はじめに
「高校と大学の数学は全然違う。」「高校数学が得意なヤツでも大学の数学の授業についていけないことは多い。」そういう噂を耳にしたことはありませんか?
実際、高校の授業と大学の講義ではまるでやっていることは違います。
では、具体的にどう違うのか?
今回はそんな疑問にお答えさせていただきます。
大学数学は定義を考えることである。
高校数学と大学数学の違いはズバリ
「高校数学は定義から考え、大学数学は定義を考える。」
です。
ハァ?ってなりますよね。
もうちょっと具体的に書きますね。
皆さんが学ぶ高校数学では、最初に定義を教えられて、そこから定理、公式を証明するのが普通です。
一方、大学数学はここからさらに一歩踏み込んで、「どんな定義をしたら都合がいいだろうか。」ということまで考えます。
「実数」を定義できますか?
例えば、「実数」について考えてみましょう。
皆さんは、「実数の定義」を答えることはできますか?
無理数と有理数を合わせた数のこと?
しかし、今度は「無理数」って何なんだ?って疑問が出てきてしまいます。
じゃあ、2乗したら0以上になる数のこと?
いやいや、「実数」の定義ができていないのに「実数の2乗」は定義できません。
「なら、実数っていったい何なんだ!?」
高校でも実数は登場してきますが、よく考えてみると高校の範囲では実数は「定義されているようで定義されていない」のです。
にもかかわらず、皆さんは問題を解くときに実数を当たり前のように使っています。
これは、皆さんの頭の中に「実数のイメージ」ができているからです。
大学数学はまさにこのイメージの正体を探っていくのです。
(大学の実数について興味がある方は、カントールの実数、デデキントの切断などで検索してみてください。
これだけで理解できる高校生は中々いないかもしれませんが、大学ではこういうことを学びます。)
実数のほかにも大学では、「面積っていったい何なんだ?」とか「複素数っていったい何なんだ?」というように、これまで何となくイメージしてきたけれど、きちんと説明しろって言われたら上手く説明できない何かの正体を、理性の矛を以て暴いていきます。
なんだか、ワクワクしませんか?
大学の数学の講義は証明がメイン
高校までの数学の授業は、公式や定理の証明を教わったら、あとはひたすら演習問題を解いていくスタイルでした。
数字を少し変えて難しくしたり、ひとひねりのアイデアが必要な問題を解いたり、とにかく必ず演習問題を解いてきましたよね。
生徒たちは演習問題を通して授業の内容を具体的に理解していくことができます。
ところが、大学の数学の講義では一変。
演習問題を解くことはほとんどなく、公式や定理の証明がメインになります。
学生たちは、教授が板書した証明を、ひたすらノートに写していくので精一杯。
またその場でそれを理解するのも至難の技です。
高校の数学の授業のように、応用問題を解いたりして理解を深めるということはまずありません。
そのため自分で復習しなければテスト前に苦しむことになります。
授業ではとりあえず理解することよりも板書を優先→家できちんと復習し、理解していく
という流れで勉強している人が多いと思います。
例えば東京大学の1年生が学ぶ数学の授業では、授業で出た問題と全く同じ数字で、「これテストに出すよ」と言われているのにも関わらず出来ずにテストを終える人もたくさんいます。
おわりに
難しそう…と思う人もいるかもしれません。
確かに大学数学は、高校数学よりも理解するのが大変です。
でも大丈夫。大学数学用の教科書や問題集が市販されているので、わからなかったところは自習で十分補うことができます。
高校数学では学べない、定義を暴く快感を楽しみにしていてくださいね。