はじめに
皆さんは英作文、書いていますか?
英作文って難しいですよね。
特にあらかじめ訳すべき日本語の文章が与えられている和文英訳の場合、「この日本語をどのように英語しよう…?」といった自由英作文とは違った独特の難しさがあります。
でも、実は和文英訳には書き方があります。
このやり方を身につければ、きっと和文英訳がスラスラかけるようになるはずです。
今回は例題も用いながら、正しい和文英訳の書き方を身につけていきましょう!
また、自由英作文の書き方のコツについては、こちらの記事を参考にすると良いと思います!
目次
例題でわかる!和文英訳の書き方のコツ
和文英訳ができるようにならないダメな書き方
和文英訳の書き方のコツを見ていく前に、まずみなさんがやりがちな和文英訳のダメな書き方をご紹介しておきます。
これから紹介する書き方になっている人は要注意です!
和文英訳のダメな書き方。それは、日本語の文を英語に直訳しようとするやり方です。
日本語の文を英訳するわけですから、直訳して何が悪い!と思うかもしれません。
では、そう思ったあなた!
以下の日本語文を見て、英訳ができますか?
生兵法は大怪我の元と言うが、現代のように個人が簡単に発信できる時代には、特に注意しなければならない。
聞きかじった知識を、さも自分で考えたかのように披露すると、後で必ず痛い目にあう。専門家とて油断は禁物、専門外では素人であることを忘れがちだ。さまざまな情報がすぐに手に入る世の中だからこそ、確かな知識を身につけることの重要性を見直すことが大切である。
(京都大学 2017)
これは2017年の京都大学の英作文の入試問題です。
これを英語に文字面だけで判断して直訳するのは、いくら何でも無理があるのではないでしょうか?
まず一番最初の「生兵法」は、英語で何というのでしょうか。
これを辞書を持ち込めない入試会場で訳せないのであれば、初っ端の初っ端から何も書けないことになりますよね。
つまり、日本語をそのまま文字面だけ見て英訳しようとすると大事故になってしまう可能性があるというわけです。
では、直訳ではなくてどのようにすればこのような難しい日本語を英訳できるでしょうか?
和文英訳がすらすらできるようになる書き方のコツ
ここからは、先ほどの京都大学の和文英訳を例に正しい和文英訳の書き方をお教えしていきます。
それに必要な力はズバリ、国語力なんです。
「英作文なのに必要なのは国語力?」と思われたかもしれませんが、これは本当なのです。
それではもう少し具体的に説明していきます。
先ほどの京大の入試問題。一見したらどう英訳していけばいいかさっぱりわかりませんよね。
そもそもの問題の日本語が難しい。
「生兵法」「大怪我の元」「聞きかじった」などなど、どう訳せばいいのかわからない・ぴったりな訳がないような日本語がたくさんありますね。
このような時は、もとの日本語文を自分の力で易しい日本語文にまず改めるというプロセスが必要です。
つまり、英作文の問題の解き方は
- 問題の日本語文を読んで解釈する
- 問題を自分で意訳する
- 意訳した日本語文を英訳する
という、3ステップを踏むとうまくいくことが多いです。
先ほどのダメな書き方のところで紹介した手順は、
- 問題の日本語文を読む
- それを英語に直訳する
であって、「自分で問題の文章を優しい日本語に直す」という手順がありません。
【例文でチェック】正しい書き方で和文英訳をやってみよう!
言葉で説明してもイメージがつかないと思いますので、先ほどの京大の問題を実際に書いてみましょう。
あれほど難解に見えた京大の問題であっても、このプロセスを踏めばそれほど難しくは見えないかもしれません。
それでは、やっていきましょう!!
全部やったら長くなってしまうので、一番最初の1文だけ詳しくみていきます。
生兵法は大怪我の元と言うが、現代のように個人が簡単に発信できる時代には、特に注意しなければならない。
和文英訳:「生兵法は大怪我の元と言われている。」
まずは「生兵法」。
これはまず意味を知っていないと始まりません。
「生兵法」とは、小手先の技術や技術が未熟な様という意味ですね。
ですので「生兵法」を、「技術が未熟=あまり学んでいない」と考えて、“A little learning”としましょう。
次は「大怪我の元」です。
怪我だからといって、“injury”などを頭に浮かべた人は注意ですよ!!
これを直訳といい、ダメな書き方として先ほど紹介しました。
「大怪我の元」も単純化しましょう。
これは「危険だ」といっているわけですよね。
ですから、これもシンプルに、“a dangerous thing”にしておきましょう。
そして1文が長いのも混乱を誘いますので、日本語の1文が長い場合は自分で切り離してみましょう。
そこで、「生兵法は大怪我の元と言われている。」で一旦切ります。
ここの1文は“A little learning is said to be a dangerous thing.”とできますね。
ここまでは難しくはないと思います。
和文英訳:「現代のように個人が簡単に発信できる時代には、特に注意しなければならない。」
次の部分をみていきましょう。これも細かく分解します。
まず英文の基本の確認ですが、英語は日本語と違って文の最初にコアな情報(主語や述語のこと)がきます。(例:I ate curry rice today.)
そして、後ろにどんどん新しい情報(修飾語)が加わっていきます。
一方、日本語は先頭に主語、一番最後に述語が来ますよね。(例:私は今日、カレーライスを食べた。)
これを踏まえて問題文の主語・述語を取り出すと、ここの部分での主語は明確には書いていませんが(「個人が」の部分を使ってWeとします)、述語は「注意しなければならない」ですね。
あとは、「現代のように個人が簡単に発信できる時代」という時間表現(修飾部分)が残っています。
この部分は後ろにくっつけます。
「現代のように」を付け加えようとすると訳しづらいので、「この時代」としてしまって大丈夫です。
そして、時代の詳しい説明が後ろについていきます。
具体的には「(個人が)簡単に発信できる」時代ですよね。これは関係副詞でくっつけるというわけです。
まとめますと、英語としての組み立て方は、
「我々は/特に注意しなければならない/この時代では/情報を簡単に発信できる」
となるわけです。
このように考えると、”dispatch(発信)”という単語を知らなくても、“send information”で代用できます。
このような感じで日本語を自分なりに解釈して、自分のボキャブラリー内でかける英作文を作っていくわけです。
以上をまとめて、「現代のように個人が簡単に発信できる時代には、特に注意しなければならない。」は、
“We have to be especially careful in this era when people can send information easily.”
みたいな文ができれば、合格点はもらえるでしょう。
これくらいのレベルの文章であれば、「できるかも!?」って思えてきませんか?
ここまでくれば、いかに問題の文章がわざと日本語を難しくしているのかがよくわかると思います。
そのような場合は、自分でどんどん豪快に意訳をしましょう。
「生兵法は大怪我の元と言うが、現代のように個人が簡単に発信できる時代には、特に注意しなければならない。」
これを、
「少ししか学ばないことは危険だ。情報を簡単に送ることのできるこの時代では、私たちは特に注意しなければならない。」
とするのですね。
では一応全文の模範解答を載せておきます。
A little learning is said to be a dangerous thing.
We should be careful especially in this era when we can send the information easily.
If we show off the uncertain information we gained somewhere as if it were our original information, we’ll definitely have trouble later.
Even experts should be cautious because they tend to forget that they are amateurs outside their area of expertise.
Now is the time when we can obtain a wide range of information easily and therefore it’s important to reconfirm the importance of acquiring reliable knowledge.
最後に(まとめと和文英訳のおすすめの参考書)
いかがだったでしょうか?
今回の要点を整理しておきます。
×問題の日本語をそのまま英語にしようとする(いわゆる直訳)
○まず問題の文を易しい日本語に言い換える
○言い換えた上で、自分のボキャブラリーの範囲内で書く
模範解答もそのようなやり方をしていますから、模範解答や解説を見て勉強というのも悪くないかもしれません。
日本語→日本語→英語の順で問題を解く練習をすると、和文英訳は少しずつかけるようになります。
難しい日本語から、優しい日本語にする練習を意識的にやっていきましょう!
最後になりますが、私が現役時代に使っていた参考書を紹介して終わりにします。
この参考書は、単元ごとに解説、練習問題がついているので、1対1で学習ができます。
また、やってはいけないミスや、簡単な表現を紹介してくれているので、読むだけである程度英作文についてわかります。
そして、確認問題の英作文も充実していますので、今回紹介したやり方を実践するにはもってこいの参考書です!!