【古典文法】助動詞「たり・り」

皆さんこんにちは!ライターのもんはんです。

古典文法チェック&演習シリーズ、今回は助動詞「たり・り」を取り上げます。

助動詞「たり・り」を覚える上で意識してほしいことは語源です。
「たり」は接続助詞「て」・ラ変動詞「あり」から変化し、「り」はラ変動詞「あり」から変化したと考えられています。

活用

まず、活用についてです。活用はラ変型です。
動詞のラ変活用は「ら・り・り・る・れ・れ」でした。

次に、「たり」「り」の活用を見てみましょう。

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
たり たら たり たり たる たれ たれ

わかりましたか? ラ変動詞と全く一緒ですね。
この助動詞はラ変型とさえ覚えておけば、活用形を覚える必要はありません

意味・接続・例文

助動詞 文法的意味 訳し方 接続
たり
  1. 存続
  2. 完了
  1. 〜ている・〜てある
  2. 〜た・〜てしまった
連用形に続く(※)
サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形に続く
※正確には、ラ変以外の動詞の連用形と「つ」以外の動詞形活用の助動詞の連用形のあとにつきます。
「たり」の接続は理屈で覚える!
「たり」は「て」・「あり」の変化だと紹介しました。

現代日本語の感覚で、「て」は何形の後につきますか? 「書いて」「見て」「来て」……連用形のあとにつきますね。

「たり」も同じように、連用形に接続します。

「り」の接続はゴロで覚える!
サ未四已り」=さみしい「り」です。

接続の由来は?

サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形の共通点は、エ段音で終わることです。
なぜこのようになったのでしょうか?

「り」は「あり」の変化です。

サ変動詞「する」四段動詞「書く」に「あり」をつけてみましょう。
「しあり(siari)」「書きあり(kakiari)」になりますね。
※昔の「し」の発音はshiではなくsiでした。

これを早口で言うと、「せり(seri)」「書けり(kakeri)」となります。

イ段音+「あり」が、エ段音+「り」と変化したわけです。

それでは、例文を紹介します。「たり」も「り」も、基本的に訳し方は同じです。
「たり」を中心にして訳し方を意識すると、覚えやすくなりますよ!

存続

筒の中光りたり(竹取)
(筒の中が光っている。)

富士の山を見れば、五月のつごもりに、雪いと白う降れ(伊勢)
(富士山を見ると、5月の終わりだというのに、雪がたいそう白く降り積もっている。)
「たり」の由来が「て」+「あり」だったことを思い出せば、納得できますね。

完了

現代日本語の完了の助動詞「た」はこの「たり」から変化しました。
くらもちの皇子おはしたり(竹取)
(くらもちの皇子がいらっしゃっ。)

くらもちの皇子は優曇華(うどんげ)の花持ちて上り給へ(竹取)
(くらもちの皇子は優曇華の花を持って都に向かいなさっ。)

中世以降では、助動詞「たり」にのみ現代語と同じ並列「〜たり」の用法があります。現代語の感覚で処理できるので、意識して覚えなくてもいいでしょう。
例:掃いたり拭うたり、塵拾ひ、手づから掃除せられけり。(平家)
掃いたりぬぐったり、ゴミを拾い、自分の手で掃除しなさった。

次ページ:理解を深める練習問題




皆さんの意見を聞かせてください!
合格サプリWEBに関するアンケート




ABOUTこの記事をかいた人

東京大学文科二類一年。モンスターハンター、前にやったことがありますがクエストが多すぎて挫折しました。よろしくお願いします!