みなさんこんにちは!僕は沖縄出身東大生のぴぺりたと言います。
このコラムでは、センター英語で250点満点を獲得したぴぺりたが、洋楽で使われた歌詞を題材にしてみなさんの英語の学習をより楽しくすることを目的としています!
One Directionの歌詞には重要事項がいっぱい!
One Direction(通称1D)は僕が中学生のころから日本でも流行り始め、これまで洋楽を聞くのに少し抵抗があった若者を洋楽の世界へと導くきっかけとなりました。
おそらく一番有名な曲は「What Makes You Beautiful」でしょう!この曲を聴き始めた中学生のとき、あまり何も考えず聞いていました。しかし、高校でもっと英語を勉強するに連れ、どんどんその歌詞の面白さがわかってきましたね。
高校2年の夏休み、歯磨きをしているときになんとなくこの曲を思い出し感動したことを今でもよく覚えています!
この曲は、男性の目線から女性に向かって「君はこれだけ美しい女性なんだよ!わかってますか!」と伝えるような言葉で書かれています。
仮定法史上最もわかりやすい例文がここに!
そもそも仮定法とは?
ここで簡単に仮定法とは何かをおさらいしておきます!
仮定法とは、時制をずらすことで文中の内容が事実に反する内容であったり、実際には起こりにくい内容であることを示す用法です。
例えばこんな例文があります。
If I were free, I would go seeing the movie with you. (仮に私が暇なら、あなたとその映画をみに行くのに。)
この場合、「私が暇であるかどうか」は現在の話ですが、実際には「暇だと言うことは絶対にない」という状況から、過去形の「were」が使われています。
※「I was free」と会話等ではよく使われますので、wasとwereどちらを使っても構いません。お堅い場面で仮定法を使うときは「am→were」と置き換えますので、注意してください!
1Dが使った仮定法の解説
ここで、この曲のサビを紹介します。
If only you saw what I can see, you’d understand why I want you so desperately. (1D 『What Makes You Beautiful』)
ここで使われている重要な表現は
- If only +仮定法 ~ :もしも〜しさえすれば(…なのに)
- what S+V :SがVするもの
- why S+V :なぜSがVか、SがVである理由
ですね。僕は説明のためにSやらVを使っていますが、自分で英語を読むときはあまりそんなことを気にしないで大丈夫です。「中身で何を言っているのか」がわかれば、何が主語で何が動詞かなんて考えなくてもいいです。
ここでは「you saw」や「you’d (=you would)」と言った典型的な仮定法が使われていますね。簡単に訳してみましょう。
- If only you saw what I can see :もしも君が、僕が見えているものを見る(ことができる)のなら
- you’d understand why I want you so desperately :どうして僕がとても必死になって君を求めているかが理解できるだろう
日本語にするとかなり気持ちが悪い気もしますが、愛情あふれる欧米系の人たちが言うとかっこいいですね。
この文のどこがいいのか?
ここまでの説明を読んで、このサビがどうして仮定法史上最もわかりやすい例文なのかわかりましたか?
ポイントは、非現実性です!「僕が見ている世界を、君が見る」と言うことは実際にできません。しかしそれがもし可能なら、「どうしてこんなにも君のことが好きなのかがわかるはずさ!」と言っているわけですね。
「君は自分がどれだけ美しいのか気づいていないようだけど、僕の目を通して見ればきっと君だって一瞬でそれを理解できるよ。ああ、そんなこと実際にはできないのが残念だよ!」というロマンチックな表現が、仮定法によってうまく伝わりますね!
この歌詞を相手の女性が聞くと「ああ、私のことを自信を持って好きでいてくれているのね」と思うことでしょう!だって、「僕の目から見た君」と言う言葉を使うと言うことは「他人から見た君」と一切関係ないわけですからね。誰がなんと言おうと、「I want you so desperately」なんでしょう!
この曲では最後にこう締めくくります。
You don’t know you’re beautiful. That’s what makes you beautiful. (君は自分が美しいと言うことをわかっていない。それこそが君を美しくしているんだね。)
結局、君が美しいのは君が自分らしくいるからだということでしょう。曲中では女性の色々な動作について書かれていますが、それらは人を魅せる意図があるわけではなく、自然に出てきたものだからこそきっと美しいと1Dは言いたいのかもしれませんね!
仮定法をうまく使ったその他の例文
- ‘Cause I wish you were here. /Owl City 『Vanilla Twilight』 (君がここにいればな、と思うからだよ。)
- She talked as if she had not known anything about it. (彼女はまるでそれについて何も知らないかのように話した。)
(二つ目の例文は僕が考えました。)
1つ目の例文のポイントは
- S wish +仮定法 :〜であればいいのに
ですね!「’cause」というのは「because」のことで、前回のコラムで紹介した注意点に当てはまるフランクな表現の一つです。会話や歌詞などでは頻繁に使われますが、入試で使ってはいけません!
洋楽ではよく、恋愛の場面で仮定法が使われます。恋愛特有の自分の願いが叶わないもどかしさを表すのに仮定法がうってつけだからでしょうか。この例文も同じで、「離れた人がここにいてくれたらいいのに」という現実に反する願いを表現していますね。
2つ目の例文のポイントは
- as if +仮定法 :まるで〜のように
- 仮定法、過去の話はhad P.P.
ですね。P.P.というのは(別にかの有名なTTと何も関係なく)過去分詞という意味です。問題集などでたまに使われるので、覚えておいてくださいね。
as if を使うときもよく仮定法が使われますが、その内容が必ず現実に反したものじゃないこともしばしばあります。仮定法を使わず直接法で書くこともありますが、その場合は「like」(〜のようだ)と同じような意味になりますね。
例文の場合は「彼女はそれについて知っているはずなのに」という前提が隠されています。だから仮定法がうまく使われているんですね!
ちなみに、彼女が話をしたのは過去のことです。それは「she talked」からわかりますね。そして、その彼女が話している過去の時点で「she knows about it」という状況が発生しているので、直接法で書くと「as if she didn’t know~」となるはず。しかし、as if の中身は仮定法なので、時制をずらして「she had not known~」という形を取っています。
つまり、まとめるとこうなります。
直接法→仮定法と変化させる場合は
- 現在形→過去形(1Dの歌詞)
- 過去形→大過去(例文2)
と時制をずらします!ややこしいようですが、文法書を読みながら理解すれば必ずわかるので、じっくり時間を取って学習してくださいね。
ぴぺりたからのアドバイス
僕は小学生の頃から、理由が特にないものについては勝手に自分で理由をつけて理解するという方法を取っていました。
そもそも、「仮定法では時制をずらす」なんて言われてもそんなことする理由はわかりません!だから、理にかなったような理由を勝手に作ってしまえばいいんです。僕の場合はこうでした。
現実に反するありえないことだから、文面でも時制をずらすというありえない表現をする!
僕は男なので「僕が女だったら」ということはありえません。だから、「if I were a girl」のようにamの代わりにwereを使うというありえない操作をすることで、「僕が女であることはありえないんですよ!」と伝えているということです。
こう言った「勝手に理由づけ」は英語の勉強でかなり役に立ちます。もちろん勝手につけているだけですから無理やりな感じがしますが、「そういうものだから」というよりもよほど記憶に残ります。理由なんてないものを覚えるときにぜひ皆さんもこの方法を使ってみてくださいね!
それでは、来週もまたこのコラムを通してお会いしましょう!
僕は個人的にウェブサイト「ぴぺりたぐらむ」YouTubeチャンネル「piperitagram.channel」を運営しているので、こちらもぜひご覧になってください!