えまくらないと時間内に解き終わりません。
1つの問題あたりに時間がかかるのに、問題が多い。
完全にデメリットです。
また、東大地理は1行や2行問題が多いのですが、これもデメリットです。
その問題単体で見れば負担が少ないですが、試験全体で見ればいちいち考えないといけないので、超面倒です。
加えて、設問Aといったような大問の中でトピックが変わる仕様になっていて、さらに時間がかかります。
とにかく東大地理は時間以内に終わるかという勝負になります。
自分は世界史を早めに終わらせて、地理に80分かけるようにしていました。
(それでも解き終えられないということもありました。)
試験中に考えたくない!問題を見ただけである程度解答を想像して安心したい!という人は世界史・日本史を選択するべきだと思います。
ここまで、地理の文句について書いてきましたが、やはり地理は他の教科に比べなぜかハードです。
まだ選択の余地がある人は、よくよく検討。もう地理で決めてしまった人は心して勉強しましょう。
東大地理の時期別学習法(高3夏以降)
高3の夏:東大地理で悲惨な成績をとる
高3の夏まで、私はそこそこ地理は得意な方でした。
定期試験では安定して高得点を取れるし、授業も理解できる。
日本史と地理を選択できる学校だったのですが、
「地理を選んでよかったなー」
と思ってました。
実際日本史選択者は、だいぶ苦労していましたし……。
しかし、模試や東大模試を受けてその考えはガラリと変わりました。
全然点数が取れないんですね。本当に全然。
東大地理は10点台。
なんとかこの状況を改善するべく、色々対策してはみました。
しかし、1ページ目で説明しましたが、地理はすぐに成績が伸びる教科ではありません。
問題のテーマが無限にあるので、あの時やったやつだ!とはなりにくいのです。
長い間太刀打ちできない日々が続きました。
結局、高3秋の東大模試でも、60点満点中10点くらいしか取れませんでした。
東大入試本番まであと2か月。
限られた時間の中、私は得点をなんとか及第点までアップさせる必要があったのです!
高3の12月:自分には背景知識が不足していたことを把握する
例えば、アフリカ大陸北部は砂漠化が特に進んでいますよね。
これを知識として知っている人は多いと思います。
しかし、なぜ砂漠化が進んでいるのかを説明できますか?
東大入試で問われるのは、まさにこの部分でした。
ともすれば「当たり前」として見逃してしまいがちな事柄の理由や背景を、しっかり理解しているかが問われるのです。
この理由や背景は、教科書に記載が少ないのです。
教科書は「事実」をちゃんと説明していますが、「理由」を詳しくはあまり説明していないことが多いのです。
これも、教科書で東大入試に立ち向かうことができない理由の1つです。
事実として知っていても、そのメカニズムや理由をきちんと覚えていなければ、東大は点数をくれないのです。
これを知ってからというもの、事実というよりは背景事情にこだわって学習を進めていきました。
二次試験直前期:背景知識を収集するために、過去問演習をひたすらやる
私は、これをクリアするために、まずはひたすら過去問を解きました。
もちろん正解できる問題はほとんどありません。
しかし、問題を解いて解説を読めば、「東大がよく問うところ」を手早く知ることができます。
問題のテーマが無限にあるとはいっても、東大が好きなテーマというものはあります。
ごく稀ですが、同じような問題も類題として出題されています。
なので、過去問研究は必須です。
地理は過去に遡れば遡るほど、どうしてもデータが古くなってしまうのですが、それでも20年分くらいは解けます。
これらをすべてノートに書き出し、解説を覚えるまで何回も写しました。
こうすることで、知識の定着が早くなるだけではなく、「きちんと点をもらえる書き方」まで知ることができました。
解説は予備校などが作成しますから、そこで使われるワードを使えるようにすることで、無駄な失点を防ぐことができます。
このような方法を本番まで続けた結果、本番ではなんとか40点台に乗せることができました!
東大地理攻略のため私が徹底して守った2つのこと
具体的な勉強の他に、私はある2つのことを徹底して守りました。
その1:地図帳は必ず使う
私は2次試験本番当日まで、一度たりとも地図帳なしで地理の勉強はしませんでした。
問題を解いたあとは、必ず地図帳を参照し、出てきた地名をマークします。
「ああ、ここは大陸の西岸だから気温の変化が緩やかなんだ」
というように、解説で出たポイントを確かめていました。
地図帳を使えば、都市や地形の位置関係を「絵」として覚えることが出来ます。
こうすることで、文章で覚えるよりも何倍も思い出しやすくなりますし、先ほどの「大陸西岸」のようなポイントにも気づきやすくなります。
ちなみに白地図帳は東大地理の学習においてマストだと思っています。
私は、本番前夜に確認で自分が書き込んだ白地図帳を使ったのを覚えています。
では、どのようなことを書き込むのか?
それは、メジャーな緯線・経線とそれが通過する都市です。
そして、メジャーな緯線・経線の交わる所の都市を覚えます。
例えば、北緯30°・東経30°はエジプトのカイロだ、といった具合です。
何をこれによって究極的に目指しているかというと
「緯度・経度を使って、まっさらな紙に正確な世界地図が書けるようになる」
ということです。
2008年以降、東大地理ではちょくちょく緯度・経度からその地域の特徴を述べさせる問題を出しています。
緯度と経度から、大体どんな国がその周辺に位置しているか、を知ってないとこの手の問題は解けません。
最近は出なくなりましたが、いつまた出題されるようになるかわからないので、地図帳を使った学習は必須ですよ。
その2:先生に必ず添削してもらう
テキストに載っている模範解答は、必ずしも正解とは限りません。
また、自分の解答と模範解答を見比べただけでは、どこが不十分なのか簡単には判断できません。
これらを防ぐため解いた問題は、必ず先生に添削してもらいました。
先生は地理のエキスパートです。これを有効活用しない手はありません。
自分では気付けなかった解答のポイントや、+αの知識を手に入れられます。
その時も地図帳を必ず手もとに置いて、出てきた地名はマークします。
+αの知識も、ノートにまとめて、「試験でそのまま書けるようなフレーズ」として使えるようにしました。
このようなフレーズのストックを多く持っておけば、それだけ考え込む時間をなくせるということ。
時間の節約になるだけではなく、歯が立たない問題に対しても部分点をとることができるようになります。
これを何回も繰り返すことで、東大地理の「クセ」が分かるようになってきました。
問われやすい地域や、理由としてよく出てくるトピックなどに、傾向があることがおのずと見えてきます。
そういう項目が増えるということは、試験本番でも落ち着くことができます。
実際、私の本番では、「あ、ここ過去問でやったとこだ!」という某通信教育状態になり、自信をもって問題を解くことができました。
おわりに
いかがでしょうか?
正直、東大模試は問題が難しく、採点も辛いので、秋に10点台でもあまり気にすることはありません。
大切なことは、最後まで自分を信じてやるべきことをこなすだけです。
皆さんもこの方法を参考にし、東大地理でがっつり点を取りましょう!頑張ってください!