はじめに
勉強中にイヤホンをして音楽を聞いている高校生をよく見かけます。
音楽を聞いていると周りの雑音が気にならなくなりますし、気分も上がって高いモチベーションで勉強することができる気がしますよね。
一方で、「音楽を聞きながらだと集中できないのでは?」と不安に思ったり、親や先生から「ながら勉強じゃ何も身に付かない」と注意されることも少なからずあるでしょう。
勉強と音楽の関係はどういったものなのでしょうか。受験生なら誰でも持つ疑問に答えるべく、勉強と音楽について東大生の僕がまとめてみました!
東大生が考える音楽を聴きながら勉強するメリット
【音楽を聴きながら勉強するメリット①】集中できる
勉強中に音楽を聴く最大のメリットは集中力アップだと言えます。なんと音楽の中には、人間の集中力をアップしてくれるものがあるのです。
人間の集中力には脳波が関係しています。脳波にも様々な種類があるのですが、もっとも集中力が高まっている状態のときの脳波がα波です。
α波の状態は、リラックスできる音楽を聞いているときに見られることがあります。自分が快適だ、と思える音楽を聴くと脳波がα派の状態となり、集中力アップの効果が期待できます。
α波を促す音楽としてはクラシックや環境音楽などが有名です。J-POPでは宇多田ヒカルさんや徳永英明さんがα波を促す歌声と言われています。
【音楽を聴きながら勉強するメリット②】モチベーションアップになる
勉強中に音楽を聞きたい人の多くが、つまらない勉強時間を少しでも楽しくしたいと考えていることでしょう。
学校の課題に取り組むときになんとなく気が進まないことってありますよね。
そんなときに好きな音楽を聞けば、嫌な気持ちを忘れて、モチベーションを上げて勉強に取り組むことができそうです。
実は音楽と勉強のモチベーションの関係は学術的にも実証されています。
和歌山大学による勉強と音楽の関連性に関する研究によれば、音楽を聴くことで計算作業に対する印象がネガティブなものからポジティブなものに変わったという報告もあります。
(2004 志水・菅「計算課題の遂行に及ぼすBGMの影響について」)
どうしてもやりたくない!とモチベーションが上がらない勉強に取り組む際には、まず音楽を聞いてやる気を出すというのがいいかもしれません。
【音楽を聴きながら勉強するメリット③】周りの雑音を気にせず勉強できる
音楽を聞くことで楽しくなるだけではなく、「周りの音が聞こえなくなり集中できる」というメリットもあります。
単純に音楽を楽しみたい人よりも、周りの音を遮断したいと考えて音楽を聞く人も一定数いると思います。
自習室や教室なら周りの人の紙に書く音や、椅子を引く音などが気になりますよね。
自宅なら家族の団らんの声や、洗濯機や掃除機の音などの生活音が一度気になりだすと集中力を削ぐ原因となります。
雑音をかき消すために、勉強中に音楽をかける場合は音量を上げすぎないことが重要です。
音量を上げすぎると脳が音楽をうるさいと感じてしまい、音楽が雑音と同じ影響を与えてしまいます。
音にはマスキング効果というものが存在し、音源が近くにある音が遠くにある音をかき消す(マスクする)ので、実は音量の大小は意外と関係ないのです。
東大生が考える音楽を聴きながら勉強するデメリット
【音楽を聴きながら勉強するデメリット①】耳からの記憶(聴覚記憶)を妨げる
「耳からの記憶って何?」と疑問に思う人も多いと思いますので説明します。
耳からの記憶(聴覚記憶)は、目からの記憶(視覚記憶)より、記憶に残りやすいと言われています。
これは、耳からの記憶はその音を脳内で反芻しやすいために、長期記憶として残りやすいからではないかと考えられています。
映画やドラマのシーンで出てきた登場人物の顔や周囲の風景は思い出せなくても、そのときのセリフが耳ついて離れないことは多々あることでしょう。
勉強において耳は軽視されがちですが、自分に聞こえる程度のヒソヒソ声で覚えたいことを発音するだけで、耳からも学習することができます。
特に、英語や古典などの言語を学習する分野では、耳から音で覚えるよう意識することは必須と言えるでしょう。
また歴史の人物名などもリズムで覚えることが重要です。マルクス・アウレリウス・アントニヌスとか、とてもリズムがいいですよね!
【音楽を聴きながら勉強するデメリット②】試験本番と異なる音環境に慣れてしまう
日頃から音楽を聞いて勉強するデメリットとして試験本番とは異なる環境に慣れてしまうことも挙げられます。
当たり前ですが、試験本番は音楽を聞くことはできません。普段から音楽を聞いて自分の世界に入り込んで勉強する癖が付いている人にとっては集中しづらい環境となります。
また試験本番の音環境は、周りの受験者の紙をめくる音や筆記する音、咳払いなど必ずしも集中に相応しい環境とは言えません。
本番の集中力も含めて実力です。雑音が気になって試験に集中できなかった、は言い訳になりません。
日頃から環境音や雑音の中で集中力を保つための勉強が必要になるのです。
少なくとも試験本番を目前に控えた数ヶ月間は雑音の中でも、音楽を聞かずに集中できるようにしておきましょう。
東大生が考える勉強中におすすめの音楽とあまり向かない音楽
勉強中に音楽を聞くメリットとデメリットはわかりましたね。デメリットに注意しておけば、勉強中に音楽を聞いても大丈夫なようです。
しかし、音楽を聞く際には注意してほしいポイントがいくつかあります。
まず、勉強中に聞いても大丈夫な音楽と要注意な音楽があります。勉強中に音楽を聞く方は以下を読んで、注意してください!
【勉強中におすすめの音楽】クラシックと環境音楽
クラシック音楽と川のせせらぎや雨音などの自然の音楽(環境音楽)は、α波を誘発しやすいといわれています。
メリットのところで書いた通り、α波はリラックスし、集中できる状態の時に見られる脳波ですので、これらの音楽は勉強に適していると言えます。
勉強に役立つクラシック音楽は下記の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください!
【勉強中には向かない音楽】歌詞付きの音楽
歌詞付きの音楽を勉強中に聞く際は要注意です。聞いても良いのは、勉強で単純作業で終わりそうなときに限りましょう。
歌詞付きの音楽は脳の言語領域で処理されるため、同じ言語系の暗記科目や問題演習をする際には適していません。
漢字の書き取り練習をするときや単純な計算問題をひたすら解くような宿題が出たときには、気分を上げるためにも歌詞付きの自分が好きなJ-POP等をかけても良いでしょう。
むしろ、「宿題の時だけ音楽を聞きながら勉強してもよい」といった自分ルールを作ることで宿題をやるモチベーションにしても良いですね。
下記の記事に、モチベーションが上がる受験応援ソングをまとめているので、ぜひ聞いてみてください!
番外編:暗記科目の勉強に使える音楽
勉強中に聴く音楽とは異なりますが、暗記用の音楽は勉強に非常におすすめです。
リズムに合わせて暗記物を覚えると、ものすごく記憶に残ります。
有名なものとしては、「もしもし亀よ」のリズムで「殷周春秋……」と中国の王朝名を覚える暗記歌や、アルプス一万尺のリズムに乗って覚える江戸川幕府将軍などがあるようです。
下記の記事に、暗記物に便利な音楽をまとめているので一度見てみてください!
おわりに
勉強中の音楽にはメリットもデメリットもあります。
勉強に適した音楽も適していない音楽もあるので、一概に音楽が勉強に良い、悪いを判断することはできません。
また勉強に適していると言っても、科学的な効果には曖昧な部分もあります。
あくまでモチベーションアップの一つの手段と捉えて期待しすぎないほうが良いのかもしれませんね。
またこちらの記事では、科目別におすすめの音楽も紹介しています。ぜひこちらの記事も読んでみてくださいね!