【古典文法】助詞「は・も・なむ・こそ・や・か」

はじめに

こんにちは、ライターのもんはんです。

文法チェック&演習シリーズ、今回は係助詞「は・も・ぞ・なむ・こそ・や・か」を取り上げます。

係助詞とは、様々な語の後について疑問・反語・強意などの意味を添え、文末の活用形に影響を及ぼす(関する)助詞のことです。
下の表では、意味がたくさん並べられていますが、それを一つ一つ覚える必要はありません。

注意して覚える所以外は、現代語の感覚と同じように、中心となるニュアンスをなんとなく理解しましょう。

助動詞「る・らる」について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【確認問題で覚える古典文法】助動詞「る・らる」の活用・文法的意味

2021.10.14

係助詞「は・も・ぞ・なむ・こそ・や・か」意味・訳し方・文末の形

助詞文法的意味訳し方文末の形

強意・区別など 〜は
(訳さなくてよい)
通常 終止形・命令形
並列・列挙、同趣の一つ、強意など 〜も、〜でも
(訳さなくてよい)
通常 終止形・命令形
強意 (訳さなくてよい) 連体形
なむ
こそ 強意 (訳さなくてよい)
こそ
已然形
逆接 〜は〜だが
呼びかけ 〜さん、〜よ (-)

[やは]
疑問・反語 〜か。(いや〜ない。) 連体形

[かは]

「は」「も」の意味の分類は、参考書や辞書によって異なっています。

意味をはっきりと分けられないので、入試問題に出ることはないと考えてよいでしょう。

注意してほしい係助詞は、「ぞ」「なむ」「こそ」「や」「か」です。係り結びの法則により、「こそ」の結びは已然形、「ぞ」「なむ」「や」「か」の結びは連体形となります。
この法則は重要なので覚えておきましょう。

ちなみに筆者は「ぞ・なむ・や・か連隊」と覚えました。

現代語にも、
「試験を受けるときは、程度の差こそあれ、みな緊張する。」
のように、「こそあれ」「こそすれ」などの形で係り結びの法則が残っています。

「こそ」の結びがわからなくなった時は、この表現を思い出しましょう。

係り結びの法則について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【5分で確認】係り結びの法則の要点まとめ

2020.03.31

強意・区別などの「は」

あけぼの。(枕・1)
あけぼの(が趣深い)。

「は」については、現代語の感覚でOKです。現代語と同じように、「は」を使うことで事柄を話題にあげます。

格助詞「を」に係助詞「は」がつくときは、「ば」に濁音化します。
あばらなる蔵に、女を奥に押し入れて、(伊勢・6)
がらんとした蔵に、女を奥に押し込んで、

並列・列挙、同趣の一つ、強意などの「も」

参考書や辞書にはいろいろな意味が載っていますが、「も」も基本的に現代語の感覚でOKです。

以下の例文を読んで、「確かに、そういう意味の分け方もあるかもなあ……」と思ってくれれば十分です。

☆並列・列挙
味方これを聞いて、一度にどつとぞ笑ひける。(平家・宇治川先陣)
味方これを聞いて、一度にどっと笑った。

☆同趣の一つ
才(ざえ)ありとて頼むべからず。孔子時にあはず。(徒然・211)
学才があるといっても、頼みにはできない。孔子時勢に巡り合わなかった。

「も」が二つ以上ある場合は「並列・列挙」となり、一つしかない場合は「同趣の一つ」となります。正直、どうでもいい違いですね。

☆強意
限りなく遠く来にけるかな。(伊勢・9)
限りなく遠くまで来てしまったなあ。

「富士山は3776メートルある」といった時の「も」と同じ用法です。

「ぞ」「なむ」「こそ」

☆強意の「ぞ」「なむ」「こそ」
基本的に訳しません。

例外として、「こそ」は現代語にもあるので訳せる場合もあります。

よろづの遊びをける(竹取・かぐや姫の出生)
いろいろな音楽の遊びをした。

その人かたちよりは心なむまさりたりける(伊勢・2)
その人は、容姿よりは心が優れているのだった。

この女をこそ(伊勢・23)
この女を(こそ)妻にしよう。

上2つの例では、係り結びの法則により、過去の助動詞「けり」が連体形「ける」になっています。一番下の例では、係り結びの法則により、意志の助動詞「む」が已然形「め」になっています。

☆逆接の「こそ」
中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、望みて預かれるなり。(土佐・2月16日)
(境の)垣ある、一つの屋敷のようなので、望んで預かったのである。

「試験を受けるときは、程度の差こそあれ、みな緊張する。」を「試験を受けるときは、程度の差はあるが、みな緊張する。」と言い換えるのと同じです。

疑問・反語の「や」「やは」「か」「かは」

疑問か反語かは、文脈で判断しましょう。
「やは」「かは」は反語で使われる場合が多いですが、疑問の用法もあるので、文脈判断を怠ってはいけません

☆疑問
蓑笠ある。貸したまへ。(徒然・188)
蓑笠はあります。貸してください。

いにしへもかくやは人のまどひけむ(源氏・夕顔)
昔もこのように人は迷ったのだろう

いかなる所にこの木はさぶらひけむ(竹取・蓬莱の玉の枝)
どんなところにこの木はありましたでしょう

いかなる契りにかはありけむ(源氏・夕顔)
どんな(前世の)因縁であったのだろう

☆反語
近き火などに逃ぐる人は、しばしと言ふ(徒然・59)
近所の火事などで逃げる人は、「ちょっと(待って)」と言うだろうか。いや、言わないだろう。

よき人は、知りたることとて、さのみ知り顔にやは言ふ(徒然・79)
高貴で教養のある人は、(自分が)知っていることであるからといって、そんなに物知り顔で言うであろうか、いや、言わない。

生きとし生けるもの、いづれ歌を詠まざりける(古今・仮名序)
あらゆる生き物は、どれが歌を詠まなかっただろうか。いや、詠まないものはなかった。

月はくまなきをのみ見るものかは(徒然・137)
月は曇りがないものだけを見るものであろうか、いや、そうではない。




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ABOUTこの記事をかいた人

東京大学文科二類一年。モンスターハンター、前にやったことがありますがクエストが多すぎて挫折しました。よろしくお願いします!